転生したら王族だったので、自由に全てを極めます。 作:鷹虎飛蝗
――魔術師として大切なものは、先ずは家柄。次に才能。そして最後に努力である。
生前、魔術学園の生徒となったその日、校長の挨拶にて述べられた魔術師の創設者、ウィリアム・ボルドーの言葉である。
「おんぎゃああああ!おんぎゃああ!!おんぎぁああああ!!!」
しかし当時はその言葉に続き、
『魔術師というのはまず家柄と血筋が大事で、それから才能、努力なんてものは殆ど意味がない』と到底教職に就いているものとは思えない言葉が出てきたことに驚いたものである。
「産まれました!元気な男の子です!」
しかし彼のその平民を見下したような発言が事実であることに、悔しさに満たされた。
同時に、イモムシでも噛み潰したような顔を必死の笑顔で隠す彼には、笑いを抑えるので必死でもあった。
「良かった……!本当に…良かった…!!」
家柄は言わずもがな、受け継がれ積み上げられてきた知識と財力は、当然平民が一代で築けるものではなく、産まれる前からそこにあるその2つは、まるで飛び方を覚えた竜の子供のように高い所へと連れて行ってくれるだろう。
才能も当然必要だ。才ある者の一歩は、才能を持ち得ぬ人間からしたらまるで伝説の中の巨人の一歩と見間違うほど遠く感じるだろう。
それは生まれつき手の中にあるもので、時には血筋も超え、経験の差も超え、己の限界すら超えさせることもある。
それが才能、凡人を無意識に叩き落とす無慈悲な壁であり、平民にとっての一縷の望みであった。
「初めまして、イリス。あなたのお母さんですよ…!」
最後に努力、これは何も努力が必要じゃないという訳では無い。
当然努力は大事だ。大事だからこそ、
凡人が血のにじむような無茶な努力や無謀な挑戦をして結果を得られても、才人が少し読書をするだけでひょいと通りすぎていく。
「ほら、あなたも抱っこしてあげて」
凡人が一生をかけて手に入れたものを、天才は一年と足らず我がものに出来る。
まあ、平民に才能があったところで、いくら努力しようが何かを成し遂げることも無く誰も知らないところで寂しく死ぬだけだけどな。
「ほら、あなたも何か言ってあげてください」
「……すまない、つい感極まって言葉に詰まってしまった…ほら、イリス。俺がお前のお父さんだぞ。」
………昔を振り返るのはやめて、そろそろ現実に戻ろうか。
「私たちで大切に育てていきましょうね。」
「…あぁ、そうだな。」
柔らかな肌のような感触が頭部に触れると共に、先程まで目を背けていた光景と、優しい声とハキハキとした力強い声が聞こえてくる。
いくら考えてもやはりこの非現実的な回答しか出てこない。
俺は……転生…というものをしてしまったのかもしれない。
転生したら王族だったので、