転生したら王族だったので、自由に全てを極めます。 作:鷹虎飛蝗
もっと第七王子の作品増えてくれー!!
襲撃から11年と少しが経過し、俺は12才になった。
俺が気を失ったあと、どうやらちょうど戦帰りであったサルーム第二部隊が異変を察知し、援軍に来たそうだ。
しかしその時に領主邸はほぼ陥落状態で、両親も治癒系統魔術や神聖魔術でも治せないほどに深手を負っていたようだ。
遺された俺は父の遺した言葉を聞いた国王陛下の温情により、養子として迎え入れられることになった。
責められた原因は分からないが、両親が亡くなってしまった原因は俺にある。
両親に化け物と見られたくないなんて気持ちで魔術の訓練を怠ったばかりに俺は両親を亡くしてしまった。
目が覚めた時俺は決めた。
自重なんかせず、自分の出来ること全てを極めてやろうじゃないか。
そう決まったら話しは早い。食事などの時間以外は魔力の制御に当て、なんと1週間で暴発の危険が無くなるほどになった。
あとは狂ったように読書漬けの日々。もちろん魔導書*1だけでなく、歴史書、伝記、童話や絵本でさえ、地下書庫含め場内の蔵書は恐らく全て。たださすがに記憶しきれないだろうと思い少し工夫はしたが。
5歳になる頃には国王陛下に無理を言って外出の許可と、義兄たちに混ざって王になるための教育とやらを受けたり、*2剣術指南役に教えを乞うたり、義姉や義兄の趣味に付き合ったり。あとは義弟のロイドのお守りとかもした。
他にも稚拙な魔術暗号に睡眠妨害されたり、ロイド共々なぜか剣術指南役の娘に慕われたりしたが、まあ概ねそんな感じである。
「ロイド様〜、イリス様〜、どこですか〜」
「やっべ、ロイドこっちだ」
シルファに捕まると満足するまで剣術指南が待っている。
俺としてはそれで全然いいのだが、こうやって2人で逃げた方がロイドも楽しそうだからこれでいいのだ。
「やはりここの蔵書は素晴らしいですねイリス兄さん!どれだけ来ても飽きが来ません!」
「そうだろうそうだろう!なんだってここはあのサルーム魔術学園と1,2を争うほどの蔵書を誇るからな!」
まあ俺は全部読んだが。と、にしても今回も早いな?ここに来ることがわかってるのか。やはり少し探すふりをするのはロイドの遊びに付き合ってくれているのだろうか。
「見つけましたよ…御二方。」
音もなくロイドの背後をとったシルファが、ロイドの持つ魔導書を上からひょいと奪いながらそういう。
シルファはロイドと俺の教育係メイドで、この城の剣術指南役の娘ということもあり今では俺とロイドの剣術指南役を買って出ている。
あ、ロイドいつもよりズルしてる。今までは制御系統魔術しか使ってなかったくせに、『生命成長』と『浮遊』と『身体強化』まで使ってる。
少なくとも『浮遊』は確実にバレるし『生命成長』もそんだけ伸ばしちゃったらバレるに決まってるのに…隠す気あるのか?まあそんなぬけてるとこも可愛いんだがうちの弟。
それにしても…たまたま昨日行った書店に並んでたこの魔術論理の本、『効率的な魔力運用法』…なかなかに面白いな。少し古めの軍事魔術と同じような結論に至っている。この著者はなかなかやるようだ。
お、終わったようだ。やっぱりバレてるね、そりゃあそうだ。
次は俺の番か…俺相手になると手加減無しの全力をぶつけてくるからきついんだよね、まあこちらとしてもありがたいけど。
10メートルほど離れて互いを見つめ合う。
「イリス様は魔術はお使いにならないでくださいね?」
「分かってるよ。ただ武器はさっきロイドが伸ばしたやつでいいか?」
「……身長差もありますし、仕方ありませんね。では行きますよ。」
呼吸を整え構える…地をえぐり初手は互いに突きを出す…と思いきやシルファは剣を引きその長い脚で足払いを掛けようとする。
しかし俺は前方に飛びつつ縦に一閃するが、シルファも足払いの遠心力を利用して一の字に木剣を振るったため地に足が付いておらず踏ん張れない俺が弾き飛ばされてしまう。
そのまま向かってきたシルファを弾くようにしたあと、何度か剣戟を繰り返していると、とうとう技までつかいだした。蹴り、技、フェイントが飛び交う楽しい時間を続けていると…
「やばっ」
「貰いましたっ!!」
ビシッ!と首元にはシルファの木刀が。
カランッ
木刀の落ちた子気味いい音が庭に響き渡る。
最後にはフェイントからの剣を巻取られて負けてしまった。
「やー、負けた負けた。やっぱりまだまだシルファには適わないね。」
「ご謙遜を、私が全力を出してなお少し焦りましたよ。イリス様の剣技は正しく1級もの、将来的には剣聖も夢ではないほどでございます。」
「いやいや、やっとシルファの背中も見えてきたくらいなのに、マルクオスさんはまだまだ遠いよ。」
マルクオス=ラングリス、シルファの父親であり剣聖と呼ばれる王族の剣術指南役である。
彼がいる限りこの国は他国に襲撃されないと言われるほどの大剣豪で、俺の今の目標であるシルファが目標にしている人でもある。
「12歳という若さにして私に迫るほどの実力。身長差があと数cmでも縮まれば負けてしまうのではないかと言うほど…五歳から私が請け負うと言った9歳までの4年間父に鍛えられているとはいえこの成長度……成長すれば我が父を超えることもあることでしょう…ロイド様共々、私はなんと素晴らしい主を得ることが出来たのでしょうか……!」
「どうしたシルファー?そろそろ暗くなってきたし室内に戻るぞー」
「はい!」
「ほら、ロイドもその本は貸したげるから、城に戻るぞ。」
なにやらブツブツと呟いているシルファと心苦しいが読書に集中しているロイドを室内に入るよう促す。
「だぁかぁらぁ…!風呂くらい1人で入れると言って…」
「ダメです。ロイド様は目を離すとお風呂にも入らず本の虫になってしまうんですから。」
そう駄々をこねるロイドを窘めるシルファだが、1つ疑問に思うことがあるのだ。
「じゃあなんで俺も一緒に入らされるんだよ!おかしくないか?!」
そう、俺は別に風呂に入らず本の虫になる訳でもないし常に清潔に保っているのに、毎度何故か監視するがごとく風呂場に連れ去られるのだ。
「だってイリス様、どうせ常に清潔に保っているって思ってるんでしょうけど、お風呂に入らず『浄化』とかの魔術でテキトーに済ませちゃうじゃないですか。ねぇ?姉様。」
「アイビィの言う通りですよイリス様。諦めて湯船に浸かってください。」
アイビィまで敵に回った?!そ、そんなばかな…
「言うこと聞かない悪い子は『禁書の魔人』に食べられちゃいますよ~?」
自分の体を洗い終わったのかひとりのメイドが近くに来てそんなことを言う。
『禁書の魔人』……と言うと、大昔にこの国を滅亡寸前までに追い込み、結果多くの犠牲を払って封印された『グリモワール』とかいう魔人か。
「確か地下にその封印した書があるという噂の?御伽噺でしょう。
仮にそれが事実だとして、封印されている魔人に何が…馬鹿らし……?」
シルファが噂話を否定するような話をしていると、隣のメイドからしーっと静かにするようにジェスチャーをうける。何事かと下を見てみると…
そこには!禁書の魔人を怖がり震えるロイドの姿が!
「それじゃあ今日はお姉さんの部屋で一緒にねんねしましょうか!」
「馬鹿を言いなさい!それはロイド様の教育係である…」
あ、ロイド逃げた。逃げ足が早いなぁ…さすが我が義弟!
「あれ?ロイド様は?」
「さっき上がってったよ」
「なんですって?!仕方ありません…ここは代わりにイリス様で…」
やっぱさっきの言葉撤回!帰ってきてロイド!このままじゃお義兄ちゃんが犠牲になっちゃう!お願いだからロイド戻ってきて!!!
因みにアイビィのフルネームはアイビィ=ラングリスです。
幼い頃剣術よりもメイドさんがやりたい!と言って父経由でイリスの家で働いていました。強さは冒険者ランクで言うとA級よりのB級くらいでめっちゃ強い訳ではありません。が才能もあり、王城に戻ってきてまた父親や姉に鍛えられているので強くなりはします。ちなみに基本的に使う武器は短刀を姉と同じく二刀流で使います。
関係ないけど第七王子の漫画の更新が待ちきれません。