デュエルマスターズ darkness zero   作:deta豆

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人の悪しき行いはその人の死後も生き続け、彼の良き行いはしばしば忘れ去られ、ほとんど骨と共に葬り去られ記憶に残らない


chapter1 新生
第1話 カード


「零くんみんな遊んでるよ!行ってくれば?楽しいよ!」

 

「…」

 

「大丈夫!何とかなるよ!」

 

孤児院の先生はニコニコ笑いながら、俺を外へと連れ出した。

 

「ばーん!雪の城だぜ!」

「がしゃーん!」

「わぁー!俺の城が…」

 

外では小さい子供達がはしゃいでいる。

 

俺は空を見ながら今までの自分の人生を考え、途方に暮れていた。

 

「(俺は親の顔も知らない 小6になっても、夢中になれる事も無い 自分が何なのか…分からない…ただ…生きているだけ…)」

 

そんな時、ふと物置から声が聞こえた。

 

「ドロー!チャージして…」

 

「(…見に行くだけ見に行って見ようかな…)」

 

そこには、自分と同い年ぐらいの長い白と金色の髪と綺麗な朱い眼を持つ少女が居た。

 

「2マナで呪文!ダスペルゴンパドゥ!3枚見て…」

 

彼女がやっている物に、初めて興味を持てた。

 

もしかすると夢中になれる物を見つけたかもしれないと言う淡い期待があったのかもしれない。

 

とても楽しそうだったからかもしれない。

 

だが、何より。

 

俺は彼女に会うために、この瞬間のために生きていたのだとも思った。

 

「ゼニスザークでダイレクトアタック!…一人回しはこれぐらいで良いですかねそれ…じゃあ…え…」

 

「あ、こんにちは…」

 

俺が挨拶すると、彼女はとても動揺していた。

 

「えー…いや違うんですよ!?対戦相手になってくれる友達もちゃんと居ますし!?話ししてくれる友達も居ますし!?独り言なんて…」

 

「分かった!落ち着けって!落ち着いて!見てただけだし誰にも言わないから!大丈夫だって!」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「ほ、ほんとほんと」

 

「…じゃあ何で見てたの…?」

 

「その…カード?に興味があると言うか…」

 

「え 興味あるんですか…?デュエマ…?」

 

彼女が俺に興味ありげに近寄ってきた。

 

「え、えっと…うん…」

 

「え じゃ、じゃあ解説しますね!えっと…」

 

「零だ…はじめまして」

 

とりあえず自己紹介をしたが、彼女の表情が一瞬歪んだ後に、彼女も名乗ってくれた。

 

「…ルナです!よろしくお願いします。」

 

そう言って彼女は深くお辞儀をした。

 

「えっと…さっき話してくれようとしたデュエマって…?」

 

「デュエマは…カードゲームです。」

 

(説明は省略)

 

俺は少し楽しそうと思った後に、ふと呟いた。

 

「とりあえずやってみてーな…」

 

それを聞いたルナは優しく笑い、ある提案をしてきた。

 

「じゃあ今夜この施設を抜け出して近所のコンビニでパック買いませんか?お金は4box分なら出せます、私の持ってるデッキは一つしか無いですし…」

 

「…?」

 

訳がわからなかった

 

抜け出す…?ここを…?んな無茶な…

 

だが俺のそんな表情を見たルナは、落ち着いて答えた。

 

「あ、今抜け出すなんて無茶とか思いました?大丈夫!全然ビルあるところまで行けます!」

 

「そ、そう言うもんか…な?」

 

俺は少し困惑しながらも、納得した。

 

「じゃあ早速何階の何号室か教えてください、行きますので」

 

その夜、ルナの声が部屋の外から静かに響いた。

 

「零ー来ましたよー」

 

「あぁ、準備はしてある。」

 

そう言ってドアを開けた俺に対し、ルナは優しく笑ってくれた。

 

「じゃあ早速行きますよー」

 

ルナは俺の手を取り、窓から孤児院を出た。

 

着地は不思議と、痛くも何ともなかった。

 

…信じられない光景だ、孤児院の窓から眺める事はあったが、実際にこの瞳で見下ろすのは初めてだ、それに…今日は雪が降っている、ホワイトクリスマスだ。

 

「びっくりしました? 雪の降る夜って想像以上に綺麗ですよね?」

 

ルナは少しいたずらっぽく笑って俺に聞いてきた。

 

「お、おう…」

 

「じゃあ早速バス停に行きましょうか!それに、今夜は月が綺麗です…」

 

俺達はバス停に向けて歩き始めた。

 

だが、ここまで来てもらったがこの時の俺には不安な事があった。

 

「子供二人は流石に危ないんじゃ…」

 

俺がそう口にすると、彼女の顔が急に無表情になった。

 

腕を握る力も強くなってゆく、不思議な事に彼女に俺の声は届いているとはとても思えなかった。

 

だが同時に、どこか焦っているようでもあった。

 

ふと、彼女の見上げた月を見た。

月はとても綺麗だ、だが綺麗すぎると言う恐怖も同時に感じた。

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