デュエルマスターズ darkness zero 作:deta豆
─闇文明第一層 森─
零「なぁ、ジャブラッド、一応姿は隠しといた方が良いか?」
ジャブラッド「あぁ、お前はもう有名人だからな...これ使え」
そう言うと、ジャブラッドは青いローブとカラスの仮面を取り出した
零「...なぁ...ジャブラッド...」
ジャブラッド「なんだ?」
零「これ...ルナが着てたやつだよな...?」
ジャブラッド「そうだが?」
零「ルナは闇文明の王だったよな...?」
ジャブラッド「そうだが?」
零「ルナと勘違いされないか?」
ジャブラッド「ペストマスクと青ローブ何て特徴的な格好って訳じゃ無いんだし大丈夫だろ」
零「マジで言ってんのか...?」
ジャブラッド「あぁ、どちらにせよこれしか無いからな」
零「じゃあ仕方ないか...これは貰うぞ」
ジャブラッド「まぁ良いぞ、どうせ置いてかれたもんだしな」
俺はルナの着ていたローブとマスクを身につけ、列車のある方角へと向かった
駅には既に何人かが列車が出発するのを待っていた
ジャブラッド「あぁ、切符はあそこの窓口で買うんだ、俺は隠れてるからな」
零「金無いぞ?」
ジャブラッド「仕方ない、小遣いだぞ お釣りは返さなくて良い」
零「ありがとうな、それじゃ言って来る」
俺は窓口の方へ向かった
窓口には機械が設置されていた、恐らく切符はここで買うのだろう
だが...
零「えっと...どうやるんだ...?」
案の定、俺は使い方が分からず、窓口の機械の前で立ち往生してしまった
その時、後ろから声をかけられた
???「ねぇ、買い方分からないの?」
零「あ、はい」
???「お金ある?」
零「まぁ...はい」
???「ちょっと貸して」
零「ここに投入口があって─」
その人は俺に券売機の使い方を教えてくれた
零「ありがとうございやす」
???「いえいえ、こちらこそ」
そう言うと彼女は自分の分の切符を買い、駅のホームへと向かい、俺もそれにつづいた
そうして列車に乗った俺は窓際に座り、出発するのをじっと待った
──────────
気がつくと、列車は見知らぬ場所に止まっていた
周りは真っ白な塵の世界で、空は黒く...しかし星で満たされていた
俺は気がつくと仮面もローブも脱いでおり、黒い衣装を身に纏っていた
零「どこだここ...?コキュートスにもう着いたのか...?」
俺は恐る恐る外に出て見る事にした
零「何も無いな...」
そう判断した俺は列車の中に戻り列車を調べようとした
その時─
???「ねぇお兄さん、ヒツジの絵を描いて」
ふと、少年に声をかけられた
その少年は白い髪に赤と青の目を持ち、綺麗な衣装を身に纏っていた
零「は?ん?...ヒ、ヒツジ?」
???「うん、ヒツジ」
零「...すまんな、紙もペンも無くて描けそうに無─」
???「はいこれ」
零「あ、あぁ...ありがとう」
俺は紙とペンを手に取ると、早速絵を描き始めた
俺はヒツジなんて描いた事は無く、不安だったが、描いてみせた
我ながら素晴らしい出来だったと思う
だが、少年はこの絵が気に入らないようだ
???「だめだよ、このヒツジは初めから病気みたいだ...別の絵を描いて」
そこで俺はまた描いた
すると少年は俺を傷つけないように笑って言った
???「わかるでしょ、これは普通のヒツジじゃなくて雄ヒツジだよね、角があるもの」
そこで俺はもう一度だけ試してみた
だが、それも前と同じように受け取ってもらえなかった
???「これはすごく年寄りのヒツジだよ、ぼくはこれからずっと長生きするヒツジが欲しいんだ」
そこで忍耐の限界が来た俺は少年をからかってみることにした
零「どうだ、この箱の中にヒツジが入ってるんだぜ?すごいだろ?(w)」
すると、びっくりしたことに、少年は明るい顔になって言ったのだ─
???「そう!ぼくが欲しいと思ってたのはこんなんだよ!このヒツジ、たくさん草を食べるかな?」
零「あ、あぁ...多分、小さい木とか花も食べるぞ」
そう言うと、少年は一瞬真顔になった
そうして少年は言った
???「月に咲くトゲのある花も...?」
零「(トゲのある花...薔薇か...?)あ、あぁ、ヒツジは何でも食べるぞ」
???「じゃあトゲはいったい何のためにあるの...?」
零「意味なんてないんじゃ無いか...?」
???「えぇ?」
しばらく黙ってから、彼は憤然として言い返した─
???「そんなこと、信じられないよ!花は弱いんだ、花は何も知らない...でも、出来るだけ自分は大丈夫って思っていたいんだ...トゲがあればみんなが恐がると思ってるんだ」
零「(何で...そこまで怒るんだ...?)」
そうして彼はしばらくして、星を見上げながら言った
???「もしも誰かが、何百万もの星の中に咲くたった一つの花を愛していたなら...きっとその人は、星を見上げるだけで幸せだろうね...「ぼくの花がどこかにある...」もしヒツジがその花を食べてしまったら、それはその人にとってぜんぶの星の光がいきなり消えてしまう事なんだ...」
「ぼくの花がどこかにある...」
そんな少年の言葉を聞き、俺はある決心をした
俺はルナを「連れ戻す」と言ったが、内心許すべきか否かと悩んでいた
「その人にとってぜんぶの星の光がいきなり消えてしまう事なんだ...」
そうだ、ルナは俺にとってのたった一輪の花なんだ
そんな人が居なくなると言う事は、また生きる意味を探しに真っ暗闇に戻る事と一緒なんだ
そして俺は、この闇文明に自分だけの花を探しに来たんだ
零「ありがとう」
???「...?」
零「俺が君のヒツジにはめる口輪を書いてあげよう、ちょっと待ってろ」
そうして俺は口輪を描き、少年に渡した
???「これがあれば...ヒツジは花を食べない...?」
零「あぁ、でも悪いな、急ぎなんだ」
???「それって大事なこと...?」
零「あぁ、自分だけの花を探しに行くんだ」
???「分かった...またね!」
零「あぁ、じゃあな!」
そうして俺は少年に背を向けて、列車へと戻った
─せーん
零「ん...?」
駅員「すみませーん!」
零「え、あ、あれ?」
駅員「切符切りますねー」
零「あ、はい」
俺は寝てしまったようだ
駅員は俺に背を向けホームへと戻って行く
ジャブラッド「おい、大丈夫か契約者?」
零「あ、あぁ」
寝てしまっていた事に少し驚いたが...何故だかすごくスッキリした感じがした
駅員「発車しまーす」
列車が出発する、遥か彼方、地獄の底へ