ミデンを翔ける黒い鳥、ボーダーで何を成す?   作:AC6はいいぞ!!

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ep11_チームランク戦 ROUND1 ①

 

「仮想ステージへ転送完了。ランク戦開始です」

「バッグワームを付けてるのは東さんだけか。てっきり郷田隊も付けると思ったんだが」

「おそらく枠の問題だろう」

 

 

バッグワームを付けると貴重なトリガーの枠が1つ潰される。隠密・奇襲をするならともなく、しないのであれば外すのも手だ。もっとも、これは様々なトリガーを使いこなし、枠が圧迫されている郷田隊だからこその理由であり、ほかの隊員からしてみればわざわざ外す理由がない。

 

 

「各チーム、太刀川隊以外は合流を目指・・・え?」

「おいおい、マジか」

 

 

試合開始と同時に3つの地点から弾丸トリガーが上空に撃ちあがった。そして、撃ちあがった弾丸は規則正しい軌道である地点を目指し、そしてその上空で軌道を変えて流星のごとく降り注ぎ、大爆発を起こす。

 

 

「ここで東隊員。爆撃でベイルアウト。これは一体どういうことでしょうか?」

「郷田隊全員でトマホークを東さんのいる一帯を爆撃した」

「東隊員はバックワームを付けてましたが」

「転送位置が均等にバラける仕様とバッグワームで消えていたことから東さんの居場所を予想して爆撃したんだろうね」

 

 

 

郷田隊の面々のトリオン保有量は常人の数倍あり、そのおかげで弾丸トリガーの威力も高い。また、合成弾を作る速度も約1秒と早いため、東さんも初期地点からほとんど移動できない状態で攻撃を受けた。とっさに集中シールドを張ったが、運の悪いことに直撃を受けてベイルアウトしてしまった。

 

 

観客席の隊員たちが呆気を取られている間に弾幕が撃ちあがる。先程と同じように、東隊の三輪に向かってトマホークが降り注ぐ・・・はずだった。

 

 

「続けてトマホーク。今度は三輪隊員を狙う!!」

「今度はギリギリ避けられた」

「さっきの爆撃で移動先を予測されていることに気づいて、移動先を変更したおかげだろう。あれが無ければ間違いなくやられていた」

 

 

1度目の襲撃で行動を予測されていると判断した東が各隊員たちに予定していた地点とは逆の地点に移動するように指示していたため、三輪は間一髪トマホークの雨を回避することに成功した。

 

 

そして、そのことに気づいた郷田隊はベイルアウトではなく、負傷を目的に切り替える。こうすることで、爆破エリアを拡大させ、命中率が上がる。

 

 

それを見越し3度目の爆撃を行おうとするが、信二に太刀川と出水、沙耶に二宮、ゆかりに小南と加古が追い付き3度目の爆撃は失敗に終わる。

 

 

「ここで沙耶隊員とゆかり隊員が逃走。ジェットパックで合流を目指す」

「不利と判断して合流を優先したか」

「ですが、信二隊員はそのまま太刀川隊員、出水隊員と向かい合う。このまま戦うのは不利ではないでしょうか」

「いや、そうとも限らないよ」

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

「おいおい、来るのが早すぎだろ!!」

「これ以上爆撃されたらたまったもんじゃないからな」

 

 

信二が3発目のトマホークを打つ直前、どこから旋空弧月が飛んできた。警戒していたため回避自体は問題なかったが、その後太刀川がグラスホッパーで飛来し、そのまま戦闘が開始する。

 

 

(弧月二刀流相手に近接戦はしたくない。よし、逃げるか)

 

 

信二はジェットパックで回避しつつその場を離れようと試みる。だが、太刀川も狙いに気づいているためグラスホッパーで食らいつく。弧月の届く位置まで詰め寄られてはいないが、旋空弧月があるため油断できない。

 

 

上空で旋空弧月を回避していた信二はメテオラを展開し、自身は急降下で下に逃げる。メテオラの対処を優先すれば、あわよくば逃げられると考えていたがそうはいかず、グラスホッパーでメテオラを無視してこちらに向かう。

 

 

(悪くない判断だが、甘い)

 

 

この事態を信二は予想しており、展開したメテオラの半数は太刀川のいた場所を通過するが、もう半分は信二と太刀川の間の地面に激突し、爆炎によって視界が遮られる。

 

 

(煙の動きで旋空弧月は回避できる。あとはその隙に逃げるか)

 

 

太刀川の旋空弧月をジェットパックで上空に飛んで躱す。そして、旋空弧月を撃った隙に逃げようとする信二だが、合流したイズミが待ってましたとばかりにアステロイドの弾幕を展開し、撤退に失敗する。

 

 

「出水か。あと1人ぐらいは来そうだな」

 

 

初期位置的に信二に最も近いのが太刀川、出水。次点で東、木崎のため、木崎が来るのはもう少し後だと信二は考えていた。木崎はバックワームを付けてレーダーから消えているが、それでも着くまでにもう少しかかると。

 

 

ただ、ここで想定外のことが起こる。出水よりか更に離れた位置にいた木崎がバックワームを着た状態で逃げ道にハウンドを放つ。

 

 

(木崎?!!マズい!!)

 

 

逃げ道を防がれたことでジェットパックで回避できなくなった。シールドを展開しても圧倒的な弾幕を前に致命的ともいえる負傷は免れない。即興とはいえ予想外の連携に信二はなすすべなくやられる。

 

 

(木崎まで来ていたのは予想外だったが、そうは問屋が卸さない!!)

 

 

信二は即座にトリガーを切り替え、メインとサブに攻撃用の試作トリガーを展開した。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「前方の出水隊員と後方の木崎隊員の弾幕が信二隊員を襲う」

「レイジがジェットパックを付けていることまでは想定できてなかったな」

 

 

トマホークによる爆撃後、木崎はバックワームとジェットパックを付けて信二の予想よりも早く辿り着いていた。両方のトリガーを常時使用するため、襲撃されると反撃できず、そのままベイルアウトされる可能性があるが、近くにいた出水がこっちに気づいても攻撃してくることはないと割り切り、見事に奇襲に成功した。

 

 

普通の相手であれば、ここで決着がだろう。だが

 

 

「お、ついに『アレ』の出番だな」

 

 

雷蔵がそう呟くと、信二は両手に盾を展開し、そのまま包み込むように身を守った。

 

 

「あれは一体」

「俺の作ったアタッカー用の試作トリガー『レイガスト』。守りを主軸に置いたトリガーで、シールドモードにすることで耐久性が上がる」

「展開してはいいが、このままじゃすりつぶされるぞ」

 

 

風間の言う通り、このままでは何もできずにシールドを削られてしまう。

 

 

「いや、大丈夫だ」

 

 

そう言うと信二は盾を展開したまま高速で後方に移動した。弾丸を数発受けてしまったが、盾で身を守っているため無傷だった。

 

 

「これは一体・・・まるでジェットパックを使っているように移動しました」

「オプショントリガー『スラスター』。トリオンを噴射することでレイガストを加速させるトリガーだね」

「お前、今回これを紹介するために呼ばれたのか」

 

 

風間がそう言うと、雷蔵は「まあね」と同意する。雷蔵はレイガストを広めるために信二にレイガストを使うように依頼していた。

 

 

「ただ、俺の思っている使い方と違うのは気になるな。あれはシールドモードで弾丸を防ぎつつ、ブレードモードで斬り合うことを想定して開発したんだが」

「信二隊員、弾幕を掻い潜りスラスターを使用してレイガストを出水隊員に投擲。1発目はシールドで防ぎましたが、2発目はシールドが耐え切れず右肩から先が吹き飛ばされる!!」

「・・・俺の想定した使い方じゃない」

「信二は想定とは異なる使い方をすることが多々ある。頼む相手を間違えたな」

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

「出水、無事か?」

「トリオン漏れがきついですが、まだいけます。あれなんですか?あんなトリガー見たことないんですけど」

『おそらく試作トリガーだね。最近、攻撃用トリガーが開発されたって聞いたけど』

「それをいきなり実践投入するとは、あいつもやるな」

 

 

バックワームで身を隠しつつ、太刀川は隙を伺う。

 

 

試作トリガー投擲で右肩より先を吹き飛ばされたが、致命傷を免れた。また、手痛い傷を負ったがメテオラで視界を切り、マップ左端に追い込むことで半円形上に包囲することに成功した。木崎はすでに身を隠しており、信二は建物の屋根から周囲を見渡している。

 

 

『これで5つトリガーが分かったね』

「いや7つだ。高速でブレードを飛ばしたのは恐らくトリガー専用のオプショントリガーだ」

「って、ことはあと1つだけですね」

「レーダーから消えてないってことはバックワームではなさそうだが、何かわからない以上迂闊に攻めたくない」

 

 

出水にメテオラで爆撃させる手もあるが、近場だと反撃を受ける可能性があり、遠くだと包囲網に穴が開き、逃げられる可能性がある。向こうとしてはジェットパックで強引に突破できなくはないが、下手に動くと手痛い反撃を貰うことが分かっているため動かない。

 

 

「下手に動くと負けるな。できれば向こう側の決着が着くのを待ちたいが・・・烏丸、そっちはどうなってる?」

『正直きついですね。沙耶とゆかりが合流し、後退しながら弾幕張っているせいで倒せてないです。三輪先輩と小南先輩が俺らを守って、二宮さんが上手く動きをコントロールしているので、そっちにはいかないですし、こっちもやられることはないんですけど』

「そっち5対2だろ。マジか」

『そういうことなんで、もうしばらく押さえておいてください』

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

マップ東側。ここでは数分前から弾幕戦が繰り広げられており、大きな曲円描きながら襲撃するハウンドを細かく分割したハウンドで迎撃する流れが交互に続いている。

 

 

「ああ、こんなことなら私もハウンド持って来るべきだった!!」

『沙耶、わがままはダメですよ』

「そうだよ。爆撃攻撃ができないって」

 

 

ゆかりとエアの指摘に、沙耶はやるせない気持ちになる。リンチになることはわかっていたが、それでも想像以上にキツく、前に出ようにも全員で弾幕を張るせいで近寄ろうにも近寄れない。

 

 

また、相手は位置を悟らせないように全員バックワームを付けており、沙耶が1度突撃した際、奇襲を受けているためなおのこと前に出れなかった。もっとも、バックワームを常時付けてくれているおかげで弾幕が薄いのは不幸中の幸いだった。

 

 

「だからって、ずっと撃ち合いをし続けるわけにもいかないでしょ」

 

 

相手からの弾幕を撃ち落す傍ら、沙耶とゆかりは嫌がらせとばかりにメテオラ、トマホーク、マインを適当にバラまいている。ある程度は位置を予測できるため、メテオラやトマホークで爆撃できれば効果が期待できるのだが、相手もそれが分かっているため、広範囲にバラまいたマイン以外は全て撃ち落され、弾幕を薄くする以上の効果がない。

 

 

マインに関してはかなり分割してバラまいているため、移動阻害が期待できるが移動の邪魔になる者に関してはメテオラで処理されているためほとんど効果がなかった。

 

 

「テレポーターを使おうにも建物に隠れているせいで直接転移できないし、使って接近してもバックワームを付けて隠れている前衛2人が邪魔。その邪魔な前衛を奇襲で倒そうにも、すぐには倒せる保証はないし、戦ってる隙に分断されて倒される」

『救いがあるとすれば、ゆかりが弾幕をほとんど撃ち落しているおかげで負傷はほとんどしてないことですね』

「あとは嫌がらせが意外と効いているおかげで爆撃が来る頻度が低い」

 

 

予測のサイドエフェクトのおかげで高確率で撃ちおろすことができる。もっとも、100%ではないため、時間の問題ともいえる。

 

 

「兄ちゃんのほうはどうなってる?」

『膠着状態だ。メテオラで視界を遮られたと同時に隠れられてな。相手の居場所がわからないし、マップ端ということもあって迂回もできん』

「つまり、こっちで何とかするしかないと」

「無理やりこっちに来てくれてもいいのに」

「それやると、8対3になるからダメ」

『そういうこと』

 

 

沙耶が合流のことを言うが、絶対にロクなことにならないとゆかりは思った。それに時間はこちらの敵ではない。むしろ味方だ。

 

 

『そっちは準備はどう?』

「問題ない。沙耶が頑張ってマインをバラまいてくれたおかげで気づいていない」

「マインを使う隊員なんてほとんどいないから当然よ」

「丁寧に全部解除されてたらマズかったけど。変な場所にも設置したおかげで上手くいった」

『二宮さんが信二の元に行かないようにマップの東側でグルグル回るよう誘導したのも想定通りでした』

「おかげで仕掛けが残った場所に簡単に戻ることができた」

「さあ、仕掛けるわよ!!」

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

「全然場が動かないわね。何か狙ってるのかしら?」

『このままだと向こうも詰むことはわかっているから、間違いなく仕掛けていると思うわ。おそらく後退しながら仕掛けているマインがカギだと思うのだけど』

「かなり広範囲にバラまかれたから面倒ではあるが、分割しすぎだし誘爆範囲もかなり狭い。通り道のものは排除しているし、トリオン反応に紛れたとしても、動きがあればすぐに気づく」

「全部二宮君が除去すればいいのに」

「できるわけないだろ。敵の弾幕を撃ち落すのに手一杯だ」

 

 

マインは東側だけでも数百以上バラまかれており、どれも分割しすぎな上誘爆範囲も狭く、威力が低い。そのため誘爆もほとんど期待できない。一応、移動の邪魔になる者はメテオラで除去しているが、壁などにも仕掛けられるため全て除去するのは現実的ではなかった。

 

 

『マインをバラまいているのに、ほかのトリガーとの組み合わせがないのは気になるな。マインはレーダー上に映るから、ダミービーコンと組み合わせるとかしていると思ったんだが』

 

 

マインはレーダー上に映り、移動しなければ隊員と区別がつかなくなる。もっとも、マインは動かないため、動いた時点でバレるのだが、ダミービーコンと組み合わせれば偽装することが可能になる。もっとも、それをするぐらいならバックワームを付けた方が遥かに効率がいい。

 

 

「使う枠がなかったのでは?」

 

 

三輪の発言に、東は考える。

 

 

(その可能性もあるが、それならマインを使わずにほかのトリガーを使った方が有効だ。組み合わせるならともかく、単体では効果が期待できない)

 

 

もちろん、単体で使うために運用している可能性はある。実際、郷田隊なら運用は可能だろう。

 

 

モニターでは、二宮がハウンド、小南がメテオラを放つがバイパーやハウンドで防がれる。相変わらずの千日手。だが、人数はこちらの方が上。このままではいずれ郷田隊は爆撃を防ぎきれず、致命的なダメージを追うことになるだろう。

 

 

それを防ぐ手が東側にないなら、西側の信二が動くはずだが、まったくと言っていいほど動きがない。完全に東側の決着を待っている。

 

 

(この状況を打破するための手段があるはずだが・・・何を見落としている?)

 

 

既存のトリガーでないなら、新作の試作トリガーの可能性があると東は考えた。だが、新作の試作トリガーは信二の使っている攻撃用トリガーで、防御性能に優れてはいるが、この状況を打破できるものではない。

 

 

(そうなると、その前に出たトリガーとなるが・・・まさか)

 

 

この状況を打破できる可能性があるトリガーが数か月前に出ていた。新たなポジションと共に発表され、一時期注目を浴びたが、使う人がいないためほとんどの隊員から忘れさられたとある試作トリガーの存在を東は思い出した!!

 

 

『全員、今すぐ後退しろ!!』

 

 

東はすぐさま指示を出す。東の予想通りであれば、今自分の隊は相手の腹の中にいる。

 

 

その判断は正しかった。だが、指示を出すのが一歩遅かった。

 

 

指示が出たと同時に屋根にいた二宮は真下の部屋から沙耶のバスターによる覇撃、加古は後方から飛んできたアイビスの弾丸によって撃ち抜かれベイルアウトする。1人残った三輪は状況が理解できず、撤退することが敵わなくなった。

 





最後までお読みいただき、ありがとうございました。


序盤からいきなりトマホークによる爆撃をかましましたが、これは原作で北添の『適当メテオラ』の上位互換と言える戦法です。威力、精度が桁外れなのに加え、初見殺しも加わった結果、原作屈指のチートキャラである東さんがアッサリ退場しました。


試作トリガーとして、レイガストが登場しましたが、レイガストはエンジニアになった雷蔵が開発したトリガーで、時期自体はあっているのですが、範囲があいまいだったのでこの時期に登場したことにしました。


雷蔵としては、シールドモードで接近し、ブレードモードで斬り合って欲しいのですが、頼む相手を完全に間違えてしまったと実況席で半ば後悔しています。


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