ミデンを翔ける黒い鳥、ボーダーで何を成す? 作:AC6はいいぞ!!
弾丸トリガーをオリジナルで出したはいいが、合成弾の名前どうしよう・・・確か、カクテルと現代兵器にある名前が元ネタらしいが、調べるのが大変・・・
講習会が終わった後、信二は開発部にやってきた。隊員に昇格したのでトリガーを受け取りに来たのだ。
「鬼怒田室長はいるか?」
「なんだ・・・お前か」
開発部には鬼怒田室長が作業しており、ほかの作業者も忙しそうにしていた。
(相変わらずだな。せっかくエアが業務効率を上げて業務を楽にしたのに、余裕が出たからってその余裕を開発につぎ込むとは)
計画を前倒して楽しく開発をしている開発部の面々を見て、信二は苦笑いした。
「ほれ、お前さんのトリガーならすでに用意してある」
そう言うと、鬼怒田室長はあらかじめ用意していたトリガーを信二に渡した。トリガーを起動すると、訓練服からあらかじめ用意していた黒い軍服のような隊員服に換装された。
「これもそうだけど、トリガーについてまだ言いたいことが」
「なんだ、今でも手一杯なのに、まだ必要なのか」
「これでもブランチからの技術提供でだいぶ良くなっただろ?というか、計画を前倒して開発をするなよ」
「あやつらが勝手にやるのが悪い・・・まあ、止められなかったことはすまなかったと思っている」
鬼怒田室長も止めようと思えば止められたのだが、エンジニアのやる気の削ぐ結果につながりかねないため止めることができなかった。
「まあいい。要件なんだが、訓練生たちの使っているトリガー、あれに簡易的な説明機能を追加してほしい」
「なに?さっき講習をしたばかりだろ」
今後も定期的に講習を行う予定だが、それでも訓練生が自主的にトリガーについて知ることができる手段を増やした方がいいと信二は考えている。また
「訓練室に指定のトリガー専用の訓練モードを追加したい」
「お前・・・こっちの負担を考えろ」
「考えたうえで言っている。プログラムに関しては、俺が訓練で使っているものをボーダー用に変えて渡す。あと、忍田本部長にも相談するが、練習モードで最大2000点程度までポイントを稼げるようにしたい」
「なんでポイントを加算するんだ、現状のままでいいだろ」
鬼怒田室長はそう言うが、現状では全く足りないと信二は考えていた。トリガーの練度を上げるという意味でもそうだし、ポイント的にも現状は1000点代がほとんど。ポイント差が広がるほどポイントを集めにくい仕組みのため、3000点からはほとんどポイントが集められなくなる。
(トリガーを与えただけで放置する今の環境は無視できないし、ポイントに関しても条件がきつすぎる。練習モードをどれぐらいの人数が使うかにもよるが、合同訓練よりは全体的にポイントを増やしてくれるだろう)
・説明文の追加:説明文に関してはこっちで用意する
・練習モードの追加:プログラムをこっちで用意する
という条件で渋々ではあったが了承してくれた。鬼怒田室長も面倒ではあるが、必要なことのため了承したと言った感じだった。
(今は基本的なことだけだが、後々応用編も追加してもらおう)
「細かいことは後で話し合うとして、お前さん、ボーダーの役職に興味はないか?」
「役職ね・・・どんな?」
「端的に言えば、訓練生たちの指導役だ。先程の講習もだいぶ好評だったと聞く。小南や木崎もお前の作ったマニュアルのおかげでだいぶ指導しやすかったと言っていた」
信二は講習を旧ボーダーのメンバーに頼んでいた。小南がアタッカー、木崎がスナイパーを指導していたが、その際にエアと共同で作成したマニュアルを渡していた。
ある程度はマニュアルに沿って行い、細かい部分はゆりやクローニンにサポートしてもらうことで円滑に講習を行えるようにした。
「指導するのはいいが、どんな責任と特権がある?」
「まだ詳細は決まってないが、月一の講習会の開催と隊員を指導役として任命できるようにしたいという話だ。あと、給与が増える」
(指導自体は構わないが、強制されるのは嫌だな。月1とはいえ、自分の都合で変えられないのも面倒だし、メリットを感じな・・・いや、いいこと思いついた)
「鬼怒田室長、その話乗ってもいい。ただし、この条件を呑めるなら」
そう言うと信二は鬼怒田室長に条件を伝えた。今は何の役にも立たない特権だが、いずれは信二たちが自由気ままにランク戦をするために必要ともいえる特権だ。
「お前、いくらなんでもそれは」
「別に問題ないだろ。というか、やろうと思えばボーダーのルールに則ってやることもできる。超が付くほど面倒だけど」
「はあ~・・・掛け合ってみるが、受け入れられるかはわからんぞ」
「いや、たぶん通ると思う。どうせ俺らがやることは確定なんだ。なら、上層部公認にして特権に対する対価を払わせた方が断然いい」
鬼怒田室長はため息をつきながらも、信二の思っていることを察し、これ以上は何も言わなかった。
・・・・・・
「ポイントに関してはわかった。確かに現状だと隊員に上がる訓練生が少ないだろうし、トリガーの扱いに慣れてもらうという意味でも効果的だろう」
開発部を出た後、信二は忍田本部長の元を訪れ、訓練生の待遇改善のための施策について話し合っている。忍田本部長としては、練習モードによるポイントの加算も調整は必要だが、効果が見込めそうなため導入に前向きに考えていた。また、それと同時に行われた提案に関してもだいぶ前向きに考えていた。
「新人王か。これをやりたい理由は何だ?」
「端的に言えば、訓練生たちのモチベ維持のため。次の入隊式までの成績上位者に対して賞品ありの表彰をすれば、訓練生たちもやる気がでるだろ」
信二がここまで積極的に待遇改善を行う理由は訓練生たちの扱いが悪いという認識を無くすためだ。頑張ってテコ入れしているが、それでもまだ足りず、扱いは悪い印象をぬぐえない。
だが、ボーダーは生まれたばかりの組織。それでも日々改善し、訓練生たちを評価しようと頑張っている、そう思わせる必要がある。そうしないとボーダーは訓練生を蔑ろにしていると後ろ指を指されかねない状態になる。
「先程、鬼怒田室長に説明機能と訓練モードの追加をお願いした。こう言っては何だが、ボーダーという組織は訓練生を蔑ろにしている印象をぬぐえない」
「手痛い話だ。我々も対処しないと思っているのは山々だが、やることが多くてね。エアにサポートして貰ってずいぶん楽になったが、それでもまだやるべきことは多い」
やはり、人材が不足していることが否めない。隊員以外にもエンジニア、オペレータ、その他諸々の人員が不足している。また、隊員はトリオン保有量なども問題があるため、三門市内にトリオン測定器を各所に設置すべきだと言っているのだが、エンジニアの不足に加え、三門市との交渉が必要なため時間がかかるそうだ。
「少しずつではあるが、ボーダーの基盤も整いつつある。そこから防衛のためにやるべきことをやっていくしかあるまい」
前途多難だなと、そう思うしかなかった。
・・・・・・
玉狛支部に戻り、支部メンバー全員でパーティーを開いている。信二の隊員昇格祝いのパーティだ。
「いや~、まさかうちから初で、しかも最速で隊員になるやつがでるとは」
「マッチポンプ感は否めないけど」
(後々真似するやつが出ないよな。それが少し心配だ)
いないとは思うが、実力がないのにそんなことするやつが出れば、ボーダーの戦力低下に直結する大問題に発展する可能性があると信二は思った。
「兄ちゃん、隊員になったってことは防衛任務を行うんだよね」
「ああ、今は人数が少ないため、仮のチームを作っての防衛任務を行うそうだが、いずれはチームを結成させておこなうという話だ」
「・・・なら、私たちがボーダーに入隊した後にチームを組まない?」
「なに?」
信二はゆかりのその言葉に驚いた。
沙耶とゆかりが玉狛にいるのは、生活保護のためもあるが、信二に対する人質としての役割もある。それに年齢的な部分でも問題がある。いくら応募資格に年齢制限がないとはいえ、幼過ぎるのは逆に問題になる。
「安心してよお兄ちゃん、許可は貰った」
「どうも、許可を出した林藤です」
(いや林藤支部長・・・そんな話聞いてないぞ)
そもそもの話、信二は沙耶とゆかりがボーダーに入隊したいという話を自体聞いていなかった。
(次回の入隊式は4月。その時、沙耶とゆかりは小学5年生だが・・・色々と問題があるのではないか?)
「それなんだけど、最近じゃ2人は真面目に学校に通っていてね。沙耶もゆかりも少しずつだけど友だちもできたって話だ」
「それがなんだ?」
「要するに、この子たちも君のような何かを守りたいんだ」
「・・・」
「もちろん、幼いことはわかっている。そこは俺らがサポートするし、保護者の許可があれば問題ない」
(保護者の許可・・・つまり、俺の許可があれば入隊可能ということか)
信二としては、不本意であることは否めないが、自分の意志で判断し、行動しようという姿勢を否定したくない。実力に関しても、小南や木崎、迅と模擬戦をしているおかげで問題ないことはわかっている。
『エア、どう思う?』
『私としては、彼女たちの自立を促す意味でも入隊させるべきだと』
(自立か・・・そうだな)
「いざとなったとき、ブランチのトリガーを使うことは」
「できる限り使わないでほしいが、緊急時には許可すると」
「そうか・・・なら、入隊を認めよう」
そう言うと、沙耶とゆかりは大喜びし、小南やゆりと手を取り合って喜んでいた。
「随分と呆気なく許可を出したな」
「まあ、今なら俺が守ることができる。その間に色々なことを経験させてあげたいと思ってな」
「なんか、子供っぽくない発言だな」
クローニンが冗談交じりにそう言うが、信二としてはあまり笑えなかった。
「さて、じゃあ今度は入隊決定祝いをしようか」
「迅、今俺の隊員昇格祝いじゃなかったのか?」
「まあまあ、そう言わずに」
冗談交じりにそう言う迅に、信二は思わず苦言を呈してしまったが、こういう雰囲気も悪くない。そう思い、パーティを心の底から楽しんだ。
・・・・・・
「俺に話ってなんだ?」
「迅、今回の件で沙耶とゆかりが入隊することになったが、これも最良の未来へ行くための生贄なのか?」
信二はそう聞かずにはいられなかった。屋上に迅を呼び出し、先ほどの件について問い詰めていた。
そもそもの話、沙耶とゆかりを本当の意味で守りたいのであれば、ボーダーという信二の手の届きにくい場所ではなく、玉狛という守りの固められた場所で普通に学校に通い、普通に生活させた方がいいからだ。
「生贄って、そんなことしないよ」
「どうかな。お前は未来を掴むためなら今を犠牲にする傾向にある。よくよく考えてみれば、未来が見えるのなら旧ボーダーのメンバーの犠牲もお前の師匠がブラックトリガーになることも回避できたはずだ。違うか?」
そう言うと迅は黙り込んだ。
未来視が万能でなかったとしても、少なくとも周りの人間を逃がす程度のことはできたはずだ。それこそ、ほかの何かを犠牲に自分の仲間を犠牲にしないように立ち回ることも
「お前がボーダーのために動いていることは知っている。だからこそ、信用できないんだ」
「そうだな。お前の言う通り、俺は信用できない人間だ」
「そんなお前に聞きたい。お前の選ぶ未来に沙耶とゆかりは犠牲となるのか。犠牲となる可能性があるのか」
(場合によってはボーダーと手切れになるかもしれない)
信二はそんなことを考えつつ、迅が返答した。
「俺の望む未来には、君たちも笑って過ごしている。ただ、あの子たちを入隊すれば、より多くの人たちが笑って過ごせる未来に行ける」
「そうか・・・ならいい。話は終わりだ」
そう言って信二は、屋上から降り自分の部屋に戻った。
・・・・・・
「ふう~・・・相変わらず気が抜けないな」
自室のベットに寝そべり、迅は呟いた。
迅は自分が信用推されていないことを理解していたが、まさか入隊の件でここまで問い詰められるとは思っていなかった。彼の関与する未来が多過ぎて、迅でも見逃すことが多々あるためだ。
迅が望む未来には郷田の協力は必須。だが、肝心の郷田はボーダーを信用していない。彼と信頼を築くには、まだ見ぬ仲間たちの協力が必要だった。
「彼、レイヴンを名乗っているのに、まるで"リンクス"だ。何物にも縛られない自由を望むのに、自分とつながった人たちを切り捨てることもできない」
だからこそ、一世一代の賭けに出た。そして、その賭けに勝った。だがまだ安心とは言えなかった。だが
「大丈夫だ・・・未来はもう、動き出している」
迅はそう言うと、はるか遠くの未来を見据え、口ずさんだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は訓練生の扱いについての話がありましたが、原作開始時点でも結構訓練生の扱いが悪かったため、原作時点では更に悪いと推察。そして、オリ主がそれを見て改善を行うという流れにしました。
正直、トリガーについては説明機能ぐらいは付けるべきだと思います。修もB級に上がるまでロクにレイガストについて知らなかったので、相当問題だと思います。
木崎がスナイパーの指導をしていましたが、原作ではこの時点の木崎がスナイパーとしての技術を習得していたかは不明です。ですが、旧ボーダーメンバーだったことも加味して、アタッカーとガンナーの適性は高確率で身に着けていると思われます。今作では技術的なブレイクスルーによって、ボーダー創設時には狙撃用トリガーが既に存在するため、スナイパーとしての技術を身に着けたという設定です。
沙耶とゆかりがボーダー入隊することが確定し、ランク戦が始まるとチームを組む予定です。元々オリ主がチームを組むことは確定で、周りの人間をどうしようか考えた際、兄弟、親戚、オリキャラ、既存キャラと色々選択肢があったのですが、諸々の理由から兄弟にしました。
オリ主の迅への問い詰めに関しては、迅は原作でも色々と暗躍していたほか、大規模侵攻時に狙われることになる千佳を逃がすことはせず、大多数の人間を助けるために囮に、悪い言い方をすれば生贄にしています。これは当人も認識しており、侵攻後に謝っていました。
なので、オリ主の警戒はある意味当然であり、このせいで迅を信頼することは今後ないと思います。