ミデンを翔ける黒い鳥、ボーダーで何を成す?   作:AC6はいいぞ!!

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ep07_正規隊員

 

『さて、正規隊員になったはいいが・・・防衛任務もあんまりパッとしないな』

『第一次侵攻前まで行っていたトリオン兵の排除。それと大差ないですから』

『まあ、秘密裏に行動しなくていい分気が楽だし、トリガーを試すという意味ではありがたいな。今、正規隊員がほとんどいないせいでランク戦が機能していないから尚のことありがたい』

 

 

そんなことを考えつつ、ゲートから現れたモールモッド相手にジェットパックを使用して距離を詰め、爪による攻撃をジェットパックによる高速移動で避け、弧月で一刀両断する。

 

 

ジェットパック

各部位に設置されたスラスターからトリオンを噴射することで推進力を得るオプショントリガー。かなりトリオンを消費するが短時間の飛行が可能。

 

 

『ただ・・・"無限機関(インフィニティ)"があること前提で製造されたトリガーの技術を流用したためか、消費トリオンが半端ない。ほかの隊員のことを考えると、これ以外のトリガーで相手との距離を詰めるトリガーが欲しいな』

 

 

(後で開発部に行って、鬼怒田室長に相談しよう)

 

 

「おいおい、俺の出番がないな」

「そっちはそっちで勝手にトリオン兵を狩ってるだろ」

「まあ、この程度なら俺一人でも余裕だし」

 

 

今回、信二は太刀川と合同で防衛任務を行っていた。入隊式から数か月が経過し、段々と隊員に昇格する訓練生も増えてたが、まだチームを組めていない状態のため合同で防衛任務を行うことが多い。

 

 

「なあ、この後ランク戦しないか」

「別にいいが・・・お前、勉強はいいのか。また課題が遅れても知らないぞ」

「ハハ、安心しろ。今のところ課題はない」

 

 

信二はそう笑う太刀川を冷ややかな目で見ていた。というのも、先日課題が間に合わないと中学生1年生である信二に泣きついて来たのだ。仕方がないので課題を手伝ったのだが、それ以降アホ認定している。

 

 

(少しは勉強してくれよ)

 

 

学力を犠牲に強さを得た男の代償がこっちに来ることに信二はなんとも言えない思いを抱いた。

 

 

 

・・・・・・

 

 

「お前、そこまで強いんだったら少しは勉強のほうに力を入れろ!!」

「いや~、そうしたいのは山々なんだけど」

「嘘つけ、やりたくないって顔に書いてんぞ!!」

 

 

太刀川の二刀の剣撃を信二は右手の弧月とシールドで防ぐ。最初はギリギリ斬り合えていたのだが、あまりの剣筋に段々と防戦一方となる。

 

 

(二刀流ということもあって手数が多いのに、防戦になったとたんに反撃の隙すら無い)

 

 

致命的な一撃を大きく横にされることで回避する。そして反撃に移ろうとするが、その前に太刀川から追撃が入る。

 

 

防戦一方になったことでなんとか致命傷は避けることができているが、段々と切り傷が増えていき

 

 

「畜生」

 

 

一瞬隙を見せたところをすかさず旋空弧月で袈裟切りされ、トリオン供給期間を破損しベイルアウトする。受けに回って反撃を許してくれるほど、太刀川は甘くなかった。

 

 

郷田✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎

太刀川⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎

 

 

「全敗か。マジでチート過ぎて勝てないんだが」

 

 

(忍田本部長に指導してもらっているとはいえ、この強さはマジでシャレにならない)

 

 

圧倒的なチート性能に打ちひしがれる信二。

 

 

『いや、それお前が弧月で馬鹿正直に挑んできてるからだろ。ジェットパックも使ってないし』

 

 

ランク戦が終了後、太刀川から通信が入る。太刀川としては自身のことをチート扱いする信二に対し、お前も大概だろうと思っていた。

 

 

信二は太刀川相手に弾丸トリガーどころか、オプショントリガーも旋空、シールド以外使っていなかった。搦め手も使っていなかったため、敗北はある意味当然だったと言える。だが、信二はそのことをあまり気にしていなかった。

 

 

「それだと弧月の練習にならないだろ。それに本当の意味で全力でやった場合、上空から容赦なく弾幕が降り注ぐことになるが」

『それは勘弁だな。グラスホッパーでもどうにもできないし』

「だろうな。俺としてもそれだと練習にならない。だからこうして弧月で挑んでいるわけだ」

『ジェットパックはあった方がいいんじゃないか?あれがあるだけで動きのキレが増すだろ』

 

 

ジェットパックは各所にスラスターがついているため、使い方を工夫すれば剣の振りを早くしたり回避不可な姿勢での回避も可能になる。太刀川の言う通り、ジェットパックがあればかなりいい勝負になるのだが

 

 

『ただでさえ俺は1つ1つのトリガーに賭ける練習量が足りてないのに、それに頼りっきりなのもどうかと思うからパスで』

「器用なんちゃらってやつだな」

「器用貧乏な。マスタークラスには及ばないという意味では中途半端なのは間違いないな」

 

 

(それに実戦経験が足りてないせいで動きに硬いところがある)

 

 

剣の腕は悪くないと信二は自覚しているが、同時にそれだけで戦っていけるほどの腕がないことも自覚していた。これは太刀川以外に小南からも指摘されており、自身の更なる成長のためにも縛りを設けて訓練している。

 

 

『ただまあ、あまり上達は見られないな。前よりかはマシだが』

「わかっていたことだが、やっぱ全然上達しないな」

 

 

信二はかなり器用貧乏である程度の技量までは簡単に上達するのだが、それ以降となると成長率がかなり落ちる。むろん、成長しないわけではないが、常人と比べてかなり遅くなる。

 

 

(きっかけを掴みやすく、努力が無駄になりにくいのはいいが、その代償が成長の鈍化なのはいただけないな。トリオン保有量の恩恵で結構誤魔化しは効いているが、マジでどうにかできないものか)

 

 

訓練の効率を上げる、基礎を徹底的に磨くなど対策は取っているが、それでもなかなか上手くいかないことに思うところはあった。だが、それでもやらなければ成長しないと信二は考えていた。そのため、いずれは大きく飛躍できると信じており、全然成長しないことに挫折し、立ち止まる気は信二にはなかった。

 

 

「緩やかだが成長はしている。いずれはお前を超えるかもしれないぞ?」

「ハハッ、やれるもんならやってみろ」

 

 

この後、50試合ほど行ったが3勝を勝ち取るのがやっとで、完膚なきまでに信二は太刀川相手にボコボコにされた。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

ランク戦をやったあと、ラウンジで休憩しつつ世間話をする。内容は最近の訓練生のランク戦について。

 

 

太刀川の聞いた話では、最初の入隊式後の講習会が終わった後、訓練生たちの動きが良くなったという。なお、それでも太刀川は普通に強く、余裕で勝っていた。

 

 

(やはり講習会を開いたのは正解だった。ほかの面々からも訓練生たちの動きが格段と良くなり、説明機能を追加してからは更によくなったという話だ。スナイパーに関してはエアに任せたが、こちらも評判が良かった)

 

 

それと練習モードが追加されたことによって、全体的にレベルが上がったせいでポイントを稼ぐのが大変だって愚痴っている訓練生がいたという。

 

 

(訓練モードで全体のポイントを増やしたが、それでもまだ足りないどころか熾烈な奪い合いにまで発展したか。どうしたものか)

 

 

「スナイパーって、どうやって昇格するんだっけ?」

「3週連続でスナイパー専用試験で、一定以上の成績を残すこと。ある程度数が増えたら"合同訓練で3週連続で上位15%以内の成績"に条件を変えるらしい」

 

 

今はエアがスナイパーの試験の補助を行っているが、負担が大きいからエアがいなくても試験できるようにしたいと上層部は考えているようだ。

 

 

「それと相手との距離を詰める手段として、空いているトリガーの枠にジェットパックを入れたいんだが」

「いや無理だろ」

 

 

距離を詰める手段としてジェットパックが欲しいと言うが、ジェットパックはトリオン消費が激しく、局所的に使うとしても扱いが相当難しい。

 

 

(口頭で言っても納得しないだろうな。ということで)

 

 

「一度訓練所でトリガーを試してみるか」

「訓練所って、そんなことできるのか?」

 

 

太刀川が驚いているが、少し前から訓練所で色んなトリガーのお試しができるようになってた。訓練生は攻撃用トリガーのみだが、隊員はオプショントリガーも試せる。

 

 

(ジェットパックが使えるかは実際に見て判断するとして、オプション以外にも色々なトリガーを試めさせてみるか)

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

あの後、訓練室で太刀川に色々なトリガーを試させたが、良さそうなトリガーがなかった。

 

 

(弾丸トリガーを始め、カメレオン、エスクードなどを試させたがどれもダメ。ブースターはワンチャン可能性があったが、トリオン消費が激しいし扱いが難しいからダメ。ジェットパックは使った瞬間地面とキスする羽目になった・・・これなら付けない方が良さそうだな)

 

 

案の定というべきか、ジェットパックに対して適性がなかった。いや、練習すれば使えるようになるかもしれないが、弧月二刀流とジェットパックを併用するとなるとトリガーの切り替えを頻繁に行う必要があり、下手に手を出すと感覚が狂って取り返しのつかないことになる可能性があると信二は判断して諦めた。

 

 

アタッカーなら相手との距離を詰める手段があった方がいいと思ったが、良さそうなトリガーがない。ボーダーのトリガー技術はブランチからの技術提供により飛躍的に向上したが、補填できていない部分が多いことが否めなかった。

 

 

結局、トリガーのセットを

 

メイン:弧月、旋空、シールド、(空き)

サブ :弧月、旋空、シールド、バックワーム

 

にすることに決定した。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「最近、頑張っているようだね」

「まあな、4月に新しく訓練生を追加するし、それまでに基盤を整えておきたいんだ。訓練生のトリガー講習もそうだが、隊員になってもロクなトリガーがありませんでしたじゃ話にならない」

 

 

クローニンと共に新しいトリガーの開発を行っている。

 

 

瞬間的に距離を詰めたいのならテレポートするトリガーがいいと考えていたのだが、既に開発部で研究中とのことなので次点で考えていた空中での機動力を確保するためにジャンプ台のようなトリガーの開発を行うと決まり、開発のための予算の確保して開発を行っていた。

 

 

クローニンとは前々から色々なトリガーの開発について意見交換を行っている。開発部でもトリガーの開発を進めさせているが、むこうも手一杯のため、クローニンに頼むことも少なくない。

 

 

「最近では桐絵嬢も訓練に熱心になったね」

「まあ、模擬戦では小南のほうが勝ち越しているが、中距離戦を挑まれたらほとんどの場合、接近されずに負けている。小南としては、それが不満なんだろう」

 

 

信二は模擬戦で弧月の技術向上のために近距離戦を挑むことが多いため、負け越すことが多い。ただ、小南としては頭ではわかっているが手加減されていると感じており、それに満足せず中距離戦を挑まれても勝てるよう弾丸トリガーの練習をしている。

 

 

(弾丸トリガーを使いだすようになったら相当厄介ではあるが、それだけでやられてやる気はない)

 

 

信二としては、弾丸トリガーを使いだしても牽制がメイン。弾丸トリガーをメインに据えるほどの技量だったとしても対処できると考えていたため、焦りは感じてなかった。

 

 

「空中への相手か。トリオン兵で空を飛ぶ奴がいるけど、君らのように空中を高速で自由自在に飛ぶ敵を相手にできるかな?」

「無理だろな。空中でジャンプできる程度でどうにかなるとでも?」

 

 

至近距離ならともかく、それ以上となると機動力の差で負ける。それに空中ジャンプできるとしても機動性には限界がある。

 

 

スナイパーによる狙撃も手だが高速で動いている場合は避けられる可能性が高い。有効な手としては複数人でバラけた位置から弾幕を展開だと信二は思った。もっとも、人数差があることが前提の作戦のため、前提が崩れると対抗できなくなるという欠点も抱えている。

 

 

「イーグレットもいいトリガーなんだけど、やはり状況に合わせたトリガーが必要か」

「軽量級と重量級、最低でもこの2つは欲しいな。ゴーストも妨害としては優秀だが、シールドと干渉しない代わりにトリオン体に対して衝撃波を与えるぐらいしかできない」

「まあ、妨害特化のトリガーだから。ブランチからの技術提供と聞いていたんだけど、どうやって使ってたの?」

 

 

ゴースト

シールドに干渉しない弾丸を発射する狙撃用トリガー。シールドに干渉しない点はとても優秀だが、欠点としてトリオン体を破壊できない。ただ、対象に当たると衝撃波を発生させ、一時的にスタンを取ることができるため、妨害としてはかなり優秀である。

 

 

ブランチで使用されていたとある特殊弾の技術転用したもので、本家では着弾と同時に半径数メートルに強力な衝撃波を発生させていた。こちらもシールドに干渉しない。

 

 

「膨大なトリオンがあること前提の武器だね。消費トリオンが半端ないでしょ」

「それを言ったらブランチのトリガーはだいたいそうだ。トリオン兵もマザートリガーからトリオンを供給することでトリガーを武装として運用することが可能にした」

 

 

そもそもの話、ボーダーとブランチでは前提が違う。そのため、前提の異なるトリガー技術を転用するのに開発部も苦労している。

 

 

「迅も最近、ランク戦に参加しているみたいで太刀川とよく戦っているね。今は互角だけど、このままじゃ劣勢になるって言ってたな。最近じゃ、アタッカー用の軽量級トリガーも考えているらしいよ」

「太刀川が昇格してからそんなに経ってないのに、もうアタッカーのランク2だからな」

 

 

ちなみに小南はあまりランク戦に参加していないため順位は下だった。信二は結構参加しているが、太刀川に結構ボコボコにされているため、普通に更に順位は低かった。

 

 

(アタッカー用の軽量級トリガーならサーベルがあるが、あれはトリオン消費が激しいからな・・・そのせいで使っている隊員がバスター同様いない状態だ)

 

 

また、サーベルは汎用性の面から見てもかなり劣る。訓練生の中に使用している人もいたが、サーベルの仕様に気づくと全員が弧月に乗り換えた。バスターも同様だ。

 

 

(まあ、トリガーが増えるのはこちらとしてもありがたい。増えれば増えるほど、ブランチでも流用することができる)

 

 

ブランチでもボーダーの開発した技術が一部流れてきており、出力はともかく、燃費に関しては優秀なため、既存のトリガーの一部の効率化を図ることに成功している。今後も、この流れは加速していくと信二は考えていた。

 

 

後日、クローニンと開発したトリガーは"グラスホッパー"としてオプショントリガーに追加され、一部の隊員たちに使用されることになった。

 





最後までお読みいただき、ありがとうございました。


今回はオリ主の弱点にも触れており、万能的な能力を得やすいですが、その代わりに一定以上の技量を得ると成長率が常人以下になります。例を上げると、弧月のポイント5000になるまで常人の数倍のバフがかかり、5000を超えると逆にデバフがかかると言った感じです。


利点と欠点が大きい特性ですが、特殊な技能・能力を掴むきっかけを得やすく、数年かけて会得した技能・能力もあるため、良くも悪くもオリ主の強さの根幹を担っています。


今回はオリジナルのオプショントリガーが出たほか、ブランチの技術を流用したことで原作よりだいぶ早いですがカメレオンも開発されています。また、グラスホッパーに関しては明言されていないのですが、今回は距離を詰める手段が欲しいと考えたオリ主とクローニンによる共同開発という形にしました。


今回登場したトリガーの詳細は以下の通りです。


ジェットパック:各部位に設置されたスラスターからトリオンを噴射することで推進力を得るオプショントリガー。
→詳細:任意に設置した各部位からトリオンを噴出し、飛行できるほか、手のひらに付けることで相手を吹き飛ばしたり、前方に噴射することで疑似的な防御膜を展開することができる。汎用性に優れているが、その分トリオンの消費が激しく、飛行するためには姿勢制御が必要でセンスとかなりの練習が必要になる。


ブースト:トリオン体やトリガーを一時的に強化することができるトリガー。
→詳細:劣化版ガイストと言えるトリガーで任意にオンオフが可能なほか、ほかトリガーの強化が可能。トリオンの消費が激しく、使用時はセットしている側のトリガーが使えないため、扱いが難しい。


ゴースト:シールドに干渉しない弾丸を発射する狙撃用トリガー。
→詳細:シールドに干渉しない点はとても優秀だが、欠点としてトリオン体を破壊できない。対象に当たると衝撃波を発生させ、一時的にスタンを取ることができるため、イーグレットによる狙撃だと考えてシールドを張った相手の裏をかくことで隙を作り、味方にトドメを刺してもらう使い方などがある。
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