ミデンを翔ける黒い鳥、ボーダーで何を成す? 作:AC6はいいぞ!!
4月になり、2回目の入隊式が行われた。
元々はもう少し先に入隊式を行う予定とのことだったのだが、信二たちが行った講習会やトリガーの説明機能追加などのおかげで訓練生たちの練度が向上し、ポイントの奪い合いが加速した結果、一種の硬直状態に陥ってしまったとのこと。全体的なポイントの補充も兼ねて前倒しで行ったらしい。
『エア、よくこんなに集まったな。100人ぐらいはいるんじゃないか?』
『1月に行われた記者会見での印象が良かったことや、レイヴンがボーダーと協力関係を構築した話が広まり、人々のボーダーの印象が格段と良くなったおかげです』
一時はデマだという噂が流れたが、ブランチの保有していたトリオン兵がボーダー隊員と共に市民を助けたという事実が広まった結果、噂は瞬く間に払しょくされた。
『ネイバーのトリオン兵は受け入れられないのに、"ヴァンガード"は受け入れられるんだな』
『ヴァンガードは第一次侵攻時に大量に投入され、多くの人々を救ったトリオン兵です。彼らからしてみれば、トリオン兵というよりロボット兵だという認識なのでしょう。見た目は完全にロボットですから』
上層部もネイバーのトリオン兵とは別物として認識させるように印象操作をしていた。トリオンについて知らない人々からしてみれば、まったくの別物なのだろうと信二は改めて認識した。
『沙耶とゆかりは・・・むこうにいるな。沙耶は相変わらず元気で、ゆかりは大人しいな』
『ポイントもそれぞれ3800、本日中には隊員に昇格するでしょうね』
現在、ボーダーにいる隊員は23人。訓練生から昇格したのが10人前後のため、今後のことを考えるともっと訓練生を増やし、じゃんじゃん昇格させていく必要がある。
『特に林藤支部長の言っていたチームランク戦を行うためには、防衛任務のことも考えて100人以上は欲しい。この調子だと1年ぐらいで始動できそうか?』
『おそらく、それぐらいで100人は超えるかと』
(チームを組むのなら、沙耶とゆかり、オペレーターにエアか。エアに関してはすでにオペレーターとして配属されてるが、隊員として昇格させてオペ抜きで戦闘員を増やすのも面白そうだな)
チーム戦について考えていると、入隊式が終わり訓練室に移動することになり、信二は後についていく。その後、訓練生たちが順番に試験用のバムスターと戦っていき、沙耶の出番となった。
『使っているトリガーはバスター。まあ、なんというか・・・沙耶らしいな』
『段々とおかしな方向に進んでいる気がするのですが』
(思うところはあるが、常識をわきまえているから大丈夫)
訓練が開始すると同時に跳躍し、爆音とともにバムスターの頭を粉砕した。あまりにもショッキングな状況に周りがドン引きしている。
『うん・・・大丈夫だ。たぶん』
『強引に納得しようとしないでください』
沙耶の次にゆかりが呼ばれた。ゆかりのトリガーはバイパー。訓練が開始すると同時に軌道を描き、バムスターのコアを貫いた。
『こっちは相変わらずの展開速度の速さ』
『軌道も毎回精確に引けます』
(ここまで実力を見せれば、今日中に昇格しても周りは文句を言わないだろう)
・・・・・・
その後、ランク戦を始めて1時間もしないうちに沙耶とゆかりは昇格した。
周りの訓練生も今日中に上がるとは思っておらず、だいぶ驚いている。ただ、見に来た隊員のほとんどは事情を知っているためあまり驚いていない。
「お兄ちゃん、昇格したよ」
「これで一緒に防衛任務できる」
「そうだな。あ、これ2人のトリガーな」
そう言うと信二は沙耶とゆかりにトリガーを渡した。今日中に昇格することが分かっていた鬼怒田室長がわざわざ信二に渡していた。鬼怒田室長曰く「面倒な手間を省いた」だそうだ。
「こいつらがお前の妹なのか」
「そうだが・・・ナンパならよそでやれ」
「んなわけないだろ、ランク戦しないか?」
「ナンパより質が悪いぞ」
太刀川の誘いに若干ドン引きしていた信二だったが、沙耶とゆかりもやる気のようで太刀川とのランク戦を受け入れた。
(さて、太刀川はグラスホッパーを入れたって話だし、空中にいる相手にどこまでやれるのか確認するか)
近接戦なら太刀川のほうが強いだろうが、中距離以降となると話は変わる。距離を話すためには上空に逃げるのが一番だが、太刀川にはグラスホッパーがあるため、場合によっては距離を詰められやられる。
そんな感じに信二は能天気に考えていたのだが、大戦の結果を見て信二は唖然とした表情を隠すことができなかった。
・・・・・・
「ハハハ、まさか手も足も出ないとは」
「いや~・・・マジか。もう少しやれると思ってたが・・・よくよく考えてみれば、空中戦はあまり経験がなかったな」
「どっかの誰かが全然してくれないからな」
ランク戦後、信二は沙耶とゆかりと別れて太刀川とラウンジで反省会をしている。
(成長を促すという意味でも立ちはだかる壁となって欲しかったんだがな)
信二としては、まさかあそこまでアッサリ負けるとは思っておらず、逆に太刀川があそこまでボコボコにされたことのほうが問題だと感じていた。
「すまないが、今いいか?」
「あんたは?」
「風間さんじゃないか、どうしたんだ?」
風間 蒼也。
少し前にアタッカーとして昇格した隊員で主にスコーピオンを使っている。カメレオンを使った戦法が得意。太刀川とは接点があるが、信二とは接点がない。そのため、何の用かと信二は思ったが、先ほどの模擬戦について聞きたいことがあるらしい。
「ちょっと聞きたいことがあってな。今かまわないか?」
「別に問題ないけど、何を聞きたいんだ?」
「お前の妹たちは何かサイドエフェクトを持っているのか?」
「・・・どうしてそう思った?」
信二はサイドエフェクトのことを聞かれたのもそうだが、先ほどのランク戦でサイドエフェクトの有無に気づいたことに違和感を感じていた。
(弾丸の大きさからトリオン保有量の多さに気づいたとしても、普通持っているとは思わない。まあ、持ってはいるんだが)
サイドエフェクトは希少性が高く、トリオン保有量が多いからと言って持っているとは限らない。だからこそ、信二はなぜ持っていると疑ったのか疑問を感じていた。
「年齢の割に戦闘慣れしているようだが、それでもあまりにも対処が早いと思ってな。もしかしたらと思って聞いてみたんだが、気を悪くしたのならすまない」
「それなら本人たちに聞いたらいいんじゃ」
「その本人たちがお前に聞けって言ってきたんだ。お前が教えるなら問題ないって」
(いや丸投げかよ。しかも俺に聞けと言った時点で持っていると言ってるようなもんじゃないか)
その言葉を聞いて唖然としたが、サイドエフェクトについてはバレても問題はなかった。能力的に隠し通すのは難しいし、隠す意味も薄いためだ。なので、信二は素直に教えることにした。
「持っている。沙耶のほうが"即応"、ゆかりのほうが"予測"のサイドエフェクトを持っている」
「へぇ~、サイドエフェクトを持っていたのか」
即応は認識してから適切な行動を起こすまでのタイムラグがほぼ0になるサイドエフェクトで、予測はどのぐらいの確立で認識した自称が起こるのか高い精度で知ることができるサイドエフェクトだ。
最初の試合、2人ともグラスホッパーで上空に飛び、ジェットパックで滑空した後、メテオラで太刀川の周囲ごと爆撃を行った。ただ、太刀川もその程度でやられるほど甘くなく、隙を見て太刀川がグラスホッパーを使って距離を詰められた。近接戦になれば太刀川優勢となるはずだった。
だが、沙耶は太刀川の攻撃に対してジェットパックによる姿勢制御を行い、攻撃をかわした後右手に装着したバスターによるカウンターでシールドもろとも太刀川を粉砕した。さすがの太刀川も空中では反撃に対応できなかった。
ゆかりはあらかじめ接近することを予知し、相手の接近に合わせてテレポータで入れ違いを狙い、地上からそのまま弾幕を形成してシールドを削り切って勝利した。
その後、4戦ずつ試合を行ったが、上空に逃げられた後の対処が難しく、太刀川は白星を挙げることができなかった。
「予測か・・・迅の未来視みたいなもんか?」
「似ているがだいぶ違う。未来視の場合、Aという行動の後にBという行動が起こることを知ることができるが、予測の場合、大前提としてBという行動が起こる可能性を知っていないといけない。ようするに"次はこうなるかもしれない"と頭に入れておかないといけないんだ。迅のように知ってないことを知ることはできない」
(むしろ、そう考えると迅の未来視のほうが異常ともいえる)
「可能性ってことは、外れることもあるんだよな」
「まあな。ただ、ゆかりの能力が高いこともあって、そう簡単には外れない」
「お前の妹たちがサイドエフェクトを持ってるってことは・・・お前も持ってるんじゃないのか」
そう質問を投げかけてくる風間に対して、信二は笑顔で答えた。
「持っているが、教えない」
「おいおい、教えてくれないのかよ」
「ああ、そもそもの話。かなり厄介なサイドエフェクトで周りの人間に知られたくないし、ボーダーに入隊してから1度も使ったことはない。というか、使ったら色んな意味で被害がデカすぎる」
「それ、本当にサイドエフェクトか?」
風間が怪しそうに聞いてくるが、信二自身も同じことを言われたら疑っていただろう。実際、訓練で使ったことがあるが制御が難しく、暴走して色々な意味でかなりの被害を出した。
これ以上触れてはいけないと感じ取ったのか、太刀川が無理やり話題を変えた。
「そんなことよりも、今度チームを組むって?」
「ああ、沙耶はゆかりとチームを組む気だ。オペレーターも既に決めてある」
チームの話は前々から上層部と話していたし、沙耶はゆかりからもねだれていた。過剰戦力と思わなくはないが、誰とチームを組むかは隊員の自由、違反ではないため気にしないことにした。
「ほかの隊員たちもチームについて考えているが、まだ隊員の数が足りてないせいでなかなか作れずにいるようだ」
現時点でチームを結成で来ているのは玉狛(木崎隊)と嵐山隊のみ。やはり、隊員の少なさが足かせとなっているようだ。
「今回、隊員が多く入ったし、昇格するための道筋もある程度できている。既存の隊員に良さそうなのがいなければ、訓練生に目を付けて育てるのもアリだ。オペレーターさえ確保しておけば、訓練生を指導して、素早く昇格させることもできるし、自分のチームに合わせた戦い方に慣れさせることができる」
太刀川も風間も、お目にかかる隊員がいないためか、単独で防衛任務を行っている。オペレーターに関しても同様で現在ボーダー本部で育成中とのことだが、少しずつオペレーターも誕生している。
今年は6月、9月、11月にも入隊式を行うため、訓練生の確保は難しくないだろう。
太刀川はやる気だが、風間はしばらくは個人ランク戦に専念するとのこと。どうも、自分の考えている戦術を行うための人材をじっくりと探すらしい。チーム戦にはしばらく参戦しなさそうだと信二は思った。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は沙耶とゆかりが入隊し、入隊早々に隊員に昇格しています。半年以上前から玉狛でボーダーのトリガーで訓練しており、小南や木崎、迅とも戦っていたためある意味当然だと思います。
沙耶がバスターを使っていますが、バスター自体、沙耶が使っているブランチのトリガーを参考に作成されているため、本人曰く肌になじむそうです。
ブランチのトリオン兵の名前として"ヴァンガード"は見た目は完全にACのトリオン兵で、第一次侵攻時に市民を助けていたため、広く認知されています。見た目やボーダーの印象操作も相まって、完全にネイバーのトリオン兵とは別物と考えられており、一説には宇宙から来た存在が生み出したロボットとも言われています。
オリ主を筆頭に兄弟全員がサイドエフェクトを持っており、原作でも稀なサイドエフェクトを身内が持っているのはどうかと思われますが、全員がサイドエフェクトを持っているのには理由があり、話が進んでいけば語られると思います。
オリ主のサイドエフェクトの詳細はすでに考えており、一言で言えば超ハイリスク超ハイリターンの「超感覚」に分類されるサイドエフェクトです。こちらは後の話で発揮される予定です。
BFFに入隊時期とかについてある程度かかれているため参考にしていますが、一部しか書かれてないため、だれがいつ入隊したのか調べるのが大変です・・・なお、オリ主が色々と介入しているため、結構入隊時期が早まる隊員が出てくると思います。