ミデンを翔ける黒い鳥、ボーダーで何を成す?   作:AC6はいいぞ!!

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今回は原作にはないオリジナル展開です。


ep09_小規模侵攻

 

 

6月の入隊式から1ヶ月が経過したころ、信二は突然上層部に呼ばれた。

 

 

(いつもなら事前に連絡があるのに)

 

 

そんなことを考えつつ部屋に入ると、上層部メンバーが勢ぞろいしていた。

 

 

「揃ったな。では始めよう」

 

 

そう言っていきなり始まった会議。なぜ呼ばれたのか信二が確認したところ、近いうちに小規模ながら侵攻がある可能性があると迅から報告があったという話だった。

 

 

「侵攻の規模は?」

「第一次侵攻よりもかなり少ない。だが、トリオン兵とは別にトリガー使いも参戦する未来が見えたそうだ」

 

 

第一次侵攻ではトリオン兵のみだったため、対処は容易だった。

 

 

今回の侵攻はトリオン兵の数が少ないそうだが、トリガー使いが加わるとなると話が変わる。人数は少ないのは遠征船の収容人数の観点から見てほぼ確定だが、強さに関しては未知数のため、場合によっては市民にまで被害が出る可能性があった。

 

 

(トリガー使いの強さ次第ではボーダーで対処することができない。だが、その前に)

 

 

「奴らの目的は?市民の拉致か?」

「それなんだけど、どうも違うみたいなんだ。市民を見て回ったけど拉致される未来はない」

「なら訓練生はどうだ?」

「訓練生もない」

 

 

(そうなると、敵の目的がなにかわからない。なにが目的なんだ)

 

 

隊員はベイルアウトがあるため、拉致はほぼ不可能。そのため、信二は相手の目的がわからなかった。

 

 

「目的は君らだよ。正確にはブランチの保有しているトリオン兵」

「ヴァンガード。だが、そこまでして手に入れる価値があるのか?」

「ある。大ありだよ」

 

 

そう言うと、迅はほかのトリオン兵と比べてヴァンガードの優れている点を挙げて行った。

 

 

ヴァンガード

ブランチの保有するトリオン兵。集団戦を得意とし、様々な武装(トリガー)を換装することで遠中近すべての距離に対応でき、短時間の飛行能力を保有していることからネイバーフッドの国家の中でも破格の性能をしている。

 

 

戦闘力を維持するためには異空間からマザートリガーによるトリオンの供給が必要であるため、鹵獲したところでまともに使うことはできない。だが、使用されている技術などはほかの国家からしてみれば宝の山。

 

 

「それに小型のトリオンタンクも備え付けてあるからマザートリガーに接続してなくても短時間は稼働させることができる。彼らからしてみれば、是が非でも鹵獲したいんだろう」

「はた迷惑だな・・・ボーダーの対処はどうするんだ?」

 

 

ボーダーはミデンを守る存在だ。だが、まだ生まれたばかりで多少大目にトリオン兵をあてがっておけば簡単に対処できる。そう思われていると迅は言った。

 

 

「完全に舐められているな」

「相手の狙いを外すためにブランチは一切参加せず、俺らだけで対処する必要がある」

「俺、レイヴンなんだが?」

「郷田信二はボーダーの隊員だからセーフだよ」

 

 

(いやその理屈でいいのかよ)

 

 

そんなことを考えていたが、信二としては特に問題ないと判断し、ボーダー側として参加することになった。

 

 

トリガー使いと戦うのは迅、小南、木崎、信二、沙耶、ゆかり。他にも実力のある隊員はいるが、今回はトリオン兵のほうに当たらせるらしい。

 

 

「トリガー使いは全部で6人。ブラックトリガー持ちはいないが、実力者ぞろいだ」

 

 

(それならたぶん、問題なく対処できるだろう)

 

 

現在の隊員数は33人。トリガー使いに6人対応するとして残りは24。いや、20人ほどと考えるべきか。トリオン兵の数は数百ほどだから完全に数の差で圧倒されているが、戦術面に長けた東が前線で指揮をとれば、対処も難しくない。エアのサポートがあればなおのこと問題ないだろう。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

『時間です。各員、準備してください』

 

 

信二たちは今、ボーダー基地内に待機している。

 

 

初手は相手に警戒されないために、ボーダー基地内に待機し、攻撃したと同時に持ち場に向かい、対処する。襲撃と同時にヴァンガードは撤収するため、配置につくまでに隙ができるが、ヴァンガードを基地周辺に集中させることで、ヴァンガードを狙ってくる敵を基地の防衛設備で対処する。

 

 

(防衛施設に関しても全然足りてない。最低でも立ち入り禁止区域には防衛設備は欲しい。はあ~・・・マジでないものだらけだな)

 

 

『ゲート出現。作戦を開始します』

 

 

大量のゲートが現れ、作戦が開始される。ゲートからは大量のトリオン兵が出現し、その中からトリガー使いも現れる。

 

 

(トリガー使い達が現れた個所は4箇所。その中で単独で行動している奴を速攻で落とす)

 

 

ほかの支援に回ることも考え、負傷は最低限、トリオン消費度外視のトリガー構成を組んできた信二はジェットパックで飛翔し、トリガー使いの元に向かった。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

「さて、俺の相手はお前か」

「あんたは?」

「俺か?俺はボーダーの隊員。そちらにわかるように言うのであれば、ミデンを守護する組織の人間だ。悪いんだが、ここでやられてくれ」

「ミデンの野蛮人が」

 

 

転送された先には侵攻してきた国のトリガー使いがいた。どうやら、分散してヴァンガードを各個撃破しようとしていたが、直前にヴァンガードが撤収し、代わりに信二が現れたため苛立っていた。

 

 

「悪いんだが、あまり時間をかけたくないんでな。さっさと決めさせてもらう」

 

 

信二はそう言うと、奇襲でアステロイドのフルアタックを放った。信二のトリオン保有量は28。圧倒的なトリオンから作られるアステロイドは巨大で、即座に218分割して弾幕を展開した。

 

 

あまりの弾幕にトリガー使いは慌てて建物の陰に隠れるが、バイパーを駆使して物陰にいるトリガー使いを狙う。トリガー使いも警戒していたためギリギリで回避したが、まさか弾道が曲がる弾を撃ってくるとは思っていなかったようで悪態をつく。

 

 

「クソ、デタラメすぎるだろ」

「トマホーク」

 

 

悪態をついて建物の陰に隠れながら逃げるトリガー使いに対し、ほぼノータイムで生成したトマホークで軌道を変化させて爆破をお見舞いする。普通ならこれで終わりなのだが、トリガー使いは無傷。盾を構え、トマホークの爆破を防いでいた。

 

 

「なるほど、それがお前のトリガーか。盾のトリガーとは面白いな。右手に小太刀を持っているが・・・なるほど、相手のトリオンによる攻撃を吸収して、小太刀にトリオンを集めることで強力な攻撃を放つカウンター型か」

「?!!」

 

 

自身のトリガーの能力を呆気なく暴かれて驚くトリガー使い。

 

 

アニメとかでありそうな能力だったことや、エアの解析によって判明した能力を相手の反応を見るためにも正直に話した信二だったが、予測が正しいことがわかり、勝利を確信した。

 

 

遠距離攻撃を行う可能性があるが、それにさえ気を付ければ負けはないと信二は思っていた。また、先程の攻撃で盾が大きく破損しており、これ以上吸収されることがないのも大きな要因だった。

 

 

(今まで盾を出さなかったのは、至近距離まで詰めて、俺がカウンターを決めようとしたところをカウンターで倒すつもりだったからか)

 

 

アステロイドで正面から弾幕展開しつつ、遮蔽物で軌道を隠すようにバイパーを放つ。相手は必死に建物の陰に隠れることで射線を切り、信二から距離を取る。

 

 

(撤退する気のようだが、それを許す気はない)

 

 

「トマホーク」

 

 

逃走経路にトマホークを発射し、障害物となる建物を崩壊させ、射線を通せるようにした。これで建物の陰に隠れながらの撤退は不可能となった。

 

 

「クソ!!」

 

 

トリガー使いは撤退が不可だと判断すると、建物を盾にこちらに向かってきた。判断としては悪くないと信二は思ったが

 

 

(それは予測できている)

 

 

今度は逆に信二が物陰で射線を切りつつ後退する。その際、メテオラやバイパーを駆使して牽制を行い、相手に距離を詰めさせないようにする。

 

 

だが壊れているとはいえ盾としての頑丈さは持っており、盾が身代わりとなり弾幕を防ぎつつ接近する。あと少しで間合いに入る。トリガー使いがそう思った瞬間、地面が爆発し、トリオン体が破壊された。

 

 

「一体何が」

「地雷だ。射線を切ったと同時に撒いておいた。視界を遮られたせいで気づかなかっただろ」

 

 

信二は間合いに入られる少し前に、射線を切った際マインを逃げ道に設置していた。信二としては、直線上に追ってこれなくするための妨害手段と考えていたのだが、これが見事に刺さった。

 

 

(冷静に周りを見渡せば気づけただろうが、焦って見逃したのが敗因だな)

 

 

そんなことを考えつつ、信二はトリガー使いを拘束しようと近づこうとした瞬間、どこかから現れた狼のようなトリオン兵を砲撃を避けた。

 

 

(こいつ、いつからいたんだ)

 

 

信二は即座にトリオン兵の排除に動くが、対処している隙に別のところから現れた同型のトリオン兵にトリガー使いがまたがり、そのままゲートに逃走した。

 

 

『エア、すまない。逃げられた』

『こちらでも確認しました。どうやら、トリオン反応がないことからステルス型。トリガー使いの回収に特化したトリオン兵のようです。ほかの地区でも同様のトリオン兵が出現し、トリガー使い達に逃げられました』

 

 

どうやら、万が一の場合の撤退用のトリオン兵のようだ。ただ、このトリオン兵について、迅からなにも言われていない。

 

 

(報告しなかったってことは、最初から逃がすつもりだった?)

 

 

信二は後で迅を問い詰めることを決意した。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

「ふざけんな!!ミデンのトリガー使いは雑魚じゃなかったのかよ!!」

「口を動かしてないで何とかしろ!!」

 

 

別の場所では沙耶と木崎が連携してトリガー使い2人相手に戦っていた。

 

 

トリガー使いたちはトリオン兵を前衛として展開し、遠距離から弾丸を放つことで削り切ろうとするが、それを沙耶が許さない。

 

 

「モールモッドが盾にすらなってないんだが」

「しかも後方にいる男の攻撃がウザい。先にあっちを始末するか?」

「馬鹿言え!!そんなことしたら脳筋女に一気に詰め寄られるぞ」

 

 

沙耶はシールドを展開し、ジェットパックで推進力を得てトリガー使い達に攻寄る。

 

 

トリガー使い達も弾幕で応戦するが、シールドが弾丸を防ぐ。そのままトリガー使いたちに詰め寄れると思ったところをモールモッドに妨害され、思うように近寄れない。ただ、トリオン兵をバスターで殴り飛ばし、段々と減らしていた。このままいけば相手のほうが先に根負けすると感じていたため焦りはなかった。

 

 

「このままじゃトリオン兵を消費するだけだ。一度撤退するぞ」

 

 

トリガー使いの1人がトリオン兵の減り具合から焦り、仕切り直すために後退した瞬間を沙耶は見逃さなかった。テレポートを使用して撤退しようとしたトリガー使いに詰め寄る。トリガー使いも接近に気付き、シールドを展開して対処するが、オプショントリガーの"覇撃"を使用し、相手のシールドごとトリガー使いを粉砕する。

 

 

「?!!、クソ!!」

 

 

もう1人のトリガー使いが慌てて弾幕を展開しようとするが、木崎が隙を見逃さずにアステロイドで撃ち抜き、トリオン体を破壊する。

 

 

「これで良し、捕縛を・・・?!!」

 

 

唖然とした表情のトリガー使い達を捕縛するために沙耶が近づいた瞬間、沙耶と木崎は遠方からトリオン兵に狙撃され、トリガー使いたちが隙を見て別のところから現れたトリオン兵に乗って離脱する。

 

 

「ああもう、何なのよ!!」

「今確認したところ、トリガー使いの逃走を支援するトリオン兵のようだ。ほかの場所でもトリガー使いに逃げられている」

「お兄ちゃんのところも?もしかしてゆかりも?」

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

「もう、逃げられたじゃない」

「桐絵姉ちゃん、ごめんなさい」

「ゆかりのせいじゃないわよ、気にしないで」

 

 

小南とゆかりもトリガー使いを倒したが、こちらも同様に逃走されてしまった。

 

 

「絶対迅のやつ、知ってたわね」

「そうだと思います。逃がすことが目的だったと」

 

 

迅が黙っていたこと怒り心頭な小南に対して、ゆかりが冷静に答える。

 

 

残ったのは迅のいるところだが、何故かそちらから報告がなく、その後トリオン兵たちが撤収し、迅からの撤退宣言を受けて小規模侵攻が幕を下ろした。

 

 

 

 

・・・・・

 

 

 

 

「この裏切者、どう処分するか」

「落ち着いてよ。ちゃんと訳を話すから」

 

 

後日、今回の侵攻の件でトリガー使い達の逃走補助用のトリオン兵についての報告がなかったことに対して、上層部と共に迅を問い詰めていた。

 

 

「今回の件、相手を捕縛せずに帰ってもらう必要があったんですよ。向こうの国、"アルトロン"って言うんですけど、そこが今派閥争いの真っ最中で今回の件、自分たちの派閥を有利にするための侵攻だったんです」

「それなら、なおのこと捕縛して情報を聞き出した方が良かったのでは?」

「それが捕縛してしまうと他派閥もミデンを警戒して、更に戦力を送ってくる可能性があったんですよ。そうなるとただでは済まなくなる」

「だから、向こうのリーダーと話して穏便に帰ってもらったと?しかもヴァンガードについての情報も渡して」

 

 

迅は侵攻時、向こうのリーダーと戦っていたが、ほかのメンバーがやられると交渉に入り、ネイバーフッドの社会情勢の情報と引き換えに撤退の保証を行っていたほか、ヴァンガードの情報も渡していた。

 

 

ただ、その情報に間違ってはないが、正しくもない。不自然にならないよう重要な秘匿部分が意図的に省かれていた。特にマザートリガーとの接続について書かれておらず、トリオンタンクによる短時間の稼働についてのみ書かれていたため、この情報を受け取った敵は大いに性能を誤解するだろう。

 

 

また、情報を元にヴァンガードを再現しても、完全劣化版ができるのは目に見えていた。もっとも、それでも普通のトリオン兵より性能が高いため再現される可能性があり、完全劣化版ヴァンガードが攻めてくる可能性があるということに信二は苦笑いした。

 

 

「言いたいことはわかるが、ワシらに黙ってやることではないだろ」

「いくら何でも独断専行が過ぎますよ」

「ただ、結果としては悪くないか」

 

 

鬼怒田室長と根付室長は責め立てるが、信二は経緯を聞いて悪くないと思った。こちらの被害はほぼなく、それでいてネイバーフッドの情報を仕入れることができた。この情報を元に奪いに来る可能性も否定できないが、渡した情報からでもヴァンガードの性能の高さは容易に想像できるため、ボーダーへの対処も考えると迂闊に攻め入ることはしないだろうと信二は考えていた。

 

 

これはほかの国々も同様で、ミデンを侵攻するための情報を集めるためにアルトロンと取引を行い、情報を入手するだろう。そして、ヴァンガードの性能の高さから、ミデン侵攻が困難であるという結論に至る可能性は高いだろうと信二は思っていた。

 

 

 

「結果が良かろうと、独断専行であることには変わりない。わかっているな迅」

「ええ、いかなる処分も甘んじて受け入れます」

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

「随分と馬鹿をやったな。減俸処分だけで済んだのは奇跡と言っていいぞ」

 

 

玉狛に戻って、迅と2人っきりで会話している。あの後迅は減俸処分をうけたが、派閥のことを考えるともっと重い処分になってもおかしくなかった。

 

 

「三輪もだいぶ荒れてたな」

「第一次侵攻で姉を負傷させられたからな。幸い、命に別状はないが今もリハビリ生活をしているらしい」

 

 

三輪 秀次

ネイバー排除を第一とした城戸派の筆頭格の隊員。先程、迅のところに殴り込みに来てた。わざとネイバーを逃がしたのではないかと思われているらしい。

 

 

「一発即発状態になったときにはどうなるかと思ったよ」

「事実を言ったまでだ。あいつの復讐自体、間違っているとは思わない。だが、復讐する相手を間違っているとは思っている」

 

 

信二と迅を責める三輪に対して、信二は復讐する相手を間違うなと言ってやった。三輪にとっての復讐相手は第一次侵攻で攻めてきた国。なのに、三輪はそれ以外の国も復讐相手とし、女子供も容赦なく殺してもいいと考えている節がある。

 

 

それを言ったら反論できない当たり、自分でも意識したことはなく、思っていた以上に愚かではないことが分かった。

 

 

「詳細を聞きたいなら上層部に掛け合えと言ったし、もうこれ以上は何も言ってこないだろう」

「それにしても意外だったな。秀次と同い年だから接点があると思ってたんだが」

「玉狛に住んでいるから玉狛派だと思われたんだろう」

 

 

(実際は忍田派寄りの中立。まあ、玉狛にいればそう見えるのも仕方がないけど)

 

 

「今回の件は最良の結果を得ることができたが・・・どれぐらい時間を稼げそうなんだ?」

「ああ・・・やっぱバレちゃうか」

「当たり前だ」

 

 

今回の件、迅が向こうのリーダーと取引したのは言ってしまえば時間稼ぎのためだ。ヴァンガードの情報を渡したのも性能の高さを周知させることで迂闊に攻めさせないようにするためだろうと信二は予測していた。

 

 

(今のボーダーは弱い。それこそ、大国に攻められたら対処できない可能性がある。だが、数年後なら)

 

 

「まだおぼろげにしか見えてないけど、3年半ぐらいかな」

「3年半か。まあ、短くもなければ長くもないって感じだな。それぐらいの期間があれば、ボーダーは今以上に強力になっているだろう」

「ブランチもね。新型のトリガーもそうだけど、新型のトリオン兵もできたんでしょ」

「"ヴァンガード・アルス"のことか。ああ、もうじき量産体制に入る」

 

 

信二がヴァンガードに関する情報を漏らされても気にしなかったのは、肝心な情報が抜けていたこともあるが、次世代機を完成させていたからだった。

 

 

ヴァンガードを発展させた後継機である"ヴァンガード・アルス"。ヴァンガード自体、数年前に開発された機体でバージョンアップで誤魔化していたが、段々と新しく開発したトリガーに対応できなくなっていた。

 

 

実践データも欲しいため、トリオン兵と戦わせることはもちろんのこと、ボーダーの隊員たちとも戦わせてデータを集めたいと信二は考えていた。

 

 

「戦車だったりメチャクチャミサイルを撃つ機体もあるみたいだけど」

「やつらは出さんぞ。万が一外に漏れると非常に面倒なことになる」

 

 

カタフラクト、バルテウス、エンフォーサ。AC6で登場した機体でこっちでも独自の改造を施し再現した。もっとも、第一次侵攻では使用していない。

 

 

製造コストがかかるものの、性能は優れており、それなりに数を揃えたのだが、見た目もそうだが性能があまりにも兵器としての側面が強すぎた。

 

 

(ヴァンガードでも色々と言われていたのに、こいつらを出したら絶対に面倒になる。それこそ、世界征服を企んでいるとか訳の分からん言いがかりがまた再燃しかねない)

 

 

ブランチのトリオン兵はネイバーのトリオンとは別物として見られている。だからこそ印象はとても大事になる。よほどのことがない限り、信二は使う気がなかった。

 

 

「ヴァンガードだけでも相当な戦力。数をキチンと揃えれば大国でもミデンを攻めることは難しくなる」

「まあ・・・そうだね。ただ、未来は何が起きるかわからない。それだけは言っておく」

 

 

含みのある言い方に、迅を問い詰めたが、迅ははぐらかすだけで答えなかった。

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

『エア、裏は取れたか?』

『はい、どうやら迅が貰った情報は正しいようです。アルトロンは今3つの派閥で後継者争いが起こっています』

 

 

エアからの報告を受け、今回迅から経由して貰った情報が正しいことがわかった。ボーダー上層部も情報の偽装と言う不義理をしないことが分かっただけでも上々だ。

 

 

『レイヴン、遠征船の設計書ですが、ボーダーに渡すのですか?』

『ああ、準備だけはさせておこうと思ってな。もっとも、遠征するための人材がいないからもう少し先の話になるが』

 

 

ブランチでは第一次侵攻後から秘密裏に遠征を行っていた。トリガー使いがいないためトリオン兵だけの遠征になるが、"ウォーカー"と呼ばれる特殊なトリオン兵を使うことでトリガー使い無しでの遠征を可能にしている。

 

 

『もっとも、紛争地帯には赴けませんが』

『そりゃあ、人間そっくりのトリオン兵で戦闘力は大したことない・・・いや、自爆前提なら悪くないか?』

『コスパが釣り合いません』

 

 

ウォーカーは人間そっくりのトリオン兵で、武装もトリオン製拳銃とブレードのみ。なぜこの程度の武装しかないかというと、マザートリガーとの接続を行うことができないためである。ちなみに、自爆機能は情報の秘匿を行うためだ。

 

 

(マザートリガーとの接続は同じ星かすぐ近くのネイバーフッドの異空間までなら可能だが、別の星では接続できなくなる。トリガーの研究を進めているが、さすがに星と星とをつなぐゲートを作るのは現在のトリガーの性能では不可能に近い)

 

 

そのためヴァンガードは連れて行けず、紛争地帯に行くには戦力が足りないため、比較的平和な国へ赴いて情報を収集している。

 

 

(それにトリオン兵ではトリオンの補充が難しいため、近場にしか遠征できていない。回復させるには人が必要だが、俺らは遠征できない。トリオン自動回復装置もないことはないが、雀の涙ほどしか集まらないから焼け石に水)

 

 

『トリオンタンクを巨大化するという手も使えませんですから』

「そりゃあ、飛ぶ時のトリオン量が増えては本末転倒。やはり、今は近場の情報収集に専念して、時期が来ればボーダーに引き継いでもらうのがベストか」

 

 

(すぐには無理だが、2年ほど経てば遠征も可能になるだろう。それに、遠征以外にもやることはたくさんある)

 

 

まずは一つずつこなしていくことにしよう。信二は改めてそう心に決めた。

 





最後までお読みいただき、ありがとうございました。


今回は原作でもなかった侵攻が起こりました。規模としてはガロプラと同規模だと思ってもらえればいいです。トリガー使い達に関しては相手が悪かったためアッサリと負けてましたが、強さに関してはガロプラのトリガー使い達とよりも劣り、実力的には原作のB級上位ぐらいの強さです。A級クラスの実力者も国内にいるのですが、数が少なく、派閥争いのせいで派遣できるトリガー使いがB級上位クラスが限界でした。


オプショントリガー:覇撃
バスター専用のオプショントリガー。バスターから超短射程の砲撃を放つことができる。
→詳細:バスターを作成したトリガーで使用されていた機能を技術転用したトリガー。射程・威力は使用者のトリオン保有量に比例し、射程が短いほど威力が上がる。並の隊員が使用しても相手のシールドを粉砕してトリオン体を破壊することができるほどの威力を誇るが、同時に間合いが短いという欠点を抱えており、扱いが難しい。


ブランチでは秘密裏に遠征を行っており、現在はミデンに接近した星に短期間滞在し、簡単なネイバーフッドの情報を集めています。今回のアルトロンの派閥争いの裏付けも行商のフリして市民から聞き出し、裏を取りました。


ブランチのトリオン兵は複数種類存在し、それぞれが個別の役割を持っており、今後登場する予定です。


ヴァンガード:ブランチの保有するトリオン兵。集団戦を得意とし、様々な武装(トリガー)を換装することで遠中近すべての距離に対応でき、短時間の飛行能力を保有していることからネイバーフッドの国家の中でも破格の性能をしている。
 →詳細:基本的な性能はACに近い感じになっており、腕、足などの各種パーツを任意に変更することができる。武装は変更することができ、両肩両腕部の計4つをつけることができる。


ウォーカー:ブランチの保有するトリオン兵。人間そっくりな見た目をしており、ミデン近隣にきた星への情報収集を目的として製造されている。武装もトリオン製拳銃とブレードのみで機密保持のために自爆機能を有している。
 →詳細:"無限機関(インフィニティ)"を唯一搭載しておらず、ほかの星ではトリオンを供給できないため簡易的なトリガーのみ搭載している。トリガーに関しても、機密保持のためにブランチの特殊技術は一切使われていない。

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