山吹乙女の息子に転生し、狐に呪われた青年の物語   作:アルトリア・ブラック(Main)

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序盤は奴良組内での話、後半は百物語組編…?


最終決戦
『異常事態』


ー奴良組ー

 

百物語組が現れることなく三日は経過した。

 

「…兄さん、本当に強いなぁ」

 

奴良組の地下道場でリクオからそう言われる。

 

人間の姿でお互い訓練することになり、鍛錬していた。

 

「まぁ、長生きしただけだしなぁ、ぬらりひょんの技に関してはリクオの方がベテランだろうし」

 

「鏡花水月とか僕より上手く行ってるのによく言うね…」

 

「ブランクだよブランク」

 

人間の姿で戦うのに慣れているせいで実際、妖怪として上手く立ち回るのが下手になってしまった。

 

(…明治初頭から人間の姿で動いてたからなぁ…慣れないんだよなぁ、ホント…)

 

自分の見た目がぬらりひょんそっくりなのを今更鏡見て驚くぐらいだ。

 

「兄さんっておじいちゃんに似てるんだね」

 

牛鬼が『先代にそっくり』と言っていたのを聞いたリクオが興味深そうに言って来る。

 

「そうらしいなぁ〜、とにかく俺も妖怪の自分が見慣れないんだよな、とにかく」

 

「兄さんって人間の姿で過ごしてたんだっけ?」

 

「おう、ガキの頃は鏡なんて無かったし」

 

そう言うと『江戸時代後期って鏡ないんだー』と感心される

 

「若〜!三代目〜!タオルここに置いておきます!」

 

つららがタオルを持ってやって来る

 

「つららありがとう」

 

「いーえ」

 

二人のやりとりを見ているとリクオが「何?兄さん」と聞いて来る。

 

「いや?つららちゃんとリクオって大体年同じだったよなぁと思って」

 

「100年も経ってないんだっけ?つらら」

 

「はい!まだ新参者ですっ!」

 

つららの明るい声に「ふーむ」と考える

 

「雪麗さんの願いも叶いそうだねぇ」

 

「へ?」「はい?」

 

二人の疑問に笑いながらタオルを持って上に行く

 

階段を登り切ると

 

「ん?珍しいな、リオンとイタクの組み合わせ」

 

親子だけど、と言うとリオンが『遊びに来たぜ〜』と言う反面、イタクはジト目でリオンを見てた。

 

「親父の放蕩癖が治るなんて思っちゃいねぇが、こうも奴良組に入り浸るなよ」

 

「遠野には適度に帰ってるぜ?赤河童様に挨拶して」

 

「訓練場破壊してどっか行くのをやめろって言ってんだよ」

 

「‥破壊してんの?」

 

「夜鷺と稽古してたらついつい破壊しちまうんだよ、アイツの攻撃の仕方結構派手だろ?」

 

夜鷺の攻撃の仕方は結構派手であり、黒田坊の銃撃バージョンだ。

 

しかも本人が不死身に近いせいで大概である。

 

「破壊して修理すんの誰だと思ってんだ」

 

「悪い悪い」

 

二人の話を眺めながら原作には存在していないキャラが存在しているせいで大きく変動が起こっているのではないかと不安に思う部分もあった。

 

百物語組が動く様子はなく、不自然なぐらい何も無かった。

 

「鵺が復活するまでにこっちも色々訓練しないといけねぇだろ」

 

「毎日破壊されたらたまったもんじゃねぇよ」

 

ムキーとキレるイタク

 

日が暮れ出したのを見てリオンが『リクオ君待ってんじゃねぇーの?』と話を逸らしていた。

 

不貞腐れながら地下道場に向かうイタクを見送る

 

「こっちも色々調べてんだが、鯉零の言う百物語組が動いてる様子はないぜ」

 

「…ないか…」

 

夜鷺はいろんな寄席を見て圓潮がいないか探しているのだが、まるで手掛かりがない。

 

「鵺が復活するのがいつか分からねえが…こうも何ないと不安だなぁ」

 

嵐の前の静けさか?と呟くリオン

 

「………」

 

 

 

 

『人はなぜ、怖い物語が好きだと思う?それは他人事だからさ』

 

『いざ、自分ごとになったら人は"何故自分が"という感覚になる。楽しめるのはあくまで自分の身に降りかかるまでさ』

 

男の言葉に客達は息を呑む

 

「ご清聴ありがとうございました」

 

拍手の中舞台から降りてくる圓潮

 

「面白かったよ〜今日も」

 

「おや、ありがとうございます。有行様」

 

やってきた有行の方を向く

 

「晴明様の許可は降りたよ!」

 

「!」

 

有行の言葉に圓潮は姿勢をそちらに向ける

 

「良い感じにあの男が呪いに耐えてくれたおかげで、術をかけてる最中も特に違和感を感じないだろうし、計画は成功すると思うよ」

 

自信満々に言う有行に圓潮は『もしもの可能性はありませんか?』と聞くと

 

「大丈夫だよ、羽衣狐サマの呪いと違って晴明様の呪いは絶対だから」

 

 

 

 

リクオが学校に行ったのを見送り、自分達は百物語組が暴れるであろう街の偵察をしていた。

 

(…しっかし、何もないな)

 

リクオが襲われることはなく、清継も怯えている様子はない。

 

百物語組が暴れずなんだかんだ半年は経過している。

 

あまりにも何もないため、組内では百物語組の残党が暴れているだけではないかという気の抜けた様子だった。

 

(…そもそも奴良組のメンツが欠けてない以上、むやみに攻撃してこない…か?)

 

奴良鯉伴もぬらりひょんも生存している上に、自分という本来ならあり得ない存在までいる以上、向こうも戦力が揃っているこちらに無闇やたらに攻撃してこないのだろうかと思っていた。

 

現に関東地方全域で分散するように百物語組の作った妖怪が動いていた。

 

その広域さに鯉伴達も探ることになっていた。

 

長野にて…

 

「百物語組の妖怪がここまで出てきてるなんてな…奴良組のシマがある場所メインでだと思ったけどな…」

 

リオンがぶっ倒した妖怪を突きながら言う。

 

「………」

 

「お前の推測、外れたか?」

 

リオンの言葉に頭を掻きながら『事を起こすなら奴良組の拠点の近くだって思ったんだがな…』

 

「まぁ、外れた以上はむやみやたらに探しても意味ねぇからな、今のところ関東地方以外には百物語組の影はねぇみたいだし」

 

「京都で一件あった以来はねぇしな」

 

鬼楼丸の言葉にうーんと悩んでいると…

 

持っていた携帯が鳴りポケットから出して見る

 

そこには、リクオが東京で人間と妖怪に襲われていると言う報告が首無から上がる

 

「急いで帰るぞ!」

 

「おいおい、少しは弟のこと信じてやれよ」

 

そう言ってリオンが着いて来る。

 

「…そうだけどな」

 

別にリクオは弱くない。それに、東京には父もいる。

 

「むしろ、手薄なこっちが危ないだろ」

 

リオンの言葉に一度立ち止まる。

 

「そうだよ、本命はこっちさ」

 

「「「!!」」」

 

第三者の言葉にリオン達がバッと振り返る

 

そこにいたのは…

 

「やぁ、奴良鯉零サン。神様に愛された妖怪さん」

 

七芒星をクルクル回しながら現れた有行と陰陽師達にリオン達が警戒する

 

「あ、困惑してるね、この展開は想定外?いかに神様に愛されたとはいえ、この知識はないんだ」

 

「……何を」

 

さっきからこの展開、だとか知識と言う有行に困惑する

 

「キミのせいでいろんな計画が台無しだよ、そっちがあまりにも有利になっちゃったからね、大まかな要因はキミだ」

 

「!!!」

 

「鯉零!!」

 

足元に七芒星が現れ、爆発する

 

「残りの妖怪は適当に処理するんだよ、天海、水蛭子」

 

「うるせぇ、指示するんじゃねぇ!有行!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ー東京ー

 

 

リクオ達は山本五郎左衛門を撃ち倒し、清継達に正体がバレたものの、今まで通りに接してくれる彼らに安堵する一方、鯉零達と連絡が取れなくなっていた。

 

「我らも探しているのですが、鯉零様と他の妖怪達が見つからず…」

 

鴉の報告にリクオは不安な気持ちに押し潰されそうだった。

 

「…兄さん達が負けるなんて考えたくないけど…最後に兄さんが行った場所に向かおう」

 

そうリクオが立ち上がった時、玄関の方から音がする

 

ダンッ!と何かが倒れる音に全員警戒態勢に入ると…

 

「え?みんなどうした?凄い警戒してるけど」

 

そう言って入ってきた兄にえ?となり固まっていると…

 

「三代目ぇ!!?数日も連絡を取らずどこに行かれていたんですか!!」

 

鴉天狗の絶叫に耳を押さえながら

 

「リオン達と調べた後に敵と遭遇して戦った後、大怪我して半妖の里で治療してたんだよ、俺は軽傷だったから先に帰ってきたけど、ていうか()()()知らない?話したい事あったんだけど」

 

「え?お父さんなら兄さんを探しに行くって言って朝準備してたけど」

 

「そ、ありがとう」

 

そう言って手を振って外へ出る鯉零に鴉天狗が怒鳴りながら着いて行く

 

それから、リクオは兄が言った半妖の里がどこにあるのか兄達が帰ってきたら聞こうと席を立ち、清継達と話をしていると…

 

「リオン!?どうしたんだその傷っ!!」

 

玄関先から淡島の声が聞こえてくる。

 

そちらへ行くとリオンが全身血だらけで体を引き摺ってきたのか、歩いてきた方向が血だらけだった。

 

「リオンさん!?」

 

リクオが慌ててそちらに行くと

 

「鯉零が…、に…!」

 

息も絶え絶えに言うリオン

 

「待って!今すぐ鴆君を呼ぶからっ…!」

 

そう立とうとした時、リオンの手がリクオの着物を引っ張り

 

「…鯉零が…!敵の手に落ちた!!」

 

怒鳴るようにそう言って力尽きるリオン

 

「オヤジ!!」

 

イタクが駆け寄ってくる

 

「兄さんが敵の手に…?」

 

「え、でも…!先ほど普通に…」

 

先ほどの様子を思い出す。鯉零は自分と会話するのではなく、しばらく距離を置いていた父を探していた。

 

それに、目を合わせて来なかった。

 

鴉天狗を見ているようで、外を見ていた

 

何のために?

 

「っ…!!」

 

「リクオ様!?」

 

刀を持って走って行ったリクオにつららが着いて行く

 

兄と父の気配が近づいてきた時…

 

「っ!?」

 

あの山吹が咲く神社の近くに、二人がいた

 

「っ!!二代目!!」

 

地面に倒れている父と、血に濡れた刀を持っている兄

 

「来るの早いな全く、聞いたのが間違いだったか」

 

兄の声、兄の妖気なのに、もう一つ歪な妖気を感じた

 

この気配はまるで…

 

『近い内にまた会おう、魑魅魍魎の主』

 

晴明の声を思い出す

 

「やっぱり、主人公は違うなぁ」

 

屈託なく笑う兄の両眼を見て袮根切り丸を構えるが、その手が震える

 

「三代目っ…?その目…」

 

「目?目がなんだって?つらら」

 

(…やっぱり、兄さんを一人にしたらダメだったっ…!)

 

笑う兄の目には安倍晴明と同じような真っ黒い瞳に七芒星があった




こっちも久しぶりすぎた
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