奇跡の子   作:マロンと栗

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なんかお気に入りが凄いことになってる……ドユコト?
何時も感想&評価ありがとうございます。とても嬉しいです。
誤字脱字報告をして下さる御方。とてもとても助かっております……ありがとうございます。

※今回、ニノちゃんの好きな食べ物に独自設定が入ります。ご注意ください。


第九話

ここ数日、新野冬子―――ニノは眠れない日々を過ごしていた。理由は、死んだ筈の星野アイから電話が掛かって来たからだ。

始めの数日間は、アイと仲直り出来た喜びや声を聞けた幸福感から眠れず、それが徐々にアイの殺人に加担した自身の罪や、後悔の念に駆られ、最後はそれらがごちゃ混ぜになった状態だった。

 

『また今度会ってゆっくり話そ!』

 

今はアイの言葉が、ニノを何とか支えている状態だ。それが無くなった瞬間、彼女は迷わず死ぬつもりだった。

 

(はは……結局、私はアイを理由に都合の良い言い訳をしてるだけ……)

 

ニノは、遺書の入った封筒をバッグに入れると、アイが言っていた待ち合わせ場所に向かう。彼女の顔には、化粧でも隠し切れない隈が浮かんでいた。

 

タクシーを拾ったニノは、行き先を告げる。

待ち合わせ場所は、この辺りでは有名な超高級マンションの前だった。

 

 

マンションの前に到着したニノは、周りを見渡す。

時間はまだ朝の八時だ。何故こんなに早く来たのかといえば、アイが集合時間を言っていないからだ。

ただ、彼女の性格上八時前は限りなくゼロに近いので、八時から待っていれば何時か来るだろうとニノは早めに行動した。

夕方や夜の集合だった場合はずっと待ちぼうけになるが、その程度ならニノは幾らでも待てる。

 

しかし、場所が場所なだけに居心地は悪かった。

今日は平日で、時間帯は出勤時間をモロに被っている。高級マンションから出てきた住人が、ニノを見て通り過ぎて行く。彼女は、出来るだけ気配を消して待つしかなかった。

 

(今日……なんか雨降りそう。折り畳み傘持って来てよかった)

 

見上げれば厚い雲が空を覆っている。何時雨が降ってきてもおかしくない空模様に、ニノは自分の心と重ねた。

 

三十分ほど経ったところで、マンションから出てきた警備員らしき人物がニノに近づいてくる。

絶対何か言われると思った彼女がオロオロしていると、警備員が笑顔で話しかけてきた。

 

「おはようございます。つかぬことをお伺いしますが、新野冬子様でしょうか?」

「えっ……あっ、はい!新野冬子です」

 

警備員の問いに、慌ててニノは答える。彼の話によると、マンションの住人に「新野冬子が来たら案内してほしい」と頼まれたらしく、ニノが来るのを待っていたそうだ。

 

一応、免許証を確認してニノが本人だとわかると、警備員がマンションの中へと案内する。一階のエントランスはとても広く、綺麗で良い匂いがした。まるで高級ホテルに来たような雰囲気で、彼女は場違いな気分になり背を縮めて彼のあとを追った。

 

警備員がエレベーターのスイッチを押す。よく聞く音と共に、扉が静かに開いた。

 

「どうぞ、〇階の―――号室です」

「ありがとうございます……」

 

ニノがエレベーターに乗ると、警備員が外から階数のボタンを押した。

扉が閉まり、エレベーターが動き出す。

 

「はぁ……」

 

ニノは、壁に寄りかかりたい気持ちを寸前のところで抑え込む。普通の場所ならやっていたが、場所が場所なだけにやる度胸はなかった。

警備員について来てしまったが、彼に頼んだ人物が誰かはわからない。その前に聞くべきだったが、言い出せずにここまで来てしまった。

ただ、どう考えてもアイ以外には考えられなかった。こんな超高級マンションに住んでいる彼女を全く想像出来ないが、ここまで来たらもう引き返せない。

 

エレベーターの扉が開く。

ニノは、先ほど言われた番号の部屋へと向かった。

 

(―――号室。ここね)

 

扉の前に立ったニノは、大きく深呼吸した。この先にアイがいる。いや、違う可能性もあるが、それでも入らない理由にはならない。

震える指で、インターホンを押した。

 

―――ピンポーン。

 

静まり返った廊下に、音が響く。

数秒後、インターホンから声が聞こえた。

 

『鍵開けたから入ってー』

 

アイの声が聞こえ、ガチャリと扉の鍵が外れた音が聞こえた。

ニノの心臓が、かつてない程大きくなっている。こんな感覚は、初ライブを控えた時以来だった。

 

「おっ、お邪魔します」

 

ゆっくりと扉を開ける。玄関にアイの姿はない。廊下の奥の部屋から「あがってー」と彼女の声が聞こえた。

靴を脱ぎ、隅の方に並べたニノは、一度大きく息を吐いて廊下を進んだ。

 

この先にアイがいる。

 

ニノは光に群がる虫のように、ふらふらと覚束ない足取りで向かう。

そして、部屋に入った彼女を出迎えたのは―――。

 

「久しぶり、ニノちゃん」

 

笑顔のアイだった。

あの頃と何一つ変わらない彼女がそこにいた。

 

「あっ……あぁぁぁああああ」

 

ニノがその場に泣き崩れる。慌ててアイが、彼女に駆け寄った。

 

「ニノちゃん……」

 

アイがニノを抱き締める。彼女のぬくもりが、目の前のアイが幽霊ではないと伝えた。

ニノもアイを抱き締める。何処にもいかないように、消えてしまわないように必死に彼女の胸に縋りついた。

彼女の優しい鼓動が、ニノを僅かに落ち着かせる。その頭で、必死に言葉を出そうとする。

ニノは、アイに会ったら伝えたいことがあった。許されないことをしたと、それでも謝らせてほしいと。

奇跡の再会に喜ぶよりも、まずは謝罪だとニノは心に決めていた。

それなのに、いざアイを目の前にしたら涙が止まらなかった。言わなくちゃいけないと口を開けば、出てくるのは嗚咽だけ、ニノは自分が情けなかった。

 

「大丈夫、大丈夫だよ。ニノちゃん」

 

アイはニノに優しく声をかけると、彼女の背中をさする。

 

「アィっ……わたっ、し、ごめ……ほっんと、ごめ」

 

もっと言わなければいけないのに、言葉が出てこなかった。拭っても拭っても涙が溢れ、それに比例するように嗚咽が漏れる。

そんなニノをアイは静かに抱き締め続けた。

 

 

「ありがと……アイ」

 

落ち着きを取り戻したニノに、アイは温かい飲み物を持ってくる。彼女の向かいにアイが座り、ニコニコと笑顔を浮かべていた。

ニノは、ココアを一口飲む。冷静になってきた彼女の頭の中には、一つの疑問でいっぱいだった。

しかし、それを口に出して聞いても良いのかわからない。自然と、ココアを飲むペースが速くなる。

 

そんな彼女を見たアイが、口を開いた。

 

「ニノちゃん何か聞きたそうな顔してるね」

「っ!!」

 

図星だった。カップを持つ手がビクリと震え、中身がこぼれそうになる。ニノは慌ててカップを机に置くと、目を泳がせる。口を開いては閉じを数回繰り返した彼女は、意を決して口を開いた。

 

「どうして……生きてるの?だって私、アイの葬儀に出て、冷たくなった貴女を……」

「奇跡だよ」

 

なんでもないようにアイが言った。彼女によれば最近復活したとかなんとか……。

ありえないと思う反面、現実にこうしてアイと話をして触れ合ってしまった以上、ニノは彼女を信じるしかなかった。

それに、これ以上聞いてもはぐらかされそうな気がする。彼女の笑顔は、ファンに答えている時のものだった。

 

「……子供達には、もう会ったの?」

 

ズキリとニノの心が痛む。アイが見せてくれた双子の写真と、彼女の葬式に出席していた二人の痛ましい姿を思い出した。

双子の事を聞く資格はニノにはない。しかし、聞かずにはいられなかった。

 

「それがまだなんだよねー」

「えっ、どうして?」

「ちょっと色々ね」

「色々って、アイは子供に会いたくないの?」

「そりゃー、会いたいよ」

「じゃあどうして?」

「今はまだその時じゃないって感じかなー」

 

ニノの質問に、アイは答えているようで答えない。もう一度アイに会いたいと誰よりも願っているのは、あの双子だ。それがわからない彼女ではないとニノは考える。

それなのに、一番初めに会ったのが自分だということに、ニノは驚きを隠せなかった。勿論、嬉しさもあるがそれ以上に罪悪感の方が強かった。

 

「どうして私なんかと話して、会ってくれたの?」

「仲直りしてなかったし、会いたいと思ったからかな」

「うん、私も会いたいとずっと、ずーっと思ってた……本当に、ありがとう」

 

ニノは一度目を閉じる。深く息を吸って、長く吐いた。

これからアイに言うことは、ニノの犯した罪だ。絶対に許されないし、許して貰おうとも考えていない。

彼女が自身に向けてくれる笑顔は、これが最後だとニノは覚悟を決めた。

 

「アイ、聞いて欲しいことがあるんだ」

「どうしたの?」

「私は―――」

 

ニノは自分の犯した罪を自白する。そして、長年溜めていたアイへの想いを同時に吐き出した。好き、憧れ、希望、妬み、嫉妬、憎悪、それらが混ざり合って出来た愛憎を、包み隠さず話した。

 

涙を流し震えて話すニノの手に、アイは自身の手をかざした。

 

「話してくれてありがとね」

「お礼なんて、されるような立場でも人間でもない……」

「私が言いたかったから言ったの」

「そっか……私こそ聞いてくれてありがとう」

「どういたしまして?」

 

ニノの自白を聞いた後も、アイは彼女に接する態度を変えない。それがアイらしいといえばそうなのだが、流石にそれ以外にも何かあるとニノは感じた。

タイミングよく、アイがその理由を話す。

 

「ごめんねニノちゃん、私は今夢に向かって前を向いてるんだ……だから、後ろを振り返るのはその後」

「うん、わかった。私は―――」

「だからさ!」

 

警察に自首する。そう言おうとニノが口を開いた瞬間、アイが口をはさむ。

 

「ニノちゃんにお願いがあるんだけど……ちょっと待ってて!」

 

そう言って彼女は部屋から出ていく。アイのお願いがどんなものかはわからない。

しかし、ニノはどんな願いでも叶えるつもりだ。例え今すぐ死ねと言われても、彼女は喜んで死ぬ覚悟があった。

 

「お待たせー」

 

アイが帰ってくる。何故か、B小町の衣装を着ていた。

もう絶対に見ることは出来ないと思っていた彼女のアイドル姿に、ニノの目頭が熱くなる。

「懐かしいでしょ」と言ってくるりとその場で回るアイを見て、ニノは静かに涙を流した。

 

「はい、これ」

 

アイが手に持っていた紙袋をニノに渡す。その中身を見た彼女に、アイが微笑んだ。

 

「じゃ、ニノちゃん着替えよっか☆」

 

涙が秒ですっこんだ。

 

 

 

 

 

 

私はニノちゃんと感動的な再会を果たした。

久しぶりに会えて嬉しかったし、良かったよ。うん、これは本心。

あの頃と違って髪の毛はロングからショートになってたけど、それでも私の知ってるニノちゃんだった。

だから、私はイケると思ったのに……。

 

「うーん……入らないね」

「…………そうね」

 

ニノちゃんのスカートが入らないのだ。どうしてもお尻でつっかえてしまう。

衣装は彼女が着ていたB小町の物と全く一緒の服を借りてきたから間違いない。現に、上は問題なく着ることが出来ている。

体型だってあの頃と全然変わってないように見える……逆にちょっとやせた印象。

だから入らない筈がない。これはおかしい。

 

私は顎に手を当てて考える。考えられるのは、やっぱり衣装のサイズ間違えかな。予備の衣装で一回も着てなかったから良かったけど、これがもし本番直前だったらヤバかったよね。

 

ニノちゃんが何処か遠くを見ているけど、余程ショックだったんだね―――衣装のサイズ間違え。

こういう時、友達ならフォローしてあげるのが正解だよね。

 

「ニノちゃん元気だして、サイズが違っただけだから」

「…………そうね」

 

ニノちゃんの目が更に遠くなった気がする。

間違えたかな?

気の利いた一言を言えればいいんだけど、何でか思いつかない。

 

私はニノちゃんのお尻を見る。

 

「もうちょっとお尻が小さければ入ったんだけどねー」

「……」

 

ギギギと壊れた機械のようにニノちゃんが私の方を向く。顔はうつむいてるからわからないけど、肩が震えていた。

 

「―――わよ」

「え?」

 

ニノちゃんが勢いよく顔を上げる。その眼には、薄っすらと涙が浮かんでいた。

 

「言われなくてもわかってるわよ!太ったのよ!!成長したのっ。アイドル卒業して十年以上経つのよ!!身も心も尻も成長するわよ!!そりゃー私もヤバいと思ってダイエットしたけどお尻のお肉だけ落ちないのよ!!三十代舐めないでよ」

 

「もうヤダ……」とニノちゃんは顔を覆って泣き出してしまった。

言い方が、昔のニノちゃんみたいで懐かしいなーなんて言ったら流石に怒られるよね。

 

でも、そっかー……盲点だったなぁ。

私は死んだ時と同じ体型だから全然気にしてなかったけど、ニノちゃんを含めた他のB小町のメンバーは、あの時から十年以上経っている。

何もしなければ体型なんて直ぐに変わっちゃうよね。

 

「ごめんねニノちゃん、気にしてること言っちゃって」

「……気にしてない」

 

うずくまるニノちゃんをよしよししながら、私は考えを改める。

衣装は今の体型に合わせて作って貰えばいいけど、問題は―――。

 

「ニノちゃん、あの頃と同じようにダンスって踊れる?」

「逆に聞くけど踊れると思ってる?」

「うーん……無理かなぁ」

「嫌な予感がするけど一応聞かせて、何でそんなこと聞くの?」

「それはね―――」

 

私がニノちゃんにこれから先のプランを説明する。

 

「無理」

 

即答だった。

おかしいな。ニノちゃんなら喜んで協力してくれると思ったのに。

どうしてって理由を聞くと「もうそういう歳じゃない」と、死んだ目で答えた。

 

「でもニノちゃんは今でも可愛いよ?」

「……ありがとう。ってその手には乗らないからね」

「え?本当のことなのにー」

 

そう言うと、ニノちゃんは顔を紅くして「アイも可愛いよ……」と恥ずかしそうに言った。

これはもう少し押せばいけそうなやーつかな?

 

「ニノちゃんのアレ、久しぶりに見たいなー」

「……あれ?」

「そう!いつもニコニコーってライブとかで言ってた……」

「無理っ!!!」

 

即答だった。取り付く島もないって言うのはこういうことなんだろうね。

 

「そっか、残念だなー」

「……うぅ」

 

無理にやってもらうのは良くないよね。

でも、困ったなー。

ニノちゃんに協力して貰わないと、予定が狂っちゃうんだよね。

 

どうしようかと悩んでいると、ニノちゃんが私の手を握る。

 

「こんなんで罪滅ぼしにならないけど……やれるだけ……うん、やれるだけやるよ」

「ニコニコのほう?」

「違うっ!!アイの夢の方よ……」

「ありがとうー!」

「ちょっ!?」

 

嬉しくてニノちゃんに抱き着く。しかし、ニノちゃんのスカートがズレて態勢を崩してしまい、私共々盛大に転んでしまった。

幸い二人ともちょっとぶっただけでケガはない。

見つめ合う二人。なんだか映画のワンシーンみたいだね。

 

「「あはは」」

 

ニノちゃんと同時に笑う。

この笑顔は、きっと私の本心からでたものだ。

 

―――それからニノちゃんにジャージを貸して二曲ほどB小町の曲を踊ってみる。本当は二人でB小町の衣装を着て踊りたかったけど、仕方ないね。

 

ニノちゃんは「出来ない、無理」って言ってた割には、特にミスもなく踊れていたと思う。あの頃のキレはなかったけど、それはしょうがないね。

ただ、致命的な問題が一つ。

私は、うつぶせになった状態で床に倒れているニノちゃんを見る。身体は微動だにしないけど、「無理、死んじゃう」って声が聞こえるから死んではいないね。良かった。

そう、問題はニノちゃんの体力がめちゃんこ落ちていること。ダンスなら教えることが出来たけど、体力はどうすることも出来ない。

 

「ニノちゃん……」

「わかってる。体力づくりよね……わかってる。体力、づくりよね」

 

うつぶせの状態で、ニノちゃんがしゃべっている。顔は見えないけど、とっても嫌そうなのはわかった。

でも、やるって言ったのはニノちゃんだからね。

 

「ニノちゃん応援してるね☆」

「……」

 

ニノちゃんは、無言でサムズアップした。

 

「じゃ、もう少し休憩したら次の曲も踊ってみよー」

「…………」

 

サムズアップしていたニノちゃんの腕が、力なく倒れた。

 

 

 

 

 

 

あのあと何曲か踊り、ニノちゃんの体力が限界を迎えたところで終わりにすることにした。

とりあえずニノちゃんの体力づくりは本人の希望で「明日から頑張る」ことになり、今日は外食をして解散することになった。

勿論、お店は個室を選んで奇跡ちゃんの名前でとってある。流石に段ボールを被って行くことは出来なかったけど、帽子とマスクとサングラスをかけていけば私が星野アイだってわからない。そもそも、世間では私は死んだ事になってるから、顔を見られない限りは絶対にバレないと思う。

 

雰囲気が良い感じの焼肉店で、お肉を焼きながらそんな話をする。

 

ただ、何だかニノちゃんの様子がおかしい。

お店に着くまでは普通だったのに、どうしたんだろう。

 

「―――なめてた。運動した後の―――キツい」

 

ぶつぶつ言ってるせいでニノちゃんが何を言っているのかはわからない。

まぁ、とりあえずお肉が焼けたから乗せちゃおう。

私はニノちゃんのお皿にカルビやトンとろ、ハラミなどをどかりと乗せる。何か今「ッヒ」って聞こえた気がしたけど、気のせいだよね。

ニノちゃんが焼肉大好きなのは、昔から知ってるよ。

 

私も自分のお肉をお皿に乗せると、タレを付けて一口。

 

「うん、やっぱり運動した後はお肉だよねー」

「…………そうだね」

 

ニノちゃんがなんか遠い目をしている気がする。もしかして、大好きなトンとろが足りなかったのかな?

私が追加で注文しようとすると、必死に止められてしまった。

どうしたのかと聞いてみたら、十年後にわかると言われたので、「楽しみー」って言ったら死んだ魚の目になってた。

 

それからは、自分で食べたい物を注文するから大丈夫だと半分強引にタッチパネルを奪われちゃった。

まぁ、私もそんなに食べる方じゃないから良いけどさ。

 

やっぱり、誰かと一緒にご飯を食べるのは楽しいね。

何かを覚悟した目をしたニノちゃんが、お肉を食べる姿を見て笑顔になる。ずっと笑顔だけど。

 

色々お話をして外食を終えた私たちは、連絡先を交換して帰ることになった。

 

「ア……き、奇跡ちゃん、今日は楽しかった」

「コチラコソー」

 

ニノちゃんが慌てて言い直す。

今は外だからね。誰が聞いてるかもわからない状態で、アイとは呼べない。

私も声を高くして誰かわからないようにする。

まぁ、こちらに向かって歩いてくる青年以外に人がいないから、地声でも余程大声で話さなければ大丈夫だと思う。

 

「本当に、本当に楽しかった……また会おうね」

「ウン、アオウ。アト、アシタからガンバッテネ」

「うっ……頑張る」

 

ニノちゃんが手を振ってタクシーに乗る。私も手を振りながら、彼女を見送る。

 

「奇跡ちゃん、本当に今日はありがとうね」

 

ニノちゃんが窓を開けてそう言うと、タクシーが出発した。

見えなくなるまで手を振ろうとした瞬間―――。

 

「えっ、奇跡……さん?」

 

背後から、驚いたような声が聞こえた。聞き覚えのある声だった。

ドキリと心臓が高鳴る。慌てて後ろを振り返ると―――そこには、アクアが目を見開いて立っていた。

 

 

 




今更ですが、小説ってむずかしいですね。こういう展開でこの場面はこんな雰囲気にしたい!って思いはありますが、文章力がないので四苦八苦しております。
拙い文章ですが、生暖かい目で見て頂けると幸いです。

……ニノちゃんの苦難はまだ続く。これから先も羞恥に悶えるのだ。


次回はアクアと奇跡ちゃん(アイ)回の予定です。


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