感想はネタバレ防止の為言いませんけど!!!
陽東高校は日本でも珍しい芸能科がある高校だ。
右を向けば俳優が、左を向けばモデルや配信者がいる。まさにそれは一般人からしてみれば夢のような学校だ。
そんな高校の入学式は、至って普通の───よく言えば伝統ある。悪く言えば変わり映えしない───ものであった。
ただ、今回はほんの少し違う。
ステージから見て左側の来賓席に座っている芸能事務所関係者。その中に、何故か奇跡ちゃんの姿があった。ここでも段ボール姿でいる彼女はかなり目立っており、奇跡ちゃんに気づいた生徒たちがざわついていた。
勿論、今は入学式の最中だ。さざ波程度のざわつきである。
しかし、校長先生のありがたいお話は退屈なのか、生徒たちはチラチラと奇跡ちゃんに視線を送る。
ティックトックでも有名な彼女は、高校生たちにとって憧れであると同時にファンも多かった。
この後サインを貰えないかと期待の視線を向ける生徒もいれば、熱い視線を向ける女子生徒もいた。そんな鬱陶しい程の視線を受ける奇跡ちゃんの心情はわからない。
ただ、アクアには、自分とルビーを交互に見ているような気がした。
自意識過剰と言われればそうだが、アクアは何度か奇跡ちゃんと目が合っていると自信を持って言えた。段ボール越しではあるが。
奇跡ちゃんの頭が少し動く。
釣られてアクアもそちらに顔を向ける。推測でしかないが、彼女の視線の先にはルビーがいた。
ルビーは、奇跡ちゃんが自分を見ていることに気づいていないのだろう。真っ直ぐ前を見ている瞳には、綺麗な星が輝いていた。
ルビーはアイドルの道を踏み出した。
きっと彼女の心の中は夢に向かって進む決意や、希望で溢れているのだろう。そんな顔をしていた。
じゃあ、自分はどうなのか?
アクアの心の闇が囁く。
希望、幸福、夢―――そんなモノを望むべきではない。
アイを見殺しにした自分に、一番近くにいて守れなかった自分には、それ等を望む資格はない。
復讐だ。
復讐だけを考えればいい。
人並みの幸せなぞ、今更望んで何になる。
黒く暗い思考の海に、アクアはどんどん沈んでいく。
『以上をもちまして。第〇回陽東高校入学式を閉会します。新入生、退場』
どうやら考え事をし過ぎていたらしい。
思考の海から浮上する。周囲を見てみれば、前の方から順番に退場していく列が見えた。
直ぐにアクアのいる列が動き出し、それに遅れないように付いて行く。そんなアクアたちを、来賓を含めた在校生たちが拍手で見送った。その中には、勿論奇跡ちゃんの姿もあった。
(……やけに目を惹く拍手だな)
奇跡ちゃんの拍手は何でもない普通のものだ。そこに他人がやっている拍手との違いを見つける方が難しい。
しかし、明らかに何かが違う。その違いに気づけているのは、どうやらアクアだけのようだった。
(あぁ、気持ちが籠っているのか)
奇跡ちゃんの拍手からは、相手を想う気持ちがダイレクトに響いていた。「おめでとう!!」と声高らかに祝福されている錯覚さえ覚える。その思いを向けられているアクアは少しばかり恥ずかしいが、悪い気分はしなかった。
アクアの中には、先程とは違う感情が浮かぶ。
それは心地の良いもの。まるで、母の腕に抱かれているような温かさがあった。
(アイが生きていたら彼女みたいに……いや、やめよう)
アクアは、奇跡ちゃんに向けてほんの少し頭を下げる。
少し頬が熱くなる。
誤魔化すように足早で会場を後にした。その後ろで、拍手が一段と大きくなったような気がしたのは、気のせいではないだろう。
☆
ルビーの入った芸能科とは違い、アクアの入った一般科は中高一貫だ。
つまり、既に友達のグループが出来ているのだ。楽しそうに話す学生の輪の中に入る勇気はアクアにはない。そそくさと帰り仕度をすると、彼らを尻目にルビーとの待ち合わせ場所に向かった。
まだルビーは来ていないらしい。
ベンチに座ったアクアは、木陰から仲良く帰宅する生徒たちを見送る。別に友達を作りに高校に来た訳ではない。どうせ作ったとしても、大半の友達は卒業と同時に会わなくなる。それなら、親友と呼べる友達をニ、三人作れればそれでいい。
まだ入学式初日だ。焦る必要はない。
そんなことをアクアが思っていると、同級生の男女グループが「カラオケ行こうぜ!」「いいねー!いこ~」と言いながら楽しそうに通り過ぎていった。
どう見てもカースト上位……陽キャに分類される連中だ。ルビー曰く陰のオーラを発している自分とは正反対の人間たちである。
(……別に仲良くなりたいとは思わないな)
彼らの後ろ姿を恨めしそうに見つめたアクアは、短くため息を付いて目を閉じた。
春風がアクアを撫でる。
爽やかで心地の良い風だった。
―――不意に、アクアの隣に誰かが座る。
その気配を感じ取ったアクアが目を開ける―――そこには、段ボールを被った女が座っていた。
明らかに不審者である。
「っ……奇跡さんですか」
驚いて腰を浮かせたアクアだったが、目の前の女性が奇跡ちゃんだとわかると直ぐに座り直した。
どうしてここに居るのかわからないが、心臓に悪い登場の仕方だ。それに、今はタイミングが悪い。
何故なら。
「ねぇ、あれ奇跡ちゃんじゃない!?」
「えっ……嘘!ホントだ!!」
「生奇跡ちゃんやばっ……隣にいる男子生徒は誰?」
「うわっ、めっちゃイケメンじゃん」
興奮した女子生徒たちの声が聞こえてくる。
その声に反応して、帰宅途中だった生徒たちが寄ってきた。あっという間に周囲に人だかりができる。
しかし、流石は芸能科がある高校なのか、一定の距離を空けて遠目から見ているだけだった。
スマホを持っている生徒もいるが、写真を撮ろうとする素振りは一切見えない。
教育が行き届いているのか、それともマナーなのかはわからないが、アクアとしてはありがたかった。まぁ、見世物であるのは変わりがないが。
「凄い人気ですね……」
「……」
黄色い声を上げている女子生徒たちに手を振る奇跡ちゃん。
更にその声が大きくなる。周りの校舎に反響して、ちょっとしたライブ会場のようだった。
アクアはなるべく生徒たちの方を見ないように、極力平常心で奇跡ちゃんに声を掛ける。
しかし、彼女は何も言わずに黙ってアクアを見つめていた。
奇跡ちゃんは声も素顔も秘密にしている。
ここで話さないのは当たり前だった。そのことを思い出したアクアは「申し訳ない」と謝りながらも、この状況をどう乗り切ろうかと考えていた。
そんな時に、救いの女神が現れる。
「アクア~っと、奇跡ちゃんだー!!」
自身を呼ぶルビーの声に、アクアは待ってましたと言わんばかりに顔を向ける。
人だかりをかき分けながらこちらに向かってくるルビーと、彼女の友達らしき桃色の髪をした女子生徒。
ルビーがアクアと奇跡ちゃんに手を振り、その後ろに桃色の女子生徒が続いた。
そんな二人を出迎えるべくアクアはベンチから立ち上がる。「さぁ、一緒に見世物になろう」という意味も込めて、笑顔で手を振った。
そんな時だ―――。
「よいしょっと」
アクアの後ろで、聞き覚えのある―――懐かしい声が聞こえた。
(―――アイっ!?)
アクアは反射的に振り返る。そこに居たのはアイではなく、段ボールを被った奇跡ちゃんだ。立ち上がった彼女は、大きく身体を伸ばしていた。
そんな奇跡ちゃんを見て、周囲の生徒がざわつく。こちらに来てくれるのかと生徒たちの声が一段階大きくなった。
奇跡ちゃんが手を振ると―――生徒たちが黄色い声を上げた。
もはや歓声に近いそれが、響き渡る。そんな彼らの声に交じり、別の声が聞こえた。
―――アクア、入学おめでとう
アクアの耳に聞こえるアイの声。
そんな筈はない。自分でもわかっている。
しかし、もう一度アイの声を聞きたいと、どんなに切望して、願っても叶うことはない。そう思っていた彼女の声が、確かに聞こえた。
しかし、アイの姿は見えない。あれが聞き間違いではないと、そうであってくれと、アクアはアイの姿を必死に探す。
(どこだっ)
しかし、見つからない。
今なお聞こえる生徒たちの声が、アクアに聞き間違えではなかったのかと言っているようだった。
(……何を期待してるんだ……俺は?)
途端に冷静になる。
アクアは高鳴る鼓動を抑えるように息を大きく吸って吐いた。そんなアクアの顔を見て、ルビーが心配そうに首を傾げている。
そして、何時の間にかアクアの隣から居なくなっていた奇跡ちゃんが、二人の近くにいた。
何やら奇跡ちゃんとルビーと桃色の髪の女子生徒で話をしているらしい。
直ぐ近くではあるが、とても行く気にはなれなかった。
どかりとベンチに座ったアクアは、三人の様子をぼんやりと眺める。あの時聞こえたアイの声は、聴き間違いか幻聴だったのだろうか。
まさに、白昼夢を見ている気分だった。
そんなアクアをよそに、何やら楽しそうに握手をしている奇跡ちゃんと桃色の髪の女子生徒―――それを見ながら笑顔で話しているルビーを見て、アクアはふっと笑みを溢した。
(アイのことだから、幽霊になって案外近くで見てくれているのかもな……なんて、都合の良い妄想か)
アクアはベンチから立ち上がり、ルビーたちの元へと向かう。
丁度奇跡ちゃんと話を終えたのか、ルビーと桃色の髪の女子生徒が歩いてくるところだった。
「お待たせアクア~」
「いや、待ってない……奇跡ちゃんは?」
「あの野次馬共をどうにかするみたい」
「おい、口が悪いぞ」
「えー、だってほんとの事じゃん」
チラリとアクアが奇跡ちゃんに視線を向ければ、沢山の生徒に囲まれている彼女が見えた。
どうやら順番にサインやら握手をしているようで、生徒たちは先ほどよりもお行儀よくしていた。
あの人数を捌くのは、中々大変だろう。人気者は辛い。
「それで、ルビーの隣の子は友達か?」
暫く奇跡ちゃんはこちらに来れないとわかったアクアは、ルビーたちと話を始める。
どうやらルビーは入学式初日から友達が出来たらしい。彼女の明るく純粋な性格なら当然であろう。
嬉しそうに話すルビーを見て、アクアも自然と笑みを浮かべた。
―――その夜。
「ミヤえもーん!早く私をアイドルにしてよ~~」
某ネコ型ロボットに登場する少年の真似をしたルビーが、ミヤコに駄々をこねている。
どうしてこうなったのだろう。
アクアは、高校生らしからぬルビーの行動に頭を抱えた。
ルビーが何故こうなったかと言えば、彼女と同じクラスの不知火フリルが影響している。フリルはルビーが今現在最も推している有名人の一人だ。勿論、アイが頂点ではあるが。
そんな現在最推しのフリルに、現時点では名ばかりのアイドルをしているルビーは、「えと……頑張って?」と言われてしまった。
ルビーのクラスは芸能科。全員が同い年とは言え、皆が芸能関係で活躍している。そんな中に紛れるアイドル(自称)。
流石のルビーも焦った。焦った結果が、の〇太君である。
「ミヤえも~~ん。お願いだよぉ~~」
そんなルビーに頭を抱えながら、ミヤコはアイドルグループを作るのがいかに大変かを彼女に説明する。
「メンバーを集めるのも大変なのよ……言い方は悪いけど、変な子を入れる訳にもいかないわ」
「それは……そうだけどさ」
ミヤコとルビーの話を聞いていたアクアは、つい最近再会した童顔の可愛らしい少女と、段ボールを被った女性の姿を思い浮かべた。
「ウチの事務所にいるじゃん……ダンスが上手くて……アイみたいに輝いてる子」
「あー……居たわね。そこらのプロダンサーより上手な子が」
「それに、もう一人当てがあるな……」
有馬かなの笑顔がアクアの頭に浮かぶ。そんな時だ。ミヤコのスマホが鳴った。
「あら、電話だわ」
チラリとスマホの画面を確認したミヤコは、そのままスマホを持って部屋を出る。
どうやら仕事の電話らしい。
こんな夜まで仕事の電話が掛かって来て、それに対応しなければいけないミヤコに、アクアは医者であった前世の自分を重ねる。
未だ「ぶーぶー」言っているルビーを尻目に、アクアは心の中で感謝の言葉を述べた。
☆
アクアが何となくユーチューブ―を見てみれば、奇跡ちゃんの動画が上がっている事に気づく。
タイトルは『元B小町のニノさんと踊ってみた!』である。
久しぶりのコラボ動画だ。しかも、相手はアイと一緒にアイドル活動をしていたメンバーである。
少しだけ複雑な気分だ。
アイとニノはお世辞にも仲の良いメンバーでは無かった。
裏事情を知っているアクアからすれば、そんな相手と奇跡ちゃんのコラボには抵抗がある。幾ら奇跡ちゃんがアイとは違うと言ってもだ。
あと、ニノの年齢的な意味もあるが……それは言ったら失礼だろう。
まぁ、何にせよ奇跡ちゃんの久しぶりの動画だ。
見ないという選択肢はない。
アクアは、同じく奇跡ちゃんのファンであるルビーに彼女の動画が上がっていることを伝える。
「ルビー、奇跡ちゃんの動画上がってるぞ」
「ほんと!?見る見る〜!」
そう言ってアクアの横―――ソファーに座ったルビーは、彼のスマホを見た。
ふわりとお風呂上がりの良い匂いがアクアの鼻を掠める。
ルビーはアイに似て美人だ。そんな彼女の近すぎる距離に若干思うことはあるが、ルビーは大切な家族である。
それ以上特に思うことはなく。アクアはそのままの距離で動画を再生した。
まず目についたのは、段ボールを被りアイの衣装を着た奇跡ちゃん。そして次に、ジャージ姿のニノである。
アクアは、奇跡ちゃんがアイとニノの衣装を借りているのを知っている。
では、どうしてニノはそれを着ずにジャージなのかと一瞬だけ疑問に思うが、彼女がB小町を抜けて十数年経っている。
あの頃とは色々違うのだろう。
「ニノ、何でジャージなんだろ」というルビーの純粋な疑問に、アクアは無言で返した。知らない方が良い事もある。
B小町の曲が流れる―――確かこの曲は、イントロで各々がアピールをする筈だ。
アイなら両手で胸の位置でハートを作り……ニノは、頬っぺたに人差し指を当てる「何時もにこにこ」のポーズだ。
アクアの中には早くも共感性羞恥心が芽生える。身も心も成熟して落ち着いた大人が、何もかも若かった頃の自分にもう一度なる……しかも、その姿が全世界に配信されるのだ。
ニノがアイドルだった頃を知っている人からは「歳を取ったな」「恥ずかしくないのか?」「頑張るなぁ」と言われ。
ニノを知らない若い世代からは「誰このおばさん?」「奇跡ちゃんと合わなくね?」「無理するな」と言われる。
先程チラリと見たコメント欄には、そんなコメントが並んでいた。勿論、否定的なコメントは極少数で、殆どは肯定的なコメントだ。
「懐かしい」「ニノちゃんのダンスをまた見れて嬉しい」「あの頃を思い出す」「頑張って!」等など、見ていて温まるモノばかりだ。
それでも、人は比べてしまう。
輝いていたあの頃と、燻んでしまった今を。それは本人が一番わかっているだろう。
自分だったらできるだろうか?
役者になってやる!とやる気に満ちて輝いていたあの頃と、自分にはアイ程の才能がないと諦めてしまった自分に―――答えなど、言わなくてもわかっている。
アクアは、ニノを少しだけ見直した。
仮にどんなに酷い物だったとしても、アクアは最後まで見るつもりだ。幸い、過去一酷いドラマを最近見たばかりだから、そっち関係の耐性は付いている。
『みんなー!!』
奇跡ちゃんがアイの声に合わせてポーズをとる。
そして次はニノの番だ。
『何時もにこにこー!ニノだよっ!』
花が咲くような笑顔のニノ。
あの頃と変わらない―――いや、昔よりも強く光輝いているニノを、アクアは見た。
ニノの幸せな気持ちが、嬉しいと言う感情が、強く強く―――鬱陶しいと思えるほど心にくる。だが、嫌いじゃない。
「笑顔」「楽しい」「嬉しい」そういった感情に、強制的に引きずり込まれるような感覚だ。
アクアの気分が高揚するのがわかる。
気持ちの整理が付かないまま、曲が始まった。
―――ダンスは、普通だった。
ニノのダンスは、思ったよりも見れるダンスだった。
隣に奇跡ちゃんがいるせいでどうしても彼女の完璧なダンスと比べてしまうが、それでもニノのダンスはそこらの地下アイドルよりも上だった。
動画が終わる。
「ニノのダンス、意外に良かったな」
「……」
アクアがルビーに話しかけるが、返事がない。
どうしたのかと不思議に思っていると―――。
「もう一回……」
「え?」
「もう一回、再生して」
「……?あぁ」
疑問に思いながらも、アクアはもう一度動画を再生した。
先程と同じ映像が流れる。それを食い入るように見るルビーを見て、アクアも何か気になる事があるのかと動画に集中する。
近くでアイのダンスを見てきたからわかる。
奇跡ちゃんのダンスは、完璧と言っても過言ではない。
まさにアイの生き写しのような―――文字通り奇跡のような存在だ。だから、ルビーが何に気づいたのか、はたまた違和感を覚えたのかはわからない。
ルビーはアクアと同じ前世の記憶を持っているが、紛れもなくアイの子供である。彼女のダンスの才能は、双子であるアクアより飛びぬけて高い。
きっと、ルビーにしかわからない何かがあるのだろう。
アクアは、食い入るように動画を見るルビーを静かに見守った。
「ちょっと来て」
「おっおい」
動画を見終わったルビーが、ソファから立ち上がる。
そして、アクアの袖を引っ張りながら自分の部屋へと向かった。
扉を閉めて鍵までかけたルビーは、真剣な表情でアクアに問いかける。
「ねぇアクア、奇跡ちゃんと会ったって言ったよね?」
「あぁ」
「奇跡ちゃんの素顔は見てないんだよね?」
「ん?あぁ……マスクとサングラスをかけていたからな。わからなかった」
「じゃあ、ある程度の輪郭と髪色とかはわかるんだ」
そう言ってルビーは、机に置いてある写真立てに写るアイを見た。
―――ルビーの言いたい事がわかった。
そして、それがどんなにバカげた事で、悲しい現実が待っているのかも。
「確かにアイと同じ髪色、髪型だったな」
「っ!!じゃあ!!」
「……ありえないだろ。確かに俺たちは前世の記憶を持っているが、奇跡ちゃんはアイが死ぬ前にもう生まれている」
「でも、もしかしたら奇跡ちゃんはママの……」
「ルビー」
「っ!?」
アクアは、暗い表情で写真立てに写るアイを見る。ルビーが自分を見ている事がわかるが、今彼女と顔を合わせる訳にはいかない。
視線が合ってしまえば、自分の中で燻っている非現実的な考えが再熱してしまうからだ。
「ルビー、この話は止めよう」
「……わかった」
アクアの顔には何の感情を浮かんでいない。しかし、ルビーにはアクアの顔が今にも泣きだしてしまいそうに見えた。
流石に、これ以上話を続けるのは無理がある。
ルビーは、部屋から出ていくアクアを無言で見送ると、スマホを取り出した。
「……ちゃんと自分の目で確認するまで、私は希望を捨てない」
ルビーは、最近連絡先を交換した奇跡ちゃんにメッセージを送信した。
ここまで読んで下さった読者の皆様ありがとうございます。
正直、今回のアクアと奇跡ちゃんの会話?、アクアの行動には少し不満が残っています……原作のアクアならもう少しこうしたんじゃ……と思って悩んでいましたが、ずっと悩んでモチベーション低下からの投稿なし。はどうかと思ったので投稿しました。
初めての作品なので、拙いのは当たり前。大事なのは投稿を辞めないこと!
勿論、原作を蔑ろにしないようにこれからも頑張ります。
長々と失礼しました。
遂にルビーちゃんが始動します。