ゲヘナ最強の双子の姉   作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。

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ただ一人 何も知らずに 夢の中

ワカモの尻尾にくるまってすやすやとお昼寝しているミツキを眺めていると、突然デスクに置いてある電話が鳴った。どうしたのかとソファから離れ受話器を手に取ると、リンの焦ったような声が聞こえてくる。

 

「先生、まさかと思いある程度の監視をしていましたが、複数の生徒がシャーレに向かっています。注意してください」

 

注意……?まさか、本当にみんな突撃してきたの……?

 

「ミツキさんに万が一のことは無いようお願いしますね?風紀委員長を怒らせたらどうなるか分かりませんから」

 

"わ、分かった、なんとかしてみるよ"

 

ガチャッと受話器を置いて駆け足で入り口へと向かう。これ以上ヒナに怒られる要素を作ってたまるか!信頼して預けてくれたんだから、その信頼に応えないと!

 

「先生、どうしたのですか?」

 

"あぁ、どうやらミツキが小さくなったことを知った生徒たちが押し寄せてるみたいでね!ちょっと対応に行ってくるよ!"

 

こちらを気遣っているワカモに端的に伝え、そのまま外へ出た。今のところは誰も来ていないらしい。空を見上げると、透き通るような青の中に真っ白な雲が浮かんでいる。

 

"……いい天気だなぁ"

 

なんか、綺麗すぎて良くないことが起こりそうだよ。なんて、縁起でもないね。どうせミツキは寝てるし、ヒナももうすぐ来るし、誰か来ても帰ってもらおう。

 

よし、と身構えていると、複数の足音が聞こえてきた。それも各方位から。

 

 

「あっ!ご主人様!」「本当か!?」「先生!」「なんだ、ミツキさんいないじゃん」「ミツキさんはどこですか!?」「ミツキに会いに来た、通してくれ」「なんで連れていないんですか!?先生はなんっにも分かってないですね!!」etc.

 

 

アスナにカリンにアイリにカズサにヒフミにアズサに……多くない?見えてない所にまだいるだろうし、というか今アコいなかった?なんでいるの?ヒナもまだ来てないんだよ?

 

"あ、あはは……なんでこんな大勢……?"

 

ちょーっと想像以上というか、なんていうか……無理でしょ!リン!!助けて!!これは無理だよ!!

 

「えー、私はミツキちゃんがちっちゃくなったーって分かったから急いで来ただけだよ?きっとみんなそうなんじゃないかな~?」

 

うーん、うーん……困った。非常に困った。正面からビシビシと視線を感じる。すんごい見てくる。なんだろう、ものすごく緊張してきた。

 

"み、みんな、今日は帰ってもらうことってできるかい?"

 

「「「「「「……」」」」」」

 

無理そう。全員一切帰る気ないよ。なんなら期待の眼差しがすごい。ど、どうしろと……?無理なものは無理だよ?

 

"み、みんなも今日はミツキが外出していたことは知っているだろう?それで今は疲れて寝てるからさ、出直して欲しいなぁって……"

 

「「「!!」」」

 

な、なんだ!?突然数人の目が見開いたぞ!?ガタッて体が動きだしそうになってたし!!……今ユウカいなかった?

 

"そ、それに、こんな人数じゃ会いに行っても迷惑になっちゃうだろうし……ね?"

 

……。

 

……あれ?反応が無い。

 

「こんな人数じゃ……?」

 

「それって……」

 

ん?なんでみんなソワソワしながら顔を合わせてるの?んん!?待って!なんで銃を手に持った!?

 

「勝ち残った人だけがミツキさんに会えるってことですか!?」

 

はい……?ヒフミ、君は何を言って……

 

バァンッ!!

 

「退きなさい!ミツキさんを独占するのは貴方達ではなく、この私です!」

 

アコォォォォ!?!?本当に撃っちゃったらもう収拾がつかな――

 

「駄目だよ!私もちっちゃいミツキちゃんいーっぱいかわいがるんだから!いくよカリンちゃん!」

 

「了解!」

 

"ま、待って!!みんな!!話を聞いて!!"

 

バァンッ!!ダンッ!!ダダダダダダッ!!

 

わぁ……!誰も話を聞いてくれない……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『せ、先生、これ、どうするんですか?』

 

"どうするって……どうにかできたら良かったんだけどね"

 

『……』

 

"誰も話聞いてくれないし、普通に流れ弾で周りに被害出てるし。あぁ、絶対事後処理が面倒くさいやつだ……"

 

『が、頑張ってください』

 

"はぁ……"

 

どうしてこうなったんだろう。ポツンと寂しくシャーレの入り口で立ち尽くす私の目の前には戦場が広がっていた。私はみんなに帰ってほしかっただけなんだ。別にここで勝ち残ってもミツキには会えないし、完全に無駄な争いが起きている。

 

でも、止められない。話を聞かないから。声が届かないから。私は先生としてまだまだってことなのかな……というか、これ普通に学園間の問題にならない?大丈夫なの?早くヒナ来て……。

 

すると、ヒナの来訪を願うことしかできない私の背後に、誰かが立っているような気配を感じた。

 

「あなた様」

 

"ワカモ!?"

 

ミツキと一緒にいるんじゃないの!?

 

「ええ、あなた様のワカモです。この騒音、あなた様のことが心配で……それで、なぜこのような事態に?」

 

"じ、実は――

 

 

 

――ということで、みんな争い合ってるんだ"

 

「なるほど、つまり目の前で起きている戦闘はあなた様が望んでいないもので、迷惑をかける屑共に困り果てている、と」

 

"い、いや、そこまでは言ってないけど……"

 

「ふふ、ふふふふ、困ってしまいますね。こうも五月蝿くされては……うふふふふ」

 

"ワカモ!?"

 

「お任せください、このワカモ、一人残らず壊してみせます」

 

"壊す!?"

 

あっ、行っちゃった……。

 

 

「なっ!?なんで災厄の狐が!?」「ぎゃんっ!?」「あなたもミツキちゃんを狙ってるの?負けないからね!」「一人増えた所でやることは変わりません!」「ヒフミ、今増えた一人、かなりの実力者だ」「ミツキさん待っててください!」etc.

 

 

あぁもう……めちゃくちゃだよ……ワカモまで参戦しちゃったし……。どうしたものか。

 

ワカモが参戦したことでより激しさを増した戦場を呆然と眺めていると、戦場の向こう側から見覚えのある、安心感のある生徒が現れた。

 

「先生、これはどういう状況かしら」

 

"ひ、ヒナ!!"

 

「ふ、風紀委員長まで!?」「くっ!」「保護者が来ちゃった!」「先輩、ひ、引いた方がいいんじゃ……」「えー!?いけるところまでいくよ!」「ろ、ロリが増えた!」etc.

 

"ヒナ!!みんなミツキ目当てで争いになっている!!ワカモは味方だ!!"

 

「へぇ……なら、私が蹴散らしてもいい正当な理由があるわけね」

 

そう言いながらヒナは腰を入れ、おもむろにデストロイヤーを構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、ヒナとワカモのおかげで争いは収まった。その場に倒れ伏す者、諦めて降伏した者など……

 

「ふぅ、終わったわね。……ん?」

 

「「」」ガクガクブルブル

 

唯一、端っこで抱き合いながら震えているミドリとユズ以外の戦闘不能をもってして。

 

「……貴方達も来ていたのね。今のうちに帰りなさい」

 

「「……っ!!」」

 

ミドリとユズは激しく上下に首を振り、そのまま帰路に着く。恐ろしい何かから逃げるように、慌てて走っていった。それを見送っていると、視界の端で僅かに何かが動いたような気がした。

 

私がその何かに視線を向けるよりも早く、ヒナはその動いた何かに向けてデストロイヤーを構えていた。

 

「で、何か言い訳があるのなら聞くわよ。アコ」

 

「……」

 

ピシリと、何か(アコ)の動きが止まった。アコはヒナにバレずに逃げようとしていたのか、うつ伏せの状態で腕を伸ばしている。匍匐前進でもしてたのかな?今はその姿勢のまま大量の汗をかいているのが見える。

 

「こんなところで会えるなんて奇遇ね。風紀委員の仕事を放棄してどこに行ったのかと心配したわ」

 

「い、委員長!!これは違くてですね!!何かの間違いが……!!」

 

「間違いなのは貴方の行動よ」

 

ダダダダダダッッ!!

 

「ギュピピピピピッ!?」

 

たった一人に対してのデストロイヤー連射。アコは死んだ。

 

「はぁ……先生、早くシャーレに行きましょう」

 

"う、うん"

 

目の前の惨状(所々がボコボコになった地面や壁)*1から逃げるように踵を返し、建物の中へ。だが、戦ってくれていたワカモの姿が見えない。

 

"あれ、ワカモは?"

 

「ワカモはもう居ないわ。さっさとどこかに行ってしまったから」

 

"そうなんだ、今度お礼を言わないとなぁ"

 

「そうね、どういう経緯かは分からないけれど止めようとしてくれていたのでしょう?私も感謝した方がいいかしら」

 

"ミツキの面倒を見てくれてたからね"

 

「……あの災厄の狐が?」

 

"うん、ミツキと結構仲良いんだよ"

 

「ど、どういうこと……?姉さん……?」

 

うーん、とても困惑してるね。やっぱりワカモと仲良くなるって相当すごいことなのでは……?流石ミツキ。でも今度からはもう少し周りとの距離感考えてね。今回みたいなこと起きるからね。いつか攫われたり危ない目に遭いそうで心配だよ。

 

ヒナと二人、特に急ぐこともなく普通に歩いてシャーレへ戻ると、そこではソファで横になっているミツキの姿があった。その体には先程までは無かったはずのブランケットが掛けられており、今もまだ起きていないらしい。

 

「ふふ、かわいいわね」

 

ヒナは引き寄せられるようにミツキのいるソファへ向かい、横にデストロイヤーを立てかけてからミツキの頭上に座った。そして、そのままそーっとミツキの頭を持ち上げて体ごと引き寄せ、膝枕の体勢に移行する。

 

す、すごい!動きに迷いがない!しかも当然のように膝枕をして頭を優しくなでている!たまにほっぺもツンツンしてる!

 

「んへ……」

 

んあぁぁぁ!!にへらって!!にへらって感じで笑ってるのカワイイ!!寝ててもなでなでされて喜んでるんだね!!なんだこの子かわいすぎんだろ!!

 

「で、先生。今日あったことを教えてもらえるかしら」

 

"あ、うん……"

 

急に現実に戻すのはよくない。今スンってなった。悲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

全てを話し終わった後に放たれた特大ため息が私の罪悪感をこれでもかと刺激してくる。だってヒナが預けてくれたのに大ごとになっちゃったし。SNSで広まっちゃったし。……いい所が一つも無い!?

 

"ごめんヒナ。私の意識が足りてなかった。こんなことになるなんて……"

 

「いえ、姉さんがこうなってしまった原因を調べに行ってくれたわけだし、先生は悪くないわ」

 

うっ、優しさが心にクる……。

 

"ごめんね……"

 

「いいわよ。それより、なぜ私じゃなくてあの三人を選んだのか理解に苦しむわ」

 

"????だ、だってヒナから預けてもらってすぐヒナを呼び戻すのは……というか、風紀委員の仕事があるから私に預けたんじゃ……"

 

「休むわ」

 

"えぇ……"

 

「普段の業務なんかより姉さんの方が大事だもの」

 

"そ、そうなんだ、ごめんね気が利かなくて"

 

「ふふ、冗談よ。あの人選も、一応理解はしてるから」

 

そっか……一応なんだ……理解してない部分もあるのかな。下手なことは言わないでおこう。

 

「これからのことなのだけれど、このままだと恐らくまた似たようなことが起きるわ。姉さんが元に戻るのにも時間がかかるようだし……」

 

"確かにそうだね"

 

「だから、明日からも先生の所に預けるわね」

 

"え?ど、どうして……?"

 

「みんなは姉さんに会いたくて暴動を起こしたのでしょう?なら、シャーレの当番を明日から少し変えて、数人ずつ姉さんに会える時間をこっちから提供してあげればいい」

 

"となると、その数人を私が見張ってれば良いってことかな?"

 

「ええ。もし当番でもないのに無理やり会おうとしたら当番になる権利を剥奪する、とかね」

 

"なるほど……当番で会えるのにわざわざ会えなくなるリスクは負いたくないもんね。こっちが見守りやすいよう人数を制限し、他の子にはルールで自制させるのか"

 

「私が毎日武力行使で守ってもいいのだけれど……姉さんは姉さんの取り合いで争いが起きるなんて嫌だろうから。それに毎日アレと顔を合わせるのもちょっと……」

 

……ママかな?我が子を思う親みたいになってるよ。アレが何かは聞かないけど。聞かなくても大体分かるし。

 

「だから、明日からも姉さんをお願いしていいかしら」

 

"もちろん!今日みたいなことは起こらないように気をつけるよ!"

 

それからは、ヒナの膝の上で寝ているミツキを二人で見守っていた。幸せそうな寝顔に思わず頬を緩めながら。

*1
と、蜂の巣になったとある肉片




わちゃわちゃしてるセリフ部分、誰がどのセリフを言っているかはご想像にお任せです。数が多いのでね。

やっと、やっと色んな子とロリミツキを絡ませられるぞ!ここまで長かった……なんで10話も使ってるんだ、マジで。






祝、「ゲヘナ最強の双子の姉」通算100話投稿!
ここまで続くとは思ってもみませんでした。本当に。いつも見てくださってありがとうございます。
まあ、別に100話記念のお話が~みたいなのは無いんですケド……。

……R-18でもそろそろ更新しようかしら。
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