ゲヘナ最強の双子の姉 作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。
姉さんが起きた後、先生とそこそこの会話を行ってから私達は帰路に着く。
左肩にデストロイヤーのスリングをかけて右手側にデストロイヤーを追いやり、私の左手には姉さんの小さなおててがすっぽりと収まっていた。すべすべぷにぷにのおててが。
姉さんは写真に写っていた時もかぶっていた白い大きな帽子をかぶり、その顔はつばによって隠れ伺うことができない。少しだけ寂しいような、距離を感じるような気もするけれど、姉さんの狭い歩幅に合わせてゆっくりと歩くこの時間は私の心をぽかぽかと温めていく。
でも、それを自覚してからはなんとなく気恥ずかしくて、誤魔化すように言葉を紡いだ。
「……姉さん、さっきはぐっすり寝てたわね」
「うん、ちょっとつかれちゃって」
「そうね。今日は長距離を移動したし検査もしてもらって、大変だったわね」
「あっ、わたしね!おちゅうしゃしたんだよ!おちゅうしゃ!」
バッとこちらを見上げた姉さんと目が合う。そういえば、先生がそんなことを言っていたわね。嫌がる姉さんに対して半ば強引に採血をしてしまったと申し訳なさそうだったけれど。
「あら、大丈夫だった?姉さんは注射嫌いだったじゃない」
「う、うん。でもね、がんばってがまんしたよ!」
……なんかすごい期待の込められた瞳が見える。がんばったんだよ!って目で言ってるもの。こちらをじーっと見つめてかわいいわね。もちろん期待に応えてあげないと。
「そうなの?我慢できて偉いわね」
「うん!」
あーかわいい。褒められて嬉しそうに私と繋いだ手をブンブン振ってるわ。にこにこしててご機嫌そう。
「あとねあとね!みんなやさしかったよ!ぎゅーしてくれたりなでなでしてくれたの!」
「それはよかったわね」
「それでね――
そうして、今日のことを楽しそうに語る姉さんに相槌を打ちながら私達は家まで帰ったのだった。
行きも帰りもずっと抱っこしていたらしい陸八魔アルには今度話を聞かないといけないわね。場合によっては武力行使も辞さない。
家に帰ったら私が先に風呂に入り、その後姉さんが入ることになった。姉さんが風呂に入っている間に私が夕ご飯を作るから。
さっと風呂に入り、脱衣場でいつもの寝間着に着替えて長い髪を乾かす。なかなかに時間のかかるそれを終わらせると、姉さんが折り畳まったグレーのもこもことした服を抱えて脱衣場に入ってきた。
「おわったー?」
「ふふ、丁度今終わったわよ」
「おふろー!」
……姉さん今日もアレ着るのね。保つかしら私の理性。
「ひな、おふろでたよー!」
「ええ、こっちもあとは盛り付けるだけよ。そこにできてるやつは持って行ってもらえるかしら」
「わかったー」
後ろから声が聞こえるが、努めて後ろと横を見ないようにしながら盛り付けに集中していく。お皿に乗せるだけなのだけれど、姉さんに意識を持っていかれるとまともに終わる気がしないもの。
そんな私の隣からテーブルまで、姉さんがお皿を持って行って帰ってきてを繰り返す。
てちてち……
行って、帰って。
てちてち……
行って……帰って……。
てちてち……
「……」
かわいすぎるっ!なんなの!?なんでそんな足音までかわいいの!?少し湿った感じというか、風呂上がりの柔らかい肌だからフローリングに触れる時にいつも以上に音が出てる!
それやめてくれないかしら。力加減ができない。料理が一品無駄になってもいいのなら構わないのだけれど。思わず手に持っているものを投げ捨てて抱きしめたくなるわ。抱きしめていっぱいなでまわしてあげたい。
なんとか、なんとか料理を移し終えてフライパンや菜箸を洗う。料理の合間に他の物は洗っていたから量は多くない。多くないのだけれど、こういうときの姉さんは決まって……
「ひなー!」
ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛っ!!
抱き着いてくるのやめて!本当にやめて!朝も夜もこんなことされると理性がゴリゴリ削られていくから!分かってても対応できるわけじゃないから!ほら、もう手に力が入りすぎてスポンジが見るも無残な姿に……!
しかもお腹に回された腕、さっきのグレーのもこもことした袖が見えるわね。これ、マズいわ。逃げ場がない。どうしましょう。
「ね、姉さん、もうすぐ終わるから向こうで待っててくれるかしら」
「うん、わかった」
っ!?き、聞き分けがいい!腕も離れていって……助かったわ。もう少しでフライパンの持ち手も粉砕するところだった。よし、姉さんのためにも早く終わらせましょう。
急いで洗って拭いて、定位置に戻してからエプロンを外す。そしてテーブルへ向かうと、そこには椅子に座って足をプラプラしながら私を待っている姉さんがいた。……グレーでもこもこの、猫モチーフのパジャマに身を包んだ姿で。
「ぐッ……!」
か、かわいすぎる……!!今の姉さんはただでさえふわふわもちもちって感じなのに、さらにもこもこしたパジャマを着るなんて!!しかもデフォルメされた猫の顔がデザインされて耳まで付いてるフードが!!お腹の辺りに左右二つ付いてる大きめのポケットには肉球までデザインされてる!!
こんなの!!こんなの人を殺すためにあるようなものじゃない!!なんてものを生み出してしまったの!?キララ!!エリカ!!姉さんが猫を好きなこと知っていたでしょう!?それなのにこんな服提案したら着るに決まってるじゃない!!流石に今はフードをしていないけれどそれでもかわいさが天元突破してるわ!!
「あ、おわったの?」
「え、ええ、終わったわ。早く食べましょう」
「うん!いただきまーす!」
だ、大丈夫、いくら姉さんが人を殺せるかわいさを放っていたとしても、視界に入れなければいいのだから。まだ私は正常よ。大丈夫。
もきゅもきゅ……
自分の手元だけを見て食べていればなんの問題も……。
もきゅもきゅ……
なんの問題も……。
こくこく……
な、なんの……。
もきゅもきゅ……
「……」
なぜ!?なぜ咀嚼音すらかわいく聞こえてくるの!?たまに飲み物を飲む音で少しリズム変えてくるし!!どうしてこんなッ――
ア゛ッッ!!ちっちゃいお口で精一杯咀嚼してる!!たくさんお口に詰め込んでたくさん噛んでる!!かわいい!!小動物感すごい!!しかも飲み物を飲む時はグラスをちっちゃい両手で持ってるわ!!かわいい!!
あぁ、癒される……日々の疲れどころか明日明後日の疲れまで消し飛ばせそう……。ついでに理性も存在も消し飛ばされそう……。
終わった、ようやく終わった。ご飯も食べたし食器も洗った。なんなら歯磨きも終わらせた。ここまで耐え抜いた私を誰か褒めてほしい。どうして姉さんの発する音はかわいい音しかないのかしら。
歯磨きとか姉さんのだけちゅこちゅこしゃこしゃこ聞こえるもの。私はシャカシャカなのに。わざと?昨日の私はどうやって耐えていたのかしら。
……昨日は夕ご飯のときに姉さんを膝の上に乗せてから先の記憶がないわ。おかしいわね。
「姉さん、そろそろ寝るわよ」
「でも、あんまりねむくないよ?」
「沢山お昼寝したものね。でも、明日も朝からシャーレに行くから早く寝ないと駄目よ」
「むぅ……わかったぁ」
私がベッドに横になると、姉さんはトボトボとこちらにやってきてそのままいそいそと私のベッドに乗り込み隣で横になった。
「ね、姉さん?」
「いっしょにねる~!」
ウ゛ッ!!!!し、心臓が!!!!
だ、駄目よ!変なリアクションをしては駄目!今の姉さんに気味悪がられたらすぐにでも死ねる自身がある!平常心、平常心、平常心、平常心、平常心……。
「まったく……ほら、おいで」
「ん」
にやけそうになる顔を表情筋で無理やり抑えながら姉さんのいる方へ体を横に向けてベッド側の腕を差し出すと、姉さんはその腕に頭を乗せて私に身を寄せてきた。十分近い距離になったらもう片方の腕を姉さんの背中に回し、そのまま抱き寄せる。
あー!パジャマがもこもこしてて手触りがいいわ!それにあったかいし柔らかいしいい匂いがする!なんで?私と同じシャンプーよね?風呂上がりの手入れも同じよね?なんでこんな甘くていい匂いがするの?
「……」
……私から迎え入れたけれど離れてくれないかしら。なんかジッとしてると色々おかしくなりそう。あっ!姉さんのおててが小さく私の服を掴んでる!なにこれかわいい!
「……姉さん」
「なぁに?」
「……姉さんはどうしてこんなにかわいいのかしら」
「ぅ?……うに……」
こちらを上目遣いで見上げている姉さんの柔らかそうなほっぺをむにむにと揉みしだく。指がむにゅって沈むしみずみずしい肌は手に吸い付いてくる。
こんな兵器を普段から見せびらかしていたなんて許せないわね。罰としてこれでもかと触らせてもらうわ。いったいどれだけ我慢させられていたか……誇張抜きにずっと触っていたいし、こんなの誰であってもメロメロにできそうね。
今も頭に疑問符を浮かべたまま大きなおめめをまんまるにして、それでもされるがままの姉さんは大変、大変かわいらしい。いっそのこと食べちゃおうかしら。このほっぺ絶対美味しい。もちもちなほっぺを咥えてむにーって伸ばしてもいいしはむはむしてもよさそうね。
「むゅ……ひにゃ……?」
ひにゃ!!??!?!?
きゃ、きゃわいい!!どうしてそんなにかわいいの!!これ以上私を夢中にさせてどうしたいのかしら!!猫のパジャマが余計破壊力を増してるわ!!どうせならフードも被せてしまいましょう!!
はい、猫姉さん完成!!かわわわわっ!!この服は姉さんのためにあったのね!!
「姉さん、とっても似合ってるわ」
思わずぎゅーっと抱きしめてフードの上から姉さんの頭をポンポンと叩くと、姉さんは離れようとせず抱き寄せられた状態で私の肩にスリスリと顔を押し当ててきた。
「ぁッ――
「……ぅうん、あ、朝……?」
薄っすらと開いた目からは、ほんのり明るくなった室内の情報が入ってくる。そして、体がぽかぽかと暖かい。カーテン越しに太陽の光が当たっているらしい。このまま二度寝したらきっと気持ちいいわね。
「……ん?」
ふと腕と肩に変な感覚を覚えて薄っすらではなくしっかりと目を開けると、私の肩には姉さんの頭があった。
「……っ!?っ!?!!?っ!?!??!?!?!」
なんでっ!?なんで姉さんがここに!?あーっ!!猫のフードしっかり被ってる!!かわいい!!しっ、心臓が張り裂けそうっ!!
よく叫ばなかった私!すごいわ私!……そういえば昨日は抱きしめたまま意識を飛ばしたんだったわね。
ひ、一晩このままだったのね。流石に腕が痺れてるわ。腕の違和感はそれね。朝の準備もしないといけないし、そーっと姉さんの頭を持ち上げてゆっくり腕を引き抜いて……
「すぅ……すぅ……」
よし、姉さんは眠ったまま離れられたわ。
……何度見てもかわいいわね。写真でも撮っておこうかしら。カーテンを開けて室内を明るくしたら姉さんに日の光が直接当たるようになってしまったけれど、まあいいわよね。暖かいだろうし。そろそろ起きないといけない時間だし。
パシャッ、パシャッ、パシャッ
うん、かわいい。このもこもこ猫パジャマを選んでくれたキララとエリカにもおすそ分けしてあげようかしら。
「うぅん……」
っ!!お、起きた……!?
突然姉さんが声を出し、腕もピクリと動いた。思わず持っていたスマホを背後に隠すと、姉さんはそのままもぞもぞと動いて手足を体の前で折りたたみ、首や背中も丸めていった。
姉さんの動きが止まる頃、姉さんは完全に丸まってまた安らかな寝息を立てていた。
「すぅ……すぅ……」
かわっ……何この生き物!?日当たりの良い所で?ふわふわの体を丸めて小さくなって?すやすやおねんね?
完全に猫!!日向ぼっこしてる猫!!こんなかわいい存在が私の目の前にいて我慢できるわけないじゃない!!
「……」
いつの間にか私の体は姉さんのすぐ目の前まで近付いており、その丸まった体の中心、手足や胴体の間にできる少しへこんだ部分に顔を突っ込んでいた。
「すぅーーー……」
あーー、あったかいしすごい姉さんの匂い……。顔に触れる服がふわふわもこもこしてるから姉さんが大きな猫になったみたい。しあわせ……ここに住みたい……。
結局この
ちっちゃい子供用のもこもこパジャマを着てたらかわいいよねっていうお話。キララとエリカは朝からロリ猫ミツキのすやすやお写真が見れてほっこり。なおヒナの理性()
てかコイツ寝てばっかやな。