ゲヘナ最強の双子の姉   作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。

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ミツキがトリニティに到着する少し前のお話です。ミツキは話には出てきますが出てきません。ぶっちゃけ説明回です。初(多分)の三人称視点になります。三人称とかお堅い文って難しいですね。


無自覚の火薬庫って最悪では?

 

広く大きな机の前に一人の少女が座っている。その手には紅茶の入ったカップがあり、一度口をつけてからそのカップをソーサーの上に置いた。カチャリと鳴る音がやけに大きく聞こえるほどに、今この場は静寂が支配している。

 

その少女に対面するのは先生と呼ばれるキヴォトスにやってきた大人の男性であり、彼がこの場に来るのは二度目である。目の前の少女に呼び出され、彼女が口を開くのをただ何も言わず待っていた。すると、少女は先生を見ることもなく語り始める。

 

「空崎ミツキさん……かの空崎ヒナさんの双子の姉ではありますが戦闘は行わず、むしろ避けるような性格。ゲヘナでは珍しいかなりの善人であるとされ、その善性ゆえかゲヘナの様々な方面の人物と親交があり顔も広いとのことです」

 

"……なぜ突然ミツキの話を?何かあったのかい?聞いた限りでは問題なさそうな生徒だけど"

 

先生もミツキのことは知っている。かつてアビドスでの窮地をなんとかするためにゲヘナへ行った際に出会った。その時自身がミツキに抱いた印象と少女の話す内容が乖離していることもなく、そして彼女がトリニティで問題を起こすとも考えにくかった。

 

「彼女が本日からトリニティに外交官として派遣されます」

 

"外交官?"

 

「外交官とは少々名前が大きい気もしますが、立ち位置的にはそう表すのが適切かと。表向きにはエデン条約を目前としたトリニティとゲヘナの橋渡しが主な役割です」

 

そう語る少女の顔は依然先生の方を向くことはなく、机に置かれたカップとソーサーを見つめている。

 

"表向きには……?"

 

「……そもそも、彼女が外交官という過去に例を見ない肩書きを持ってトリニティに来ることになった原因は私達にあります」

 

「補習授業部の利用……そこまではよかったのですが、更にそこの担任としてシャーレの先生を招きました。それもエデン条約の締結が近くなった今この時に、長期間トリニティに縛り付けるような……外部から見ていれば警戒するのは当然です」

 

「私達は中立のはずの超法規的なシャーレを身内に招くということを少々甘く見ていたようです。何かあれば先生がシャーレの権限を使用することができる。先生がやろうと思えばトリニティとゲヘナの釣り合いが取れている現状をひっくり返すことだってできます。この手札はあまりにも強大でした」

 

"私はそんなことしないよ"

 

「……先生にやるつもりがなくとも、それを周囲の人は知ることもできませんし簡単に信じることはできません。先生がいるというだけで警戒するには充分なのですよ。人を信じるというのはそう簡単なことではありません」

 

"……"

 

「そのためゲヘナ側は外交官というていで監視役をつけたのだと思われます。私達とシャーレの動向に注視するためと、先生がどのような人物かを見極めるために。それを断るということは何か企みがあると宣言するのと同義、断ることは不可能です」

 

"……私を見極める?"

 

「ええ、先生の活躍は私達も聞いてはいましたがそれでも先生本人の人物像は実際に会うまで分かりませんでした。ですのであちらもいまだ先生のことははっきりしないまま。ならばこの機に先生とはどのような人なのかもついでに知ろうということでしょう」

 

キヴォトス中に知られている先生の活躍。だが、肝心の先生本人の話は核心をつくものが無い。事実はいくらでも真偽を確かめることができるが、印象というものは人によって異なってしまう。だからそれを確かめる、ということも目的の一つだろうと少女は判断していた。

 

そしてこれからが話の本題であると、少女は先生に対して正面に体の向きを直し、ここにきて初めて先生と目を合わせた。

 

「先生には更にお願い事が増えてしまいますが、補習授業部の活動の傍らでミツキさんを監視及び守ってあげてください」

 

"……外交官としてやってくるミツキの方を守るのかい?"

 

「ええ、そうです。私は調査によって彼女に害は無いと判断しました。更にゲヘナを代表する外交官としてやってくる彼女が問題を起こすとも考えにくいです。そのため彼女の行動に関しては監視するだけでよろしいかと」

 

ならばなぜ、と疑問符を浮かべた先生に対し少女は軽く目を伏せながら小さく、されど静寂が支配したこの空間では明瞭に聞こえるように語る。

 

「問題を起こしそうなのは私達トリニティの方なのです」

 

「私達トリニティとゲヘナは互いの仲が良いとは言えません。そしてミツキさんはたった一人トリニティにやってきたゲヘナ生……嘆かわしいことですがトリニティの皆さんが全員大人しくしていてくださるとは思えないのです」

 

トリニティがゲヘナを嫌っていることを少女は知っている。正義実現委員会の副委員長が『そう』なのだ。大なり小なり他にも似たような人がいることくらいは簡単に想像できた。正義実現委員会の副委員長という立場の人物があからさまに手を出すとは考えにくいが、他の生徒が何もしないという保証はない。

 

「ティーパーティーという立場にいながらトリニティの皆さんを信用することも制御することもできない私を笑ってくださっても構いません。ですが、ミツキさんに何かあっては困るのです」

 

"エデン条約に影響が?"

 

「それだけならばまだいいほうです。最悪の場合トリニティとゲヘナの正面衝突……戦争が始まります」

 

"戦争だって!?"

 

少女は声を荒げる先生を注意することもなく、ただ静かに頷いた。そして言葉を選ぶように音が出ないままの口を開いては閉じてを繰り返し、少しの間が空いてから言葉を紡いだ。

 

「……これまでトリニティとゲヘナは互いを毛嫌いし、小競り合いも多発していました。それが大事に至らなかったのは冷静に事態を把握し、静止をかけることができる人がいたからです」

 

「例えば、空崎ヒナさんのような……」

 

「ミツキさんに何かあってはヒナさんも確実に敵対するでしょう。自身の身内を攻撃されて黙っている訳がありませんから。話によるとかなり仲もいい様子ですし……先生なら、現在ゲヘナの治安を維持している風紀委員が敵対するという意味が分かるでしょう?」

 

"それは……"

 

そこまで話し、ふと少女は何か思い当たることがあったのか顎に手をやり考え込むような仕草をとった。

 

……もしかして、万魔殿がミツキさんを外交官として選抜したのはそういった意味もあるのでしょうか?

 

完全に敵対する理由を作るためにミツキさんを利用して……?

 

ならそもそも万魔殿はエデン条約など結ぶつもりも……

 

"ナギサ?"

 

深く思考に沈み、周りが見えなくなっていった少女を見かねた先生が名を呼ぶと、ハッとしたように少女は顔を上げ、先生の目を見た。そして瞼を閉じ、一度深く呼吸をしてから再度先生の目を見て語りだした。

 

「……いえ、すみません。今のは過ぎた考えでした。ここまで来たのです。今はエデン条約を確実なものとすることを考えなくてはいけませんね」

 

「ですので先生、ミツキさんのことをお願いします」

 

"ああ、わかった。先生という立場の私が近くにいればミツキには手を出しにくいはずだ。出来る限りミツキのそばから離れないようにしておくよ"

 

「はい、それに伴ってミツキさんはシャーレ預かりとなりますのでよろしくお願いします」

 

"え!?"

 

「これはティーパーティーと万魔殿の総意です。こうすることがお互いにとっての最善なのです。よろしくお願いしますね」

 

"……もしかしてさっきまでの話は私がその提案を断れなくするためのものかい?断る気はなかったけどさ"

 

「話した内容に嘘はありませんよ?ただ最悪のケースを知っていただいた上で提案をしただけです」

 

"ははは……"

 

そうして、たった二人の静かな会合は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ということだ。キキキッ、先生とやらの素性やトリニティの奴らの動向を探るのにミツキは適任だろう?向こうはミツキによって行動も制限されるしな!」

 

万魔殿ではどこか上機嫌のマコトが目の前のイロハに自身の考えを熱弁していた。

 

「先生の情報は風紀委員の方から来ていますが……というよりそれだけではないですよね」

 

「そのとおりだイロハ!こうしてミツキをトリニティやシャーレに隔離してしまえば確実にヒナのパフォーマンスは低下する!時間をかけたほうが確実だが、なんなら今すぐにでも私がゲヘナを……どうしたイロハ?なぜ明後日の方向に顔を?」

 

「……もしかして、ミツキさんはもうトリニティへ?」

 

「?……ああ、今朝急いで荷物をまとめて出ていった。というか行かせた。トリニティの方には事前に連絡しておいて行かざるを得ない状況にしてやったんだ」

 

我が意を得たりとばかりに胸を張り、スラスラと語り続けるマコトはいつの間にかそっぽを向いているイロハに気付き、語るのを止めた。顔を背けたまま質問をしてくるイロハに疑問を抱きながら返答すると、イロハは手で顔を抑えため息を吐いていた。

 

「おい、なんで急にため息なんか」

 

「その話、詳しく聞かせてくれる?マコト」

 

背後から聞き覚えのある声が聞こえた。その声は普段聞き慣れたものより低く、ひどく無機質だった。背に汗が伝うのを感じながらギギギと壊れかけのブリキ人形のように首を後ろに回せば、そこには死んだような目で自身を見つめるヒナが立っていた。

 

「……な、何のようだヒナ」

 

「少し万魔殿に用があったから来てみれば何かとても興味深い話が聞こえたから。包み隠さず、全て話して」

 

「でででデストロイヤーを構えながら会話をしようとでも?……フン、ふふ風紀委員長が聞いて呆れるな」

 

流れるようにデストロイヤーを構え、迷いなく頭に照準を合わせているヒナに狼狽えながらも何とかいつもの態度を崩さない。

 

「何を言っているの?これは会話じゃない。尋問よ」

 

「「……」」

 

……助けてくれイロハ

 

こっちに来ないでください。巻き込まれたくないので

 

そもそも会話なんてするつもりのないヒナに絶句したマコトはイロハに助けを求めるがバッサリと切り捨てられた。そこにタイミングよくヒナの後ろから万魔殿にやってきたイブキがイロハに問う。

 

「イロハ先輩、ヒナ先輩とマコト先輩どうしたの?お仕事のお話?」

 

それを好機と判断したイロハの動きは早かった。

 

「……イブキ、二人は少し話があるみたいですから私達は邪魔にならないように離れましょうか」

 

「うん、分かった!」

 

「ま、待ってくれイブキィ!イロハァ!」

 

このままでは躊躇なく全力でボコボコにされることを危惧したマコトの声と伸ばした腕がイブキとイロハに届くことはなく、無慈悲にも部屋の扉は大きな音を立ててバタリと閉じられた。

 

「さあ、話して。今の私は冷静さを欠いている。いつトリガーにかけた指に力が入るか分からない」

 

「このシスコンが!」

 

「……へえ?それが最期の言葉?」

 

この状況になったことへの苛立ちと焦りから口に出てしまった一言は、かろうじて理性を保っていたヒナに最後の一線を越えさせるには充分な効力を発揮した。

 

「ちょっ、まっ……ギャアアアア!!!!」

 

この日、万魔殿にて銃声と悲鳴が響き渡り、悪は滅びた。

 





ミツキのあずかり知らぬところで話が大きくなってる。こいつが女の子大好きのただの変態でよかったね。……いや、よくはないか。

現状原作においてほのぼのとシリアスのどちらもある程度構想ができており、どちらも書いてしまおうかと考えているのですがどちらが先がいいですか?後から書く方は先に書いた方と同じシーンはカットしつつ変化する部分を書ければなと考えています。私の構想上でほのぼのとシリアスの分岐点が近いのでこのタイミングでアンケートをさせていただきます。あくまで目安ですので私の気分で変わるかもしれません。ご了承ください。

  • ほのぼのが先
  • シリアスが先
  • そんなことよりおうどん食べたい(閲覧用)
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