ゲヘナ最強の双子の姉 作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。
無機質な音が鳴り響く。私の意識の遥か遠くから聞こえるその音が私をこの世界に呼び戻す。未だ鳴り止まないそれに微かな苛立ちを感じ、言うことの聞かない体に鞭打って枕元に置いてあるそれを止めた。ぼやけた視界で手を乗せたそれを見るともう朝らしい。
……二度寝でもしてしまおうか。
いや、駄目だ。脳裏に浮かぶ欲望を振り払う。枕元のそれを止めてしまったからには今度は自力で起きる必要があるが、朝に弱い私が起きれるという確証はない。二度寝から起こしてくれる人もいない。
……。
しぶしぶベッドから下り、足を引き摺るようにして洗面台まで行き口をゆすいで顔を洗う。徐々に覚醒していく意識を自覚し、流れる水を止めてタオルで水気を拭き取る。鏡に中にいるもう一人の私の顔はいつも通りの仏頂面だ。
寝巻きのままリビングへ向かう。冷蔵庫にある適当な食材で適当に朝食をとる。カチャカチャと食器の触れる音以外は何も聞こえない。私が食べているのをにこにこと見ている人もいない。
……。
食器を片付け、制服に着替える。服を替えれば意識が変わる。家での自分と風紀委員長としての自分を明確に切り替えるスイッチのようなはたらきをしてくれる。……はずだった。でも、変わらない。服を替えても、銃を手に持っても、風紀委員の腕章に触れても、私はずっと私のままだ。
家が広く感じる。ここまで静かな朝はあっただろうか。自分以外の時間が止まっているんじゃないかなんて馬鹿げた発想をしてしまうくらい、私はこの時間に、空間に、取り残されていた。何かが足りない。何かが。
……。
いつまでも切り替わらない己の意識を無理やり切り替えるべく、少し早いが家を出る。外気に触れれば変わるだろう。いや、変わって欲しい。そう願ってドアノブに手をかけた。
「……行ってきます」
誰かの返事があるわけじゃないけれど、どうしてか呟いていた。私の呟きは風に乗ってどこかに飛んでいくだろうか。
……いや、ただ掻き消えていくだけか。
おらおら!今日も補習授業部に行くぞおら!と気合を入れていたら先生に止められた。私の幸せを阻害して楽しい?私は楽しくない。場合によっては手が出るぞ。いくら戦闘力クソ雑魚ナメクジの私でも先生よりは強いんだからな。
"今日は補習授業部じゃなくてまず正義実現委員会の方に行ってもらうね"
あるぇー?補習授業部は?どこ……ここ……?補習授業部は正義実現委員会だった……?
「正義実現委員会ですか?それはまたどうして……?」
"ここ数日は補習授業部を手伝ってもらっていたけどミツキは外交官として来ているだろう?だからずっと補習授業部に付きっきりってわけにもいかないらしいんだ。体裁があるからね"
「……要するに仕事してますよーってアピールをする感じですか?」
"うん、まあそんな感じだね。だから特別何かをするわけじゃないと思うしリラックスしてていいよ。あ、明日はシスターフッドに行くからね"
なるほど……つまり正実やシスターフッドに友達の輪を広げに行くということだな?仕事するふりして友達を増やしに行くのが公認だなんてそんなことがあるんですか?何か騙されてない?リンチに遭ったりしない?
……あれ、私はいつ補習授業部に行くの?
こいつ!私から補習授業部を取り上げて私物化するつもりだな!私のエデンになにをするだァーーーッゆるさんッ!*1
「補習授業部の活動はどうすればいいんですか?」
"ああ、正義実現委員会やシスターフッドとの面会はそんなに長くないはずだよ。それが終わったら合流する形だね。それに毎日面会するわけじゃないから安心してね"
トリニティ欲張りセットってことかぁ。色んな人に会えそうだね。楽しみすぎて心が叫びたがってるんだ。ティガレックスの咆哮並に。
うっ……ティガレックス……雪山……ポポノタン……ぐあああぁぁぁ!!
……ハァ……ハァ……アレは嫌な事件だった。序盤からトラウマを植え付けてきやがって。アレのせいで納品クエストに毎回身構えるようになっちまったよ。
あ、行く前に手土産でも買っておこう。……賄賂違うし。仲良くしましょうという友好の印だし。例の人がゲヘナ嫌いだからもしいたら甘いもので釣ろうとか思ってないし。保険作ろうとしてるわけじゃないし本当だし。そもそもあの人副委員長だからね。会わないんじゃないかな。そんなことしてる暇ないでしょ。*2
よし先生!とりあえず手土産買いに行こうぜ!お前荷物持ちな!
ということで先生に連れられてやってきたのは正実の本部。先生がとある部屋の扉を開けると……開けると…………????
あの、見間違いじゃなければ委員長と副委員長がスタンバってる気がするのですが。ボス戦かな?セーブしたほうがいい雰囲気あるよ。回復アイテムなんて持ってないんだけど。
"こんにちは。ツルギ、ハスミ"
「いひっ、こ、こんにちは先生」
「ええ、こんにちは先生」
先生が挨拶をしながら中へ入ると、ツルギちゃんとハスミちゃんが入り口までやってきて挨拶を返している。ならば次は私のターン!ドロー!私の中の変態を墓地に!真面目な部分を表側守備表示で通常召喚!*3
「はじめまして、空崎ミツキです」
「正義実現委員会委員長、剣先ツルギだ」
ぺこりと頭を下げたらツルギちゃんは返事をしてくれた。優しい。ただその隣にいる人の目線がキツイんす。やめて。誰か助けて。お菓子で釣るどころじゃなくてまずそこまでいけないんだが。
「……ハスミ」
「……同じく副委員長、羽川ハスミです」
ツルギちゃんが咎めるように名前を呼べば少しの間が空いたあとに挨拶をしてくれた。でもそんな嫌そうに挨拶されると傷つく。仲良くしようよ。
挨拶代わりにハグする?補習授業部特有じゃあ勿体ないもんな。凄く良い文化だし正実にも広めない?……広めない?……そう、残念だ。非常に、残念だ。
「……その、まさか正義実現委員会の委員長と副委員長お二人の時間を取らせてしまうことになるなんて……すみません」
「きひひ、ティーパーティーの方から話は聞いている。そしてこれが必要なことだとも理解している。気にすることはない」
「あ、ありがとうございます。それで、その、これをどうぞ」
「これは?」
「これからお世話になるので、ほんの気持ちです」
来る途中に先生を引き連れて買いに行ったサブレの詰め合わせを渡す。何も考えずに人気No.1ってポップがあるやつを買った。初めての場所だから何が美味しいか分からないし。人気No.1ってことは一番人気ってことだろ。*4
ツルギちゃんがサブレの詰め合わせの箱を片手で持って興味ありげに側面を見たり裏を見たりと観察している。それを隣で見ていたハスミちゃんが突然目の色を変えてツルギちゃんに詰め寄った。その目はサブレの詰め合わせの箱を凝視している。
「こ、これは!駅前のデパートに並ぶ人気No.1商品のサブレではないですか!お土産にも自分で食べるのにも人気で購入者が多く放課後には無くなっている事が多いというあの!」
予想以上に食いついてきてもはや怖い。大声の早口ってすごいな。肺活量どうなってんの?鍵盤ハーモニカ上手そう。(小並感)ハスミちゃんの身の変わりように驚いていると、ハスミちゃんはピタリと止まり、私と先生を見て何事もなかったかのように元の姿勢に戻った。
「……ゴホンッ、ありがとうございますミツキさん。貴方の気持ち、ありがたく受け取りましょう」
「え、えっと、喜んでくれたようでなによりです……?」
いやー……流石にそれは無理あるぜ?キリッとした顔しても誤魔化せないって。それで騙されるやつ居ないって。ツルギちゃんと先生の顔見てみ?「何今の」とか「マジか」って顔してるよ。
「"……"」
「な、なんですかその目は!ツルギ!先生!言いたいことがあるのなら言ってください!」
照れているのを隠すように怒るハスミちゃんもかわええな。私の貢ぐ先増えたか?これから面会があるときは何かしら持ってくるね。
"この様子なら3人とも大丈夫そうかな?私は一旦補習授業部の方に顔を出してくるよ。1時間くらいしたら戻ってくるからそれまで仲良くしててね"
そう言って先生は部屋を出ていった。さあここからはずっと私のターン!賄賂……じゃなくて気持ちも渡したし仲良くお話しようね!ハスミちゃんのゲヘナ嫌いを「ミツキ以外のゲヘナ嫌い」くらいにはしてやる!ゲヘナのイメージアップは無理だし!*5
仲良くなる方法?知らんて。話してれば仲良くなれるでしょ。ゲヘナのやべーやつらが嫌いなんだと思うしとりあえず私は全力で肯定しとくか。*6他のやつとの違いを見せつけるのだ!頑張れ私!最悪の場合正実に喧嘩売ることになるんだぞ!……ん?やらかした時のリスクが大きすぎないか?
……よ、よし。変に盛り上げようとかしないで落ち着いて向こうの話に合わせるくらいにしておきましょうね。仲良くならなくても知り合いくらいには、ね?それくらいになれればオッケーだから、ね?
「いつまでも入り口にいるわけにはいきませんし、座りましょうか」
ハスミちゃんに連れられて部屋の中に進み、机を挟んで椅子に座る。目の前には正実の委員長と副委員長。なにこのプレッシャー、やべえちびりそう。
よ、よし!なんとかなれーッ!!
温度差ぁ……。
ちなみにシャーレではミツキが料理を担当しています。先生は仕事で忙しいからね仕方ないね。
ヒナは今までと違って一人で起きて一人でご飯を食べて一人で学校に行くよ。
現状原作においてほのぼのとシリアスのどちらもある程度構想ができており、どちらも書いてしまおうかと考えているのですがどちらが先がいいですか?後から書く方は先に書いた方と同じシーンはカットしつつ変化する部分を書ければなと考えています。私の構想上でほのぼのとシリアスの分岐点が近いのでこのタイミングでアンケートをさせていただきます。あくまで目安ですので私の気分で変わるかもしれません。ご了承ください。
-
ほのぼのが先
-
シリアスが先
-
そんなことよりおうどん食べたい(閲覧用)