ゲヘナ最強の双子の姉 作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。
お二人は無事でしょうか。……ああなったツルギには追いつけないですし、大人しく部屋で待っていましょう。すれ違いになっても困りますからね。
それにしても、まさかツルギの頭をなでるとは思いもしませんでした。そんなことをしたのはミツキさんが初めてでは?度胸があるというかなんというか、すごい人ですね。誰にでも等しく平等に接しているのでしょう。ツルギの反応はあくまで想定通りでしたが。
さて、お二人が帰ってくるまで適当に時間を潰していましょうか。
ふむ、部屋の外から二人分の足音が聞こえますね。帰ってきましたか。少し想定よりも時間がかかったような気もしますが……まあツルギが落ち着くのに時間がかかったということでしょう。
「ハスミちゃんただいま」
「おかえりなさい、開いていますよ」
「はーい」
扉の外から律儀に声をかけてきたミツキさんに返事をすればゆっくりと扉が開き、その奥からは無傷のミツキさんとツルギの姿が見えた。どうやら無事に帰ってこれたらしいですね。これで一安心……ん?
「ほら、帰ってきたよツルギちゃん。大丈夫?」
「……」
……どうしてお二人は手をつないでいるのでしょうか。ミツキさんは心配そうな顔をしてツルギに声をかけていますが、ツルギは顔を真っ赤にさせてミツキさんの方を見ていないですし口がもにょもにょとよく分からない動きをしています。本当に何があったというのですか?
「……ミツキさん、それはなんですか?」
私がミツキさんとツルギのつながれている手を指差して質問すると、ミツキさんは特に隠したり気負うことなく教えてくれた。
「これ?これはね、ツルギちゃんが暴走しないための練習なんだ」
「……練習?」
「うん、さっきは急にツルギちゃんをなでなでしちゃったからビックリして暴走しちゃったんだって。だから何かあっても暴走しないようにって手をつなぐことから少しずつ練習してるの」
「そ、そうですか……ちなみに成果は?」
「成果……ツルギちゃんはどう?なにか変わった?」
ミツキさんがツルギに問うが、ツルギは相変わらずミツキさんから視線をそらしたままで首をブンブンと左右に振っている。ツルギ的には成果は無いらしいですね。いや、そもそもこうして手をつなげていることがかなり衝撃なのですが。少し助け舟を出してあげましょう。
「ツルギにはそれでも少し刺激が強いのでは?もう少し優しくしていただけると……」
私がそう言うとツルギは首を上下に振り始めた。よっぽど限界だったみたいですね。時折見える私を見る目が心なしか輝いているようにも見えます。
「そう?でも手をつなぐよりも優しいことってなんだろう」
「……確かに思いつきませんね」
ミツキさんと二人で首を傾げていると、ツルギの目が喜びから絶望へ変わり始めた。なんか少し面白いので私的にはもう少しこのままでもいいのですが……あぁ、良いことを思いつきました。
「では発想を転換しましょう」
「発想を転換?」
「ええ、小さいことから少しずつ慣れようとするとかなりの時間がかかりますよね?今も手をつなぐだけでいっぱいいっぱいですし」
「うん」
「ですので、一度大きな刺激を与えてあげればそれ以降は全て気楽に対応できるようになるのではないでしょうか」
「「!!」」
私の提案にその手があったかと目をキラキラさせているミツキさんと、その隣で正気か!?という顔をしているツルギの対比がとても面白い。非常に面白い。今の私の口角はかなり上がっていることでしょう。
「えへへ、じゃあぎゅーってしてみる?」
「ぎいっ!?」
ミツキさんがツルギに向かって笑顔でハグの提案をすると、ツルギは高速で首と空いている右手を振りながら全力で拒否していた。……ふむ、これ以上やれば本当にまた暴走しそうですね。手をつないだ状態で暴走すればミツキさんが怪我をしてしまいそうですし流石に止めてあげましょうか。
「ミツキさん、今のは冗談です。手をつなぐだけで限界なのにハグなんてしたらまた暴走しますよ。ゆっくり少しずつ慣れていきましょう」
「うん、そうだね。ごめんねツルギちゃん。無理をさせたいわけじゃないからさ、少しずつ頑張ろうね」
「……」
「さて、いつまでも立っていては疲れてしまいますし一旦手を離して座りましょうか」
「うん!」
ようやくミツキさんとツルギの手が離れ、私とミツキさんは椅子へ向かう。先にミツキさんを座らせて私も座ろうとするが、いつまで経ってもツルギはこちらに来なかった。ツルギは今も入り口近くで自身の手を見つめて突っ立っている。
「ツルギ?何をぼーっとしているんですか?」
「ぎっ!?……い、今行く」
そうして、私たちはとりとめのない雑談をして時間は過ぎていった。
「さて、そろそろミツキさんを合宿所まで連れて行かないといけませんね」
あー……楽しい時間はあっという間だなぁ。二人とお喋りするの楽しいからもっと一緒にいたいのに。なんならツルギちゃんともう一回手をつなぎたい!ぎゅってしたい!
「ああ、イチカは?」
「イチカさんならもう待機中ですよ」
「そうか」
お!またイチカちゃんに送ってもらえるの?嬉しいねえ!
立ち上がって入り口の方に向かう二人についていく。ハスミちゃんが部屋の扉を開けると、部屋の外ではイチカちゃんが腕を組んで壁にもたれかかっていた。
なんなん!?イチカちゃんかっこよすぎだろ!!その姿勢はかっこいい人しか似合わないやつだぞ!!なんで似合ってるんだよ!!スタイルと顔面偏差値の暴力!!モデルさんとか興味ない?実は私写真撮るの好きでさ。*1ちょっと付き合ってもらえないかなって。
「あ、お帰りっすか?」
「ああ、任せた」
「了解っす!さあ、行きましょうかミツキ先輩」
「うん、ありがとうイチカちゃん」
イチカちゃんの隣に行って外に向かう。後ろに振り返るとハスミちゃんもツルギちゃんもこっちを見ていた。
「またね」
「ええ、また会いましょう」
「ぎひひ」
ふぅ~!二人とも優しいねえ!手を振ったら振り返してくれたよ!幸せです!しかも二人とも私が見えなくなるまでずっと見守っててくれた。優しすぎでは?正実って優しい人しかいないじゃんね!やはり正義か!正義ってすばらしい!
「ずいぶんと仲が良いみたいっすね」
「うん、二人とも優しいんだよ」
「そうっすね、いい先輩たちっす。あ、そういえば後輩ちゃんたちから聞いたんすけど、ツルギ先輩と手をつないで歩いてたってホントっすか?」
お、それ聞く?聞いちゃう?そんなに知りたいのなら教えてあげようじゃないか!私はツルギちゃんと手つなぎいちゃいちゃお散歩デートしたんだからな!*2羨ましいだろう!
「そうだよ」
「えぇ!?本当なんすか!?どうせ嘘か見間違いだと思ってたんすけど……ちなみに経緯って教えてもらうことってできます?」
「別にいいよ?」
「ブハッ、あははははは!ツルギ先輩の頭をなでるとかミツキ先輩最高っすね!あははははは!」
……そんなおもろいか?大声を上げて笑わなくても……なんか私がおかしいみたいじゃん。誰だってツルギちゃんの頭がそこにあったらなでるだろうがよ!そうだろ!?私は間違ってない!
「あー、もうホント面白いっすね!そんなことしたのミツキ先輩が初めてっすよ!それで手をつないで帰るとか!ははははは!」
「むぅ……」
「いや、別にミツキ先輩を馬鹿にしてるとかじゃなくてっすね……んふふっ、ツルギ先輩の戦闘時を知ってるからこそ面白いっていうか……そんな面白いことがあるのなら実際に見たかったっすね〜早く戻らなければよかったっす」
別にいいけどね?すごい楽しそうにしてくれてるからいいんだけどね?イチカちゃんの屈託のない笑顔を見れて嬉しいんだけども。なんか納得いかねぇ……ん?
「あれ?あそこにいるのってミカちゃん?」
「ミカ様っすか?……ああ、確かにミカ様っすね。ミツキ先輩ってミカ様とも知り合いなんすか?」
少し離れた所にミカちゃんらしきSilhouetteが!イチカちゃんからの確認も取れたしこれはもう完全にミカちゃん!見て見ぬふりして帰るなんてしないもんね!ミカちゃんに声かけちゃお!私のお姫様!!
「うん、まだ一回しか話したことないけど……おーい!ミカちゃーん!」
手を大きく振って呼びかけるとミカちゃんはこっちに気付いたみたいで、手を振って笑顔で近付いてくる。うん、かわいい。こんなところで会えるとか運命では?結婚する?私たちは相思相愛だしあとは婚姻届の準備をするだけだね!*3
「ミツキちゃんこんにちは。それにイチカちゃん……だよね?」
「こんにちは!」
きゃーー!!やっぱり声と顔がいい!!お姫様ぁ!!なんかもうミカちゃんの周りがキラキラしてるよ!!眩しすぎるぅ!!太陽よりも眩しいんじゃないかな!!ちょっと私の隣で私の人生を照らしててくれない!?
「イチカで合ってるっす。ミカ様、お二人がお話している間は少し席を外した方がいいっすかね?」
「んー、じゃあ少しの間だけ離れててくれる?ちょっとだけでいいからさ」
「了解っす」
そう言ってイチカちゃんは私たちから距離を取って適当な建物の壁にもたれかかった。待機中はその姿勢なの?かっこいいなぁもう!正実モブになりたい。*4
ふむ、そういえば今ミカちゃんちょっとだけって言ってたよね?そんなぁ……いっぱいお話したいんだけど。いや、待てよ?ちょっとだけってわざわざ言うってことはこのあと用事があるのでは?呼び止めたの迷惑説ある?おおおおお落ち着け、まだそうと決まったわけでは……!!
「ミカちゃん、もしかして忙しかった?」
「え?あー、うん、一応ね。このあとちょっとね」
ぐあああああああ!!やってしまった!!ミカ様の邪魔をしてしまうなんてなんたる愚行!!許されない!!何が結婚だ!!ミカ様のことを考えられない愚者がミカ様と結婚なんてできるわけないだろうが!!
「ご、ごめんね。それなのに呼んじゃって……」
「ふふ、気にしなくていいよ?この前はちょっと挨拶しただけでお別れだったもんね。トリニティはどう?大変じゃない?いろいろと……」
ミカちゃん!!呼び止めてしまった愚かな私を許してくれるだけでなく気遣いまで……!!優しさの塊!!慈愛の女神!!一生ついていきます!!地の果てまでもついていきます!!なんなら来世も!!*5
「大丈夫だよ。みんな優しいし、むしろ毎日が楽しいくらい」
「そう?……なら良かった」
「うん、心配してくれてありがとうミカちゃん」
「ううん、気にしないで。ミツキちゃんに何かあったら大変だもんね」
優しい!!さっきからすごい優しい!!これ以上私からの好感度を上げてどうするつもりなんですか!?既にカンストしてるんですけど!!ミカちゃんへの愛がオーバーフローしちまうぜ!!
「ミカちゃんは大丈夫?」
「え?何が?」
「この前も今日も、忙しいんでしょ?やっぱりティーパーティーって大変なのかなって思って」
「……ふふ、心配しなくても大丈夫だよ。これが私のお仕事だからね。あ、ごめんね、そろそろ私行かなくちゃ。じゃあねミツキちゃん」
「うん、またねミカちゃん」
お姫様が去っていく!私の元から離れて去っていく!なんて悲しいんだ!なんて苦しいんだ!これが……恋!?*6ぐおおおお!今すぐにでもミカちゃんを追いかけたいぃ!!
「お疲れ様っす」
「あ、イチカちゃんごめんね、離れててもらっちゃって」
「こういうことはまあ、たまにあるんで大丈夫っすよ。ところでミカ様と何を話してたんすか?」
「ミカちゃんがね、私のこと気遣ってくれたんだ。自分もティーパーティーのお仕事とかで大変なのに優しいよね。……でもそれだけだよ?私からも一応返事はしたけどほんとにちょっとしか話せなかったの」
「そうだったんすね。トリニティにいればまた会うっすよ。なんならエデン条約がさっさと締結しちゃえばミカ様も少しは仕事が減ってこっちから会いに行けるかもしれないっすね」
「たしかに!今度会ったら何を話そうかなぁ」
エデン条約がさっさと締結すれば、か……あっさり締結してくれないかな。問題とか一切起きなくて平和にさ。まあ補習授業部とかが出来てる時点で原作通りだと思うし多分無理だけど。ぐぬぬぬぬ……ミカちゃんとのいちゃいちゃは前途多難だぁ。
「……なーんかミカ様の反応が変な感じしたんすけどねぇ。気の所為っすかね」
なお至近距離でお話しているはずのミツキは何も気付かなかった模様。