ゲヘナ最強の双子の姉 作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。
初めて会った時はただのバカな子だと思った。ちょっと話しただけで楽しそうに笑ってさ、また今度なんて言いながらぶんぶん手を振ってたし。警戒心とか猜疑心ってやつが無いんじゃないかな。バカな外交官を派遣するとかゲヘナもたかが知れてるよね。
ナギちゃんはトリニティに仇なすかもーとか裏がーとか言って警戒してたけど、あの子はそんなこと考えられそうもないと思う。バカっぽいし。そう言ったら私が先生とあの子に接触したのがバレちゃうから言わなかったんだけどね。いや、ナギちゃんのことだしもうバレてるのかな?まあいいや。
バカなゲヘナの外交官。そんなあの子はまたもやバカみたいに手を振って大きい声で私を呼んだ。そういえば正実とかシスターフッドと面会なんてしてたっけって思いながらあの子の呼びかけに応じてあげた。
ゲヘナと関わるなんてあんまり気が進まないけど、隣に正実の子もいたし無視するわけにはいかなかった。変に勘繰られても面倒だったし。
「トリニティはどう?大変じゃない?いろいろと……」
こんなただの嫌味も心配そうに言ってれば向こうは指摘できないんだから困っちゃうよね。そもそもゲヘナ生が一人トリニティに来て平気なわけないじゃん?お互いが嫌い合ってるんだから。この子かこちらか、どちらからかは分からないけど何かしら問題とかいざこざが起こってるはずだし。
この子はどう返す?怒る?誤魔化す?それとも本当のバカで全部ペラペラと話し始める?
あくまで気遣っているという体は崩さず笑顔のままこの子の次の言葉を待っていると、私の想定外の言葉が返ってきた。
「大丈夫だよ。みんな優しいし、むしろ毎日が楽しいくらい」
……どうして?トリニティのゲヘナ嫌いは有名だし、逆もそう。なんで今の今まで無事なの?先生?それとも問題が起きることを嫌ったナギちゃん?二人がこの子を?でも完全に守り抜くことなんてできないはず。
というか、正実とシスターフッド相手に面会してどうして平気でいられるの?今も面会帰りなんでしょ?ハスミちゃんは相当なゲヘナ嫌いだしツルギちゃんも下手な事をしたら武力行使に出ると思う。サクラコちゃんなんて初対面でまともに会話が成立するの?
訳が分からない。でも嘘を言っている風にも見えない。じゃあ、本当に毎日が楽しいと思えているってこと?ゲヘナ生がこのトリニティで?
「ミカちゃんは大丈夫?」
「え?何が?」
「この前も今日も、忙しいんでしょ?やっぱりティーパーティーって大変なのかなって思って」
……この子は何なの?まだ二度目の顔合わせなのに、なんでトリニティの、しかもティーパーティー相手に気遣うって選択肢があるの?心の底から心配そうな声と顔してさ。本当にバカなのかな?
どういう思考回路してるんだろう。さっきの嫌味に仕返ししてるにしては心配の色が強すぎる。そうやって擦り寄ろうとしてるのかな。立場のある相手に擦り寄って自分も立場を得ようと?
いや、ゲヘナの奴らはバカだから基本そんな考えも出てこない。気に入らなければ手が出る奴らだし、そもそもそんなことをしそうには見えない。じゃあ、この子はなんなんだろう。
目の前にいるこの子はいったい……
私はあの子と別れたそのままの足でナギちゃんの所に向かった。心に残ったもやもやを解消するために。
「ねえねえナギちゃん!ゲヘナの外交官って面会してたよね?それに報告書も提出させてたよね?それ見せて!」
「……ミカさん、突然どうしたのですか?この間は興味がないと言っていたではないですか」
「ちょっと興味が湧いたからさぁ」
「別に構いませんが……もしかしてあの外交官と何か?」
「んーん、別に何もないよ?さっき正実の子と一緒にいたのを見て気になったんだ」
「あぁ、今日は二度目の面会日でしたね。報告書は今から部下に持ってこさせますから少し待っていてください」
「ナギちゃんありがとー」
ごめんねナギちゃん。ちょっと気になっちゃったのは事実だからさ。
少しの間待っていると、ナギちゃんの部下の子が報告書を持ってやってきた。ナギちゃんの部下から渡された報告書に目を通すと、そこにはハスミちゃんとツルギちゃんとサクラコちゃんの三人から見たあの子の様子が記載されていた。少しの表現の違いはあれど、三人共似たような印象を受けたらしい。優しいだとか、気遣いがとか、そんなことばっかり。他の部分も共通点が多いし。
これってさ、誰かに取り入ろうとしてそれぞれにとって一番好印象を得られる姿を作って見せてたらありえないことだよね。そうしたら報告書の内容がほとんど一緒になるわけない。どこかでズレがあるはず。つまり……
「そっか……あの子、あれが素なんだ」
一貫した演技をしてるのかもとか一瞬思ったけど、あれは演技じゃないと思う。実際に話したなんとなくの印象だけど、取り繕って人に取り入ろうとするような人間はこのトリニティにごまんといるから見慣れてる。あの子はそうじゃない気がした。
「どうかしましたか?」
「いや、なんか面白いなーって思って」
「そうですか?……ですが彼女は何を考えているのか分かりません。報告書にある通り、彼女は三名から高評価をされています。少しの悪感情も感じさせずに……」
たしかに何にも知らずにこれを見たら警戒するかもね。あの三人は結構クセ強いし、全員から高評価ってものすごいことだと思うよ。しかも、それがこっちに来たばかりのゲヘナ生なんて、怪しさ満点どころかちょっと怖いくらい。
「それで外交官に警戒してるの?」
「ええ、先程述べた通り彼女が何を考えているか分かりませんから。ミカさんも気をつけてくださいね」
「おっけ〜」
警戒することなんて無いと思うけどな。あんな見るからに無害な子に警戒する必要なんてないし、アレが演技だとか裏で何か企んでるとかそういうことも無さそうだし。ナギちゃんには教えてあげないけど。
「……本当に分かっているのですか?」
「もっちろん!」
「はぁ……」
「ちょっと!ため息なんてヒドくない!?分かってるって!」
……じゃあさ、あの私への好意的な態度は全部本心なのかな。あの笑顔は全部、心から笑っていたのかな。
あの子には私がどう見えてるんだろう。もし私のやったことを知ったら、どんな反応をするんだろう。
あの笑顔が歪んだりするのかな。
……。
補習授業部の第二次特別学力試験はナギちゃんの手によって内容が変更になりゲヘナで行われることになった。それを知ったのはナギちゃんに報告書を見せてもらった次の日の夜。
明日が試験だったっけってなんとなく気になって詳細を調べてみたら内容が変わってた。深夜3時からになってたし補習授業部のみんなはもう出発したのかな?そうじゃないと間に合わないよね?
あれ?『ゲヘナ外交官の同行不可』……?
そっか、ナギちゃんはそんなにあの子を警戒してるんだ。何するか分からない相手をゲヘナには帰らせないってとこかな。それとゲヘナ相手に橋渡し的な役割をされたら折角試験場所を移動させた意味もないしね。ナギちゃんはとことんやるつもりみたい。あの中に裏切り者なんていないからそれもあんまり意味は無いんだけどさ。
じゃああの子は合宿所に置いてけぼりかな?この理不尽に、明らかな悪意に、あの子はどう思うんだろう。待っていることしかできない状態で、あの子は何をしてるんだろう。
なぜかは分からないけどあの子の姿が頭に浮かぶ。別にあの子が何をしようと、どう思おうと、私には関係ないのに。
結局合宿所まで来ちゃった。もやもやしたままじゃ寝れないし、仕方ないよね。
でも合宿所の扉を開けようとしたけど鍵がかかってた。それはそうか。あの子以外出払っているわけだし、鍵もかけるよね。どうしよう。力ずくは流石に駄目だし……起きてるかな?
「こんばんはー」
ピンポーンとインターホンを鳴らしてから声をかける。しばらく待っていると扉の向こうからはトタトタと駆け足のような足音が聞こえ、ゆっくりと扉は開き見覚えのある姿が見えた。夜なのにまだ制服姿らしい。……私もだけど。
「ミカちゃん?こんな遅くにどうしたの?」
「こんばんはミツキちゃん、ちょっといいかな?」
「う、うん、いいよ」
この子が開けてくれた扉に入り、内側から鍵をかける。やっぱりみんな試験に行っているらしく中は人気がない。本当にこの子一人みたい。それなのに武器も持たずに扉を開けて私を迎え入れるとか、無防備すぎない?私の持ってる銃が見えないの?
「突然どうしたの?今は先生もみんなもいないよ?」
「ううん、私が用があるのはミツキちゃんだからさ」
「私?……分かった、ちょっと着いてきて」
「はーい」
前を歩くこの子の後に続いて廊下を歩く。そして適当な教室へ入る、のかと思ったらそのまま皆で普段の生活と寝る時に使っているであろう部屋に通された。この子のスペースらしいベッドに二人で横並びに座り、銃はベッドに立てかけて置かせてもらった。
「……ここでいいの?みんなここで生活してるんでしょ?みんなのベッドとか荷物もあるけど私が入っても大丈夫なの?」
「うん、二人で教室だと広すぎて寂しいし、できるだけここでみんなを待っていたいから。ミカちゃんならきっと変なことはしないし大丈夫」
その謎の信頼はなんなんだろう。どうしてそこまで好意的なんだろう。私たちは少ししか話してないし、信頼されるようなことも好かれるようなこともしてない気がするけど。その信頼が、好意が、今は少しだけ辛い。
「それで、ミカちゃんはどうしたの?」
そうだ、私は聞きたいことがあったんだ。この子に聞きたかったこと。先生とかトリニティの誰かとかじゃなく、嫌いなはずのゲヘナ生であるこの子に。
「うーん、なんて言おうかな……ミツキちゃんはさ、ナギちゃんをどう思う?」
「ナギサちゃん?」
「多分もう知ってるよね?今回の試験内容の変更について……あと退学の件とか……」
「……」
自分たちの頑張りを潰そうとしてくるナギちゃんのことを、この子はどう思うんだろう。バカみたいに真っ直ぐなこの子の目に、ナギちゃんはどう映るんだろう。
許されないようなことをした人に、この子は何を思う?
「……仕方ないんじゃないかな」
私の耳に聞こえてきたのは想定外の一言だった。
「仕方ない……?」
「だって、ナギサちゃんはトリニティを守りたいんでしょ?きっとナギサちゃんは間違ってはないと思う。やり方は……その、あんまりよくないと思うけど」
「……」
「ナギサちゃんには
怒るでもなく、嫌うでもなく、この子はナギちゃんの行動に納得していた。きっと怒ると思ってた。悲しむと思ってた。この子は真っ直ぐだから、ナギちゃんの行動に真っ直ぐな感情を持つものだとばかり……。
「じゃあみんなが退学になっても仕方ないの?」
「それは……多分、ならないよ。みんな頑張ってるもん」
「それはちょっと楽観的すぎない?今回こんな妨害をしてきたんだし、次回はもっと酷いかもしれないよ?」
「うん、でもきっと何とかなるよ。私はみんなを信じてる」
「……」
そう言い切ったこの子はみんなの合格を信じて疑わない目をしていた。透き通ったその目に迷いなんて混じっていなかった。どうしてそんなに信じられるんだろう。何がこの子をそうさせるんだろう。なんでこの子がこんなにも眩しく感じるんだろう。
「……ミツキちゃんはどうしてそんなにみんなのことを信じられるの?」
声が震えないよう気を付けながら私がそう言うと、この子は何を言っているのか分からないとでも言いたげな視線を私に向けて、あっさりとその答えを告げた。
「だってみんなのことが好きだから」
「……それだけ?」
「え?うん、それだけだよ」
「……好きだから、信じられるの?みんなが結果を残せるかなんて分からないのに?」
「うん」
訳が分からない。好きと信じるは別物じゃないの?好きだからって、何もかもを信じられるわけじゃないんじゃないの?ましてや試験とかの結果が伴うものなんて感情でどうにかなるものじゃないはずだし。人を信じるって、そんな簡単なことじゃないはずなのに。
「私はミカちゃんのことも好きだよ?」
「……駄目だよ、私たちは会話するのもまだ三回目だよ?それってすぐに人を信じちゃうってことでしょ?そんな簡単に人を信じてたらいつか騙されちゃうかもしれないんだからさ、もう少し警戒しないと」
話を聞くだけでこの子の在り方がひどく危ういように感じられた。きっと悪意に満ちた人間を知らないんだ。自分のためなら他の人がどうなってもいいって考えられるような人間を知らないんだ。人間の汚い部分を知らないんだ。
「でもミカちゃんはしないでしょ?ミカちゃんは優しいもん」
「……」
なんでそう言い切れるの?たったの少ししか私たちは話していないし、私は優しくなんてない。そもそも私はそんな風に笑顔を向けられるような人間じゃないのに……私は、だって私は、セイアちゃんを……
「えへへ、だから私ミカちゃんとも友達になりたいんだ」
「……」
そう言って微笑んでいるこの子の顔を直視できなくて、思わず視線を逸らした。私が、私なんかがこの子の真っ直ぐな好意を受け取っちゃいけないような気がしたから。
「ねえ、ミカちゃん大丈夫?さっきから辛そうな表情してるよ?今も……」
「え?あ、あはは、大丈夫大丈夫!気の所為だよ!ほら、私は元気いっぱいだよ?」
心配そうに私の顔色を伺うこの子に向けて少し大げさにリアクションを取って私の心を取り繕う。いつもの「少しバカそうな元気で明るい私」でいれば周りは誰も気付かないし、多少疑問に思ってもそれ以上踏み込んではこない。……あのナギちゃんでさえも。
でも、この子はそんな私の手を取って優しく両手で包みこみ、目と目を合わせて私の心に語りかけた。
「大丈夫?辛かったら言っていいんだよ。相談したいことがあるのなら相談に乗るよ。悩みを吐き出すことで少しは楽になるかもしれないし……それ以外でも何かしてほしいことがあれば気軽に言っていいからね」
その言葉も、声色も、手も、表情も、何もかもが優しくて、温かい。それを真正面から受け入れられなくて、私は逃げるように言葉を紡いだ。
「なんで?なんでそんなに優しいの?なんで私なんかに……ゲヘナのミツキちゃんからしたらトリニティのティーパーティーなんて嫌いなんじゃないの?」
「ゲヘナだとかトリニティだとか、そんなことよりも私はミカちゃんが好きだから。好きな人には辛そうな顔よりも笑顔になってほしいの」
面と向かってそう言われてしまえば、私はそれ以上何も言うことはできなかった。揺らぐ心はあの秘密を打ち明けてもいいのではないかと思い始めて、でもこの子を巻き込むことはできなくて。弱い心を押し留めるために、私は口を噤んでこの子の透き通った瞳から再度目を逸らした。
「……」
「……あんまり急に言われても簡単には言えないよね。困らせちゃってごめんね。私の気持ちばっかり先行してミカちゃんのことを考えられてなかったみたい」
すると、申し訳なさそうにこの子は私に向けて謝罪した。謝る必要なんてないのに。むしろ謝るべきなのは逃げ続けている私の方なのに。
「ミカちゃんが何を隠してるのかは分からないけど、私はミカちゃんが好きだから。ミカちゃんが優しい人なのは知ってるから。だから、いつでも力になるからね」
「ミツキちゃん……」
この子は優しすぎるんだ。私なんかとこうして話しているのが勿体ないくらいに。
「……ねえ、ミツキちゃん」
「どうしたの?」
「ミツキちゃんは悪いことをした人って許されると思う?」
だから、こうして口が滑ってしまうのも、仕方のないことなのかもしれない。
「え?」
「いじめ、賄賂、不正……世の中には悪行と呼ばれるものはたくさんあるしこのトリニティではそれらが横行してる。許されることじゃない、忌避すべきもの」
あくまでトリニティ内部の問題を語るように。あたかも自分がそれに対処する側であるかのように。
「そんなわるーいことに手を染めた人がさ、素知らぬ顔で他の普通の人たちと同じような生き方をしてるんだよ?それっていいのかな?悪いことをしてるんだから、重い十字架を背負わされても、一生許されなくても、文句は言えないんじゃない?」
この子の考えを知りたくなった。私のしたことを、しようとしていることを、この子はどう捉えるのか。別に聞いても聞かなくても私がこれからすることは変わらない。私はもう止まらない。いや、止まれない。でも、どうしてか知りたくなったんだ。
この子は隣に座る私から視線を前に戻して少しの間考え、前を向いたまま自身の考えを言葉にした。
「その人がどんなことをしちゃったのかとかいろいろ考えなくちゃいけないけど……でも、その人がちゃんと反省してて、被害があったとしたらその被害にあった人が許していればいいんじゃないかな」
「……へぇ」
「一回悪いことをしちゃったから一生許されないなんて、そんなのかわいそうだよ。更生できるかもしれないし、一回も間違えることのない人なんていないもん」
「……」
そこまで話してこの子はこちらを向いた。眉尻を下げ、上目遣いで私の目を見ている。
「しっかり反省して、罪を償えば、きっと……」
「ミツキちゃん、もう大丈夫だよ。真剣に考えてくれてありがとね」
私がそう言うと、この子は視線を私から落として小さく頷いた。
「……うん」
きっと、この子は私が何かしたってことに勘付いている。明確には何も言ってはこないけど……いや、優しいから私に気を遣って言わないだけなのかな。少し話しすぎたかもしれない。
それでも、少しだけ胸が軽くなったような気がした。解決策が見つかったわけじゃない。この子の考えに完全に救われたわけじゃない。この子が話しているのはただの理想のお話で、誰もが優しい人間じゃないし現実はそんなに甘くない。
今も隣で下を向いているこの子の手を握る。すると、ゆっくりと首を動かして私と目が合った。
「……ミカちゃん?」
「んーん、なんでもないよ。あ、そうだ。私がここに来たことは秘密にしてね?これでも一応ティーパーティーだし、夜中に抜け出してミツキちゃんに会いに行ってたなんてバレたら怒られちゃうからさ」
「うん、分かった。誰にも言わないよ」
もし私の計画通りに事が進んだら、もうこうやって会うことはできないかもしれない。
「ねえ、ミツキちゃんのこと教えてよ」
「私のこと?」
「私のことも教えるからさ、少しお話しない?」
「……いいの?」
「私と友達になりたいんでしょ?」
「!!……うん!」
「……すぅ……すぅ……」
さっきまで私とお話していたこの子は疲れたのか座ったまま眠ってしまった。もう深夜だから仕方ないか。私が来る前までは補習授業部のみんなを待っていたようだったし、精神的にも疲れていたのかもね。
ずっと握っていた手をゆっくりと離して、音を立てないように立ち上がる。
「じゃあね、ミツキちゃん」
ベッドに立てかけていた銃を手に持って、部屋を出る。そして玄関の鍵を開けて合宿所から外へ出た。頬を優しくなでる夜風がとても気持ちいい。
真っ暗な空を見上げれば、大きな月が明るく明るく光ってた。