ゲヘナ最強の双子の姉 作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。
……どうやら、アズサちゃんは事情聴取でいろいろ話したみたい。アリウスの話とか、サオリちゃんのこととか、自分の知ってることを包み隠さず全部。
そんでナギサちゃんを守ろうとしたこととか、ちゃんと補習授業部として試験に合格したこととか、そういうところを評価してサクラコちゃんがアズサちゃんの書類を用意してくれることになった。
「……ふぅ、現在お話できるのはこれくらいでしょうか。アリウス分校についてはまだ何も手がつけられていませんが、目の前にある問題だけは落ち着いたのかもしれません」
"そうだね、ありがとうサクラコ。それにハナコも、アズサのことを教えてくれてありがとう"
「ええ、お疲れ様です」
「はい、お疲れ様です」
うん、よかったよかった。ちゃんと原作通りだね。これでアズサちゃんは晴れてトリニティの一員になれた。また私は空気だったけどね。うわっ……私の貢献度、低すぎ……?*1びっくりするほど何もしてないよ?サクラコちゃんとハナコちゃんのおててをにぎにぎしてただけだよ?
「さて、ミツキさん」
「どうしたの?」
サクラコちゃんがこっち向いてくれたぞぉ!至近距離で見つめ合えるなんて!やっぱりお顔がいい!美人さんとすっごい仲良くなれてる現実に感謝!
「今朝、ナギサさんから『是非ミツキさんと会ってお話をしたい』という旨の相談を受けております」
え?ナギサちゃんから……?
「ですが、これはあくまで相談ですので、無理に――」
「お話するよ!ナギサちゃんとお話したい!」
そんなんするに決まってんだろ!?しないなんて選択肢は無いんだよ!だってナギサちゃんだよ!?あのナギサちゃんだよ!?絶対ふつくしいにきまってる!直接見るまで私は死ねない!あわよくば少しくらい仲良くなりたい!*2
「そうですか、分かりました。では今から伺うと連絡しますね」
「い、今から!?」
「ええ、こういうのは早いほうが良いですから。ナギサさんも今朝そう話しておりましたし」
早いほうがいいから当日行くって流石に急ぎすぎじゃない?ティーパーティーって忙しいんじゃないの?こう、アポ取ってさ、スケジュール擦り合わせてさ……。
「さあ、ミツキさん」
「う、うん」
なんか圧がすごい。もちろん行かせていただきますけども。待っててねナギサちゃん!
モモトークで連絡を入れたサクラコはそのままミツキの手を引っ張って部屋から出ていった。その後ろ姿を見届けた三人はしばらくの間無言のままで、ハナコは先程までミツキが座っていた椅子に座った。
「行ってしまわれましたね……」
"あ、あぁ……私たちとの話は終わっていたから別にいいんだけど、サクラコにしては少し強引だったような……"
「……」
"……ハナコは何か知っているのかい?"
サクラコの行動にわずかな困惑を抱えていたマリーと先生だったが、目の前に座るハナコはそうではなくむしろ何か思案しているようだった。
「……はい、実はナギサさんとお話する機会があったんです。なんでも、ナギサさんは今回の補習授業部に対する行いを深く反省しているらしく……直接会って頭を下げられてしまいました」
"ナギサ……"
「私だけでなく、補習授業部の皆さんも既にナギサさんとお話したそうです。そして同様に頭を下げられた、と……」
先生も知らなかったナギサの行動。結局最後まで救い出すことの出来なかった疑心暗鬼の果てに彼女が抱えているものは周囲へ被害を与えてしまったことへの罪悪感か、罪の無い人達を疑い続けていた自分への自己嫌悪か。
いずれにしても今のナギサは不安定だろう。そう判断した先生は近いうちにナギサに会いに行くことを決めた。
「他にも正義実現委員会のツルギさんやハスミさん、シスターフッドのサクラコさん……この辺りの方々にも同様の謝罪を行っているのではないかと思います」
「では、その際にサクラコ様にミツキさんと会えるかどうかを尋ねたのでしょうか」
「いえ、それが……」
「"?"」
先生もマリーと同じ考えだったようで、どうにも歯切れの悪いハナコの姿に二人は首を傾げている。
「私がナギサさんとお話したのはもう数日前です。それこそ、第三次試験が終わった二日後でした。気絶していたナギサさんが起きて、全ての状況を理解して、おそらくすぐに私達の所へ来たのでしょう。……サクラコさんのところに今朝伺うなんて、遅すぎるように思うのです」
「では、なにか理由があるのでしょうか。今日ではないといけない理由が……もしくは、今日まではお会いできなかった理由が……」
「……今日までミツキさんにどう接すればよいのか分からなかったのかもしれません」
"それはどういう……?"
苦虫を嚙み潰したような、どうにも話しにくそうなハナコの様子は明らかに普段と異なっている。ただ真面目な話をしているだけではない重々しいその雰囲気に、思わず二人も姿勢を改めた。
「……ナギサさんは、ミツキさんのことを疑っていたみたいなんです。スパイのような存在なのか、トリニティを脅かす存在なのか、ずっと……私とアズサちゃんがナギサさんを襲撃したときでさえ、ミツキさんを疑っていましたから」
「な、なぜミツキさんを……」
「ナギサさんから見れば、ミツキさんはトリニティ内に潜り込むような形でやってきたゲヘナ生です。それだけではなく、ツルギさんやハスミさん、サクラコさんといったトリニティの上層部に位置する方々と親しくなっているともなれば警戒しないわけにはいきませんし、じわじわと馴染んでいくミツキさんに焦りのようなものを覚えていたのかもしれません」
「そんな……」
"……"
淡々と、けれど軽くはなく、どこか慎重に話しているハナコの前に二人は押し黙ることしかできなかった。ナギサの姿を思い浮かべながら。
「まだ誰かも分かっていないトリニティの裏切り者、トリニティ内での影響力が増えつつあるゲヘナ生……それらに関係があるのか無いのか、それぞれの目的は、何をどこまで警戒するべきで、どう対処するべきか。ナギサさんの疑心暗鬼や私達に対してあそこまでの対応をしてきた理由はこの辺りにあるのかもしれませんね」
「等身大のミツキさんを知っている私達と肩書や行動しか知らなかったナギサさんでは視点が全く異なっていたのです。……ミツキさんについて問いかけてきたナギサさんは、それこそ顔面蒼白という言葉がぴったり当てはまるくらいに血の気が引いていましたから」
「……今日やっと、ミツキさんと話す決心がついたのかもしれません」
ナギサちゃんの所に連れて行ってくれるサクラコちゃんの佇まいもすばらすぃーんだが、シスターフッドの会議室出たあたりで恋人つなぎやめられちゃったんだよね。泣きたい。サクラコちゃんのおててが恋しい。ぬくもりが……。
「ミツキさん」
「どうしたの?」
手をつないでくれるのかい?それとも腕組みかい?ぎゅーでもいいよ。大穴でなでなででもいいな。*3
「ナギサさんと、仲良くしてあげてくださいね」
「うん、ナギサちゃんとはいつかお話できないかなって思ってたんだ」
なあに言ってんだい!そんなこと言われなくても仲良くしちゃうもんね!モモトークなんて交換できたら最高だな!まあそこまでは望まないからたくさんお話したい!ナギサちゃんが優雅に紅茶飲んでる姿が見たい!
「ふふ、ミツキさんならきっと大丈夫でしょう」
「なんの話……?」
「いえ、ミツキさんはそのままでいいのです」*4
「??」
やめて。一人で完結しないで。私を置いていかないで。
「さあ、着きましたよ」
サクラコちゃんは中にナギサちゃんがいるのであろう扉の前に立って、コンコンとノックをした。
「シスターフッドの歌住サクラコです」
「入っていいですよ」
うひょぁあっ!ナギサちゃんの声だぁ!ふつくしいボイスが私の耳にっ……!これ会えるんですか!?今からナギサちゃんに会えるんですか!?やったぁ!!
「私はここで待っていますから、行ってきてください」
「う、うん」
……え?私一人なん?いや、いいけどね?いいんだけどそんな微笑まれると少し行くの躊躇うっていうか……なんかちょっと怖いんですけど。だが、行かないという選択肢はない!よし、今行くぞナギサちゃん!いっぱいお話しようね!親睦を深めようね!
いつも通りの温度差。
ちなみにナギサ様の待つ部屋の前で待機していた護衛はナギサ様によって移動させられました。威圧感を与えないように配慮されております。ナギサ様ってすごく優しいね!