ゲヘナ最強の双子の姉 作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。
「ケイ!ケイも遊びたかったんでしょ!」
「いえ、アリスが寝てしまったので私が動いているだけにすぎません」
「……ケイちゃんも、遊ばない?」
「いえ、ですから私は……」
「遊ぼうよ、ケイちゃん」
「……そこまで言うのなら」
みんながケイちゃんを歓迎している。やっぱりゲーム開発部ってあったかいよね。やれやれという表情をしているがどこか嬉しそうなケイちゃんに私もほっこり。ケイちゃんが幸せそうでうれぴい。
「じゃあ私と交代しよう」
「ヒナ、いいの?」
「ええ、私もそろそろ休憩したかったから」
「そっか、ありがとね!」
そうしてヒナはケイにコントローラーを渡して私の隣に座った。4人でわいわいしているみんなを見るその顔は微笑ましいものを見るような、優しい表情だ。
「……居場所があるというのは、いいわね」
これから関わっていくのならと、以前先生からケイちゃんについて教えてもらった時のことを思い出しているのかな。かつて敵対したことも、アリスちゃんの代わりに消えようとしたことも、なんとか……それも首の皮一枚つながるかどうかというほどの奇跡によって生還できたことも。
それらを踏まえた上で、今ケイちゃんが無事にみんなと仲良くしていられている現実を噛み締めているのかもしれない。私の考えすぎかもしれないけど、なんとなくそんな気がした。
「……平和ね」
「……そうだね」
ヒナと2人、ソファに腰掛けてぼんやりと過ごしながらゲーム開発部のみんなが楽しそうにしているのを見ている。きっと普段からこんな風に遊んでいるんだろうなって考えると、やっぱり平和だなぁって思う。
「……姉さん」
「なあに?」
「さっきの、何?」
……おっと?
「ケイに何をされそうだったの?」
なんかよさげな雰囲気が一気に吹き飛んだぞ?急に空気が重くなった気がする……誰か重力魔法でも使ってる?
「え?えーっと……」
分かりません、とは言えない空気がある。*1なんて答えるべきなんだ?助けてケイちゃん!ケイちゃんが説明して!ゲームしてる場合じゃないぞ!
「何かあれば私が止めるつもりだったけれど……もしあのままモモイが声を上げなければどうなっていたか、理解しているの?」
「……」
マズい。こっちを見ずに淡々と質問してくるヒナの謎の圧力がすごい。でも質問に対してどう答えればいいのか分かんない!あのあとどうなったかなんて分かんないよ!ケイちゃんは甘えたかったんじゃないの!?向こうからハグしてきたんだよ!?久し振りに会ったんだしさ!そうでしょ!?
「……はぁ」
そんな私の考えを見透かしたかのように、ヒナは私の顔を見てからおもむろにため息をついた。ヒナ、人はね、顔を見てため息をつかれるとね、傷つくんだよ。私は繊細なんだ。ガラスのハートにヒビが入らないよう気を遣ってくれたまえ。
「姉さんはもう少し考えて行動して。姉さんの行動で何が起こるかを理解して」
「……それケイちゃんにも似たようなこと言われたよ。軽率な言動は控えろって」
「……また無自覚に煽ったのね」
「え?」
「いや、こっちの話」
なんかさ、最近私がみんなにどう思われてるのか気になるんだけど。アリスちゃんとケイちゃんとヒナには呆れられてるというか、アリスちゃんが言ってた「仕方のない人」って思われてそう。どうして?私はそう思われるようなことは何も……ッ!?
ま、まさかッ!!まさか、そんな……そんなことがありえるとでも言うのかッ!?*2
私がどうしようもない変態であることがバレた……!?*3
なんということだ!!だから言動を散々注意されていたのか!!お前は変態丸出しだからもう少し抑えろよと、仕方のないやつだなと、そういうことだな!?
くっ……!!3人は遠回しに注意してくれていたんだ!!「お前気持ち悪いしやめろよ」とかストレートには言わず、オブラートに包んでくれていたんだ!!まさか3人に言われるまで気が付かないなんて!!
そうか……そうかっ!!
普通に泣きそう。
ヒナの中で私の頼れる姉というイメージはとっくに瓦解していたのか……変態丸出し野郎とか思われてんのかな。どうしよう、なんかもう帰りたい。あったかい布団にくるまって何も考えずに寝ていたい。私の将来の夢はイモムシ……はキモいからやだな。
……いや、待てよ。こんなゴミクソ変態マンを前に拒絶するのではなく控えるようアドバイスをしてくれるということはまだそこまで嫌われてはいないのでは……?*4まだ挽回のチャンスはある……のか……?
よ、よし。流石にこれ以上評価を落とすわけにはいかぬ。少しの間変態を封印しよう。そうだ、そうしよう。それが一番良いはずだ。そうでもしないと私のメンタルが保たない。
「じゃ、じゃあ、みんなと少し距離を置いたほうがいいのかな?ヒナも……その、今まで気付かなくてごめんね?」
「あ、いや、私が嫌というわけじゃ……」
「日頃の行動を見直してみるね。私、頑張るから」
だから見ててくれ!私は変態をやめるぞ!ジ◯ジョーー!!
ふっ、これで少しは好感度が上がるだろう。プランクトン並み(16μm程度)からミジンコ並み(2mm程度)に成長したな!倍率でいえば百倍以上!急激な成長だ!
「……」
……あれ?ヒナ、その歯と歯の間にニラが挟まった時みたいな、苦虫を噛み潰したような顔はなんだい?まさか私が目標を達成できないとでも思っているのか?私の意思の強さは世界一だぞ。*5心配なんていらないからな!
そう心の中で啖呵を切っていたら、ヒナがクイっと私の袖を引っ張り、こちらを見ないで俯きながら呟いた。
「……別に、私には何も気にしなくてもいいから」
ヒュッ……待て、落ち着け、冷静になれ。……これは試練だ。欲望に打ち勝てという試練と私は受け取った。人の成長は未熟な精神に打ち勝つことだとな。てかここで手を出してみろ。あ、やっぱりコイツ変わる気ねーじゃんピネよとか思われてしまうかもしれない。いや、思われるだけならまだマシだ。実際に言われたら本当にピネる。
「ありがとうヒナ。でもケイちゃんにもヒナにも言われたから少し頑張ってみようかと思って」
「……」
どうだ!今までにない、これまでとはまるで違う私の成長っぷり!この調子なら変態になんてならないもんね!常に冷静に物事に対処すりゃあ簡単よ!フハハハ!ヒナも誇らしいだろう?
「……」
……なんか様子がおかしいな。実の姉が変態すぎて困ってたところにようやく自重を覚えたときたら喜びのあまり盛大にお祝いをしてもおかしくないのに。もっとテンション上げてこーよ!ほら!変態脱却ばんざーい!ばんざーい!
「……ん」
ウヒョアァッ!?何でヒナの方から腕に抱き着いてくるんですか!?私の変態脱却をそこまでして阻止したいか!?や、やめて!やめて!!私の中の変態が抑えられなくなる……!!出てくるな!もう一人の私!
慌てふためく私の脳内なんて全く知らないヒナは、そのまま私の腕にスリスリと頭を擦り付けてきた。
「……私には、気にしなくていい、から」
再度そう呟いたヒナは、至近距離から上目遣いで私の目を見つめている。そんな前代未聞のかわいらしさを発揮するヒナに私はただ脳内でテンパることしかできなかった。
おおおちおちちいおちちちちつつつけけけけけけ!ままままだあわわわわわわわ!!
隠れマリーを探せ!(難易度☆1)
変態をやめようとしてもやめさせて貰えない空崎ミツキさん17歳。