ゲヘナ最強の双子の姉 作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。
ふーっ、ふーっ……ま、まだ慌てるような時間じゃない。そ、そうだ。ヒナは優しいから私の前では気を張らなくていいよという気遣いだろう?だよね?……変に勘違いしてやらかす前に聞いておこう。*1
「……どういうこと?」
「私は……その……」
上目遣いでこちらを見つめていた目が揺れる。それに私の腕を抱きしめる力も強くなっていって……
ぐぐぐぐ、なでなでしたい!ハグしたい!だが流石に頑張るって言ったそばから手を出すのはアウト!いくらヒナが優しくてもそれは馬鹿すぎる!落ち着け!落ち着くんだ!素数を数えれば……アッ、そんな何か期待するような顔でこっちを見ないで!我慢しろ!そんなに見られても私は一歩も動かんぞぉ!!*2
「……」
一切私が動かないからか、ヒナはがっしりと抱きしめていた私の腕から離れてその腕を自らの頭上に持っていった。ふわふわとした髪の毛の感触が手に伝わってくる。
「……ひ、ヒナ?」
「なでて」
「え?で、でもそういうのは控えた方が……」
「……他のみんなはいいのに、私はダメなの?」
「そういう話じゃ「姉さん」……う、うん」
いや、そんなになでていいって言うのならなでるけど……ああ、私の変態脱却の宣言は一瞬で無に帰したな。いや、ヒナの要望だからギリセーフ?アウト?
掴まれている方の手で頭をなでればヒナはどこか満足したように目を細め、頬を緩ませた。なでられて満足なのかヒナは掴んでいた手を放してくれた……と思ったら今度は私のもう片方の手を取って自身の頬に持っていき、そのもちもちなほっぺたで私の手に頬擦りしている。
ギャースッ!死ぬ!死んでしまう!私の冒険がここで終わってしまう!とても柔らかなほっぺただよ!なにこれ!口に含みたいくらいだ!それになんだその顔は!心地よさそうに微笑みやがって!こんなの至近距離で浴びていいものじゃないだろ!もう駄目だ!私は変態に戻るぞ!ジ◯ジョーー!!
ヒナが掴んで頬擦りしている方の手を今度は私の意思で動かしてそのまま変わらずにヒナの頬を撫でる。自分で頬擦りしなくても私が撫でているからかヒナは手を離してされるがままだ。ふっ、手を離したな?この私を前に油断したな?
頬を撫でる流れのまま、ヒナの首元を指先でくすぐる。
「ひゃんっ、ね、ねえさん?」
そのまま指先で首を触っているかどうかのギリギリのラインをなでていく。あくまで手のほとんどはヒナの頬にあるのだから指先が首に当たっていようがコレは頬をなでているだけである。誰になんと言われようともこれは頬をなでているだけなのだ。
「……ふっ……んっ……く、くすぐったいのだけどっ……」
首に触れる度にヒナの口から吐息が漏れ、時折悶えるように体をよじっている。き゛ゃ゛わ゛い゛い゛!
「ふふ、ごめんごめん」
仕方ないからやめてあげよう。一応変態脱却するって話だったし。今の?今のは……うん、今日はチートデイだから。*3ヒナは目をじとーってさせて私を見ている。そんな顔もすばらしい!
「もう……姉さんはいつもそうやって……」
「ごめんね?」
「……ううん、その……姉さんとのこういう時間は……好きだし……」
はい最強。やっぱりヒナって最強で最高なんですわ。もうね、こんなこと言われちゃって大人しくしていられるわけがないんだよね。うん。だから抱き着くのも仕方ないんだわ。そっちが誘ったんだぞ。
ぎゅっとハグすればヒナもすぐに腕を背中に回してくる。かわいい。ヒナのせいで私は変態脱却できないんだからな。責任を取りなさい責任を。
「私も好きだよ、ヒナ」
「……だめ。やっぱり、ダメ。姉さんは私にももう少し自重して。これじゃあ心臓がいくつあっても足りないわ」
嬉しさのあまりに抱き着いて私も好きって共感しただけなのにぐいっと体を押し返されたでござる。泣いてもいいか?てか改めて禁止令が出たんですけど。ひどいや!さっきはオーケー出してたのに!ヒナのうそつき!私が頑張って我慢してるところをヒナの方から攻めてきたってのに私が手を出したらはい禁止とかひどすぎる!もうヒナが目を合わせてくれなくなっちゃったよ。こんなにヒナに振り回されて……私がかわいそうでは?
「むぅ……でもヒナが気にしなくていいって言ったんだよ?」
押し返されようが再度近付いちゃえばいいもんね。てか体を押し返されないようにその手を繋いじゃえばいいじゃん。流石私!かんぺきー!早速小さなお手々を正面から恋人繋ぎでぎゅっと握ってヒナとの距離を縮めれば、ヒナは目を逸らすどころか俯いてしまった。
「それはっ……そう、だけど」
か゛わ゛い゛い゛! ! ! !
かわいいよぉ!!さっきからヒナがかわいいよぉ!!ヒナの一挙一動に心がきゅんきゅんするんじゃあ!!ねぇ、どうしたいの!?こんなに私を夢中にさせてどうしたいの!?もう沼にどっぷり浸かってるよ!!全身沼に入っちゃってるよ!!
「……もう、むりっ……!」
「えっ?」
ヒナが耐えきれないとばかりにさっき同様私を押し返そうとするが手を繋いでいるのだから簡単に離れるはずもなく、その勢いを押し殺すことなんてできない私はバランスを崩してそのままソファから落下した。当然手を繋いでいるヒナも巻き込んで。
「きゃっ」
「わっ」
うごあァァ!?後頭部がァ!!マイヘッドが今思いっきり床にぶち当たった!!痛い!!なんなん!?何が起きた!?なんで床に落ちた!?*4
突然の出来事に理解が追いつかず、痛みに悶えながらもどうしてこうなったのかを把握しようと思ったら視界いっぱいにヒナがいた。ヒナは私の上に覆い被さっており、恋人繋ぎをしていた両手はまだ私の顔の横で繋がれている。
「……うぅ……ひな?」*5
「ぁ……ねえ、さん……」
こんな状態じゃ私にできることもなく、目の前で少し荒くなった呼吸をしているヒナをただ見ていた。
「……っ」
ヒナがごくりと生唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえる。ぐぐぐと私の手を握る力が強くなり、そのまま床に押し付けられてしまえばもう私じゃ動かせそうにない。いつもより瞳孔が開いた目でこちらを凝視しているヒナから目が離せずにいると、視界の外から複数の声が聞こえた。
「だ、大丈夫!?おっきい音が……ヒナ?」
「わ、わぁ……」
「……ヒナさん?」
「……」
落下音を聞いて心配してくれたらしく、モモイちゃんが声を上げた。その隣で顔を赤くして上着の襟に口元を隠してるユズちゃんかわいい。でもちょっとミドリちゃんとケイちゃんの目が怖いんですけど。特にケイちゃんは目に光が無いっていうか……割と本気で蔑んだ目を向けられてる気がする。なんでそんな目でこっち見てるの?私が何をしたって言うんだ!
「こ、これは違うの!ただの事故で……!」
「……がっしりとミツキの手を掴んでおいてよくそんなこと言えるよね」
「その体勢でそれはちょっと……」
バッと顔をみんなの方に向けたヒナは慌てたように言葉を紡ぐが、モモイちゃんとミドリちゃんによって言い分は両断されていく。2人の指摘でヒナは現状を再確認したのか急いで手を離して私の上から離れ、横たわっている私をケイちゃんが起こしてくれた。優しいね!顔はなんか怖いけどね!笑顔って知ってる?
「……私は、言いましたよね」
「ケイちゃん?」
怖いよ?私に抱き着いて幸せそうだったケイちゃんはどこへ……?もしかしてガチギレしてます?私何かやらかしましたか?……あぁ、うん。さっき言われたのに速攻で軽率な行動したね。変態行動とってたね。ごめんて。でもヒナが悪いと思いませんか!?ヒナが許可したんだぞ!!文句があるならヒナに言え!!私は悪くない!!*6
「……本当に何も
だから怖いって。その暗い目はなんなの?ハイライトさん仕事してくださいお願いします。……その目をじっと見てるとなんか吸い込まれちゃいそうな感じが……
「ミツキ、なにぼーっとしてるの?落ちた時にどこか打った?」
「え?……あ、うん。大丈夫だよ大丈夫」
心配してくれるなんてモモイちゃんは優しいねぇ。落ちた時になぜか後頭部が痛かったけど、まあ誤差やろ。たんこぶはできてないと思うし、言わなきゃケガしてないのとおんなじや。
「……でもミツキさん、手の甲が赤いですよ」
ユズちゃんの指摘に手を返してみれば本当に手の甲が赤くなっていた。床に押し付けられてたからか?なんかこれ見たら少し痛みが出てきた気もする。自覚したら痛くなるやつやんこれ。気付きたくなかった!
「手の甲って、ヒナさんに……」
「押し倒された時のだよねぇ……これ力入れすぎでしょ。真っ赤になってるじゃん」
気を遣ってなのか恥ずかしかったからかは分からないけどミドリちゃんがぼかして言わなかったってのにどうして軽々と言うのかねモモイちゃん。流石です。そういうバッサリした性格好きやで。
ただ、押し倒されたってワードがモモイちゃんから出た瞬間ヒナの肩がビクゥッ!!ってすごい勢いで跳ねた。
「ヒナも言ってたけどあれは事故だしあんまり気にしないであげてね?」
「……ソファから落ちたのは事故かもしれませんが、それで片付けてしまっていいんですか?ヒナさんのあの反応を見るにそれだけではないような気もしますけど」
ミドリちゃん、君は何を言っているんだ。事故を事件に結びつけたいタイプ?まあ、そういうの考えるのは楽しいけども。でもヒナがかわいそうだからやめてあげてね。ヒナからもなにか……あれ?なんか自分の手を見つめて動かなくなっちゃった。なんかトリップしてないかあれ。
「でも、その、私がちょっかいをかけなきゃ良かっただけだし……」
「それはそうでしょうね」
ん?それはどういうことだいケイちゃん。私が言ってからの反応早くなかった?明らかに即答だったよね?ねえ、失礼じゃないか?
「まあそうだよねー」
解せぬ。そうだよねーじゃない。モモイちゃんもそう思ってるんかい。私の味方は?先にかわいく誘惑してきたヒナが悪いって言ってくれる味方は?くそっ!おかしいだろこんなの!なんで私が悪いんだよ!*7
一人悲しく心の中でダメージを負っていたらそれに気づいたのか、ユズちゃんがおずおずと口を開いた。
「そ、その、大丈夫ですよ、ミツキさん。……あ、その、何がって言われたら、その、私もよく分からないですけど……ごめんなさい」
……なんだこのクソかわいい生き物。よく分かってなくても私のフォローをしてくれたんだよね?天使か?お持ち帰りしていい?だめ?じゃあ私がユズちゃんのロッカーで同棲するね。狭いって?じゃあ私がずっとユズちゃんを抱えていれば問題ないよね。任せて。
「私の味方はユズちゃんだけだよ〜」
「え、えへへ」
抱き着いて全力なでなでをプレゼント!それじゃあ私へのプレゼントだって?うるさい。ユズちゃんもにへらと少し頬が緩んでるんだからいいだろ!てかその顔めっちゃかわいいやんけ!私の義妹になる?いつでも歓迎するよ!
そんで周囲から「仕方ないなあこいつは」みたいな視線をもろに食らっております。やはり解せない。あとケイちゃんはさっきより目線が厳しいものになってませんか?私目線だけで殺されそう。そろそろ目からビームも夢じゃないのでは?私一瞬で消し炭にされそう。
まったくしょうがないなぁ!ケイちゃん!さっきハグして幸せそうだったのは知ってるんだぜ!私からハグしてあげようじゃないか!
「ケイちゃんもぎゅー!」
「……」
……なんだその真顔は。感情が抜け落ちてないか?せめて怒るか喜ぶかどっちかにしてよ。一人だけテンション高くておかしいみたいじゃん。あとその握りしめた拳はなんだい?まさか殴るのか?……え?違うよね?私吹き飛ばされたりしないよね?
「なんかあそこまで表情が無のケイ初めて見たんだけど。結構ドライな時もあるけどあそこまでじゃないよね?」
「……頑張ってるんだね」
「?……どういうこと?」
「……お姉ちゃんには無縁の感情かも」
「??」
ほらそこ!分かってるならミツキお姉ちゃんにも教えろ!いや教えてください!ミドリちゃんお願いします!ワタクシめにぜひご教授を!このケイちゃんどうすればいいんだよぉ!あとヒナは早く現実に戻ってきて!誰か助けて!
あーあ、どんどん収拾がつかなくなっていく。自分でなんとかしなよミツキ。
なんかまだ続きそうな感じですけどここで一旦ゲーム開発部は一区切りにします。最初に書きたかった話は書けましたしもう6話目ですしね。広げた風呂敷のたたみ方を知りたい。……いや、みなさんが想像して楽しむ余地を作っていると考えようそうしよう。また書きたくなった時に続きか、もしくは別のお話を書こうかと思います。