ゲヘナ最強の双子の姉 作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。
「セイアちゃ〜ん」
座っているセイアのもとに近付いたミツキは斜め後ろからその体を持ち上げ、セイアが座っていた椅子に座って膝の上にセイアを乗せた。持ち上げられていたセイアは特に暴れることもなくされるがままで、呆れの感情を隠すことなく表に出している。
「はぁ……君はどうしてこう、私の所に来るんだい?正直言ってものすごい視線を感じるから控えてほしいのだが」
「だってセイアちゃんお人形さんみたいですっごくかわいいんだもん!お耳とか尻尾もふわふわでかわいい!」
すると、机の上にいたシマエナガがセイアの頭の上に乗り、ミツキに向けて顔を向けた。
チーチーッチチッ
「えへへ、君もそう思う?」
ミツキがそっと指を差し出せば、シマエナガはその指をツンツンとつつき、鳴いた。
チュルルッ
「君もかわいいね」
にっこりと微笑むミツキに近付いたシマエナガは、そのままミツキの頭上に飛び乗った。トテトテと頭の上で歩き回った後、安定した場所を見つけたのか頭頂部でゆっくりと足を畳み大人しくなっている。
「っ!セイアちゃんセイアちゃん!セイアちゃんのシマエナガくんが私の頭の上で寛いでるよ!少し仲良くなれたのかも!」
シマエナガのために差し出した手をもとに戻し、興奮のままに膝の上にいるセイアを抱き締める。だが、セイアは相も変わらずに呆れの表情のままだった。
「……君が満足気なのは構わないが、より一層視線の圧が強くなったよ」
「??」
「分からないのならその方が幸せなのかもしれないね。君ならきっと様々な場所で数多の視線を受けることだろうし」
「……?」
ぽむぽむ
「……は?」
セイアの後ろで首を傾げているミツキはそのままセイアの頭の上に手を置いてなでなでを開始した。突然のことに呆気にとられていたセイアは素っ頓狂な声を上げ、諦めたかのようにそれはもう深い深い溜め息を吐いた。
「はぁー……いくら話が理解できないからといって、それで人の頭を撫で始めるのはどうかと思うが」
「セイアちゃんの髪の毛サラサラだね!」
「そもそも人の話を聞いていないのかい?ムダに心地良いのも釈然としない。君は自由が過ぎる」
「だって私ゲヘナだもん。自由なのが校風だし」
「……そう言えばそうだったね、あまりに溶け込みすぎていて忘れていたよ」
「ちゃんと羽根も角もあるんだよ?ほら」
そうして、ミツキは自身の羽根をセイアの前に持っていった。それは端から見れば己の羽根でセイアを優しく包み込むようで……
「落ち着け。君が思っているようなことでは無いということくらい、君も分かっているだろう」
そうしてセイアが制止したのは、机の上で両の握りこぶしを震わせているミカに対してであった。だが、ミカは辛抱たまらず立ち上がり、セイアに向けて口を開く。
「うー……!セイアちゃんばっかりズルい!折角みんなで集まれたのに!ね、ナギちゃん!セイアちゃんズルいよね!?」
「わ、私ですか?」
「むしろ君達二人の方が普段からミツキと会っているだろうに。一体何がそこまで不満なのか教えてもらえるかい?」
「独り占めなんてヒドいよ!それに私達はそこまで密着してないし!」
「しているだろう、特にミカは」
「うっ……で、でも!私は膝の上で抱き締めてもらってなでなでなんてされてないよ!なにその状況!おかしいじゃん!セイアちゃんも普通に受け入れてるし!普段のセイアちゃんならそういう扱いされるの嫌でさっさと逃げちゃうのに!」
子供の癇癪のように自分の抱える不満を爆発させるミカだったが、セイアにとっては右から左。まともに聞いているのかすら怪しい対応を前にミカが更に口を開こうとした瞬間、セイアがゆっくりと言葉を紡いだ。
「……と、いうことらしいが、そこのところはどう思っているんだい?ナギサ」
「……」
名指しで呼ばれたナギサは顔を反らし、誰とも目線を合わせようとはしない。ギギギとオイルが切れた機械のようにナギサを見たミカは、呆然とナギサに問いかけた。
「な、ナギちゃん?どうしたの?」
「……」
「う、嘘でしょ?まさか、ナギちゃんも……?」
「そ、その、業務で疲れていた際にお声をかけていただいて、それで……」
「え?もしかして、してもらってないの私だけ……?二人ともズルいー!!」
ミカの不満は更に増え、癇癪はよりひどくなっていく。そんなミカに対し、依然として呆れた表情のままセイアが独り言ちた。
「はぁ、隣の芝はなんとやら、ということなのかもしれないね。私達の中では特に普段から距離が近いだろうに」
そして、ニヤリと口角を上げてからミカに対して挑発的な表情を作った。
「それとも、こうして私達三人が集まっている中でミツキに
「せ、セイアさん!?」
「へぇ……?ふーん?そういうこと言っちゃうんだ、セイアちゃん」
「!?」
ブチッ、と聞こえるはずもない何かが切れるような音がミカの方向から聞こえ、近くにいたナギサは驚きの表情と共にミカへ視線を向けた。特に何かが壊れたわけでも千切れたわけでもないが、確かに音が聞こえたのである。
「おや、何か気に障ったかな?だとしたら謝るよ、気分を害して済まなかったね」
セイアはそれでも飄々とミカをあしらう。それどころか何も気にしていないとでもいうように机に置いていたティーカップを手に持ち口を付けた。
「謝れば全部許されると思ってるのかな?かな?」
「はて、何を言っているのか分からないが……そうだな、君の圧のせいで若干一名が怖がっている。抑えてくれると助かるよ」
その言葉にふとセイアの顔から意識を外したミカの視界には、セイアのお腹を強く抱き締め、その肩に顔を埋めながら目だけでこちらを伺っているミツキの姿があった。
「あ……ご、ごめんねミツキちゃん」
いつの間にか大きく広げていた羽根を元に戻し、急いで椅子に座る。急速に冷えた頭は、次のセイアの言葉で再度熱を帯び始めた。
「ミカはそうやってすぐ力に訴えようとする。気に食わないことがあったときに手が出るなんてのは子供のすることだ。下手に相手を傷付けてしまう前に自制心を鍛えた方がいいだろうね」
「元はといえばセイアちゃんのせいじゃん!?」
「そういう意見もありうる、か」
「ありうるとかじゃないよ!100%セイアちゃんだよ!」
セイアはゆっくりと首を左右に振り、まるで幼子に言い聞かせるように、諭すように、先程までとは異なる柔らかな声色で語りかけた。
「ミカ、考えてもみてくれ。私達がこうして言い合いのような……言い合いと言う程のものでもないが……話し合っている間、すぐ近くで観察するだけして何もしない、ミカの言うような
「……たしかに」
そうして、二人の視線はナギサへと注がれる。
「え?……えっ!?」
「ナギちゃん!なんで止めてくれなかったの!」
「えぇ!?そ、それは暴論が過ぎるのでは!?火をつけたのも爆発したのもお二人ですよ!?」
「爆発したって私のこと!?」
「ち、違っ!これは例えです!例え話です!」
「そうだよね!一人でこっそりとミツキちゃんの膝の上で抱き締めてもらってなでなでしてもらってるナギちゃんは余裕が違うよね!余裕が!」
「あーもう!私は静かにしていたというのに!元はといえばお二人が――
言い合いを続ける二人を見ながら、セイアは優雅に紅茶を飲んでいる。その後ろからミツキが心配そうな声を上げた。
「あれ、いいの?」
「さぁね」
「さぁねって……」
「まあ、こういう日があってもいいじゃないか。面白いだろう?」
「えぇ……」
「君がどうかは知らないが、私は面白いと思っているよ。思ったことを思った通りにぶつけ合う……幼稚な言い合いに見えるかもしれないが、以前までの付き合いよりかはずっと健全さ。それに今の二人なら言い合いも長くは続くまい。どこかで区切りが付くだろう」
そう話すセイアの顔は笑っていた。どこかすっきりとしたような、晴れ晴れとした顔つきで。
「向こうが二人で盛り上がっているんだ。私達も何かしてみようか」
「何かって?」
そして、その顔は心底愉快そうに歪み……
「そうだね、何かしたいことはあるかい?」
ミツキの膝の上で正面を向いていた体を90度回転させて横向きに座り、更に上体を捻りながらミツキの頬に両手を添えた。
「せ、セイアちゃん……?」
至近距離で見つめ合っている状況にミツキの鼓動は早くなり、顔には徐々に朱が差していく。そんなミツキにセイアは更に顔を近付け、わずかに揺れる瞳をジッと見つめながら親指で頬を優しく撫でていた。
「ぁぅ……」
「さぁ、君は私に何を望む?私と何がしたい?――ミツキ」
「ぅ……ぁ……」
やけに艶のあるような声色で名前を呼ばれてしまえば、ミツキの視線は挙動不審にあっちへ行ったりこっちへ行ったりと泳ぎっぱなしであった。そして、じりじりと近付いて来るセイアの顔に目が奪われて……
「ちょちょちょちょちょっ!?な、何してるのっ!?」
慌てたミカに体ごと引き離された。
「なんだ、やけに必死じゃないか。そんなに慌ててどうしたんだい?」
「『どうしたんだい?』じゃないよ!そっちこそ『どうしたんだい?』だよ!突然何してるの!?」
「セイアさん、流石にそれは看過できませんよ」
ナギサはミカに体を押さえられているセイアを見ながら守るようにミツキの横に立ち、そっと頭に手を置いた。それによってシマエナガはミツキの頭上から離れてどこかへ飛び立っていく。
「ふむ……私は別に悪い事などしていないのだがね。二人は一体私が何をしそうだと考えたんだい?」
「えっ!?そ、それは、そのー……」
「ミカさん……」
勢いが無くなりしどろもどろになるミカを残念な物を見る目で見つめるナギサは、今もミツキの頭を撫で続けていた。
「うぅ、だってぇ……」
「……ミカ、君は何も気付かないのかい?」
「え?何が……って、ナギちゃん!なにしれっとミツキちゃんの頭なでてるの!?」
「あら、お二人はどうぞ仲良くしていてください」
「漁夫の利というやつだね。流石はナギサ、状況を良く理解している」
「もー!ナギちゃんもこっち来て!」
「まったく、仕方ないですね」
そうしてナギサの腕も掴んだミカは二人を連れて離れていく。一人ポツンと椅子に座っているミツキを置いて。
「一人になっちゃった……」
チチチッ
だが、先程飛び立ったはずのシマエナガがどこかから現れ、ミツキの膝の上に着地した。
「あ、シマエナガくん!」
そっと人差し指を伸ばした手を近付けてもシマエナガが避けることもなく、その指はシマエナガの嘴の下、首付近を触れる。ふわふわとした羽毛と温かな体温を感じながら指を動かせは、シマエナガは心地よさそうに目を細めていた。
「かわいい……!!」
すると、シマエナガは両の羽根を広げてパタパタと扇ぐ。飛び立つわけでもなく軽やかに動く羽根にミツキが指を離せば、羽根を閉じたシマエナガが首を傾げながらジッとミツキを見つめていた。
「どうしたの?」
ミツキも同じように首を傾げて問うが、シマエナガは特に何かアクションを起こすこともなく、お互いジッと見つめ合っている。
「お腹空いたの?それとももう少し触ってもいいの?」
わけも分からずもう一度指を首に近付けると、シマエナガはその指を避けるように屈み、目の前にある指の下に潜り込んでからグリグリと頭で押し上げた。
「あれ?嫌だった?」
そっと指を離すとシマエナガは突然羽ばたき、鳴き声を上げながらその指に向かって体当たりを繰り返す。
チチッチュルッチュチュッ
「わわっ!?ど、どうしたの!?も、戻せばいいの!?」
ペシペシと当たる羽根ともふもふと触れる体になんとなく心地よい感触はあるが、それ以上に目の前で羽ばたくシマエナガに驚いたミツキが咄嗟に指を元の場所に戻すと、シマエナガも元の場所に戻って再度指の下から頭をグリグリと押し当てていた。
「……もしかしてなでなでしてほしかったの?」
ミツキがシマエナガの頭をなでるように指を動かすとシマエナガの動きは止まり、ようやくかと言わんばかりに足を畳んですっかり大人しくなった。
「はー……かわいい……」
シマエナガになでなですることを許されたミツキは、そのままなでる範囲を広げて胴体の方も優しく触れる。手のひらで体を包み込むようにしながら指を動かせば、なでつつも手のひら全体でシマエナガを感じることができた。
チチチッ
「ふふ、今度はどうしたの?」
シマエナガもミツキの手に体を擦り付けている。スリスリと擦り寄ってくるシマエナガにミツキの顔はだらしなく緩み、もう見るからにデレデレだった。
「ふむ、真の漁夫の利はシマエナガだったか。私以外にあそこまで懐くとは……」
「ふふ、あのようなミツキさんも可愛らしいですね」
「かわいいけど!かわいいけどぉ!……鳥に負けたぁ!」
三人は少し離れた位置からシマエナガとミツキのやり取りをほっこりとした表情で見つめていた。流石にシマエナガに対して実力行使で無理やり退かすことは出来ず、幸せそうなミツキの邪魔をすることも出来なかった。
シマエナガと戯れているミツキは、見られていると自分で気付くまでのしばらくの間三人に鑑賞されるのであった。
正ヒロインはシマエナガ。異論は認める。シマエナガかわいい。好き。飼いたい。でも飼えない。つらピ。シマエナガの性別はお好きな方で想像してください。
原作の方で一度も出てきていないセイアを原作後で先に書いてしまいました。私は愚かである。
……でもさぁ!三人揃って水着で出てきたのに書かないなんてできるわけないだろ!?なぁ!?そう思うよな!?うんうん!だから私は悪くない!原作の方でどういう絡みになるのか全く考えていないセイアとイチャイチャさせてしまったけどなんにも問題はない!多分!なんとかなるさ!