Blue Archive vol.AGITΩ   作:mukugawa

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ゲヘナ風紀委員会

 

 紫関ラーメン屋付近にて。

 ゲヘナ風紀委員会2年、銀鏡イオリに振るわれたテツヤの拳が戦いのゴングを打ち鳴らした。

 指揮官であるイオリを殴り飛ばしたテツヤは、瞬時に組まれた包囲陣形をその桁違いのパワーによって破り、その猛威を振るう。

 拳が振るわれれば仲間が飛び、蹴りが振るわれれば暴風が襲う。

 生きた災害のような振る舞いは、経験の浅い風紀委員たちの足を止めるには十分すぎる恐怖であった。

 

「止まるな! 陣形を組み直せ!」

 

 イオリの檄が飛ぶ。

 10m以上はふっ飛んだイオリだったが、腹部を抑えながら風紀委員たちに指示を与える。

 その声に答えたのは、火宮チナツと2年生から3年生のベテランたち。

 異形のインパクトから回復したものから戦列に加わり、テツヤを挟み込み、銃撃を浴びせる。

 たまらず顔を覆ったテツヤの隙を見逃さず、イオリは愛銃のスナイパーライフルの照準を異形に合わせた。

 

「お返しだ!」

 

 ドンと弾丸が放たれる。

 腕の隙間を狙うように射出された弾丸がテツヤの頭部を打つ。

 

「いってえ!!」

 

 その衝撃に体を震わせるテツヤ。

 当初はその暴れっぷりに翻弄された風紀委員だったが、ベテランの迅速な対応とイオリの1射が戦況をガラリと変えた。

 しかし、不意を突くように突如として戦場に投げ込まれたバッグから放たれた爆発が、風紀委員の部隊を襲った。

 

「この爆撃は……やはり貴様らか! 便利屋68!」

 

 イオリの言葉に返されたのは銃弾だった。

 弾丸は的確に次々と風紀委員のベテランたちの脳天を撃ち抜き、部隊の指示系統を潰していく。

 便利屋68社長、陸八魔アルの確かな実力のなせる技であった。

 

「そーれ!」

 

「消えてください!」

 

 室長、浅黄ムツキが投げ込む爆弾と共に突撃したのは平社員、伊草ハルカである。

 風紀委員の銃撃に晒されながら、それをものともせずに突き進む。

 ショットガンによる攻撃が指示系統を失った部隊員の意識を破竹の勢いで刈り取り始める。

 

「ちッ! まずは突っ込んできている奴から───!」

 

 指示をしようとしたイオリの言葉は死角から放たれた銃弾によって閉ざされる。

 課長、鬼方カヨコが遮蔽物の影からイオリを狙い続けていた。

 ベテラン、イオリ、風紀委員たちの動きを統率するリーダー格の動きが止められたがゆえに風紀委員部隊もまた、その機能停止を余儀なくされる。

 

「ウオオオオオオオ!!」

 

 テツヤが咆哮を上げる。

 戦場すべてのものを釘付けにするような雄叫び。

 自身に対する弾幕が止んだその一瞬をテツヤは見逃さなかった。

 

「オラアアアアアアアア!!」

 

 目の前にあったコンクリートの道路、その一部をくり抜いたテツヤはその塊を戦車へと投げつける。

 ゴン、という音と共にその装甲が歪んだ。

 テツヤはひとっ飛びで戦車の上へ着地、その砲身を手刀で切り落とし、脇に抱えて振り回し始める。

 砲身に当たった者たちはまるでピンボールのように吹き飛ばされ、便利屋によって壊れかけていた風紀委員の陣形は完全に崩壊した。

 

「いい加減にしろ貴様らーー!!」

 

「それはこっちのセリフだ!」

 

 激突があった。

 お互いに飛び掛かったイオリと異形が交差する。

 イオリの狙撃銃から放たれた強力な一撃が、またしてもテツヤの頭部を捉えるが、

 

「ガウ!!」

 

 仮面のような顔に開いた、銀の牙(クラッシャー)によってその弾丸は嚙み砕かれた。

 

「な!?」

 

「そこだ!」

 

 ズドン、と重い音を奏でたイオリの体は拳によってくの字に曲がり、吹き飛ばされると地面を何度もバウンドする。

 

「くそ……」

 

 ちっ、まだ立つのか。

 いいぞ、やりたきゃとことんやってやる。

 

「構えろ!」

 

 ぞろぞろと風紀委員が出てきた。

 たった4人相手にどこまで数を積んでんだよ、絶対に採算あってないだろ!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「な、なに? 何が起こったの……テツヤ先輩!?」

 

 セリカの声が聞こえる。。

 騒ぎを駆けつけてみんながやってきた。

 ……どうやらホシノ先輩はいないようだ。

 俺はゲヘナ風紀委員会どもを指差し、こう言った。

 

「この馬鹿どもがアビドスの自治区内の……紫関ラーメンに砲撃をかましやがった」

 

「はあ!?」

 

「おまけにお客さんを引き渡せって脅してきた」

 

「お客さんって……べ、便利屋68!?」

 

 近くにいた彼女たちを見たセリカが大声を上げる。

 

「また紫関ラーメンに来たんですか?」

 

「ん。これは予想外」

 

 近くにいた彼女たちを見たセリカが大声を上げる。

 まあ、みんなが驚くのも無理はない。

 つい最近、彼女たちがアビドスに襲撃をかけたのは紛れもない事実である。

 

「……そう、ですか。わかりました」

 

 複雑な表情をするが、セリカも紫関ラーメンの一員だ。

 どんな背景を抱えた客であろうと、お客さんはお客さん。

 自分も言いたいことがあるだろうにそこはちゃんと飲み込んでくれたようだ。

 

「チナツ?」

 

「まさかこんなところで先生にお会いするとは……」

 

 よくよく確認してみればサンクトゥムタワーにいたゲヘナの火宮さんもいる。

 ツインテールに注意を払っていたから全然気づかなかった。

 ……複数の車両と大人数が接近する音が聞こえてきた。

 この音は戦車だな。

 やってきたのはゲヘナ風紀委員会の増員だった。

 風紀委員会のものであろうドローンから空中に映像が投影される。

 そこに映し出されたのは……なんだあの格好。

 胸は横からはみ出てるし、首にカウベルつけてる。

 どう見ても変態だ。

 ……いや、俺も首輪着けてるし、人のことは言えないか。

 

『こんにちは。アビドス対策委員会のみなさん。ゲヘナ風紀委員会、行政官の甘雨アコです』

 

「私はアビドス高等学校の奥空アヤネです! この事態がいったいどういうことなのか、説明していただけますか?」

 

『私からお答えしましょう。どうやら不幸な行き違いがあったようですから。みなさん、武器を下げてください』

 

 アヤネの質問にホログラムのへん……甘雨行政官が答える。

 行政官の命令でこちらに向けられていた銃口も全て下げられた。

 

『このたびは失礼いたしました。これまでの愚行についてはこちらから謝罪させていただきます』

 

「アコちゃん? 私は命令通りに────」

 

『イオリ? あなたが今立っている場所は他校の自治区付近です。軽はずみな発砲も戦闘行為も避けなければならないのは、今さら説明する必要もありませんよね?』

 

「うう……」

 

『帰投次第、反省文を提出してください』

 

「……わかった」

 

 いい笑顔で詰める甘雨行政官にイオリとやらは観念したようにうなだれている。

 

『さて、本題に入りましょう。私たちはあくまで自分たちの学園の校則違反者を捕えるためにやってきました。ご協力をお願いできませんか?』

 

 口調は丁寧だ。

 しかし、甘雨行政官の纏う雰囲気からは有無を言わせないという圧力を感じる。

 

「お断りします! ここはアビドスの自治区です。許可のない戦闘行為は明確なルール違反! 加えて便利屋はアビドスで問題行為を起こしているんです。身柄をここで渡すことはできません!」

 

 啖呵を切るアヤネ。

 その通り、アビドス自治区内の犯罪者はアビドスが捕らえるのが筋だ。

 勝手に自治区に侵入してきたうえに戦闘行為まで行おうとした時点で、どちらの言い分が正しいのかなんて口に出すまでもなく明らか。

 こちらがゲヘナに譲歩できる段階はとうの昔に過ぎている。

 

『それでは仕方ありませんね』

 

 行政官が手を挙げると下げられていた銃口が再びこちらへと向く。

 交渉失敗のあとは実力行使ってわけか。

 

『ですが、便利屋68を追いかけていたら先生に会うとは、奇遇ですね』

 

「え?」

 

 ん?

 

「とぼけるのはそこまでにしたら? アコ」

 

 鬼方さんが一歩進み出る。

 

「こんな数を私たちを捕まえるために動かすわけない。こんな非効率なやり方で騒ぎを起こしたのは……」

 

 鬼方さんが目を向けたのは先生だった。

 

「最初から、先生を狙ってたんでしょ?」

 

「わ、私?」

 

 ……そうか、アビドスにいる先生を呼ぶためにわざと騒ぎになるよう仕向けたのか。

 便利屋68も、この戦闘もすべて先生を引きずり出すための布石……

 

「流石カヨコさん。ええ、この際すべてを白状しましょう────」

 

 甘雨行政官は語る。

 ゲヘナと敵対関係にあるトリニティのティーパーティーに先生が組織するS.C.H.A.L.Eの情報が渡ったことで、ゲヘナは先生とS.C.H.A.L.Eに関する情報を調べ始めた。

 その実態は不明であり、わかるのは連邦生徒会長が残した機関であること。

 そんな正体不明の機関が、『エデン条約』に及ぼす影響を警戒し、先生の身柄を押さえておきたいのだと。

 ようは都合の悪いヤツがいるから誘拐して手元に置いておこうって話だ。

 実に勝手な話である。

 

「なに言ってるの? 私たちがはいそうですかって先生を渡すと思う?」

 

「先生は渡さない、私たちが守る」

 

 セリカとシロコの言うとおりだ。

 今は俺たちの先生なんだから、悪いがよその学校にみすみす渡すわけにはいかない。

 

『やはりこうなりますか……たった6人で私たちに勝てると思っているのですか?』

 

「11人よ! 私たちを忘れないで欲しいわね!」

 

 甘雨行政官を否定するように声を上げたのは陸八魔さん。

 どうやら逃げずに最後まで戦ってくれるらしい。

 

「二人一組で攻撃開始! カヨコとアヤネは後方支援を! テツヤは戦車をお願い!

 

 先生の指示に従って動き出す。

 シロコは陸八魔さん、セリカは伊草さん、ノノミさんは浅黄さん。

 アビドスと便利屋の混成チームだが、先生の指揮のおかげで即興にしては完璧といってもいいコンビネーションを発揮している。

 2つのチームは少数精鋭という共通点がある。

 二人一組の戦闘も慣れたものだろう。

 風紀委員会の数をものともしない戦闘力を発揮し、次々と敵を打ち倒していく。

 そんな戦況を確認しながら、脚に力を入れ戦車まで跳ぶ。

 俺を撃ち落とそうと射線が集中するが、後方に下がった鬼方さんとアヤネの援護射撃があった。

 宙を舞う俺に照準を合わせた風紀委員たちの頭が銃弾で弾かれていく。

 戦車の上に着地した俺はその砲身を手刀で切り落とす。

 向こうの戦車の台数は5台。

 2台は既に潰しているから、残りはあと3台だ。

 俺は再び跳躍し、3台目の戦車へと飛び移ろうとした。

 その時、バチリと背筋に何かが奔った。

 

「これはどういうこと? アコ」

 

 ゆっくりと歩いてきたのは小柄な少女だった。

 白い長髪に特徴的な4本の角。

 風に吹かれる羽織った黒いコート。

 しかし、その姿を見てから悪寒が止まらない。

 彼女は間違いなく強者だ。

 恐らくはゲヘナ有数の実力者……

 そんな予測を確定させたのは甘雨行政官の一声だった。

 

『そ、空崎委員長!?』

 

 委員長だった。

 風紀委員会のトップ……そりゃ、強いわけだ。

 空崎委員長は戦場の様子を目で確認すると甘雨行政官に問いかける。

 

「状況を説明して」

 

『こ、これはですね! 便利屋68を捕縛するために……』

 

「便利屋68はいないみたいだけど」

 

『そ、そんなはずは───い、いない!?』

 

 逃げ足はやッ!

 さっきまでそこにいたはずなのに便利屋68の姿は影も形もなかった。

 ……が、戦場を観察する何者かの気配を感じる。

 離れた場所には行けていないようだ。

 

「もういいわ、アコ。大体わかったから。詳しい話は帰った後、校舎で謹慎していなさい」

 

『……はい』

 

 甘雨行政官はしょんぼりとして顔を浮かべながら消えていった。

 気の毒とは思わないけど。

 

「さて……」

 

 こちらに向きなおった空崎委員長。

 どうも大人しく帰ってくれるような雰囲気ではない。

 みんなも身構えたままだ。

 

「まだなにか?」

 

 そう聞くと、空崎委員長は俺の姿を確認し目を細めた。

 

「他校の自治区で無断の戦闘行為を行ったのはこちらの方だけど、あなたたちも風紀委員会の活動を妨害した。違う? 新条テツヤ」

 

「まさかゲヘナの風紀委員長に名前が知れているとはな」

 

「キヴォトス唯一の男子生徒。あなたは、あなた自身が思っている以上の有名人よ」

 

 いきなり名前を呼ばれたことにはびっくりしたが、意外な理由で知られていたようだ。

 男子がどうこうなんて言う人間がアイドル化を薦めたノノミさん以外にいなかったから、すっかり忘れていた。

 そういえば俺は珍しい部類の人間であった。

 自分の特異性が霞むくらい、キヴォトスでの生活は色濃かったらしい。

 だが、そんなことはどうでもいい。

 今の問題は、俺が戦いを選んだせいでアビドスに余計な迷惑が掛かったかもしれないということだ。

 向こうが一方的に暴れる状況を看過できるわけではなかったが、少なくとも俺は2台の戦車をオシャカにしてしまった。

 過剰防衛と訴えられて損害賠償を求められる可能性は十分にある。

 こんな時に舌戦を繰り広げられる口があればいいのだが、このキヴォトスに来てこのかた口げんかの戦績はあまりよろしいとは言えない。

 今はアヤネがゲヘナの違反行為を咎めてくれているが、あちらとしてもただで引き下がるつもりはないだろう。

 どうすればこの状況を打開できるのか。

 そう考えていた時、ホシノ先輩が現れた。

 緊迫した状況にはあまりにも場違いな、あくびの音を響かせて。

 

「う~ん。こりゃあ大変だ~」

 

「ホシノ先輩!? 今までどこにいたんですか? ずっと連絡していたんですよ!」

 

「うへ~、ごめんね~アヤネちゃん。ちょっとお昼寝が長引いちゃって」

 

 ……寝てたのか?

 本当に?

 アビドス自治区で問題が起きたらすぐさま駆けつけるぐらい、アンテナが敏感な先輩が?

 俺の疑問を余所にホシノ先輩は空崎委員長の目の前まで歩みを進める。

 空崎委員長から反応があった。

 

「ホシノ……小鳥遊ホシノ?」

 

「おや? 私のことを知ってるんだ、風紀委員長ちゃん」

 

「知らないわけがない。1年生のあなたはアビドス最大の警戒対象として、情報部でも知られていたから」

 

「穏やかじゃないね~」

 

「あの事件があって、アビドスを去ったものと思っていたけれど」

 

「…………」

 

 みんなは気づいていないが、ホシノ先輩の気配が一瞬だけ鋭くなった。

 その様子を心配そうな目で見るノノミさん。

 先輩にはなにか思い過去があるらしい。

 

「そうか、だからシャーレが……」

 

「言いたいことはハッキリ言ってくれないとわからないよ?」

 

「……撤収準備」

 

 空崎委員長の一言が風紀委員たちのどよめきを生んだ。

 まさか大人しく帰る選択をするとは思わなかったらしい。

 驚いているのは俺たちもだが。

 空崎委員長は頭を下げると、

 

「許可のない自治区での戦闘、及び破壊行為。風紀委員会として正式に謝罪する」

 

 謝罪の意を表明した。

 いったいどんな心変わりがあったのかはわからないが、このまま立ち去ってくれるらしい。

 空崎委員長は最後に先生の傍まできて、耳打ちをすると風紀委員会を引き連れて去って行った。

 俺たちは事態の収束を確認したあと、先に避難した大将の元へと向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「大将、大丈夫ですか?」

 

「おうよ。お前も怪我無いようでなによりだ」

 

 大将は既にラーメン屋に戻っていた。

 避難したお客さんたちも特に怪我はなく、迅速な店の対応に礼を言って去って行ったらしい。

 普通、銃撃事件があった店には寄り付かなくなるものだろうが、そこはキヴォトスである。

 超銃社会ではお店が襲撃されることは珍しくないらしく、客足にも影響は出ないようだ。

 しかし、一安心していた俺たちの耳に入ってきたのは大将の衝撃の一言だった。

 

「俺は……店を閉めようと思う」

 

「大将!?」

 

 セリカの困惑した声が店内に響く。

 それとは反対に俺は、最近の大将のどこか元気のない様子に合点がいった。

 大将はなぜ、ラーメン屋を閉めようと思ったのか。

 ……その理由は、俺たちアビドス高等学校にも関係することだった。

 大将はカイザーに立ち退きを求められていた。

 当然、俺たちは疑問に思った。

 アビドス自治区内でラーメン屋を営む大将に、なぜカイザーが立ち退きを言い渡したのか。

 その疑問の答えはすぐそこにあった。

 アビドス高等学校のデータベースにはアビドス自治区のエリアが記録されている。

 その記録の中のアビドス自治区のエリアは、そのほとんどがカイザーに奪われていた。

 過去のアビドス生徒会が膨れ続ける借金の代わりにその土地をカイザーに売却してしまっていたのだ。

 これはアビドス生にとっては寝耳に水の出来事だった。

 もはや数少ない残されたものと思われていた土地すら、カイザーに奪い尽くされる一歩手前まで来ていたのだ。

 アビドスの抱える問題は、俺たちが思っていた以上に深刻だった。

 ……そう知った時、頭に黒服の言葉が蘇った。

 あの人物は確かにアビドスの負債をすべて払うと言った。

 信用などできないが、俺がその提案に乗るしか解決の方法はないかもしれない。

 

「……身柄ね」

 

 帰り道を歩きながら呟く。

 どうせロクな目に遭わないことは確かだ。

 なにせ、相手がまともな良識のある大人とは思えないのだから。

 安易な救いを齎すあの黒服を信用してはいけない。

 あの手の輩は自分に都合さえよければそれでいいのだ。

 善意で救おうとしているわけではない。

 ……否定する理由は山のようにある。

 だが、これ以上の手段があるのか────

 

「ねえ、身柄ってなんの話?」

 

 ……独り言を吐く癖を今ほど呪ったことはない。

 振り向いた先で動揺しているホシノ先輩を見て、俺はそう思った。

 

 

 

 




・新条テツヤの拳銃、ベレッタM92F
 アビドスの入学記念に購入した拳銃だ!
 暁のホルスおすすめの一品だぞ!
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