Blue Archive vol.AGITΩ 作:mukugawa
バイトを始めることにした。
俺個人がお金に困っているというわけでもないし、金をかけなきゃいけない趣味があるわけではない。
アビドス高等学校は困窮している。
毎月の借金返済を5人でどうにかしていると聞いた時は腰を抜かしそうになった。
こういうのは大人の仕事だと思ったが、どうもキヴォトスでは学校の運営まで子供が引き受けなければならないらしい。
ということで、初登校の放課後すぐにバイトの面接に行った。
バイトの経験はないが、親戚の飲食店を手伝ったことはある。
飲食店といっても屋台だが、俺が生まれる前から続く知る人ぞ知る名店というやつだ。
お手伝いに入る時、御年70を超える親方にみっちり仕込まれた甲斐あってか、お手伝い後の自炊生活スキルが非常に向上した。
「ほー、随分手慣れてるじゃねえか」
麺のお湯を切る様子を見た柴犬大将が口を開く。
「本職にそう言ってもらえると嬉しいです」
バイトの現場は紫関ラーメン。
学生のバイトがいるというネットの書き込みを見て頼んでみたら快く受けてくれた。
「謙遜するこたぁねえよ。若いのに中々の手際だ。これなら近いうちに厨房に入ってもらうことになるかもな」
「マジですか?」
「マジもマジ、大マジよ。最近はセリカちゃんがネットでサイトを作ってくれてな。そのおかげで客足も増えてよ。ちょうど厨房の手伝いが1人欲しかったところなんだ」
すごいな黒見さん。
高1で大したものだ。
俺も負けていられないな。
「頑張らせてもらいます」
「おうよ、頼むぜテツヤ」
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次の日。
「……な、なななな」
「おはよう黒見さん」
「お、おはようございます……じゃなくて! なんで新条先輩がここに!?」
そこまで驚くことだろうか。
猫耳がピーンと立っている。
驚いていることがわかりやすいな、この子。
そんなことを考えていると、紫関大将が店の奥から現れる。
「おはよう、セリカちゃん」
「おはようございます、大将……あの、新条先輩がなぜここに?」
「おう。今日から働くことになったんだ。接客の仕方は一通り教えたが、セリカちゃんの方でもサポートしてやってくれ」
「は、はい……」
笑う大将。
黒見さんは何をそんなにソワソワしているのだろうか?
……ああ、そういうことか。
「黒見さん。気遣いはいらない。俺は一番後輩だからな」
学校の転入生、しかも学年が上の人間を指導しないといけないのだ。
心境はさぞ複雑だろう。
どういう態度で接していいかわからないのも仕方がない。
だが俺は新参者。
職場の先輩として遠慮なくものを申してほしい。
「……そ、ソウデスネー」
……あれ、間違えたかな?
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「味噌ラーメン一つ。麺固めで」
「かしこまりました。大将ー! 味噌ラーメン一つ、麺固め!」
「あいよ!」
……馴染んでいる。
「すいません、替え玉ください」
「はーい、ただいま!」
馴染んでいる。
私、黒見セリカには一昨日、新たな先輩ができた。
新条テツヤ先輩。
キヴォトスの外から来た人で、アヤネちゃん曰く、唯一の男子生徒。
物腰柔らかで、慣れていない人の前で緊張してしまった私にも、優しく接してくれた人だ。
穏やかで優しいノノミ先輩に少し似ている人。
今、その新条先輩と共に私はバイトに勤しんでいる。
……学校のみんなには秘密のバイトだったのだが。
後で口止めをお願いしないといけない。
「黒見さん、3番テーブルのお客様の対応お願い。俺は4番行く」
「はい。わかりました」
というか、慣れ過ぎじゃない!?
バイトは未経験って言ってたわよねあの人!?
何よ、至らない所があったら助けてほしいって。
即戦力にもほどがあるでしょ!?
「おや、新しいバイトさんかい? セリカちゃん」
この店の常連の方である雀さんに話しかけられる。
「はい。今日からここで」
「なるほど……いいね、元気そうな若者だ」
今のところ新条先輩の接客に問題なんか見当たらない。
お客さんとも十分にコミュニケーションが取れているし、お客さんの反応も上々だ。
「じゃあ、私も注文しようかね」
「はい。注文をどうぞ」
私はテキパキと仕事をこなす新条先輩を尻目に雀さんの注文をとった。
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「いやーお疲れさん! 2人とも一緒にやるのが初めてとは思えない程息が合ってたぜ!」
「「ありがとうございます」」
結局、私がフォローするまでもなく、先輩は仕事を終えた。
というか、私がフォローされた。
新条先輩を気にするあまりにお客さんの声を聞き逃しかけたところを助けてもらっちゃった。
「あの、新条先輩」
「なに?」
「さっきはありがとうございました」
「ん……ごめん、何のこと?」
そう答えた先輩は心底不思議そうな顔をしていた。
本当に心当たりがないのだろう。
「さっき、私が注文を聞き逃したときのことです」
「ああ、いいよそれは。俺の方に気を配ってくれたんでしょ?」
「え、ええと……」
バレてる。
これじゃ本当にどっちが先輩かわからないじゃないか。
顔が熱い。
面倒を見なきゃいけないなんて意気込んでたから、なおさら恥ずかしくて堪らない……!
「黒見さんが心配しなくてもいいように頑張るから、もうちょっと待っててほしい」
「先輩……」
謙虚。
その言葉が似合うと思った。
3人の主張が強い先輩たちとは違うタイプに私は落ち着きを取り戻していた。
最初に話すときにあんなに緊張したのが嘘みたいだ。
「あと、もう一つなんですけど。できればバイトのことは皆には話さないでほしいんです」
「……恥ずかしいから?」
「はい……」
やっぱりバレてる!
そうだよなー、こんなにわかりやすくしてたらバレちゃうよなー!
なんでこう、隠し事がうまくいかないんだろ、私……
「気持ちはわかるよ。見知った中に働いてるところ見られたら、なんか気恥ずかしいもんな」
「……ありがとうございます」
笑って了承してくれた先輩を見る。
いい人だ。
本当に……
「先輩はなんでアビドスに来たんですか?」
何を聞いてるんだ、私?
「気になる?」
「……はい」
私の口からこぼれた疑問に先輩は笑って答えた。
気になってはいた。
こんなにもできる人がなんでアビドスに来たのかって。
……アビドス高等学校は、言いたくはないけれど、いい学校とは言えない。
多額の負債を背負った学校はい転入するメリットなんてほとんどないだろう。
在学する間にいつなくなってもおかしい学校なんて、私たちのように学校自体に思い入れのある人じゃなければ入学なんて考えもしない。
先輩ならどんな学校にだって入れたはずだ。
それなのになぜ、新条先輩はアビドスにやってきたのか。
「いろいろあったんだよ」
「いろいろ?」
「まあ、聞いても面白くない話だしね。なんて説明するか……とりあえず、座れる場所を探そうか」
その声に私は、近くにある小さな公園を提案した。
今の時間は人通りもないし、電灯は点いている。
先輩と共に夜道を歩く。
アビドスの夜景は明るいものではない。
紫関ラーメンがある中心地も、夜間に街灯が消えている区画もある。
人通りもほとんどない。
車通りもまばらだ。
人の足が遠のいたアビドスは、悲しいけど内緒話には向いている。
歩き始めて数分経ったころに目的の公園が見えてきた。
人の影はない。
「座ろうか」
電灯の傍にあるベンチに2人で座る。
「何から……まあ、俺が外でどう思われているか話そうか」
「どう思われてるって……何が?」
「うん、そういう反応になるんだろうな。こっちとしては嬉しいんだけどさ」
頭をかく先輩の顔はどこか恥ずかしそうだ。
何が恥ずかしいのかはまったくわからないけど。
「一言で言えば腫物だ」
「腫物?」
「そう。知ってる通り、外の人間は弾丸一発で当たり所が悪かったら死んじゃうぐらい弱い。そんなところに銃なんか目じゃない力を発揮できる怪物が混ざってたら怖がられるだろ?」
「まあ……はい」
「そのせいでアギトを見る目は結構厳しいんだ」
言っていることはわかる。
でも、それだけで腫物扱いされる理由が私にはわからない。
だって────
「先輩が人を襲ったわけじゃないんですよね? 何で転校なんか……」
「……そこが
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アギトとは。
時折現れる超能力者、もしくは変身能力を持った人間を指す。
テツヤの生まれる10年前まで超能力者のみを指す言葉でしかなかったそれは、現代ではそういう意味の言葉になっていた。
アギトの起こす事件は数多い。
年間の3割の犯罪にはアギトが関わっているとされ、そのせいで市民の目も厳しい。
アギトに目覚めた者は市の機関に届け出を出さなくてはいけないが、時には家族にすら打ち明けずにひた隠しにする人が多いのはそのためだ。
いつ暴発するかわからない不発弾。
犯罪者予備軍。
そんな言葉は生易しいもので、アギト自体の人権すら否定し、人間社会から根絶しようと動く団体もある。
そんな状況の中で自分がアギトだと公言できる意思の強い者は少ないのは当然だった。
この世界はアギトに優しくない。
「……空はこんなに青いのに」
時刻は昼。
場所は駅前の広場、そのベンチ。
デカいビルに備え付けられたこれまたデカいモニターに映る文字はこうだ。
『アギト管理法、実施へ!』
度重なるアギトによる犯罪に業を煮やした政権が施行しようとする法案。
管理と言っても、GPS付きの端末の所持、市へのアギトであるという届け出の義務化だが。
特段困ることはない。
端末を見られたり、市への届け出を知人に見られさえしなければ。
「生きにくいな……」
言い分も理解できる。
その力を振るったことはないものの、力を自分勝手に振り回す人間が多いことも事実だ。
人は力を手に入れた瞬間に選択肢を手に入れる。
人のままでいるか、怪物になるか。
その力を思うままに振るってみたいという誘惑を微塵も感じなかったとは、俺には言い切れなかった。
「人権無視の法案は憲法違反だー!」
声が聞こえる。
最近駅前にいる人権擁護を訴えるデモ団体だ。
「アギトはね! 人間じゃないんですよ!」
それを搔き消すようにメガホンを構える団体。
アギトの起こした事件の被害者団体のデモが叫ぶ。
「みなさん忘れないでください! 私たちは人間ですが、彼らは拳銃よりも危ない力を持った怪物なんです! そんな連中を野放しにしてきた今までが異常だったんですよ! アギト管理法は人間の社会を守るために必要な法律なんです!」
「人権無視の法案は憲法違反だ!」
「見て下さいアレを! 怖いですよね! いつ襲い掛かってくるかわかったもんじゃない! あんな連中を野放しにしていていいんですか!?」
「バケモノは檻の中へ!」
「ここは人間の町なんだよ! バケモノは消えろ!」
論争とはとても言えない罵詈雑言の応酬は加熱する。
傍に控えているGユニットの強化服部隊がいつでも止めに入れるように準備をしているのが見えた。
ヒートアップした両集団が接近する。
顔はお互い真っ赤で、似た者同士という言葉がお似合いだ。
そんな風に他人ごとに考えていたその時だった。
「バケモノは消えろ!」
そう叫んで石を投げた男がその火ぶたを切った。
「なんだとこの差別主義者!」
集団の衝突が始まった。
遠巻きに眺める通行人がスマホを掲げ、ひそひそと話す。
関心のない人々にとってはその程度のことなのだろう。
自分にできることはないと知っているからかもしれない。
「下がって、下がって!」
間に入った青い強化服、G3を纏った警官が可哀そうだ。
その力のせいで無理に押すこともできず、間に挟まって激情に駆られた人々が振るう暴力のサンドバックになるしかない。
その時だった。
集団から弾かれた人間の一人が薄ら笑いを浮かべながら撮影していた通行人に声を上げた。
「なに笑ってんだこの野郎!」
語気を荒げて近づいて行く男。
それだけなら放っておいたかもしれなかった。
後ろからG3の一人が走っていた。
男は光を帯びて変身した。
筋骨隆々とした紫の装甲に包まれたアギトの姿だった。
「ま、待て!」
「どけッ!」
肘うちが制止しようとしたG3を吹き飛ばす。
それでも怒りは収まらなかったのか、通行人に向きなおった紫のアギトはその歩みを自身の定めた敵へと進めていく。
「ッ!」
「ひッ!」
手を伸ばして近づく紫のアギト。
腰を抜かして逃げられなくなった通行人。
「おおおおおおお!!」
俺は紫のアギトへとタックルした。
「なんだお前!?」
「その力はさ! 気軽に振り回していいもんじゃ───ないでしょ!」
がっちりとしがみついたはいいものの、人間とアギトの力の差は天と地。
あっさりと振りほどかれて地面へと転がる。
「あっつ!?」
じゅっと嫌な音を立てる両手はひどいやけどに覆われている。
どうもあのアギト、全身から異常な熱気を放っているようだ。
「引っ込んでろ!」
「そうもいかないんだって」
覚悟は決まった。
今ここで紫のアギトから目を背ければきっとこれまでと変わらず、人間として生きられるけれど。
人間として生きる資格を失ってしまうだろうから。
「変身ッ!」
やけくそ染みた声が沈黙に満ちた駅前に木霊した。
変わる、変わる、変わる。
自分の体を暖かいものが包んだ感触がした瞬間、視界がクリアになった。
手にやけどの跡はない。
黒い皮膚に覆われた拳を握りしめ、茫然とする紫のアギトへと言い放つ。
「止めにしないか?」
「お前も……お前もアギトなら、何で俺の邪魔をするんだ!」
戦闘中止の勧告を振り切って紫のアギトが肉薄する。
振るわれる拳もその表皮同様の熱気を帯びている。
薄く炎のようなものが立ち上ってさえいた。
首をひねることで躱し、人ごみの反対へと移動する。
「こいつらは何もわかってないんだ! 俺たちは……俺たちだって人間なのに!」
「わかってるよ」
「だったら邪魔を───」
「
ここまで暴れるこの男にだってきっと理由がある。
アギトであることを理由に人の輪から遠ざけられることなんか珍しいことじゃない。
国政がどれだけ人間と同じだと公言しようが、政治家がどれだけ平等を訴えようが、常に接する人間からしたらそんな綺麗ごとはどうだっていいのだ。
そんな理由で集団から拒絶され続ければ、嫌にもなる。
その力を怒りのままに振りかざそうと思いたくもなる。
通行人が笑っていたのも気に食わなかったのだろう。
無関心な人々より笑いものにする連中のほうが腹立たしいに決まっているからだ。
俺だって望んでアギトになったわけじゃない。
アギトであることをひた隠しにして、人として生きることができた自分が想像もつかないほど、この男は社会に拒絶されたのかもしれない。
だからこそ止めないと。
この人がここで暴れるほど、この人を取り巻く世界はもっと冷たくなってしまう────
「君! もういい! 我々に任せなさい!」
次々と振るわれる拳を紙一重で躱し続ける。
本当ならそうなるべきなのだろうけど。
普通に分が悪いと思う。
さっき肘うちでノックアウトされたG3の人は起きてこないし。
前にテレビの特番で見たけれど、こういうデモの監視に回されるときには武装の全てを取り外して出動するらしいじゃないか。
丸腰で猛り狂うこの人を止められるとは正直思えない。
「うああああああ!」
大ぶりの拳が振るわれる。
やっと、待ちに待った勝機は訪れた。
「はあッ!」
拳をつかみ取り、そのまま腕を肩に抱えて勢いのままに投げ飛ばす。
一本背負い。
宙を舞った紫のアギトは背中からコンクリートの地面に叩きつけられる。
「ぐッあ!?」
痛みに悶える紫のアギトの顔面目掛けて拳を振るう。
「────うッ!?」
……寸止め。
突き付けられている拳を茫然と見つめたまま沈黙する紫のアギトに問いかける。
「……落ち着きましたか?」
「……」
返答はなかった。
紫のアギトだった男は変身を解き、G3に囲まれてパトカーに連れていかれていく。
その後ろ姿に何か言葉をかけたかったけれど、かける言葉が俺には思い浮かばなかった。
「……戦えたな」
肌色に戻った手のひらを眺める。
確かにこれは危険な力だ。
喧嘩なんかとは無縁の生活を送ってきた俺が、ここまで自然と戦えるようになるんだから。
アギト反対デモの連中が言ったことも間違いではない。
「これからどうしようかな」
絶対に撮られた。
自分が変身するところも、戦う所も。
通う学校は中々名前を気にするところで、以前もアギトであることがバレた学生が転校する羽目になっていた。
きっと自分は学校にはいられない。
親代わりの人たちにもいよいよ見捨てられるかもしれない。
後悔はないけれど、俺の行く末は真っ暗だ。
「おい、君」
「はい?」
顔の怖い警察官が1人、こちらを見ていた。
「俺は……警察官として、君の行動を正しいとは言えない。君が例えアギトであろうと、守られるべき市民であることに変わりはないからだ。二度とあんな真似はしないでくれ」
「すいません」
「だが」
「?」
「君の行為は、決して間違いではなかった。それだけは知っておいてほしい」
警察官は敬礼し、すぐにその場を立ち去って行った。
……間違いではなかった、か。
自分が心の底からやるべきだと思ったことをやっただけだ。
でも、
「……そうか」
俺の行動は、間違いじゃなかったのか。
ーーーーーーーーーーーーーーー
長々とした自分語りは慣れないもので、必要のないことまで喋ったような気がする。
転校を迫られたあとは手当たり次第に学校を探したが、アギトであることを自己申告するとお祈りメールで返された。
そんな中で唯一OKをくれたのが、アビドス高等学校だった。
「そんな感じかな」
「…………」
黒見さんは黙ったまま喋らない。
肩が震えているがどうしたのだろう────
「え、何で泣いてるの!?」
泣いている、めっちゃ泣いている。
え、どこになく要素があったの?
もしか泣くほどつまらない話だったかこれ?
「だ、だって……」
「うん」
「先輩は……なにも悪いことしてないじゃないですか!? それなのに学校を追い出されて、次の学校まで断られるなんて……アギトだからなんだっていうんですか!?」
……そうか。
俺の境遇に心底同情して泣いてくれてるのか。
話したことを後悔する。
まさかここまで泣かれるとは思ってもみなかった。
昔から人に言われるが、俺にはどうも人の心の機微にひどく鈍感のようだ。
黒見さんがここまで涙もろいのは予想外だった。
「……なんというか。俺は気にしてないからさ。今は普通に学校に通えてるし」
「私が気にするんです! 安易に先輩に質問した私をぶん殴ってやりたい……」
どう声をかければいいのかわからない。
なんか、俺が何言っても黒見さんの尻尾を踏んづけるような気がするな……
「っ…わかりました」
「え?」
「アビドスは先輩を……テツヤ先輩を絶対に見捨てませんから!」
黒見さんは直情的で、涙もろい。