暁と青空のアーカイブ   作:アキ1113

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 今回は、明錬と便利屋68の初邂逅の話となります。

 それでは、どうぞご覧ください。


第6話 暁と便利屋

 

 

 「いやぁー、悪かったってば、アヤネちゃーん。ラーメン奢ってあげるから怒らないで、ねっ?」

 

 「怒ってません……」

 

 「はい、お口拭いて。はい!よくできましたー☆」

 

 「赤ちゃんじゃありませんから……」

 

 アヤネを落ち着かせ、定例会議を終わらせた一同は、紫関ラーメンへと来ていた。

 

 「……何でもいいけど、なんでまたウチ来たの?」

 

 「アヤネ、チャーシューもっと食べる?」

 

 「……ふぁい」

 

 「私の話、聞いてくれない……?」

 

 セリカがそう言うと……

 

 「アヤネに『ご飯何か食べたいのある?』って訊いたら、ここがいいって」

 

 「なるほどね……」

 

 明錬がアヤネの世話をしている3人に代わり、そう答えたのだ。すると……

 

 「あ……あのう……」

 

 「!」

 

 誰かが来店してきた様で、セリカは入口にいる紫髪をした少女へと駆け寄っていく。

 

 「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

 

 「!……こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」

 

 「一番安いのは……580円の紫関ラーメンです!看板メニューなんで、美味しいですよ!」

 

 それを聞いて……

 

 「あ、ありがとうございます!」

 

 「ん?」

 

 紫髪の少女はそのまま外へと出て行く。そして……

 

 「アル様、看板メニューの値段が580円だそうです!」

 

 「やっと見つかったねー?600円以下のメニュー!」

 

 「ほら、何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ」

 

 「はぁ……」

 

 一緒に来た誰かと話をし始めたのだ。その後……

 

 「!い、いらっしゃいませ!何名様ですか?お席にご案内しますね!」

 

 他の3人と一緒に店内へと入って来る。

 

 「いやいや、どうせ1杯しか頼まないんだし、テイクアウトでいいよ?」

 

 「え……?でもどうせならごゆっくりどうぞ。席も空いてますし……」

 

 「親切な店員さんだねー?それじゃあ、お言葉に甘えて……あ、箸は4膳でよろしく」

 

 「ま、まさか、1杯のラーメンを4人で食べるつもりですか……?」

 

 どうやら4人で1杯のラーメンを食べるらしく、セリカが驚いたように訊くと……

 

 「!ご、ご、ごめんなんさいっ。貧乏ですみません!!お金がなくてすみません!!」

 

 「あ、い、いや……!その、別にそう謝らなくても……」

 

 「いいえ!お金がないのは首がないのも同じ!生きる資格なんてないんです!虫けらにも劣る存在なのです!虫けら以下ですみません……!」

 

 ハルカは、極端にネガティブなことを次々と言い始める。

 

 「はぁ……ちょっと声大きいよ、ハルカ。周りに迷惑……」

 

 すると…… 

 

 「そんな!お金がないのは罪じゃないよ!胸を張って!」

 

 「へ?……はい!?」

 

 「『お金は天下の回りもの』ってね。そもそもまだ学生だし!それでも、小銭をかき集めてまで食べに来てくれたんでしょ?大事なのは、そういうのなんだよ!」

 

 セリカがハルカに向かって、そんな言葉を掛ける……その間に……

 

 「……大将さん、これお願いできます?」

 

 「!あぁ、任せときな!」

 

 明錬は大将に何かを頼み、大将もそれを快く了承した。

 

 「もう少し待っててね。すぐに持ってくるから!」

 

 そう言い残して、セリカが厨房の方に行った後……

 

 「……何か妙な勘違いをされてるみたいだけど?」

 

 「まぁ、私たちもいつもはそんなに貧乏ってわけじゃないんだけどね?強いて言えば、今こうなってるのは金遣いの荒いアルちゃんのせいだし」

 

 「『アルちゃん』じゃなくて社長でしょ?肩書はちゃんと付けてよ、ムツキ室長?」

 

 「ん?だってもう仕事終わった後じゃん?ところで、社長のクセに社員にラーメン一杯奢れないなんて」

 

 「……」

 

 「今日の襲撃任務に投入する人員を雇うのに、ほぼ全財産使っちゃったし……」

 

 「ふふふ。でもこうして実際にラーメンは口にできているわけでしょ?それぐらい想定内よ」

 

 「たったの1杯分じゃん……せめて4杯分は確保しておこうよ……」

 

 「ねぇねぇアルちゃん?ぶっちゃけ、忘れたんでしょ?夕飯代取っておくの、忘れたんでしょ?」

 

 「……ふふふ」

 

 便利屋の4人はラーメンを待つ間、そんな会話をしていたが……

 

 「はぁ……ま、リスクは減らせた方がいいし、今回のターゲットは、ヘルメット団みたいな雑魚のように扱えないってことには同意する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 けど、全財産をはたいて人を雇うほどに、アビドスは危険な連中なの?

 

 「!」

 

 明錬の耳に、そんな話が聞こえてきたのだ。明錬以外の4人は、ラーメンを食べながら話しており、便利屋の会話には気付いていない。

 

 「……」

 

 (アビドスがターゲット……誰かに依頼されでもしたのかな……?)

 

 明錬が便利屋に依頼した人物のことを考えていると……

 

 「お待たせしました!お熱いのでお気を付けて!」

 

 セリカが便利屋の4人に、注文されたラーメンを持って来た………のだが、

 

 「な、何これ!?ラーメン人数分あるし超大盛りじゃん!」

 

 何故か人数分の紫関ラーメンがあり、4杯とも大盛りだったのだ。

 

 「全員分合わせても、ざっと10人前くらいはあるよ……」

 

 「こ、これはオーダーミスなのでは……?」

 

 そのラーメンの量の多さに、ハルカはそうセリカや大将に言うが……

 

 「いえいえ!これが当店の看板メニュー、紫関ラーメンですよ!ね、大将?」

 

 「おうよ!ちょっと手元が狂って量が増えちまったんだが……まぁ、気にせず食べてくれ」

 

 「大将もああ言ってることだし、遠慮しないで!それじゃ、ごゆっくりどうぞー!」

 

 セリカや柴大将はそう言って、

 

 「う、うわぁ……!」

 

 「よくわかんないけど、ラッキー!いっただきまーす!」

 

 「……さすがにこればかりは想定外だったけど、ご厚意に甘えて、ありがたく頂かないとね?」

 

 「ほらほら!早く食べよっ!」

 

 そして、それぞれのラーメンを啜り…… 

 

 『!!』

 

 「お、おいしいっ!」

 

 「なかなかイケるじゃん?こんな辺鄙な場所なのに、このクオリティなんて……!」

 

 紫関ラーメンの味を絶賛したのだ。すると…… 

 

 「でしょう、でしょう?美味しいでしょう?」

 

 「!あれ……?隣の席の……」

 

 「うんうん、ここのラーメンは本当に最高なんです。遠くからわざわざ来るお客さんもいるくらいなんですよ」

 

 ノノミがムツキにそう話し掛ける。

 

 「ええ、わかるわ。今まで色んな場所で色んなものを食べてきたけど、このレベルのラーメンは中々お目にかかれないもの」 

 

 「私たち、ここの常連なんです………他の学校のみなさんに食べてもらえるなんて、なんだか嬉しいです……」

 

 そんな風に、対策委員会と便利屋は仲良く話し始めた………ちなみにアルは、今話しているのが次の仕事のターゲットだとは、まったく気付いていない。その光景を見ていた明錬に……

 

 「本当に生徒思いだな、先生は」

 

 柴大将が近くへと来て、そう話し掛けてくる。

 

 「!大将さん……僕はそんな大したことはしてないですよ?」

 

 明錬はなんてことないようにそう言うが……

 

 「それは中々できることじゃないさ。先生よりも年上の大人でもな?」

 

 柴大将は明錬にそう返す………さっきの人数分の大盛り紫関ラーメンは明錬が頼んだもので、柴大将の手元が狂ったことにしたのも、明錬の頼みだったのだ。

 

 「まぁ……飢えのつらさは、よく知ってますので。あの子たちには、そんな思いはしてほしくないだけです」

 

 「!……そうかい、これ以上は訊かないでおくよ」

 

 何かを察した柴大将は、明錬にこれ以上訊くのを避け……

 

 「ほら、あんたももっと食いな!これは俺からだ!」

 

 「!ありがとうございます」

 

 明錬に替え玉をサービスするのだった……。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明錬と対策委員会、そして便利屋がラーメンを食べ終えた後……

 

 「それじゃあ、気を付けてね!」

 

 「お仕事、上手くいきますように!」

 

 「あなたたちも学校の復興、頑張ってね!私も応援してるから!じゃあね!」

 

 アルはそう言い、他の3人と共にこの後の仕事の場所へと向かっていく……。

 

 「ふぅ……いい人たちだったわね」

 

 「「……」」

 

 先ほど話した生徒たちが、ターゲットであるアビドスであることが分かっていないアルを見たカヨコとムツキは…… 

 

 「社長………あの子たちの制服、気付いた?」

 

 「えっ?制服?何が?」

 

 「アビドスだよ、あいつら」

 

 流石に言った方が良いと思ったのか、さっきまで黙っていたその事実を告げた。すると……

 

 「……」

 

 「「……」」

 

 「なななな、なっ、何ですってーーーー!!!???」

 

 案の定、アルはとても驚いており……

 

 「あはははは、その反応うけるー!」

 

 「はぁ……やっぱり、本当に全然気付いていなかったのか……」

 

 その反応に対し、ムツキは大笑いし、カヨコは呆れながらそう言った。

 

 「えっ?そ、それって私たちのターゲットってことですよね?わ、私が始末してきましょうかっ!?」

 

 「あははは、もう遅いって。どうせもうちょっとしたら攻撃を仕掛けるんだし、その時に暴れよっ、ハルカちゃん」

 

 ハルカが対策委員会を始末しに動こうとするが、ムツキがそれを止めたのだ。

 

 「う、うそでしょ………あの子たちがアビドス……?う、うう……何という運命のいたずらなの……!」

 

 アルは未だにショックを受けていたが……

 

 「さぁ、仕事するよ。アルちゃん?」

 

 「し、仕事……?」

 

 「バイトのみんなが、命令が下るのを待ってる」

 

 「ほ、本当に……?私、今からあの子たちを……」

 

 「あはは、心優しいアルちゃんに、ちょっとこの状況はキツいかな?」

 

 ムツキやカヨコに指示を出すように言われてしまう。

 

 「『情け無用』、『お金さえもらえれば何でもやる』がウチのモットーでしょ?今更何を悩む必要があるの?」

 

 「そ、それはそうだけど……」

 

 根が優しいアルは、自分たちに親切にしてくれた対策委員会と戦うことを躊躇するが……

 

 「こ、このままじゃダメよアル!一企業の長として、このままじゃ!」

 

 何とか決意を固め……

 

 「……行くわよ!バイトを集めて!」

 

 3人にそう告げるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 読んでくださりありがとうございます。

 遂に便利屋との邂逅を果たした明錬………ですが、アビドスがターゲットにされていることを知り……。

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 それでは、次回もよろしくお願いいたします。
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