間が空いてしまいましたが、今回は前回の続きからで、対策委員会と便利屋の戦いを書いていきます。
それでは、どうぞご覧ください。
「……」
「?先生、どうかしたの?」
紫関ラーメンから戻ってきた一同は教室へと入ったが、先ほどから黙り込んでいる明錬を見て、ホシノがそう声を掛ける。
「!いや、少し考え事をね………それと、みんなに伝えておきたいことがあるんだけど、いいかな?」
『?』
明錬は5人の方を向き、真剣な表情でそう言った。そんな明錬の言葉に、対策委員会の5人は耳を傾けようとした………その時、
「っ!?校舎より南15km地点付近で大規模な兵力を確認!」
「まさか、ヘルメット団?」
「いや、あれはヘルメット団じゃないよ」
「えっ?」
何故か確信を持ったように言う明錬に、セリカがそう声を上げる。
「!先生の言う通り、ヘルメット団ではありません!」
「なら、一体誰が……」
そして……
「あれは……傭兵です!」
「傭兵……?」
「はい、おそらくは日雇いかと……」
それが傭兵だと判明し、シロコは疑問の声を上げる。
「傭兵かぁ……結構高いはずなんだけどな~」
「これ以上、接近されるのは危険です!先生!」
「……よし、行こうか」
明錬と対策委員会は戦闘の用意を済ませてから校門の外へと出て、傭兵たちを待ち構える。そして……
『前方に傭兵を率いている集団を確認!』
「!あれは……ラーメン屋さんの……?」
「っ!?」
そこにはアルと、その後ろに他の便利屋の3人と傭兵たちがいたのだ。
「誰かと思えばあんたたちだったのね!!ラーメンも無料で人数分大盛りにしてあげたのに、この恩知らず!!」
セリカがラーメンを人数分にしたのと、それを大盛りにしたことを仇で返されたことに怒るが……
「その件はありがとねー。けど、それはそれ、これはこれ。こっちも仕事でさ」
「公私はハッキリ区別しないと。受けた仕事はキッチリこなす」
ムツキとカヨコは、そう返しながら銃を構える。
「もしかして、先生がさっき言おうとしてたことって……」
「ホシノの想定通りだよ」
「なるほどねー」
明錬のその言葉に、ホシノは納得したように声を上げる。
「紫関で言ってた仕事って言うのが、便利屋だったんだ」
「えぇ、これが私たちの仕事よ」
「もう!学生なら、他にもっと健全なアルバイトがあるでしょう?それなのに便利屋だなんて!」
「!これはアルバイトじゃないわ!れっきとしたビジネスよ?肩書だってちゃんとあるんだから」
「肩書……?」
ノノミの発言をアルは否定したものの……
「私は社長!あっちが室長で、そっちが課長……」
「はぁ……社長。ここでそういう風に言っちゃうと、余計薄っぺらさが際立つ……」
カヨコにも、そう呆れられてしまう。すると……
「!あなたは……」
「先生……?」
「君がこの傭兵たちの雇い主ってことでいい?」
「!えぇ、そうよ」
「誰に依頼されたのか、教えてくれる気はない?」
明錬は一歩前へと出て、アビドスを狙う黒幕の情報を探るために、アルと話をし始めたのだ。
「あれ?ヘイローがない……?」
「てことは、あれが噂の……」
そんなアルの後ろで、ムツキとカヨコが目の前に出てきた大人……明錬がシャーレの先生であることを察する。
「ふふふ……答えは分かっているんじゃない?」
「……それもそうか」
「それに、あなたは下がっていた方がいいと思うのだけれど?」
ヘイローの無い明錬を見て、根の優しいアルはそう言ったが……
「問題ないよ。こう見えても、ある程度は戦えるから」
それに対し、明錬はロングコートの内側からケミーカードを取り出す。
「……え?」
「何、あれ……?」
明錬のドライバーやケミーカードを初めて見る面々は、戸惑いの声を上げる……そして、
「HOPPER1!」
「STEAMLINER!」
「……変身!」
「ガッチャーンコ!」
「スチームホッパー!」
『!?』
変身した明錬の姿を見た便利屋や傭兵たちは、大小はあれど動揺を隠せずにいた。
「……」
そんな中、アルは動揺することなく明錬を見据えている………ように見えているが……
(な……な……な………
何なのあれーーー!!!???)
実は内心動揺しまくっており、固まっているだけだったのだ………そして……
「っ………攻撃開始よ!」
「みんな……行くよ」
『はい!』
アルと明錬がほぼ同時に出した合図と共に、戦いの火蓋が切って落とされるのだった……。
「撃て撃て!」
戦闘が始まるのと同時に、傭兵たちが前へと出てきて一斉に銃撃を浴びせてくる。
「!みんな散って!」
『!』
明錬は全員を散開させた後、自身は正面で傭兵たちの撃ってくる弾丸を防ぎながら注目を集め、攻撃がなるべく対策委員会の方へと向かないようにしていた。
「な、何だあれ……!?」
「多分あいつが一番ヤバいぞ!」
「先に仕留めるんだ!」
明錬の錬金術を見た傭兵たちは、明錬へと攻撃を集中させる………明錬の作戦としては、自身が攻撃を引きつけている間に他の面々が背後を取り、一気に戦いを終わらせるというものだ。戦いの前に変身するところを見せたことで、一番危険な存在だと思わせることに成功したようで、狙い通りに攻撃を集中させていた。
「いっくよー!」
「!」
すると、ムツキが明錬に向けて何かが入った鞄を投げようとしていた。
「!させません!」
それを見たノノミが、物陰から出て鞄を投げようとするムツキを撃とうとするが……
「それはこっちのセリフ……!」
「!?」
カヨコがノノミのミニガンに蹴りを入れ、ハンドガンを撃ち距離を開けさせることで防いだのだ。そして……
「!」
明錬のところに、ムツキの鞄が投げられる。それを見た明錬は、鞄をガッチャージガンで素早く数発撃った。すると……
「!やっぱり……」
「あらら……」
その鞄には爆弾が入っていたようで、空中で爆発を起こしたのだ。
「!」
「先生!」
それを見たシロコとセリカが、傭兵たちの数を減らそうと攻撃を仕掛けるが……
「はああああ!!」
「「っ!?」」
ハルカがショットガンを撃ちながら、二人に突撃してきたのだ。
「ちょ……!?」
「ん……!」
二人は反撃するも、怯むことなく向かってくるハルカに驚き、一瞬動きが固まり回避が遅れてしまう。さらに……
「「っ!」」
そんな二人の横を、何処からか撃たれた銃弾が通り過ぎていく。その弾を撃ったのは……
「!……次は当てるわよ」
狙撃銃を持ったアルで、そう言いながら再び二人へと狙いを定めていた。
「シロコ先輩!ここから一旦離れてみんなと―――」
セリカはこの場から離れて、他の面々と合流しようとするが……
「!セリカ!」
「っ!?」
足元にハルカが仕掛けたであろう爆弾があり、それが連鎖的に爆発を起こす。
『セリカちゃん!シロコ先輩!』
アヤネはセリカとシロコの身を案じ、心配そうにするが……
「いや~、危ない危ない……」
「「!ホシノ先輩……」」
「二人とも、けがはない?」
ホシノが助けに入ることで、その爆発から二人を守ったのだ。
『皆さん!そこから退避してください!』
アヤネのその言葉に従い、4人はその場から退避して再び物陰へと隠れる。
『先生も―――』
「いや、僕はこのまま引きつけておくよ」
『!?』
『!ですが、いくら先生でも「その代わり、みんなに頼みたいことがある」えっ?』
「頼みたいこと……?」
「うん、それは―――」
明錬が作戦を5人に話している一方で………
「このまま攻め続ければ……」
アルは傭兵たちに指示を出し、攻撃を続けさせていた。
「……おかしい」
「え?何が?」
「あれから他の連中を見ていない……」
「!そういえば……」
カヨコは先ほどから対策委員会に動きがないことに違和感を覚え、辺りを見回した。すると……
「おりゃーー!!」
突然、明錬の後ろから、ホシノが盾を構えながら突っ込んできたのだ。
「な、何だ……?」
「やけになったのか……?」
それを見て、傭兵たちは不思議がっていたが……
「止まってください!」
ハルカはショットガンをホシノに向けて撃つ。
「っ!」
「あっ!?」
それはホシノの盾で防がれ、加えて腹にホシノのショットガンの銃撃を食らってしまう。
「ハルカちゃん!」
ムツキがすぐさまハルカのフォローに回ろうとするも……
「行きますよーー!!」
「っ!?」
それをノノミやセリカが防ぎ、一対一を崩させないようにしたのだ。
「アビドスの連中、急に動きが―――」
そして……
「!まさか……!社長!気を付けて!」
「え?」
カヨコがアルにそう声を掛けると同時に……
「っ!」
「!?」
(ええええええ!?)
シロコがアルの側面から奇襲を仕掛けてきたのだ。
「アルちゃん!」
「アル様!」
「っ……私たちは便利屋68!どんな依頼でも成功させてみせる!観念して学校を渡しなさい!!」
アルはすぐさまシロコを狙い撃つも……
「!」
「っ!?」
ギリギリでそれを避けられ……
「それは……できない!」
そのまま急接近されてしまう。そして……
「「……!」」
辺りに二発の銃声が鳴り響く……。
『……』
そして辺りは静寂に包まれ、全員がアルとシロコの方に注目していた。
「「……」」
当の二人は銃口を向けたまま動きを止め、互いに警戒し合っていた……。
「……まだやる?」
「っ!望むところ―――」
銃口を逸らし、シロコから距離を取ろうとしたアルであったが……
「いや、これでチェックメイトだよ」
『!?』
「っ!?」
先ほどまで傭兵たちを引きつけていた明錬が、いつの間にかアルの背後を取ってガッチャージガンを向けていた。
「な、何でここに……?」
「囮の必要もなくなったしね。全員無力化してこっちに来たんだ」
「え?全員って―――なっ!?」
アルがさっきまで明錬がいた方に目を向けると、そこには既に明錬に倒され………というよりも眠らされ、無力化された傭兵たちのいる光景が飛び込んできたのだ。
「な、何が……」
実は……
明錬は作戦を伝えた後も、二丁のガッチャージガンで傭兵たちに応戦していた。
『……頃合いかな』
だが、シロコがアルに奇襲を仕掛けたところで……
「ジャングルジャン!」
「ネミネムーン!」
明錬はそれぞれのガッチャージガンにジャングルジャンとネミネムーンのケミーカードをセットする。
「「ガッチャージバスター!」」
『っ!』
そして、右手のガッチャージガンを正面に、その次に左手のガッチャージガンを上に向けて放つ。すると……
『こ、これは……!?』
『う、動けない……!』
ジャングルジャンをセットした方からはツタが撃ち出され、傭兵たちを一人残らず動けなくしていく。さらに、ネミネムーンをセットした方からは、月の光のようなものが真上に撃ち出され……
『あれ……急に眠―――』
『ちょ、どうし……た―――』
次々と傭兵たちは眠りについていく……。
『……よし』
こうして対峙していた傭兵たちを無力化させ、シロコとアルが対峙している場所へと向かってきたのだった……。
「っ……」
(まずい、このままじゃ……)
アルは何とかしてこの状況を好転させようとしていたが……
(キーンコーンカーンコーン)
策を考えているうちに、辺りにチャイムの音が鳴り響く。
「……あ、定時だ」
『……?』
「今日の日当だとここまでだね。あとは自分たちで何とかしてね」
「みんな、帰るよ」
すると、日雇いの傭兵たちは、次々とこの場を後にして帰り始めていたのだ。
「は、はぁ!?ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!」
アルは引き止めようとするが……
「う、うーん……」
「あれ……私たち何して……」
「……って!もう時間じゃん!」
「終わってるみたいだけど……」
「え?じゃあ……帰りにそば屋でも寄ってく?」
「いいね!」
「ど、どういうことよ!?ちょっと!帰っちゃダメ!!」
明錬に眠らされていた傭兵たちも目を覚まし、そのまま全員帰ってしまったのだ……。
「……」
「こりゃヤバいね?まさかこの時間決着がつかないなんて……」
「それにあの先生、想像以上だった……」
「アルちゃん?どうする?逃げる?」
「あ……うぅ………」
「……」
そんな様子を見た明錬は……
「……どうする?君たちだけでもまだ続けるか、それともこのまま退くか」
「!」
「僕としては、このまま退いてくれるとありがたいんだけど………それにこんな状況だし、ね?」
それを聞いたアルは……
「こ、これで終わったとは思わないことね!アビドス!!」
「あはは!アルちゃん、完全に三流悪役のセリフだよそれ」
「う、うるさい!ここは逃げ………じゃなくて、退却するわよ!」
そう言って、すぐさま撤退していったのだ。
「!待っ………あ、行っちゃいましたね」
「うへ~、逃げ足早いね、あの子たち」
『……詳しいことは分かりませんが、敵勢力の退勤……いえ、退却を確認』
「本当は情報を引き出せれば良かったけど………とにかく、みんなお疲れ様」
こうして便利屋との戦いは、傭兵の定時退勤という何とも意外な結末で終わったのだった……。
読んでくださりありがとうございます。
久し振りの投稿になりましたが、いかかでしたでしょうか?
良ければ、感想や評価、あれば「ここすき」への投票をしていただけるとありがたいです。
それでは、次回の話もよろしくお願いいたします。