さて今回は、第1章に入る前に幕間としての話を書いていきます。
そしてこの話で、明錬の過去にあった出来事が少しだけ分かるかもしれません………それでは、どうぞご覧ください。
『フッ!ハァッ!』
『『―――!?』』
ここは、明錬がキヴォトスに来る前に戦っていた世界………そこで彼は、グリオンが差し向けてきた軍勢から、人々を守りつつ戦っていた。
「THE SUN!」
『っ!』
「ガッチャージバスター!」
『『『『―――!?』』』』
『……』
そして、ほとんどの敵を倒し、残りはこの軍勢を率いてきた指揮官のみとなった……。
『……お前が指揮官か?』
『えぇ、その通りよ』
その指揮官は、橙色のローブに、それと同じ色の一つ目の禍々しい仮面を付けて顔を隠している………グリオンの配下である、冥黒のデスマスクの一人だったのだ。
『お前は、ここで確実に仕留める』
明錬はそう言いながら、目の前のデスマスクに向かってそう言う………が、
『暁明錬………果たして、私を倒せるかな?』
そう言って、デスマスクは顔につけていた仮面を外していく………すると、そこにあったのは―――
「っ!?」
キヴォトスへと来てから数日後、シャーレの部室の隣にある仮眠室で、明錬は目を覚ましていた……だが、その目覚めはいいものとは言えず……
「っ……またか………」
明錬はそう呟きながら、ゆっくりとベッドの上から降りた………そして……
「……顔洗おう………」
そう言いながら、傍に置いてあるシッテムの箱を持ち、仮眠室から出ていくのだった……。
『先生、お疲れ様でした!』
「ありがとう、アロナ」
(にしても、本当に治安が悪いな……)
それから何時間か経ち、近くで起きた騒ぎを解決し、明錬はシャーレへと戻る……そして、もうすぐ昼頃になるところだったので、適当に何かを食べようとしていると……
「!どうぞ」
突然、シャーレの部室のドアがノックされる。だが、明錬は驚くことなく、ノックした人物に入るように言う。そして……
「先生、お久しぶりで……というほどでもないですね?」
ドアから入ってきたのは、先日の騒ぎで共に戦ったユウカだったのだ。
「ごめんね?わざわざこっちまで来てもらって」
「!いえ、それは全然……それに、先日の約束の件もありますし……ん?」
すると、ユウカは明錬の手元に目を向ける。
「先生……昼食って、まさかそれだけなんですか……?」
明錬の手元や机の上には、カロリーバーなどの袋、ゼリー飲料の容器が置かれていたのだ。
「え?うん、そうだけど……?」
「えっと……これは、どちらで購入を?」
「?下にあるコンビニでだけど……?」
「……」
「……」
そして、ある結論に至ったユウカは……
「先生、ちょっと領収書見せてください」
「りょ、領収書……?別にいいけど………はい、これでいい?」
明錬にここ数日の領収書を見せるように言う。そんなユウカに、明錬は素直に全ての領収書を見せる……。
「ありがとうございま……」
「……?」
だが、それを見たユウカは突然黙り込んでしまい……。
「な、なんですかこれぇ!?」
その後、思わずそんな声を上げる。
「え?何って領収「そうではなくてですね!?」……?」
「こ、これ!全部携帯食かゼリー飲料ばっかりじゃないですか!?」
「?いや、普通に食事を買っただけなんだけど……?」
明錬がこのような買い物をしたのにも理由があり………あちらの世界で戦っていたときは、いつ敵が攻めてくるかが分からない状況であり……特に最高戦力であった明錬は、携帯食などを食べることで食事の時間をも削り、警戒をしていた。
さらには、年下の子供たちなどにたくさん食べさせるために、自分で子供たちの食事を作りながらも、自らはそれを食べずに携帯食などを食べていた…………それを見つけたその時の仲間や子供たちは、無理矢理にでも明錬に食べさせていたらしいが……。
そんなことを数年間していたため、いつしかこれが明錬にとっての普通になっていたのだ……。
「これじゃどう考えても身体に悪いですって!!」
「いや、そう言われても………」
「そもそも、何でこんなことになってるんですか?」
「それは……」
「それは……?」
ユウカにそう問い詰められるが………あまり元居た世界での話をしない方がいいと思ったのか、明錬は……
「……い、色々あって?」
そうやってごまかそうとした………が、
「……」
「……ゆ、ユウ「『色々あって?』じゃないです!倒れられたら困りますから、ちゃんと食べてください!!いいですね?」は、はい……」
「はぁ……まったく………」
(何だか、みんなや子供たちに無理矢理食べさせられたときを思い出すな……)
すると……
「ほら、行きますよ?」
「え?行くって……どこに?」
「っ……ご飯を買いに行くに決まってるじゃないですか!まずは食生活をどうにかしますよ!」
ユウカはそう言い、明錬と一緒に買い物に行こうとする。
「……」
「?どうかしましたか?」
「いや……何だかお母さんみたいだなって」
「……」
「……」
そして、少しの沈黙の後……
「………は、はい!?そ、そんなこと言ってないで、早く行きますよ!」
「ちょ、わ、分かった、分かったから押さないで……」
ユウカはそう叫びながら明錬の背中を押し、買い物へと連れ出していく。
「今更ですけど……あれでお腹空かないんですか?」
買い物をしている中で、明錬はユウカにそう訊かれた。
「まぁ……慣れてるからね。それにここに来る前は、いつも下の子たちに分けてあげたり作ったりしてたから」
「下の子……弟さんか妹さんですか?」
「あー、そういう事じゃなくって、何年間か年下の子供たちの面倒を見ていた時があってさ……」
「なるほど……
ちなみに先生はご兄弟とかは?」
「っ……」
明錬は自分の兄弟の話になった途端、何故か黙り込んでしまう……。
「……」
「先生……?」
「!兄と姉が一人ずつだよ」
「へぇ……先生が一番下なんですね。食事以外はしっかりしてるから、ちょっと意外かも。てっきり一番上なのかと……」
「食事のところは強調しなくても……」
「でも、ちょっと分かるかも……」
「……?」
「あ、あとはこれと…これを―――」
そんな会話をしながらも、二人は買い物を終え……
「……久しぶりに食べたな、ちゃんとしたのは」
「本当に先生、今までどういう食生活してきたんですか……?」
一緒に買ってきたものを食べ、しっかりとした食事を久しぶりにした明錬は……
「さて……早く終わらせようか」
「はい!」
ユウカと一緒に、仕事を片付け始めていく。
「先生、やけに手慣れてますよね……?」
ユウカは、書類仕事などをこなしていく明錬を見て、そう尋ねてみた。
「ん?まぁ……何日かやったからね」
「こういうことをするのは、ここに来て初めてと聞いていましたけど………そういえば先生って、ご年齢は……?」
「あれ?言ってなかったっけ?この前22になったばかり……かな?」
「へぇ、この前に22……へぇ……」
「?どうかした?」
「!いえ、何でもありません」
「……?」
二人はそんな会話を挟みながらも……
「お疲れ様、ユウカ」
「はい、先生もお疲れ様です」
予定よりも早く、仕事を終わらせることができたのだ。
「そこに座ってて。お茶でも淹れてくるから」
そう言って明錬は、お茶を淹れて来ようとする。
「あっ!手伝いますよ」
ユウカはそんな明錬の後ろをついていく。その後、準備を終えた二人はソファーへと向かい合って座り……
「さて……何から訊きたい?答えられる範囲のことは答える……ただ、今から話すことは、僕から言うまでは秘密でお願いね」
明錬はユウカにそう言った………本来、錬金術やケミーのことは秘密なのだが、記憶を消してしまうのもどうかと思った明錬は、自身から話すまでは秘密にしてもらうということを条件に、話すことにしたのだ……。
「わ、分かりました………早速ですけど、先生は一体何者なんですか?銃弾を止めたり、姿を変えたり……」
ユウカは初めて明錬と会った日のことを思い浮かべながら、そもそも何者なのかを訊いた。
「僕は……いわゆる、錬金術師ってやつだよ」
「!?錬金術師って……あの……」
「うん、ユウカの想像している通りで合ってるよ」
「……」
その答えに、ユウカは驚きを隠せずにいた。
「あの時に見た現象が……?」
「そう、あれは全部僕の錬金術によるものだよ」
「本当に……そんなものがあるなんて……」
「ここだと使えるのは僕だけだけどね」
さらに……
「じゃあ、あのオレンジ色の姿も錬金術で……?」
ユウカは、明錬の変身した姿について訊いてきた。
「僕が変身していたのは………
仮面ライダー」
「仮面……ライダー……?」
キヴォトスではまず聞くことのない単語に、ユウカは首を傾げる。
「そう……このドライバーと、二枚のケミーカード」
『ホッパー!』
『スチーム!』
「あっ!あのときの……!」
明錬はガッチャードライバー、ホッパー1とスチームライナーのケミーカードを取り出す。
「この中にいるのがケミー……錬金術によって生み出された、人工生命体なんだ」
「人工生命体……」
『ホッパ!』
「「!」」
すると、ケミーカードの中からホッパー1が突然飛び出してくる。そして……
『ホパ?』
「あっ……」
『ホパホパ!』
ホッパー1はユウカの前へと近づいていく。
「……!」
(か、可愛い……!)
『ホパ?』
そんなホッパー1をユウカはゆっくりと抱き上げる。
「ふふふっ♪」
『ホパ!』
「……」
そんな様子を、明錬は暖かな目で静かに見ていたが……
「!そ、そういえば……ケミーって、他にもまだいませんでしたっけ?」
その目線に気付いたユウカは、ゴルドダッシュの姿や、アッパレブシドー、バレットバーンのカードを思い浮かべながらそう訊いた………もちろん、ホッパー1は抱いたままだが……。
「ホッパー1やスチームライナー以外にも沢山いて、その数は全部で101体……そのうちの100体は、みんな僕のところにいるよ」
「!100体も………ん?あとの一体は……?」
ユウカにそう訊かれた明錬だったが………
「……それが……分からないんだ」
「え……?」
少し間をおいてからそう答える。
「名前も、どんな姿なのかも不明………それはともかく、このドライバーやケミーたちのおかげで、僕は仮面ライダーになることができるんだ」
そんな話を聞いたユウカは……
「なるほど……先生は、やっぱり凄い方ですね」
「えっ?」
「錬金術も使えて、指揮もできて……自分で変身もして戦えるんですから」
明錬に向かってそう言った………のだが……
「凄い、か……」
『さぁ……ケミストリーを始めようか!!』
『ああああああああ!!』
「……」
(僕が本当に凄いなら……あんなことには………)
明錬自身は、そんなことを思い出していた……。
『ホパホ……?』
「先生……?」
「!いや、何でもないよ……」
「……?」
『ホパホ……』
そうユウカに言った後……
「そうだ、次はユウカの話を訊かせてよ」
「え?私のですか……?」
明錬は話題を変えようとする。
「うん、ここに来て日は浅いし、ユウカの通っている学校のこととか色々訊きたいと思って……」
『ホパホパ!』
「ほら、ホッパー1もこう言っているわけだし」
「!もちろんいいですよ。じゃあ、まずは―――」
そうして、二人(+一匹)は色々な話をした後、大分時間が経っていたためお開きにして、明錬はユウカを見送るのだった……。
読んでくださりありがとうございます。
今回はユウカとの話を書いてみました。そして、最初の方に少しだけですが、明錬とある敵が対峙している姿が……?
良ければ、感想や評価、あれば「ここすき」への投票をよろしくお願いいたします。
それでは、次回から始まる第1章も、どうぞよろしくお願いします。