この小説の更新はこのように不定期になりますが、気長に待っていただけると幸いです。
それでは、前回の続きからどうぞご覧ください。
「……それで、計画って?」
「うん、それはね……ヘルメット団は、数日もすればまた襲撃してくるはず。ここんとこずっと、そういうサイクルが続いているからねー」
「確かに……」
「だから、このタイミングでこっちから仕掛けて、奴らの前哨基地を襲撃しちゃおうかなって。今こそ奴らが一番消耗してるだろうからさー」
「えっ?い、今からですか?」
「それに、今なら先生もいるし、補給とか面倒なことも解決できるしね」
ホシノの立てたその計画に……
「……いいかもしれないね。あっちは完全に油断しているわけだし……」
「でしょ?」
「なるほど……ヘルメット団の前哨基地はここから30kmくらいだし、今から出発しよっか」
「良いと思います。向こうはこちらから反撃してくるなんて、夢にも思ってないでしょうし」
明錬やシロコ、ノノミは賛成の意を示すようにそう言った。
「そ、それはそうですが……先生はいかがですか?」
アヤネにそう訊かれた明錬は……
「僕は賛成だよ。ここで叩いておけば、問題が一つ片付くかもだしね」
今まで多くの作戦を練って戦ってきた経験から、最終的にそう判断した。そして……
「じゃあ、先生のお墨付きももらえたことだし、決まりだね。この勢いで、いっちょやっちゃいますかー」
「善は急げ、ってことだね」
明錬と対策委員会は、ヘルメット団の前哨基地へと向かうことを決めた。
「そう言えばさ、先生のあの姿って何なの?」
「ん、私も気になってた」
ヘルメット団の前哨基地へと向かう前の準備をしていると、明錬はホシノとシロコにそんなことを訊かれる。
「あぁ……仮面ライダーのことだね」
「仮面……ライダー……?」
「!へぇ~、ぴったりな名前だね?なにせバイクに乗って来てたし」
ホシノは明錬が最初に助けに来たときのことを思い浮かべながらそう言った。
「確かにね。僕はあれのおかげで、戦うことができるんだ」
「じゃあ、あの壁や氷も?」
続いてシロコは、明錬の使っていた錬金術のことについて訊いてきた。すると……
「うん、あれは―――」
「3人ともー!準備できましたよー!」
『!』
ノノミたちがそう言って、明錬たちの下にやってきたのだ。
「続きはまたの機会にしようか」
「ん」
「だね~」
そして、全員が集まったところで……
「そういえば、基地はあっちの方向なんだよね?」
「ん、そうだけど……?」
明錬は基地のある方向を訊く。そして、数秒考えた後……
「……なら、最短ルートで行こうか」
「最短ルート……?」
その言葉に、シロコが首を傾げると……
「頼んだよ」
『ワープテラ!』
明錬はワープテラのケミーカードを取り出し、目の前にヘルメット団の前哨基地の近くへと通じるワープゲートを作り出した。
『!?』
突如として出現したワープゲートに、対策委員会の面々は驚きを隠せずにいた……。
「な、何なのこれ!?」
「それにそのカードは……?」
「何か声も聞こえた気が……」
「……よし、ちゃんと繋がってる」
そんな5人を余所に、明錬は首から上だけをワープゲートへと突っ込み、危険な場所に繋がっておらず、目的地の近くであることを確認する。
「つ、繋がってるって………ま、まさか……」
「じゃあ、行こうか」
そう言って、明錬は一番最初にワープゲートをくぐっていった。
「だ、大丈夫……なのよね……?」
「とにかく行ってみよっかー」
「ん、何だか面白そう」
ホシノとシロコは、興味深々と言った感じでワープゲートへと入っていく。
「じゃあ、私たちも行ってきますねー☆」
「ちょ、ノノミ先輩、自分で入るから押さな―――」
「あっ……お、オペレートは任せてくださいねー!」
その後に続くように、セリカとノノミも入っていった。
「あれか……」
「ほ、本当に着いちゃった……」
「ん、すごい……!」
ワープテラのおかげで大幅なショートカットに成功した明錬たちは、ヘルメット団の前哨基地の近くへと、相手に気付かれることなく到着していた。そして……
「こちら明錬。僕の声はちゃんと聞こえてる?」
明錬はアヤネに通信を繋ぎ、声が聞こえるかどうかの確認をする。
『は、はい!問題ありません。こちらでも、みなさんの反応が、カタカタヘルメット団のアジトがあるとされるエリアに入っていることを確認しました』
「ありがとう。あっちもすぐに気付くことだろうし……早速始めようか」
『みなさん、ここからは実力行使です!』
『了解!』
そして………
『敵の退却を確認!並びに、カタカタヘルメット団の補給所、アジト、弾薬庫の破壊を確認』
結果から言うと、カタカタヘルメット団の前哨基地の制圧は無事に成功した。相手が疲弊しており、予想外の対策委員会からの反撃に対応できなかったのもあったが、何より……
『い、いつの間にあんなところまで……!?』
『誰か確認してなかったのか!』
『いや、あいつら急に現れて……!』
明錬たちがワープゲートで基地の近くまで来たため、気が付く間もなく奇襲できたのが大きかっただろう。さらに……
『ホシノとシロコは僕と中を』
『りょーかい』
『ん、分かった』
『セリカとノノミは、周りから出てくるのを撃って』
『分かってるわよ!』
『了解です☆』
『アヤネはセリカとノノミのサポートを』
『了解しました!』
ワープゲートで明錬はホシノとシロコとともにアジトの中へと侵入し、その奇襲で一気に数を減らし、その混乱で外に出てきた残りのヘルメット団を待ち構えているセリカとノノミで仕留め、その二人のサポートをアヤネが行うという作戦を実行させ、難無く成功させた明錬の指揮能力の高さもあるだろう……。
「これで、しばらくはおとなしくなるはず」
「よーし、作戦終了。みんな、先生、お疲れー」
「うん、ホシノもね」
そう言いながら、互いに労いの言葉をかけていたが……
「……」
そんな中、セリカは明錬に対して、何やらじっと視線を向けるのだった……。
前哨基地の制圧を終えた明錬たちは、対策委員会の教室へと戻ってきていた。
「みなさん、お帰りなさい。お疲れ様でした」
「お疲れ~。うへ~、おじさん疲れちゃったよ」
「アヤネちゃんも、オペレーターお疲れ」
オペレートをしてくれていたアヤネに対し、同じ学年のセリカがそう声を掛ける。
「火急の事案だったカタカタヘルメット団の件が片付きましたね。これで一息つけそうです」
そして、今まで頭を悩ませていたヘルメット団のことが片付き、大方の問題は解決したかと思われたが……
「ん、これでやっと、重要な問題に集中できる」
「うん!先生のおかげだね、これで心置きなく全力で借金返済に取り掛かれるわ!」
「それなら良かっ………ん?」
セリカが、何やらスルーしてはいけないであろうことを言ったのだ。それを聞いた明錬は……
「ありがとう、先生!この恩は一生「ちょっと待って」えっ?」
「いや、別に言いたくないならいいんだけど………
借金返済って……何のこと?」
対策委員会の全員を見渡しながら、すぐさまそう訊いた。
「……あ、わわっ!」
「そ、それは……」
「ま、待ってアヤネちゃん!それ以上は!」
「……!」
アヤネはそのことについて話そうとするが、自分の言ってしまったことに気付いたセリカが、それを焦った様子で止める。
「いいんじゃない、セリカちゃん。隠すようなことじゃあるまいしさ」
「っ……けど、わざわざ話すようなことでも……」
「別に罪を犯したわけじゃないし……それに先生は私たちを助けてくれた大人だよ?」
「ホシノ先輩の言う通りだよ。セリカ、先生は信頼していいと思う」
「そ、そりゃそうだけど……結局は先生も部外者で――」
「……」
その話の様子を、明錬は口を出すことなく黙って聞いていた。
「確かにそうかもしれないけどさ、こんな問題に耳を傾けてくれる大人も、先生くらいしかいないと思うよ~?悩みを打ち明けてみたら、何か解決策が見つかるかもしれないよ?それとも、セリカちゃんには何かいい方法があるのかな~?」
「う、うう……」
セリカは、ホシノの言うことも頭では理解している様子だったが……
「でっ、でも、さっき来たばっかりの大人でしょ!今まで大人たちが、この学校がどうなるかなんて気に留めたことがあった!?」
今までこの世界の大人たちが、何もしてこなかったことを口に出した。
「この学校の問題は、ずっと私たちだけでどうにかしてきた!なのに今更、大人が首を突っ込んでくるなんて……」
そして、セリカは明錬の方を見ながら……
「私は認めないから!」
そう言い放ち、教室から出て行ってしまう……。
「せ、セリカちゃん!?」
「私、様子を見てきますね」
ノノミはそう言い残し、セリカのことを追いかけていく。
ノノミがセリカの様子を見に行った後……
「……えーと、簡単に説明すると……この学校、借金があるんだー。まぁ、ありふれた話だけどさ」
「ありふれた……?」
ホシノは明錬に、借金のことについて話し始める。
「でも問題はその金額で………9億円くらいあるんだよねー」
「!?」
「……正確には、9億6235万円です」
「……」
「それがアビドス……いえ、私たち『対策委員会』が返済しなくてはならない金額です。これが返済できないと、学校は銀行の手に渡り、廃校手続きを取らざるを得なくなります。ですが、実際に完済できる可能性は0%に近く………ほとんどの生徒は諦めて、この学校と街を捨てて、去ってしまいました……」
「そして……私たちだけが残った」
「学校が廃校の危機に追いやられているのも、生徒がいなくなったのも、街がゴーストタウンになりつつあるのも……全てこの借金が原因です」
そんな話を聞いた明錬は……
「……できればでいいから、理由を教えてもらえる?」
もっと詳しく事情を訊くことにした。
「分かりました……数十年前、この学区の郊外の砂漠で、砂嵐が起きたのです」
「!それが原因で……」
「この地域では以前から頻繫に砂嵐が起きていたのですが……」
「その時のものが想像以上の規模だった…と」
明錬のその言葉に、アヤネは静かに頷く。
「学区の至る所が砂で埋もれ、その砂嵐が過ぎてからも砂は溜まり続け……その自然災害を克服するために、我が校は多額の資金を投入せざるを得ませんでした……ですが、このような片田舎の学校に、巨額の融資をしてくれる銀行はなかなか見つからず……」
「結局、悪徳金融業者に頼るしかなかった……」
「そういうことか……」
明錬は納得したようにそう呟く。
「最初のうちは、すぐに返済できる算段だったと思います………ですが、砂嵐はその後も毎年更に巨大な規模で発生し……学校の努力も虚しく、状況は悪化の一途をたどりました……そして、アビドスの半分以上が砂に呑まれ……」
「膨れ上がった借金だけが残った……」
「私たちの力だけでは、毎月の利息を返済するのが精一杯で………弾薬も補給品も、底をついてしまっています」
その話を、明錬は真剣に聞いており……
「セリカがあそこまで神経質になってるのは、これまで誰もこの問題に向き合ってこなかったから………今みたいな風に話を聞いてくれたのは、先生、あなたが初めて」
その姿を見て、シロコはそんなことを言う。
「まぁ……そんなありふれた話だよ」
「……」
そして、アビドスが借金を背負った理由を聞き終わった明錬は……
「……それさ、僕にも協力させてくれないかな?」
『!?』
その借金返済に協力することを申し出たのだ。
「……気持ちは嬉しいけど、無理はしなくていいよー?こうして、話を訊いてくれるだけでも―――」
「無理はしてないよ。それに……」
「それに……?」
「みんなはまだ、全部失ってない」
『……!』
「居場所や仲間、友達だっている…………僕とは違ってね」
「?先生……?」
何かを呟いた明錬に、ホシノがそう声を掛ける。
「!みんなはまだ、諦めていないんでしょ?」
「!もちろん……!」
「だからこそ……協力させてくれると嬉しい」
そう言いながら、明錬は三人に向かって手を差し出した。そんな明錬に対し……
「先生って、変わってるね?自分からこんなことに首を突っ込むなんてさ?」
「そうだね……けど、ありがとう」
「!なら、これからもよろしく」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
三人はそう言って、アビドスに協力するという明錬の申し出を受け入れるのだった……。
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対策委員会に協力することを決めた明錬………その時、彼は何を思っていたのか……。
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