前回、対策委員会へ協力することを決めた明錬……ですが、セリカからは認められていない様で……。
それでは、どうぞご覧ください。
対策委員会に協力することを決めた翌日、明錬はアビドスの住宅街を中心にパトロールをしていた。こんなことをしているのは、普段から明錬自身がしていることというのもあるが、昨日のことでヘルメット団が報復か何かで動きを見せていないかを確かめるためでもあった。すると……
「あっ……」
「!」
そこで偶然、どこかへ向かう途中のセリカに会ったのだ。
「おはよう、セリカ」
明錬はセリカに向かい、そう挨拶をしたのだが……
「な、何が『おはよう』よ!馴れ馴れしくしないでくれる?それに私、まだ先生のこと認めてないから!」
「……」
睨まれながら、そう返されてしまう。
「セリカはこれから学校?」
「私が何をしようと、先生には関係ないでしょ?朝っぱらからこんなところうろついてたら、ダメな大人の見本みたいに思われるわよ?」
「別にうろついてるわけじゃないけど……」
「それから、今日は自由登校日だから、学校に行かなくてもいいんだけど?」
「?じゃあ、一体どこに……?」
「そんなの教えるわけないでしょ?」
そして……
「じゃあね、バイバイ」
セリカはそう言い、砂埃を立てながら走り去っていった。
「!気を付けて………って、聞こえてないか……」
明錬もセリカの姿が見えなくなった後、パトロールを再開し、アビドス高校へと向かって行く。
「えっ?今朝セリカちゃんに?」
「うん……まぁ、相変わらずだったけど……」
学校へと到着した明錬は、対策委員会の教室で今朝のことを話していた。
「そういえば……セリカがどこに行こうとしてるか、知ってる人っている?」
すると……
「あっ……それなら心当たりあるよ」
ホシノがそう言いながら立ち上がる。
「折角だし、お昼ご飯がてら行ってみよっか」
『……?』
そして、全員でホシノについて行き、辿り着いたのが……
「ここって……」
「紫関ラーメン……?」
一軒のラーメン店だったのだ。
「それじゃ、早速入ろっか」
ホシノのその言葉に続いて、明錬たちは店の中に入っていく。すると、そこには……
「いらっしゃいませー!紫関ラーメンで………って、えぇ!?」
この店のバイトの制服に身を包んだセリカがいたのだ。
「あの~5名でお願いします~☆」
「あはは……セリカちゃん、お疲れ……」
「お疲れ」
「み、みんな……どうしてここを……!?」
対策委員会の面々がこの場所に来ていることや……
「お疲れ様」
「!な、何で先生まで………ま、まさかストーカー!?」
明錬までいることに、何故かそんなことを言って驚いていた。
「いや、何でそうなるの……?」
「うへ、先生は悪くないよー。セリカちゃんのバイト先と言えば、ここしかないしね。お昼ご飯がてら来てみたんだー」
「ホシノ先輩かっ……!!」
悔しそうに呟くセリカだったが……
「おっ、アビドスの生徒さんたちか。セリカちゃん、おしゃべりはそれくらいにして、注文受けてくれな」
この店の店主……紫大将に声を掛けられ……
「あ、うぅ……はい、大将。それでは、広い席にご案内します……こちらへどうぞ……」
明錬たちを席へと案内する。
案内された5人は、テーブル席へと座っていく。だが、生徒の隣に座るのはまずいと思った明錬は、静かに自分の椅子を取って来ようとしたが……
「先生!」
「?」
「先生はこちらへ!私の隣、空いてますよ?」
「ん、私の隣も空いてる」
「えっ?」
その前に、ノノミとシロコの二人に隣に座るように言われてしまう……。
「いや、僕は自分の席持ってくるから……」
明錬はそう言うものの、二人は……
「先生、そう遠慮せずに」
「ん、そうそう」
「……」
(どうしようか……そもそも、何で僕にこだわって……?)
何とかして、自分の隣に明錬を座らせようとする。そして、このまま自分が断り続けても埒が明かないと思ったのか、明錬は数秒考え……
「……じゃんけん」
「「え?」」
「仕方がないから、今回は勝った方の隣に座る。で、次に食べに来るときは負けた方………どう?」
「「……!」」
そんな提案をしたのだ。
「わ、分かりました……!」
「ん、受けて立つ……!」
そして……
「「じゃんけん―――」」
「ちょ、狭すぎ!シロコ先輩、そんなにくっついていたら先生が窮屈でしょ!もっとこっちに寄って!」
「いや、私は大丈夫。ね、先生?」
「大丈夫……ではあるけど……」
じゃんけんの結果、シロコが勝利し、明錬は約束通りにその隣へと座る。
「まぁ……次の楽しみにとっておきますね☆」
「……」
シロコに負けたノノミであったが、笑顔でそう言いながら、明錬の方を見る。
「何でそこで遠慮するの!?空いてる席沢山あるじゃん!ちゃんと座ってよ!」
「わ、分かった……」
セリカにそう言われ、シロコは少しだけホシノの方に寄る。
「ほら、席決まったならもういいでしょ!ご注文は!?」
「『ご注文はお決まりですか?』でしょー?セリカちゃ~ん?お客さんには笑顔で接客しないとね~?」
「!あうぅ……ご、ご注文はお決まりですか……」
セリカは顔を赤くしながら、5人に注文を訊いた。注文を訊かれた明錬以外の4人は……
『私は―――で!』
「みんな一気に言わないでくれる!?」
聖徳太子に訊くときの様に、一斉に注文をする。その様子を見て……
「セリカの言う通りだよみんな………えっと、ノノミがチャーシュー麺でシロコが塩、アヤネが味噌でホシノが特製味噌ラーメンの炙りチャーシュートッピングだよね?」
『!』
明錬は全員の注文を聞き分け、復唱して見せたのだ。
「せ、先生は何にする?」
「じゃあ僕は……この紫関ラーメンにしようかな」
「か、かしこまりました……」
セリカは、明錬の分の注文も取り終えた後……
「……ところで、みんなお金は大丈夫なの?もしかして、またノノミ先輩に奢ってもらうつもり?」
誰が支払いをするのかを訊いた。
「はい、私はそれでも大丈夫ですよ☆このカードなら、限度額まではまだ余裕ありますから!」
「いやいや、また奢ってもらうのはさすがに悪いよー。きっと先生が奢ってくれるはず。だよね、先生?」
「!ホシノ、それ初耳なんだけど………でも、いいよ」
『えっ?』
「みんなに払わせるわけにはいかないし、最初からそうするつもりだったしね」
いきなりホシノに奢ってほしいとお願いされた明錬だが、最初から全員分の支払いをするつもりだったため、そう言って了承する。
「い、いいの……?いや、こっちから言ったことだけど……」
あっさり了承されると思っていなかったホシノは、驚いた様子でそう尋ねる。
「うん、もちろんだよ」
『……!』
その言葉を聞いて、ホシノたちが追加で注文をしていると……
「先生、これでこっそり払ってください」
「!」
ノノミが小声でそう言い、ゴールドカードを渡そうとしてきた。だが……
「大丈夫だから、ここは払わせてよ」
「え……?でも……」
「ありがとう。気持ちだけもらっておくよ」
明錬はそれを断り、最終的に全員分の支払いをするのだった。
「いやぁー!ゴチでしたー、先生!」
「ご馳走様でした」
「うん、お陰様でお腹いっぱい」
「ありがとうございます」
ラーメンなどを食べ終えた対策委員会の面々は、全員分を支払ってくれた明錬にそうお礼を言う。
「早く出てって!二度と来ないで!仕事の邪魔だから!」
「あ、あはは……セリカちゃん、また明日ね……」
「またね、セリカ」
そして、アヤネと明錬がそう言うと……
「!早く帰れーー!!」
セリカはそう大声で言いながら、全員を帰した。
明錬たちが帰ってから時間は過ぎていき……
「セリカちゃん、今日はもう上がっていいよ」
「はーい」
大将からそう言われたセリカは、今日のバイトを終えようとする。すると……
「なぁ、セリカちゃん」
「?」
「あの先生、生徒想いのいい先生じゃないか」
「え……?」
「少なくとも、俺はそう思ったけどな?」
「……」
大将がそう声を掛けてくる。だが、まだ明錬のことを認めていないセリカは、思うところはあったものの……
「……お先に失礼します」
そう大将に挨拶をして、先に出ていく。
「はぁ……やっと終わった。目まぐるしい一日だったわ……」
紫関ラーメンでのバイトを終えたセリカは、自身の家への帰路についていた。
「まさかみんなで来るなんて……騒がしいったらありゃしない。それに、みんな先生先生って、何なのあれ?ホント迷惑……」
セリカが脳裏に思い浮かべるのは、明錬がみんなと仲良さげにラーメンを食べている光景だった。
「ホシノ先輩……昨日のことがあったからってわざと連れてきたに違いないわ!………ふざけないで。そう簡単に折れると思ったら大違いなんだから!」
そう言いながら、セリカは帰路を急いでいく……
「……あいつか?」
「はい、そうです。アビドス対策委員会のメンバーです」
「準備はいいか?次のブロックで捕獲するぞ」
「了解」
怪しい影たちに気が付くことはなく……。
「入ったバイト代は、借金の返済に充てて……」
セリカがそんなことを呟きながら歩いていると……
「ん?これって……?」
目の前に、音を立てながら発煙筒が転がってきており……
「!?」
そこから煙が出てきて、セリカの視界を奪う。
「っ!このっ!」
セリカは銃弾を放ち、すぐに煙を晴らしていく………そして、その先には……
「っ!カタカタヘルメット団!?何で……?」
大勢のヘルメット団が、セリカを取り囲んでいる光景が飛び込んできたのだ。
「何でもいいわ……二度とこの辺りに足を踏み入れられないようにしてやるわっ……!!」
そう言って、セリカはヘルメット団に銃を向けて、戦闘を開始する。だが……
「くっ、ううっ!!」
相手の数が多く、押されていってしまう……。
「捕らえろ」
そして、その合図とともに……
「!?な、何……ケホッ、ケホッ……」
(対空砲……?違う……この爆発音は、Flak41改……?)
何処かから砲弾が放たれ、セリカの近くに着弾する。
「っ……」
(意識が………)
その攻撃によって、倒れてしまったセリカを見たヘルメット団の団員たちは……
「……続けますか?」
「いや、生かさなければ意味はない。早く運ぶぞ。ランデブーポイントへ向かう」
トラックへとセリカを乗せ、連れ去って行くのだった……。
「……」
その頃、明錬はアビドス高校の中で使うように言われた教室で、シャーレから持って来た書類仕事を終わらせ、ほんの少しだけ仮眠を取ろうとしていた………その時、
「?」
明錬の端末に、着信が入ったのだ。
「アヤネ……?」
その画面には『奥空アヤネ』と映し出されていたので、明錬はすぐさま端末を手に取った。
『先生!』
「!?どうしたの?何かあった?」
アヤネの声を聞いた明錬は、その焦り様に一瞬戸惑いながらも、冷静に何があったのかを訊く。そして……
「せ、セリカちゃんが―――」
「………は?」
「電話はしてみました?」
「……はい。でも、数時間前から電源が入っていないみたいで……!」
明錬の連絡を受けた対策委員会は、教室へと集まっていた。明錬とホシノは、セリカの行方を調べているためこの場にはいない。
「バイト先では定時に店を出たみたい。その後、家に帰っていないってことかな?」
「こんな遅くまで帰らなかったこと、今までになかったですよね……?」
セリカが普段からバイトをしている紫関ラーメンにも連絡をして訊いたものの、どうやら定時で上がっているようだ……。
「まさか……ヘルメット団の連中が……?」
「えっ!?ヘルメット団がセリカちゃんを……!?」
その可能性に、アヤネは驚愕したが……
「とりあえず待とう、ホシノ先輩と先生が調べてるから」
シロコがそう言いながら、何とか落ち着かせる。
その一方で明錬は……
「アロナ、連絡が途絶える直前のセリカの携帯の位置を特定して」
『わ、分かりました!』
セリカの救出に向かう準備をしながら、シッテムの箱の中にいるアロナにセリカの位置を探らせていた………それから少しして……
『先生、セリカさんの位置が分かりました!』
「!どこ?」
『はい、この地点です!』
アロナが特定した位置を見た明錬は……
「先生、セリカちゃんは……」
「ホシノ、この場所をみんなに伝えてくれる?すぐに他のみんなの端末にも送るけどさ」
ホシノを通して、他の三人にセリカの端末の場所を伝えようとする。
「え?それはいいけど……先生は?」
「先行してセリカを救出する。みんなはその後に、残りのヘルメット団を」
「……それだと、先生の負担が大きくならない?」
だが、変身したり錬金術が使えるとはいえ、キヴォトスの外から来た明錬が率先して危険な役目を負おうとしていることを感じたホシノは、明錬にそう口にする。
「大丈夫だよ。こういう事は、ここに来る前にも何度も経験してきたし……そういう負担を背負うのも、大人の役目だよ」
「……」
そんな明錬の言葉を聞いたホシノは……
「分かった。先生を信じるよ」
明錬を信じてそう言い、三人のいる教室へと向かおうとする………が、急に立ち止まり……
「あっ……先生」
「?」
「先生が強いのは知ってるけど……気をつけてね?」
「!あぁ、分かってるよ」
明錬にそう言い残し、今度こそ他の対策委員会の下へと向かっていく……。
「……」
ホシノがいなくなった後、準備を終えた明錬は、黙ってゴルドダッシュを出す。
「……力を貸して」
『ダーッシュ!』
そうゴルドダッシュに声を掛けるが、その声は普段の声色とは違って……。
「……」
(みんなに……あんな思いはさせない)
「……行くよ」
そう言って、明錬はゴルドダッシュを目的地に向かって、走らせていくのだった……。
読んでくださりありがとうございます。
一足先にセリカの救出へと向かう明錬………果たして、無事に救出することができるのか……。
良ければ、感想や評価、あれば「ここすき」への投票をしていただけるとありがたいです。
それでは、次回もよろしくお願いします。