マブラヴif短編集   作:地獄の一丁目

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さてさて、日本帝国でキルケを待ち受ける出来事とは?


最後はコントに持って行きたいなぁ・・・・。



武ちゃん何周目? 93式不知火開発裏話し②

《1992年12月上旬》

 

「もうすぐ日本帝国ね・・・・」

 

 ドイツ籍船の貨客船【ハンブルク】の看板上で冬の寒空の潮風に当たっていたキルケ・シュタインホフ少佐は呟く。

 

 日本帝国からの第3世代機開発技術を取付ける為の技術協力派遣隊隊長としての任務に、全く何も思わない所が無い訳では無いが、欧州連合の苦しい台所事情を考えるとそうも言っていられないのも理解していた。

 

「だけど露骨よね〜」

 

 何しろ自分を始め今度の欧州連合技術協力派遣隊の構成人員全員が、独身女性ばかりなのだ。昨今女性だけの戦術機部隊なのは珍しくは無くなったが、衛士だけじゃなく、技術者や整備兵、警備兵まで独身女性なのはかなり極端過ぎて、この決定を下した上層部に文句も言いたくもなる。

 

 しかも全員きちんと軍事訓練を受けているので、容姿や顔立ちの見栄えの良い女ばかり。

 

 そして貨客船【ハンブルク】は欧州連合情報部の管理化の船で、渡航先の要人を接待する為の女性コンパニオンが数十人も乗船していた。

 

 日本帝国内では【トーネード】のアップデートと、欧州連合の第3世代機開発に協力するか否かで国論は絶賛分裂中。

 

 賛成派は『イギリス・アイルランド・北アフリカがBETAに陥落すれば、BETAの東進が寄り本格化する。それだけは阻止しなくてはならない』として賛成。

 

 反対派は『日本帝国の最新技術が他国に流失するし、日本帝国への見返りが無さ過ぎる』として反対をする。

 

 欧州連合及び加盟国は、必死に日本帝国国内での世論工作に余念が無い。

 

 日本帝国の最新技術を得る為に、裏で旧シュタージの組織の再編まで欧州連合は行った

 

 だが、欧州連合にしてももう後が無いのだ。

 

 アメリカと欧州で相次いで機動力に長けた第2世代機が開発・実戦配備されたので、これでBETAの侵攻を押し返せると目論んだが、その都度BETAは想定を上回る物量と光線級の増強と、地中侵攻を繰り返してはアメリカと欧州の目論見を打砕いた。

 

「・・・だからと言って、何もあのシュタージの悪い真似をしなくても良いのに・・・」

 

 シュタージとはドイツ民主共和国(東ドイツ)国家保安省武装警察軍の略称で、国家の中の国家とも言うべき存在で、東ドイツ国民を監視し恐怖政治で支配していた。

 

 1983年冬の東ドイツ革命で解体された。解体されたシュタージの残党は、1984年のベルリン陥落のどさくさに紛れて欧州大陸を脱出し、イギリス、アイルランド、グリーンランド、カナダ東岸、南米、南アフリカへと逃れた。

 

 イギリスに脱出したドイツ民主共和国政府にしても、欧州連合にしても、シュタージをそのままにするつもりは無かったのたが、翌1984年には5度に及ぶベルリン攻防戦で東ドイツ領全体がBETAに制圧。東西ドイツ国境のエルベ川防衛戦も突破され、オーストリア、チェコスロバキアも相次いで陥落し、更に翌1985年夏には孤立と東西挟撃に耐えられなかったハンガリーが陥落してしまう。

 

 ハンガリー領ブダペスト市にH11=ブダペスト・ハイヴが建設され、ユーゴスラビアとイタリアの北部がBETAの侵攻を受けるに至り、最早旧シュタージ残党の追跡処ではなくなり、気が付いたらいつの間にか上の方で旧シュタージの残党と手打ちが成立し、欧州連合と東欧社会主義同盟の情報部に組み込まれる。

 

 この事実を知った彼女は激怒したが、シュタージが持つ情報網は健在で、欧州連合、東欧社会主義同盟に、様々な情報の利益を齎していたし、今度の欧州連合技術協力派遣隊にも日本帝国に関する詳細な情報を与え、日本帝国政府内の国際協調路線派との渡りを付けていた。

 

 旧シュタージは組織を再編し、表と裏に分かれ、表は欧州連合と東欧社会主義同盟の末端組織として、裏ではカルト宗教組織〘キリスト教恭順派〙を乗っ取った上で、アメリカ合衆国の東海岸の権力・富裕層に食い込む裏工作中だ。

 

「・・・テオドール・エーベルバッハ、貴方は馬鹿よ。そんな事をしたって、カティア・ヴァルトハイムは帰って来ないのよ」

 

 彼女も決して恋の一つや二つとは無縁では無かったが、好きになった男が嘗ての仇敵だったシュタージと和解し、シュタージの組織力を使いカルト宗教組織〘キリスト教恭順派〙の指導者(マスター)になってしまう。

 

 何度も止める様説得をしたが、彼は聞く耳を持たない。

 

 その内連絡も取れなくなり、ドイツ民主共和国軍情報部所属のグレーテル・イェッケルン少佐から『もう彼とは会わない方がいい。貴女の声はテオドール・エーベルバッハに届く事はない』と釘を刺されてそれっきりだ。

 

 テオドール・エーベルバッハとカティア・ヴァルトハイムの2人は、東ドイツ革命後、東西ドイツの統一と、欧州から逃れた数千万人もの難民対策に翻弄した。その過程でアメリカ穀物メジャーと国連UHNCR協会の癒着と腐敗。折角2人が手配した食糧・医薬品・生活物資までもが横流しされている実態を知り調査。それを告発しようとした寸前、カティア・ヴァルトハイムは暗殺されてしまう。

 

 恋人カティア・ヴァルトハイムを失った彼は、嘗ての仇敵だったシュタージの残党と和解し、地下へと潜った。

 

 彼の本領はそこから発揮されたとも言える。

 

 地下に潜ったテオドール・エーベルバッハはシュタージの組織網を再編し、〘キリスト教恭順派〙をあっと言う間に掌握した上で、短期間でアメリカ合衆国東海岸の権力・富裕層に食い込む事に成功したのだから。

 

 彼の狙いはアメリカ至上主義者を暴走させ、アメリカ合衆国と国連を自滅へと追い込むのが目的だ。その為に必要なカードを彼は既に手に入れていた。

 

 〘レッド・シフト〙と〘BETA研究所〙の二つだ。

 

 奇しくも言うべきか、アメリカ政府が臭い物に蓋をしたかったのか。アメリカ政府は〘レッド・シフト〙と〘BETA研究所〙の二つの危険施設を同じアラスカ州に置いてしまった。

 

 〘BETA研究所〙に捕獲されているBETAの数は優に旅団規模で、難民兵にアメリカ国籍と市民権を餌に、定期的にBETAの鹵獲をさせている為、その数は年々増えており軽光線級も数十体含まれる。

 

 〘レッド・シフト〙は建設中の国連アラスカ・ユーコン基地の拠点にして、アラスカ州を南北に渡って地下に埋設される予定の数千発もの戦略核水爆弾頭の事だ。

 

 BETAがベーリング海峡を渡って北アメリカ大陸を侵攻して来た場合、北米大陸の防衛態勢構築の為の時間稼ぎ名目でアラスカ州の大半を数千発の戦略核水爆弾頭でアラスカ州の大半を吹き飛ばし、アラスカ州に新たな海峡を人為的に作り出そうとする計画だ。

 

 だがこの計画には粗があり、北太平洋プレートとサンアンドレアス断層の崩壊を招きマグニチュード9から10の巨大地震を北太平洋全域で引き起こし、太平洋沿岸全域で数十m級の巨大津波を発生させ、太平洋沿岸全域を壊滅させるだけではなく、イエローストーンの破滅的超巨大噴火を誘発させかねない危険過ぎる計画だった。

 

 アメリカ政府内でも危険極まりない〘レッド・シフト〙に反対する者は少なく無かったが、アメリカ至上主義を中心とする強硬派が押しきった。

 

 いかなる犠牲を払おうと、北米にハイヴは作らせないと。

 

 それを知ったテオドール・エーベルバッハは人知れず歓喜したと言う。

 

 そして彼の復讐心に火が灯った。

 

『カティア。君の正しさを否定し、君を殺した連中をそう遠からず地獄へと送ってやれそうだ。そして、私の死に場所も決まったよ・・・』

 

 テオドールは今更自分が天国に行けるとは思っていない。

 

 そもそも天国の存在すら信じてもいない節あ有る。

 

『後数年の我慢だ。いいだろう、今はその時が来るのを聖職者の仮面を被って待とう。ずっと救いようがない世界で生きて来た。後数年の我慢等ぞうさもないさ』

 

 人類への復讐を始めるには入念な準備が必要なのは彼も良く分かっていた。

 

 〘レッド・シフト〙も起爆装置が設置される〘国連アラスカ・ユーコン基地〙も未だ未完成だから。

 

『クククッ!アーハハハハハハッ!アーハハハハハハ』

 

 テオドール・エーベルバッハと言う名の人間はとっくの昔に壊れていたのだろう。

 

 彼を辛うじて人類側に留まらせ、精神的均衡を守らせていたのは、恋人のカティア・ヴァルトハイムだけだった。

 

 その彼女はもうこの世な存在せず、一度も見る事が無かった我が子と一緒に大国のエゴイズムによって殺された。

 

 キルケ・シュタインホフの失恋の傷は未だ癒されてはいないが、軍務に専念する事で失恋の傷を癒そうとした。家の家督は長男が継いだので、彼女は生涯独身を決め込んでいた矢先に、日本帝国行きの命令が下る。

 

「上から明確な命令は出されていないけど、どう考えてもハニトラよね・・・」

 

 11月に入り欧州連合は国連軍、アフリカ連合軍、中東連合軍と共同で地中海打通作戦を始めており、イベリア半島とシチリア島を奪還していたが、BETAもリヨン・ハイヴとブダペスト・ハイヴから反撃に転じており、以前として予断を許さない状況が続く。

 

 前線からは『1日でも早く、新型戦術機を!』との悲鳴が矢の催促の如く届いていた。

 

 欧州連合が日本帝国から戦術機開発に必要な技術支援を引っ張り出すに当たって、重要視している人物が3人が居る。

 

 一人目は帝国斯衛軍少佐の篁裕唯氏。

 

 二人目は帝国陸軍少佐の巌谷榮二氏。

 

 三人目は光菱重工横浜小机研究所主任の白銀影行氏。

 

 の3人だ。

 

 欧州連合がターゲットにしているのは三人目の白銀影行。

 

 理由は上の二人とは違い、彼は民間人だからだ。 

 

 篁少佐は帝国斯衛軍(ロイヤルガード)所属で、巌谷榮二は今は帝国陸軍所属だが、元帝国斯衛軍(ロイヤルガード)所属。

 

 欧州風に言えば篁少佐は伯爵位持ちで、巌谷榮二は子爵位持ち。貴族に当たる二人がそう簡単にハニトラに引っ掛かるとは思えず、自然と一般人の白銀影行の攻略に集中する事になる。 

 

「必ず隙があるはずだ!」

 

 だと。

 

 とは言え白銀影行氏の妻は親藩譜代武家徳永家身、欧州風に言えば侯爵家出身、侯爵家の令嬢が降下して一般人男性と結婚したに等しい。

 

 当然の事ながら白銀家には、それなりに優秀なガードが付いているはずだと。

 

「むしろこっちの方が難易度が高い様に思えるけど・・・」

 

 キルケ・シュタインホフは白銀家に関する最新情報に目を通す。

 

 組織が再編されたシュタージが調べたとあって、白銀家の事を良く調べ尽くしていた。

 

 白銀影行の妻の名前は白銀(旧姓 徳永)楓で、帝国陸軍大尉で、住まい近くの帝国陸軍横浜訓練校で訓練教官の仕事をしている。

 

 元は帝国斯衛軍の衛士で階級は少尉だったが、帝国斯衛軍専用機【82式瑞鶴】開発期に白銀影行氏と知り合い、数人の女性同僚と激しい取合いの末勝利し、白銀影行の妻となる。

 

 その時の出来事は帝国斯衛軍内でも語り草で、様々な逸話が残っていた。

 

 曰く、白銀影行の部屋の前で、睨み合いが合ったとか。

 

 曰く、眼の飛ばし合いで、一一人感電死させたのだのとか。

 

 曰く、模擬刀での、決闘沙汰に及んだのだと。

 

 曰く、斯衛軍情報部、帝国政府情報省を使って、恋敵達を弱みを見つけ出そうだとしたとか。

 

 曰く、無断で戦術機を持ち出しては、勝手に一対一の決闘とか。

 

 曰く、恋敵の共倒れ狙った女性整備士が、戦術機の関節部のボルトを数本抜いたりとか。

 

「やっている事が無茶苦茶ね。良く死人が出なかったわね。この人って、夫の浮気を絶対に赦さないタイプよね・・・」

 

 調査報告書を見ながらキルケ・シュタインホフは呟く。

 

 結婚式での巌谷榮二の白銀影行私生活大暴露スピーチの後に、新婦のある発言が物議を醸した。

 

『影行さん、貴方が浮気をするのは一向に構いません。ですが、私は貴女の浮気相手を赦しませんし、影行さんの目の前で必ず殺します!』

 

『はっ、はい(ガクガクブルブル)』

 

 と晴れやかな笑顔で爆弾発言。その時の新郎は出席者全員が『気の毒に…』と思った程、真っ青に震え上がっていたと言う。

 

 武が4歳になるまで帝国斯衛軍に所属していたが、光菱重工が横浜市小机に〘光菱重工横浜小机研究所〙を建設すると、帝国斯衛軍から帝国陸軍に移籍し、帝国陸軍横浜訓練校の訓練教官となる。

 

 白銀影行は最初は自分だけ光菱横浜小机研究所に単身赴任の予定だったが、『家族は常に一緒に居るべき』と妻・楓の鶴の一声で家族揃って神奈川県横浜市神奈川区柊町に新居を構える事に。

 

 邪推が大好きな巌谷榮二に言わせると、『絶対に影行の奴の浮気防止だな』となる。

 

 妻・楓に言わせると、『影行さんは絶対に一人にさせてはイ・ケ・ナ・イ人』になるそうだ。

 

 当然の事ながら二人の結婚には城内省元老院や武家保守派から反対意見が続出したが、法律上では全く問題が無かったこと。徳永家が賛成していること。『被害続出で二人をさっさと結婚させた方がこれ以上被害が出なくて済む』と、ゲッソリと窶れた斯衛軍警備部部長が切実に訴え、徳永楓が真紅の鎧姿の威で立ちに、呂布の剛弓、関羽の青龍刀、妖刀村正を持って元老院に押し掛けて黙らせた。

 

『人の恋路を邪魔をするものは馬に蹴られて死ねと言う連中はここに居る連中で全員かしら?』

 

 この後に起こった出来事に関して、帝国政府城内省と斯衛軍の公式記録は沈黙。

 

 これが切っ掛けで武人として才能と実力があれば、女性頭領が認められる事になるが・・・・・・。

 

 

ーーーーー《閑話休題》ーーーーーー

 

 

「容姿は小柄で私に似ているか。確かにどことなく似ているわね。こんな無茶苦茶はしないけど」

 

 白銀(徳永)楓は独身時代もとい、女子中高生時代は小柄で笑顔が素敵で各種女子学生制服姿が良く似合い、剣、槍、弓、薙刀が得意な事もあって、帝都の同年代の武家男子に『楓姫』と呼ばれて密かに高人気だった。

 

 その白銀(徳永)楓が激闘の末に降下して一般人と結婚すると聞いて涙した武家男子の数は少なくない。無論、二人の結婚を阻止しようとする動きも合ったが、白銀(徳永)楓に蹴散らされて黙るしかなかったと言う。

 

 何しろ斯衛軍武術師範代紅蓮醍三郎にして『生まれて来る時代を間違えて来なければ、三国志五虎大将軍に並び称されたであろう』と言わせしめた女傑でもあった。

 

 なにはともあれ本人は無事?に結婚し、子持ちの三十代女性になった。だが『これでも結構苦労しているのよ』とは本人の弁ではあるのだ。今だに各種女子学生服姿が良く似合う容姿と若さを維持しているので、今では妖怪、妖魔、サキュバス、バンパイヤ、外見詐欺と言われている始末だ。 

 

 実際に酒の席でも白銀影行への冷やかしに使われる。

 

『主任は良いですね。奥さんが何時も若々しくて』

 

『毎晩、搾り取られているんじゃないですか?』

 

『三十代になっても若くみえますね、本当に』

 

『あれじゃあ、浮気する気にもならないでしょう』

 

 多少どころか、かなりやっかみが入っているだろー。

 

 冷やかされる白銀影行はと言うと、微動だにしない。

 

 白銀楓の方は武が育つに連れて、母子として見られる事が減ってしまい、歳が離れた姉弟と見られる事に、少なくないヘコみを感じてしまうと言う。

 

 武と散歩に行ったり、あやしていると、

 

『あらあ、弟さんの面倒見ているの?偉いわね』

 

 とか言われたり、父兄面談や授業参観に行くと、

 

『・・・白銀君、お母さんは?』

  

 とか、

 

『いくら軍人として忙しいからと言って、お姉さんを学校を休ませるとは感心出来ないなぁ・・・う〜〜〜ん』

 

 教師達やご近所達に悪意が合った訳では無い、これは武の母・白銀楓の外見がげ…(ゲフンゲフン)失礼。

 

 その都度武が、

 

『僕のママです』

 

『自分のお母さんです』

 

『俺のお母さんです』

 

 不機嫌顔になる母親を宥めながら説明に追われる羽目に。

 

『影行さん、私はそんなに母親に見えない?』

 

 流石に何年もそんな状況が続くと泣きが入る。

 

『まあまあ、楓も落ち着きなさい。他人の評価や論評を気にしたってしょうがないさ』

 

 白銀影行は半分涙目の妻の頭を撫で撫でしながら、妻の宥めやご機嫌取りに終始するしかない。

 

 とは言え白銀夫妻の周囲が騒がしい。一人息子武の情報が早くも欧州連合に知れ渡ってしまい、戦術機開発で白銀父子の協力を求められているのと、帝国政府城内省が大陸の戦況悪化に伴う戦力増強の一環として、斯衛軍を除隊、退役、帝国軍へ移籍した者に再召集を掛け始めており、帝国斯衛軍参謀本部からも白銀楓本人に、内々に斯衛軍への復帰を真剣に考えて欲しいとの打診が来始めていた。

 

 

 

 

「でも一番信じられないのがタケル・シロガネね。9歳の子供に新型OSや新型CPUの設計・開発と、新しい機動概念を作り出せる訳?」

 

 キルケ・シュタインホフにしても、9歳の子供が第3世代機の開発に深く関わっている時点で眉唾で、こんな情報を寄越して来た情報部の正気を疑いたくなる。

 

 曰く、新型OSの開発で戦術機の硬直が限りなく0にしてしまい、絶え間なく3次元立体機動が可能になった。

 

 曰く、新型CPUの開発で、全ての戦術機の即応性が20%から25%も向上した。

 

 曰く、新型OSと新型CPUを組み合わせる事で、衛士の生存率は大幅に上昇するばかりか、光線級のレーザーすら回避する事が可能になった。

 

「なんか酷いペテンに掛けられている気分ね・・・」

 

 それ以外にも水素燃料、水素電池、水素プラズマ・ジェットエンジン、駆動・間接部小型電磁モーター、新型電磁伸縮炭素帯、液晶モニター、新型間接思考制御装置、対Gキャンセラー、樹皮ゴム・ショックアブソーバーの発案・設計者であるとも報告書に記されている。

 

 もし十年前にこれらの技術が実用化されていたのなら、欧州大陸の失陥は無かったのかもしれない内容だ。

 

「日本帝国内では神童扱いされるのも納得ね、さぞかし御両親も鼻が高いでしょうね・・・・」

 

 そして自分の役割は白銀影行にハニトラで気に入られ、日本帝国の先進的技術を引き出すのが目的。

 

 嫌でも憂鬱な気分にもなる。

 

「はーやめやめ。【トーネード】を身に行きましょう」

 

 欧州連合は船の貨物区画に4機の【トーネード】を格納をしていた。

 

 日本帝国陸軍技術廠で、【トーネード】を準第3世代機にアップデートさせ、その技術をアフリカへと持ち帰り、アフリカで開発中の【EF-2000 タイフーン】を【不知火】に負けていない第3世代機として実用化する事。

 

 その為の派遣隊だった。

 

「分かってはいるねよ。それも必要な事何だって。けれど感情が納得しないのよ。まるで、シュタージのやり口を正当化している様だから」

 

 キルケ・シュタインホフはトレーラーに載せられ、シートを被らされている【トーネ゙ード】を見ながら呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここ迄ですね。

本当はもっと書きたかったんですけど、ネタ切れです。

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