学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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第一試合② 瞬殺

 

 試合会場に投入されると同時に、鷹一は自身の位置と周囲の様子を確認した。

 目の前にいた滝本を捕捉した鷹一は、瞬時にアクティブ装備枠に入れたハンドガンを起動させ、走りながら彼女へ向けて発砲した。

 滝本は運よく鷹一と向き合っていたこともあり、攻撃に反応した。シールドを展開し二発目までを防ぐが、三発目が足へと命中し、僅かに動揺した瞬間にダウンした。鷹一が、射撃後すぐに、ブレードを高速投擲し、滝本の心臓を貫いたからだ。これは、試合開始後、僅か数秒の出来事であった。

 

 鷹一は油断なく周囲を見て、目視できる対象がいないこと確認すると、大出力レーダーを起動した。同時に、チームメイトから通信が入った。

 

『鷲島っ! 街道が見えた! 俺の東にいる! こっちに向かってくる! たぶんバレてる! あっ、でも逆認識は発動してない! でもこっちに来てる! 見られてる! う、撃つぞ!』

 

【挿絵表示】

 

 金崎の焦った言葉を聞いて、鷹一はレーダーを見ながら瞬時に指示を出した。

 

『待て、金崎! 一度、街道と視線を切れ! 西側に逃げろ! それと周りを見るんだ! 他に敵はいないか?』

 

『あ! 分かった! 撃たない! 西へ行く! 他は、――え?』

 

 呆けたような言葉、それが金崎のこの試合における最後の言葉になった。通信が切れ、金崎の光点がレーダーから消えたのを見て、鷹一は状況を察した。

 

(金崎……! 一手遅れたか……いや、おそらく、状況的にどう動いても討ち取られていただろう……俺は一旦南へ行くか。俺の近くの駒が二つとも南へ移動している。さっき滝本を倒したのを見られたか? それに南側の戦場に反応が二つ、おそらく重装備、マスタングと百田か? 下水流という可能性も捨てきれないが、推定であの二人だな。紫苑の南の駒は?)

 

 思考しつつも、鷹一は、『自身から見て南にいる近い方の駒』を追い詰めるために駆けた。

 

『紫苑、そっちは大丈夫か? 逆認識はどうなってる?』

 

 鷹一は、ずっと黙っていた雲川へと声をかけた。雲川は、報告することがあったのだが、金崎が必死に何かを伝えようとしていたため、黙っていたのだ。だって、金崎がチームのために頑張っていることは知ってたから、邪魔しちゃいけないと思ったのだ。

 

『う、うん……逆認識は発動してないよ。見られてない。でも南側に一人いる……ずっといるあたりを見てるんだけど……あ、出てきた……えっと、あれは、えっと……? 誰だっけ……? あ、堂前君だ』

 

『堂前は紫苑に気付いているように見えるか?』

 

 そこまで言ったところで、鷹一は銃声の音を拾った。

 

(近い……だが、一発だけ、か?)

 

 疑問に感じながら鷹一は、丁字路の角から体を出し、そして、分散シールドを全力で展開しながら、素早くバックステップし角へと逆戻りした。

 

――直後、高威力の魔力弾が、鷹一が直前までいた場所に次々と殺到した。

 

 分散シールドが一枚破壊されたのを確認すると、即座に、『一瞬で破壊された風を装いながら』残りの分散シールドを解除した。分散シールドの損壊状況と、魔力弾が命中した地面や壁の損傷具合から、鷹一は誰の攻撃かをすぐに理解した。

 

(南の一枚はマスタングで確定か。俺が体を出すのと射撃がほぼ同時だった。おそらく滝本チームのレーダーにも俺が映っているな。そして、おそらく俺の位置が割れた。まずいな、このままだと南の駒を全て取られそうだ)

 

【挿絵表示】

 

 思考しつつも、鷹一はマスタングの射線を避けるように迂回し、すぐ南の駒へと駆けた。

 

『ううん? 気づいてないと思うよ……? ……背中向けてる。南に行くのかな。あ、撃てそう……当たった……』

 

 常識外の魔力により生み出された攻撃への対応からか、鷹一は、通信から流れてきた雲川の声を脳内で処理するのに少しの時間を要した。雲川が、いつもと違う、どこかリラックスしているような声だったのも、鷹一の脳の負荷を上げていた。

 

(いや、それよりも、直前の銃声、おそらく俺に近い方の駒は狙撃手だ。マスタングへ一発撃ち、北側に注意を向けさせて、マスタングに俺を攻撃させて、俺を足止めする、か。上手いな。下水流か、安倍か、どちらもあり得――ん!? 今、紫苑は何て言った?)

 

 鷹一は一瞬硬直した。そして同時に通信から流れてきていた銃声と、走る足音を聞いて、鷹一は雲川が何をしたかを察した。

 

(撃ったのか? これだと位置が割れ……!? いや、移動したのか……! しかし、紫苑はなんでこんな土壇場で……!? いや、今は状況を確認するべきか……!)

 

 この推測は当たっていた。雲川は堂前へと勝手に狙撃を行い、命中させ、そして即座に移動したのだ。梶田チームとの合同訓練時に行った独断行動、それを綺麗に試合で再現したのだ。この瞬間だけは、雲川は熟練の狙撃手のような鮮やかさを持っていた。

 

『紫苑、狙撃はどうなった? 堂前を撃破したか? それと、ルート取りは良いが、移動の時は周囲を警戒してくれ』

 

『う、うん……えっと、堂前君は倒せなかったけど、足に当たったよ……あ、さっき私がいた場所に撃ってる』

 

『そうか……俺も報告が遅れたが、滝本を撃破した。紫苑、あまり無理はしないように。もしかしたら、狙撃に気づいて、堂前以外の相手が向かってくるかもしれない。それに警戒してくれ。俺は南側へ向かう』

 

 雲川の返答を聞きながら、鷹一は逃げる狙撃手を追いかけ、思考を回した。

 

(紫苑の調子がよく分からないが……たぶんこれは良い傾向のはずだ……無指示で堂前にダメージを与える結果を残せたのは、見事だ。今日の試合は、変に俺から指示を出さない方がいいか……? できれば1点を取って欲しいが……いや、俺は俺のことに集中しよう。最終的にはマスタングの相手をするのだ。紫苑のことを考えている暇はないだろう)

 

 そこで鷹一は一度思考を切り替えた。

 

(さっきまでレーダーに映っていた駒――俺から離れるように動いていた南のもう一枚が消えている。おそらくダウンではなく、レーダーから外れたからだ。機動力がある駒だ……装備は恐らく中装備、……竹田か柚木チームの誰かか? とにかく狙撃手は厄介だ。できるだけ早く倒したいが……それに可能なら、南へ消えた中装備使いも倒したいが……しかし、今回は投入が悪いな。おそらく南に偏っている。しかも、マスタングが南。そして厄介なことに俺と狙撃手が北側……運の悪さはどうしようもないが、ここで負けると金崎が気にしそうだ。できるだけ得点を取らないとな)

 

 鷹一は努力家で懸命なチームメイトを思い浮かべ、彼が少しでも気に病まないようにと願った。

 そして、同時に逃げる二つの駒を討ち取るために、自身もまた南側へと駆けて行った。

 





★おまけ?
五月第一試合開始までの登場人物まとめ(A~Cランク+天沢チーム)を第一話に設置しました。
微妙に情報が増えているので、もしよかったら見て行ってください。
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