学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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第一試合観戦② 試合の予想

 

 観戦会場の端で、鷹一と匂坂の静かな攻防戦が終わる一方で、観戦会場におけるメインといえる試合はまもなく始まろうとしていた。

 

『もしかしたら、本日初めて試合を観戦される一年生も多いと思いますので、その辺りも含めて少し説明したいと思います。毎週土曜日と日曜日にはチーム戦が行われます。各チームが参加するのは土曜か日曜のどちらかです。マッチングは学園の方で決めることになっています。そしてチーム戦は、この観戦会場から見ることができます。この際、各試合ごとに実況役として生徒がランダムに一人指名されます。指名された生徒は実況の義務を負います。実況役は同学年の解説役を二名まで随伴させることができます。本来、試合をする学年と同じ学年の生徒が実況役を担当するのですが、一年生は五月の終わりまでは実況制度が免除され、代わりに二年生が担当することになっています。ですので、一年生の皆さんは、観戦の他にも実況の仕方を我々二年生から学んでいただけると良いと思います! というか、六月から実況に選ばれる可能性があるので、皆さん準備しておきましょう! 試合数から考えると年二回か三回くらいは皆当たるので気を付けましょう……! 実況は大変ですよ! あ、解説のお二人、なんか補足することありますか?』

 

 実況担当の中島が、長い説明の後、解説の二人に問いかけた。

 

『実況は完全にランダムで当たりますが、当日試合がある選手は当たりません。なので土曜日試合組は日曜に実況担当になる可能性があります。日曜は土曜です。あと、実況はランダムに抽選されますが、解説は任意の生徒を連れてこれるので、コネ、もっと言うと、頭が良さそうな生徒や話が上手な生徒とは仲良くしておくと、実況担当になった時に助かります』

 

『実況と解説は試合を直に観察して瞬時に判断して皆さんに説明するので、色々と試合展開の勉強になるので、チーム戦で役だったりします。役立たなかったりもします』

 

 岡本、小山両名がそれぞれ自分の意見を口にする。

 

『はい、お二人ともありがとうございます。こんな感じで実況したり解説したりします。それでは、試合開始まで10分を切ったので、今回の試合の形式、戦闘エリア、参加チームの説明をしたいと思います』

 

 中島はそこで一度言葉を区切り、念のために手元の資料を念のため確認した。

 

『まず戦闘方式は最も基本であるデスマッチバトル、選手投入方式は【ランダム同時投入】、戦闘開始後、一定時間が経過すると各選手に任務が与えられます。また任務は全て目標地点への到達となります。各チームの選手は、敵チームの生徒を一人倒す度に1点、また任務を達成すると1点の任務点を得ます。チームの生徒の獲得点数の合計がチームポイントとなり、これにより勝敗を決めます』

 

 解説の声を聞きながら、鷹一はちらりと隣に座る雲川を見た。ちょこんと席に座りながら、難解な表情を浮かべていた。鷹一は『まだ、紫苑はちゃんとルールを覚えていないな』と内心で苦笑した。

 

『戦闘エリアは、第三高密度市街地です。マップ全体が背が高い建物によって覆われているので射線が通りにくいです。一方で、道路はかなり広く長いものが多く、道路付近で銃撃戦が発生しやすいです。また、構造上、建物間を抜けるのが難しい場所が多く、移動は目立つ広い道路を使うことになりやすく、それゆえ移動する選手が見つかりやすく、射撃戦に巻き込まれやすいです。射撃能力、防御能力、突破能力が問われるマップです』

 

 そこで、中島は一回言葉を区切った。

 

『それでは続きまして、参加チームの紹介です。今回は四チームによるデスマッチです。零チーム、有坂チーム、水渕チーム、淡路チームの四チームになります。チーム人数は零チームが五人、他三チームが四人ずつとなっています。各選手の名前と映像はメイン画面に表示されています。手元の端末でも確認可能です。本来ならここで各チームの戦績や所属選手などを語ったりするのですが、なんと本日は一年生の第一試合。戦績も何もありません。また、私たち二年生は一年生のことは何も知らないので、全くのノーデータです。誰が強いのかも分からん! この辺り、順位表を持ってる一年生の各リーダーの方が詳しいと思います』

 

『一応、これは経験則などからですが、五人チームはかなり凄いです。一年生の皆さんはまだ入学して一週間ですから、それでチームの上限人数の五人までメンバーを選出し勧誘を終えたのはかなりの行動力です。この点だけでも、零リーダーは評価されるべきでしょう。また、四人チームでも個人的には凄いです。一週間で三人も勧誘したわけですから、中々のものでしょう。そういう意味では本日の四チームのリーダーは全員優秀な人物かと思います』

 

 中島が言葉を切ると、解説役の岡本がコメントする。そして、少し遅れてから小山も口を開く。

 

『……これ言うかちょっと悩んだけど……一応、人数がチーム戦ではとても重要です。単純に数が多いとそれだけできることが増えますし、何より任務点で差がつきやすいです。任務点は生徒一人につき1点貰えるか貰えないかなので、人数が多いチームほどチームポイントの獲得機会が多くなります。また、一年生の皆さんはまだ魔術戦闘にも慣れていないので、数の差の優位性は大きいです。そういう意味では零チームはかなり優位になるかと思います』

 

『ほう! 小山選手から興味深い意見が寄せられましたね! とすると、この試合は零チームが勝利に最も近いということでしょうか?』

 

『チームポイントの平均的な獲得機会という意味では優位です。ただ、今回は選手投入方式が【ランダム同時投入】になります。これは戦闘開始時に全ての参加生徒が仮想戦闘エリアのランダムな地点に出現します。これによっては、例えば零チームがそれぞれ孤立していて、他のチームに包囲されている状態から始まる可能性もあります。最悪何もできずに撃破されることすら有り得るでしょう。各選手の戦闘開始時点がどこになるかで大きく試合展開は変わります。ぶっちゃけ、この投入運は重要で、ある程度実力差があるチームがぶつかっても投入運で逆転とかあります。運ゲーです』

 

『ぶっちゃけましたね! まあ、確かに、私のチームも最近、投入運が悪いので、負け越してます。誰か投入運を上げて下さい!』

 

『お祓いするしかなさそうですね』

 

『いやー、神頼みはちょっと……お、そろそろ、戦闘開始になります』

 

「鷲島君は、この試合、どう見ますか?」

 

 実況の声が響き渡る中、匂坂が鷹一に問いかけた。

 

「俺はリーダーではない。ゆえに情報量では匂坂にも紫苑にも劣るだろう。それに実況が言っていた通り、各生徒の開始地点も重要だ。ゆえに読むのは難しいが…………零には会った事がある。かなりの戦闘技能を感じた。零のチームのメンバーである上村と秀川とは面識があるが、どちらも優良な選手のように見えた。今回の戦闘の参加生徒全ては把握していないが、それでも零チームは選手の質が高く、それが大きな優位点だ」

 

 鷹一が口にした両名――秀川は一時寮が同じ相手であり、そして上村はここ数日で鷹一が勧誘しようとして失敗した相手だった。

 

「零さんに上村君、それに秀川君ですね。他には注目している選手はいらっしゃいますか?」

 

「水渕とは少し話をした。優秀そうなリーダーに見えた。あと早木と松本、それと淡路・木村は少し見た覚えがある。早木は戦闘技能が高そうに見えた。魔力だけなら上村よりも上かもしれない。松本はバランスが良いタイプに見えた。木村は勉強熱心で個人的には好きなタイプだ。淡路は……少し分からない。授業でよく見た生徒で、木村と似たような感じがしたが、それにしては少し……そうだな、何か特殊な因果のようなものを感じた」

 

「淡路君にご興味が?」

 

「いや、上手く言語化できない。魔力量も戦闘技能も飛び抜けて高い感じはしなかった。だが……変な話だが、戦いが上手いように感じた。これは例え話として適切ではないかもしれないが、淡路は数字上では強くないが、実戦では強いタイプのように思えた」

 

「……中々興味深いお話です。淡路君は私も数度見かけました。あまり強い生徒には見えませんでしたが……鷲島君ほどの強者が仰るのでしたら、その通りなのでしょう。ありがとうございます。鷲島君。まだまだ、私はリーダーとしても生徒としても未熟のようです」

 

「いや……一応、念のため言っておくが、今俺が言っていることは、数度見た人間を勝手に俺が直観的に判断しているだけだ。実際にそうかどうかは分からない。あまり俺の話を鵜呑みにしないでほしい」

 

「フフッ、圧倒的な強さを持ちながら、謙遜までされるのですね……」

 

『さて、戦闘開始です!』

 

 観戦会場末端での鷹一・匂坂の会話をよそに、第一試合土曜日午後の部の戦闘が始まった。

 

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