学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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第一試合観戦③ 試合開始

『さて、戦闘開始です! 各生徒、仮想戦闘空間に投入されます! そして、マップ上には各生徒の位置が表示されます! おお! これは……!』

 戦闘開始とともに、初期配置が観戦会場のモニター端末に大きく配置された。

 

 

【挿絵表示】

 

 

『偏りましたね! マップ南部と西部に集中しています。中央北部はがらんと空いています。零リーダーのまわりは誰もいません! 一方で西の大通りのラインには多くの選手がいます。大通り上で射撃戦になりそうです。また東側では警察署の近くに五条選手、松本選手、宮田選手が近距離で集まり、それを囲むように有坂リーダー、長山選手がいます。これは一悶着ありそうな配置です。あと二つの戦場の間にいる根崎選手はどっちにも干渉できそうですね』

 

 実況担当の中島が初期配置を読み取りながら、解説役に言葉を促す。

 

『初動でどう動くか色々なパターンがありそうです。東側の密集した三人は戦闘になる可能性が高いですが……実はこの配置罠があります。私たち会場からは全選手の配置が見えますが、チーム戦では索敵・隠蔽のシステムがあります。各選手が持つレーダーには限界があり、見える範囲が限られています。味方同士の場所は分かりますが、敵の居場所は分かるとは限りません』

 

『一応、補足しますと、レーダーの情報は通信システムを介して味方と共有可能です。そのため【皆レーダーを持って相互に共有して広範囲を索敵すれば良い】と一年生の皆さんは考えると思いますが、そこにも罠があります。装備枠の問題です。各生徒はチーム戦では最大六種類のアクティブ装備と二種類のパッシブ装備を持ち込めます。パッシブ枠に入れられるレーダーは低出力で60メートルくらいしか見えません。そのため、チーム戦では最低でも一人、アクティブ装備枠を使い中出力以上のレーダーを持つことになります。中出力・大出力のレーダーはそれだけ遠くを見ることができ、チームの索敵に大きく貢献するのですが、試合中に同時に使用できるアクティブ装備は二つまでです。つまりアクティブ枠のレーダーを使用している最中は戦闘能力が大きく低下します』

 

 二人の解説役の二年生がそれぞれ意見を述べた。新入生の第一試合ということもあり、できるだけ丁寧な実況と解説を心がけようと二年生も意識していた。

 

『基本、戦闘中は攻撃用の武器と防御用のシールドをアクティブ枠で使ってしまうので、レーダーを使う暇が無いんですよね! それに貴重なアクティブ装備枠も埋まっちゃうので大変です。あと、中出力以上のレーダーは魔力を使うし重くて隠蔽性能が下がります。結果大きいレーダーを持っていると敵のレーダーに映りやすくなり、狙われやすくなります。しかもレーダー持ってる分だけ直接戦闘が弱くなります。なので、レーダー・通信担当は負担が大きいです。でもチームに一人はいないとチームとして戦えません……! またレーダー・通信担当が撃破されると情報面で大きく不利になります! リーダーの皆さんは自分のメンバーの誰を情報担当にするのか、魔力量や防御能力、隠蔽能力などを総合的に考えて決める必要があります! まあ、投入運が悪いと、敵のエースの目の前にレーダー担当が投入されて開幕情報面が死ぬケースもありますけど! というか、前の試合でうちのチームはそれで負けました!』

 

 そこで実況の中島は一度言葉を区切るが、すぐに試合会場で動く生徒たちを見て、言葉を続ける。

 

『……と、話している内に各選手たちが動き出しています。まず最初の戦端を開いたのは南西部の吹石選手と秀川選手です。秀川選手は初期地点である病院を出て北西部に向かうそぶり(・・・)を見せましたが、そこを捉えた吹石選手が秀川選手に射撃を敢行、秀川選手はシールドでそれを受けて、反撃とばかりに吹石選手に射撃を返します。両者アサルトライフルを使っていて、ちゃんと勉強している感があっていいですね。私は一年生のとき、初試合はハンドガンで出陣しました。今年の一年生は優秀だ~!』

 

『秀川選手のシールドはかなり厚めでしたね。吹石選手の射撃でびくともしません。これはかなりの魔力量です。またシールドの展開も無理なく行えています。一年生って普通はもうちょっとシールド展開でまごついちゃうんですけど、冷静ですね。一方で吹石選手の方はちょっとシールド展開上手く行きませんでした。何発が被弾しました。重要部位は残っていますが、ダメージが入りましたね。何度か食らうとダウン判定です。なお参加生徒はダウンすると強制的に仮想空間から追い出されます。別に死んだり後遺症を負ったりはしません。痛くも無いです。一年生の皆さんは、安心して、敵を撃って、敵に撃たれてください』

 

『火力的にも秀川選手の方が高いです。たぶん普通のアサルトライフルではなく高威力のやつですね。一方で吹石選手はシールドの厚さが足りてないのか、シールドが壊されそうです。一見すると攻防共に秀川選手が優位、というかあと数分射撃戦をすれば秀川選手が完勝しそうですが、問題があります。吹石選手の近くには同じ水渕チームの山辺選手・岩崎選手がいる点です。両者が合流すれば三対一で形成が逆転するでしょう』

 

『そうすると! 秀川選手としては近くにいる仲間の根崎選手に援護してほしいところですが、根崎選手は開始と同時に東へ進み五条選手と合流を目指すようです。五条選手の方が距離がありますが、これは?』

 

 二人の解説役の言葉を受け、実況役がさらに状況を進めていく。

 

『何か理由がありそうですね。試合会場から見ると水渕チームに包囲されそうな秀川選手を助けるべきに見えますが……これ、もしかしたら、零チームのレーダーに山辺選手と岩崎選手が映ってない可能性が高いですね。また仮に映っていたとしても、表記はアンノウンとなるので、チームが分からないんですよね』

 

『なるほど! 試合会場から見える視点と零チームの視点が違うわけですね! そして喋っていたらマップ北西部の大通り十字路と東部でもそれぞれ戦闘が開始されました。北西部の大通りでは近くにいた早木選手と淡路リーダーの間で射撃戦が勃発。また北部の上村選手・倉上選手も南下してこの射撃戦に合流しそうな流れです。東部の密集地点では最初に攻撃を始めたのは松本選手です。大通りに出た五条選手を建物の三階から射撃、五条選手はシールドを展開しこれを防いでいます。って! シールド、厚い! 尋常じゃない程の厚さです。これだけ厚いと魔力がすぐ無くなってしまいそうですが……五条選手は魔力が持つのでしょうか?』

 

 所々意識して、解説のために無知を装いながらも中島は実況を続けるが、試合会場での異常な程のシールド――零チームの五条の圧倒的なシールド強度を見て素で驚愕した。

 

『短期決戦の構えかもしれませんし、魔力量が非常に豊富なのかもしれません。そして根崎選手が猛スピードで東進し松本選手と五条選手の戦いに介入しそうです。また近くにいた宮田選手も反応して北東方面に移動、たぶん松本選手と一緒に五条選手を挟めますね』

 

『宮田選手の移動と同時に長山選手も大急ぎで宮田選手の方へ向かってます。このまま行くと西から根崎選手・松本選手・五条選手・宮田選手と長山選手という形になりそうです。あと、近くにいた有坂リーダーは北上して戦場とは距離を取りました。チームメイトの松本選手が戦っていますが、援護には向かわないようです』

 

『状況的に考えると、有坂リーダーが通信やレーダーを担当している可能性が高そうですね。通信とレーダーにアクティブ装備枠を使用していると戦闘は殆どできませんから、主戦場から一定の距離を取りたいんだと思います。集まった敵の中にレーダー使いがいて自分が探知されるのも嫌ですからね』

 

 アクティブ装備の制限――6つ装備できるが一度に使えるのは2つまで。そして、仮に通信母機とレーダーをアクティブにしていれば、他の装備は一切使えなくなる。それを説明したのだ。そしてこの予想は正しくその通りであった。有坂チームの通信担当はリーダーである有坂が担当しており、現在進行形で有坂は通信母機とレーダーを起動し、味方のサポートに回っていた。

 

『話している間にも試合が進みます! 南西の戦闘では秀川選手が優位に進めていましたが、ここに山辺選手が到着。アサルト……いえバトルライフルで援護します。シールドも厚いです! これは秀川選手といい勝負でしょうか!』

 

『形勢逆転が近いですね。火力・防御力で秀川選手に近い山辺選手の登場により吹石選手の手が空きます。吹石選手がかなり負傷していますが、それでも手数勝負では勝てそうです。それに岩崎選手も南から迫ってきており進路的に考えると秀川選手の左側面から奇襲する感じです。これは秀川選手ピンチです』

 

 北西部・南西部・南東部、三つの戦場それぞれを鷹一は無表情で、匂坂は興味深そうに見守っていた。なお、雲川は状況がよく分からず困った顔をしていた。

 

 

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