学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す 作:集団戦大好きマン
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梶田チームの対シールド要員。梶田チーム超高魔力三人組の一人。対シールドライフルによる攻撃とサブマシンガンを得意とする。梶田とは縁があり、チームに所属した。
ほのぼのとした気質の持ち主だが、梶田チーム内での複雑な人間関係により、実質的なチームのまとめ役になりつつある。
変に素直なため、余計な事を言ってしまうこともしばしば。
基本的には穏やかだが、「わるいやつ」にはガツンと言ってやると常に思っている。匂坂・反町・五条あたりとは相性が悪い。
雲川に懐かれており、また種村も雲川を悪しからず思っている。同時に、ちょっと変わった子だなとも思っている。
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梶田チームの破壊担当。梶田チーム超高魔力三人組の一人。曲射砲による味方の援護と、ショットガンによる近接戦闘を得意とする。参謀的なポジションを担っている。
清楚で上品、知的で穏やかそうに見える。鷲島からは魔力と作戦能力を期待されている。
鷲島の能力を高く評価しており、また同時に、彼に対して非常に強い興味を抱いている。
最近ちゃっかりと鷲島からの相談役ポジションに納まりつつある。反町としてはもう少し深い関係を持ちたいが、鷲島にはこの距離感を維持したいと思われている。
毀誉褒貶の激しい人であり、『優しい』『穏やか』といった評価をされる一方で、『ド屑』『ドS』『危険人物』『盗聴するやばいヤツ』などのほか挙句の果てには『殺人鬼』などの評価も下されている。
時刻は、五月第二試合日曜日の部、『飛山・星川・中・雲川のチーム戦』開始前に遡る。
チームメイトの反町とともに雲川の最終確認を行った種村可恋は、とても気まずい思いをしていた。
なぜなら、その時に使ったプリンというのは、以前種村が犯した大罪――『プリンに醤油を混ぜたものをウニと偽る』という大罪の際に使用したプリンと同じ製品だったからだ。
種村は、にこにことプリンを食べる雲川を見ながら、『やはり反町は鬼畜だ』と再認識しながらも、しかし同時に、自分の罪を告白することはなかった。
――これは墓の底まで持っていかなければいけない……! 雲川さんのためにも……!
罪悪感から逃れるために、己に偽りの正義と使命を刻み、鷹一・雲川と別れた。その後、応援のため観戦会場に移動する種村であったが、安全のため一計を講じた。
それは匂坂誘引の計であった。
「反町、お前もこの後観戦会場行くんだろ? なら、匂坂の隣に座りに行け。情報収集、得意だろ」
化物には化物をぶつける。反町を匂坂へ突撃させることで、自分は安全地帯から雲川チームを応援する。ついでに反町に匂坂チームを探らせる。
一石二鳥、いや一石三鳥の策であった。
「情報収集? それなら当然貴方も一緒に行ってくれるのよね? 匂坂と一緒に観戦できるくらいには苦手意識を克服できたのかしら?」
いつものように、どこか余裕のある微笑みを浮かべながら反町が答えた。
「なわけないだろ。私は一人平和に観戦するよ」
「……そんな怠慢、私が許すと思う?」
反町は微笑みを崩さぬままであり、その声音は穏やかであったが、しかし、言葉には、どこか言い知れぬ重みがあった。
「許す許さないの話じゃないね。私はゆっくり観戦する。お前や匂坂に煩わされたくないからね」
ほのぼのとした雰囲気を出しつつも、種村は『ビシッ』っと宣言した。悪い奴にははっきり言う。これは種村の座右の銘と言ってもいいかもしれない言葉だ。
そんな種村に宣言に対しても、反町は変わらず、いつものような微笑みを浮かべたまま次のような言葉を紡いだ。それは――
「雲川が悲しむわよ」
――種村の心を乱す言葉であった。
唐突な同盟相手の名前。それが、この文脈において何を意味するかを種村はすぐに察してしまった。
ゆえに、種村は混乱した。
だってこれは想定外の裏切りなのだから。
普段から反町を鬼畜と罵る種村であったが、こんな裏切りをする外道とは思ってはいなかった。それゆえの混乱であった。
「!? おい、それは卑怯だぞ、あれは墓の底まで持っていく約束だろ。そもそもお前が食べさせたんだぞ……!」
「食べさせたのは貴方よ。私は提案しただけ。それに仮に私が企てたことだったとして、それは問題になる? 現に、雲川と仲が良いのは貴方だし、雲川が食べたものが何であったかを詳らかにして困るのは貴方と雲川よ」
この会話は反町にとってあまり重要な事ではなかった。雲川という存在は、反町には優先度が低い存在であり、また、さらに言うならば、同盟終結前の『うに偽装事件』に関して、問題になるなどと考えていなかったのだ。鷹一は、この件が露見したとしても問題視しないし、雲川はそこまで気にしないだろう。もしかしたら雲川から種村への信頼度が下がるかもしれないが、それは反町にはどうでもいいことであった。露見しようがしまいがどうでもいい。
ただ、『種村がそのことを気にしている』。それ故、少し突いてみたのだ。本来の目的を果たすために。
「おい、お前、それは許されないぞ……! お前それやったら、私はもうお前を許さないからな……!」
「私も、貴方の怠慢を許容するつもりはないわ。一定までは休息として容認するけど、それ以上は認めない。それで、どうするの? 今日は私の言うことを聞く? それとも雲川と一緒に悲しむ?」
薄っすらとした反町の笑み。
種村は言葉に詰まった。
「お前……お前、お前……」
「……そんなに匂坂が嫌なの? 飛山も匂坂も大して変わらないでしょうに」
「全然違うだろ……飛山さんはまだ話しやすい方だろ……匂坂は、なんかこう、すごい絡みついてくるし、嫌だろ……嫌だろ……」
匂坂という「わるいやつ」を思い出した種村は、べったりとついた汚れを落とすように自身の体を撫でた。
「そう。嫌なのね……まあ、そこまで嫌なら、別の頼み事でもいいわよ?」
「別の……なんだ、とりあえず、言ってみろ」
種村の答えを聞いて、反町はようやく本題に入れると思った。
「そうね……それなら、…………、一人で観戦したいのよね?」
「そうだが?」
「それで、私が匂坂と観戦するのよね。それなら、もし、匂坂と山見が別行動を取っていて、山見を貴方が見かけたら見張っておいて。彼女が何をしていたか、誰と一緒にいたかを確認して」
反町の頼み事を聞いて、種村は疑問符を頭に浮かべた。予想外の人物の名前、そして予想外の頼み事、反町が意味不明なことを頼むことは多かったが、それにしても、今回はいつにも増して唐突であった。
「は? 意味わからないんだが?」
「そのうち分かるわ」
理由を聞こうとする意図を種村から感じ取った反町は、僅かに悩むが、すぐに、今は説明しなくてよいかと考え『言わない事』を選択した。
「いや、意味わからん。そもそも、前提が分からん。山見さんはだいたい匂坂と一緒にいるし、一緒にいないとき観戦会場にいないだろ。もしそんなことしたら、匂坂が山見さんに粘着しそうじゃん」
「それはどちらかと言うと匂坂より飛山や蓮の性質ね」
種村の言葉に対して、反町は意味深な言葉を返した。
「? ますます意味分からん。飛山さんも蓮さんもそんな粘着しないだろ。まあ、飛山さんちょっと怖いとこありそうだけど……でも蓮さんは普通に良い人っぽい感じだろ」
「そうね。そう見えるわね。ところで、そろそろ観戦会場だから決めてくれないかしら? 私と匂坂の間で楽しく観戦する? それとも山見を見張る? 雲川と一緒に悲しむ? 好きなものを選んでいいわよ。お勧めは一番目よ」
「地獄を勧めるのやめろ。というか、お前が匂坂の隣だからな、なんで私がよりにもよってお前と匂坂に挟まれるんだよ。絶対嫌だからな」
「それでどうするの? 地獄に行きたいの? 今なら天使のように地獄にエスコートしてあげるわよ?」
手を合わせて微笑む反町を見て、種村は『やっぱりコイツはドSだ』と思った。
「地獄に天使はいないし、お前は悪魔だろ」
「元天使の悪魔は多いわ。それで、どうするの? 時間切れだと強制的に一番目になるから、早く決めた方がいいわよ」
そう言うと反町は自分の片手を種村の腕に近づけた。
種村は、過去の経験から反町の物理的な強さに関して、ある程度理解していた。
それゆえ、近づいてくる手をぺしりと払って、仕方なしに言葉を紡ぐ。
「……、一人で観戦し、山見さん見つけたら見張る」
嫌そうにしながらも、しかし、頷く種村を見て、反町は再度微笑んだ。その微笑みは、この一連の会話の中で、最も『よくできた』笑みであった。
「ありがとう。優秀なチームメイトと役割分担できてほっとしてるわ」
完璧に調整された笑み――清楚で上品な美少女が喜びと親しみを込めたような、そんな笑み、それを見て、種村は眉を顰めた。
「一応言っておくけど、お前、雲川さん達の前だけ頑張って猫かぶってるみたいだけど、たぶんバレてるからな……!」
「猫の皮を被ったら、三人とも驚くでしょうね」
僅かに小首を傾げる反町を見て、種村はいらりとした。
「お前のボケは分かりにくい上につまらないからな」
「ボケたつもりはないのだけれど……」
反町が本気なのか、それともふざけているのか、種村にはよくわからなかった。