学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す 作:集団戦大好きマン
残り四人。
非常に速いペースで進んだ第二試合『飛山・星川・中・雲川のチーム戦』は、任務発行前に多くの生徒がダウンしていた。
そんな中、実況解説席に座る三人は、小休止とばかりに、先ほどの混戦を振り返っていた。
『さっきの狙撃とか針谷選手の位置が良く分からないとか、針谷選手・西山選手の攻防とか振り返りますか? 個人的には西山選手はウルミで攻めずに普通にブレードで戦うか、ブレード突撃を切った方が良かった気がしますが』
『ブレード突撃は無理です。西山選手は既に接近時アクセルを使用済みでした。道合選手の狙撃を回避する時にアクセルを使ってますが、あれは恐らくダブルアクセルです。なので、針谷選手と戦っている時は使えなかったかと』
相良の意見に対して、高砂が手元の端末を見ながら淡々と答えた。西を倒し鷹一・飛山と別れた後、西山はアクセルを使って針谷の方へ急接近していたのだ。そして、西山のこれまでのダブルアクセルの技量から、ブレード突撃をダブルアクセルで行うことは難しいと高砂は考えていた。
『あ、アクセル使ってたのか……まあ、でも針谷選手相手だとウルミを使うのは手堅いけど、道合選手が来ると分かっていたなら早く倒すためにブレードの方が良かったのでは? まあ、道合選手が来るって分からなかったかもしれませんが』
『お前は馬鹿か? 道合が鷲島を撃ち墜としたことを西山は知っている。あんな目立ったことをすれば、当然、射撃地点も予想できる。近くに道合がいるのだから状況的に来る一択だ。針谷は負傷していたのだからな』
相良の指摘に対して、鎮西が否定とともに侮蔑の言葉を投げつけた。
『なんか俺の事叩く時と飛山ちゃんのこと上げる時だけ饒舌になるじゃん? なんなの? ていうか、だったらやっぱり俺の意見で合ってるじゃん。ブレード使った方が良かったって本当は鎮西も思ってるんでしょ?』
だんだんと口調が崩れていく相良と少しだけ饒舌な鎮西の間に挟まれた高砂は、他人事とばかりに手元の端末に集中した。
『ブレードを使っても結果は変わらない。もし西山が、間合いを取れるウルミを使わずに、ブレードを使ったのなら、針谷は相打ち覚悟で手傷を負わしただろう。そして、ダメージを負った西山は道合からは逃れられない。結果は同じだ。針谷の目的は西山相手に時間を稼ぐ又は少しでもダメージを与えて道合の狙撃に繋げることだからな。
西山は、針谷の道連れを防ぐためにも間合いのあるウルミを使った。この辺りは西山の読みが良い、いや、針谷の考えが仕草に出てそれを読み取ったんだろう。もし飛山なら読み取らせることはなかっただろうが……まあ、どちらにしろ針谷で西山を封じたのだから、結果は変わらないか』
『そういう時は、西山選手を褒めればいいんだよ? 分かる? あと飛山ちゃんもうダウンしてるからね、なんで話題に出したの? そんなに好きなの?』
相良の問いかけを鎮西は鼻で笑った。
『この盤面も飛山が整え、最後の指示も飛山が出したのだろう。ダウンしながらも最後の指示を出す。Aランクのリーダーならばそのくらいできて当然ではあるが……まあこの辺りは、飛山は明確に星川や鷲島より優れているだろう。星川は飛山に読み負ける上、死ぬときに大した指示が出せない。鷲島は自分が死んだ後のことを考えていない。まあ、そもそも今回は鷲島が死んだ後は何も残ってないがな。駒をちゃんと集めないからこうなる』
『鷲島選手叩き必死すぎるでしょ。オキニの飛山ちゃん倒されて悔しいの?』
唐突に槍玉に上げられた鷹一の名を聞いた相良はここぞとばかりに鎮西を突っついた。
『黙れ、
『今、Cランクって思いながらカスって言っただろ! ヘイトスピーチ! ヘイトスピーチ!』
白熱する二人の間に挟まれた高砂は、試合会場の様子と、現在の時間から、伝えるべき事項を言葉にすることにした。
『そろそろ任務開始の時間です。あとそろそろ両チーム接敵しそうです。一旦盤面に集中しましょう』
『残りは道合・伊舎堂、中・東だが、撃破点の差が大きすぎる。しかもまだ任務開始前だ。現状で7-3-0-2。ここから最大で中チームか飛山チームに4点入る。道合たちが無能をさらして得点を全て中チームが取ったとしても飛山チームの勝ちで終わり。やはり最初に言った通りになったな』
鎮西は各チームの撃破点を挙げた上で、残りの撃破点と獲得可能な任務点から、既に、勝敗が決している点を指摘した。
『いやいやいや、全然予想外の結果の連続だっただろ! てか、未だに道合選手が初動で撃った言い訳聞いてないぞ! あと何か、色々意味深な事お前言ってたから解説ちゃんとしろや!』
『相良選手、それは後で、今に集中しましょう。盤面の実況をお願いします。あと、ちょうど今、任務が発行されました。生き残りの四人の生徒はそれぞれ任務点を狙うことができます』
『う……了解。ええっと、あ、やべ、盤面見てなかった。東選手は北側の建造物に立てこもって防御の構えを取っています。一方それを包囲するように伊舎堂選手・道合選手が囲みます。おそらく伊舎堂選手のレーダーで炙って、道合選手の狙撃で仕留める構えです。
そして中リーダーですが……なんか、あれ南側にいます! ちょっと、すみません、鎮西リーダーの子守りしてたら、盤面見逃しました! なんか、中リーダー、気づかぬうちにマップ南東側、高架鉄道より南に移動しています。どう切り抜けた……!?』
『中リーダーはマップ北東側を大回りで抜けました。恐らく伊舎堂選手のレーダー網を掻い潜った形です。東選手を身代わりにして一人で逃げたのだと思われます。ただ、中リーダーの位置はある程度飛山リーダーには推測されていたとは思うので、飛山チームはより強敵である東選手の撃破に集中したのかもしれません。伊舎堂選手の位置も東選手を捉えつつ、中リーダーの横槍を防ぐような立ち回りに見えます』
相良の疑問に高砂が答えた。
『東に粘らせている間に、中が裏から道合を刺す。それができなければ、東を囮に、自分が任務点を取る、ないし伊舎堂だけでも道連れにするといったところか。流石に0点は避けたいという思惑は感じるが、初動で駒を失い過ぎたな。まあ、中程度では飛山と勝負にはならない。順当ではあるな』
『うるさいぞ! おっと! ここで立てこもる東選手に道合選手の壁抜き狙撃が入りましたが、これは東選手防ぎます! お見事!』
鎮西にヤジを飛ばしつつも、相良は実況の言葉を紡ぐ。
『東選手、遮蔽物を利用して防御を固めています。これは結構攻略に時間がかかりそうですが、一方で東選手も建造物からは出られないでしょう。ある意味、駒としては死にます。完全に囮ですね。そして、二撃三撃と道合選手の狙撃が入ります。目視してないのにこれほどの精度。伊舎堂選手のレーダーを利用した射撃ですね』
そして、相良に合わせるように高砂が捕捉の言葉を続けた。
『道合選手の凄まじいレーダー壁抜き狙撃です! 凄い精度と威力だ! 東選手も上手く回避していますが! 少し厳しいか! おっと掠った! そして命中! 片手を持っていかれました!』
『東選手、防御陣地を作り完全警戒状態ですが、一方で道合選手は無理やり防御を抜く構えです。そして頼みの中リーダーは……あー、なるほど、鎮西リーダーの予想通りでしたね』
相良と高砂の自然な連携を見せつけられた鎮西は僅かに眉を顰めてから、冷たい圧とともに言葉を口にした。
『中は東を見捨てたな。恐らく任務狙い。指定地点にもよるが、東の耐久が難しい以上、1点でも拾うというのは自然な選択ではある。凡庸だがな』
『言い方っ! そして、東選手片脚にダメージ、これは厳しいか!?』
『東選手は、シールドが上手い選手ですが、道合選手の高威力高精度の連続狙撃相手では回避がないと厳しいです。恐らくは――』
高砂が全て言い切る前に、決着がついた。道合の狙撃が東の胴体を深々と貫いたのだ。
『おっと! ここで東選手ダウン! 得点は道合選手! そして生き残った中リーダーはマップ西側へ全力疾走中。任務狙いのようです!』
『同時に、伊舎堂選手・道合選手ともに動きます。伊舎堂選手が大きく南下。中リーダーの居場所はある程度割れているようです』
相良の実況に合わせるように高砂が捕捉する。息の合った連携に高砂の隣に座る鎮西は僅かに眉を顰めた。
『しかし中リーダーも全力疾走で駆けます! なんか凄い顔で走っています! もうヘトヘトだと言わんばかりの表情と雰囲気ですが、機動力は衰えることなく、全力疾走です! そしてそこに伊舎堂選手が迫ります! よく居場所分かったな!?』
中を直接捉えていないであろう伊舎堂が、中との距離を詰めていることに相良は驚き、それが声に出た。
『恐らく中リーダーの居場所とその足取りはある程度飛山チーム内で予想されているかと思われます。鷲島選手への射撃失敗、伊舎堂選手のレーダー網を掻い潜ったこと、東選手の防御の構えなどから、予想した面はありそうです』
高砂の解説を聞いて、鎮西は満足気に鼻で笑った。
『鷲島と星川は生きた飛山に翻弄され、そして、中に至っては、死した飛山にすら翻弄される。これが正に四人の力の差を示しているな』
『いや、飛山リーダーもうダウンして指示出せないんで! これは伊舎堂選手か道合選手の作戦ですよ! 二人とも、見事な読みです! そして中リーダーは高架鉄道をくぐって僅かに北側に入りましたが素早くUターン! これは任務達成でしょうか!?』
鎮西に対して対抗するように声を上げつつも、相良は試合会場の中の動きを実況する。
『恐らくそうですね。結構難しい位置でしたが、中リーダーは任務達成したようです。ですが――』
『ここで道合選手の鬼狙撃! ギリギリ中リーダーは回避しましたが、これは厳しそうな展開!』
『道合選手の方が機動力がありますし、何より伊舎堂選手も迫っています、万が一も、あ、決着つきましたね』
相良と高砂が中と道合の攻防に注目するが、それは長くは続かなかった。
『ここで中リーダーダウン! 得点は道合選手! 飛山チーム以外は全滅ですが、試合は終わらず! 伊舎堂選手が北側へ移動しました! 恐らく任務でしょう!』
『伊舎堂選手、非常に速いですね。大出力レーダーを背負っているとは思えない速さです』
高砂の言葉の後、僅かに相良が合いの手に悩んだこともあり、少しの間、実況が止まった。しかし、それも「少しの間」であった。
なぜなら、未だ無傷の伊舎堂の機動力は高く、任務達成まで僅かな時間しか要しなかったからだ。
『はい! ここで試合終了! 飛山チームのみが生存し、生き残った選手が任務を達成したため、早期決着となりました! 得点は、11-3-1-2で飛山チームの勝利です! 詳細得点はお手元の端末でご確認ください!』
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試合結果:飛山チームの勝利
獲得得点
飛山チーム :撃破点9点+任務点2点=11点
星川チーム :撃破点3点+任務点0点=3点
中チーム :撃破点0点+任務点1点=1点
雲川チーム :撃破点2点+任務点0点=2点
詳細得点
飛山龍華 :撃破点0点+任務点0点=0点
道合杏奈 :撃破点7点+任務点1点=8点
針谷瑞希 :撃破点2点+任務点0点=2点
伊舎堂加奈美:撃破点0点+任務点1点=1点
星川里菜 :撃破点0点+任務点0点=0点
黒井友香 :撃破点0点+任務点0点=0点
西山瑠香 :撃破点3点+任務点0点=3点
姫乃恋 :撃破点0点+任務点0点=0点
中理織 :撃破点0点+任務点1点=1点
西獅子 :撃破点0点+任務点0点=0点
南陽詩乃 :撃破点0点+任務点0点=0点
東理安 :撃破点0点+任務点0点=0点
喜多見のどか:撃破点0点+任務点0点=0点
雲川紫苑 :撃破点0点+任務点0点=0点
鷲島鷹一 :撃破点2点+任務点0点=2点
金崎飛燕 :撃破点0点+任務点0点=0点
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★★おまけ★★
★前回の結果
前回のお寿司アンケートへのご回答ありがとうございます。
結果は次のようになりました。
・雲川の第二試合までの探求心喪失率が0%になります。第二試合開始まで、探求心の効果が二倍になります。
・雲川の成長ルートがさらに『夢幻』に寄ります。
・『うにへの期待』が『2』上昇します。
・第二試合でも『リラックス状態』になります。
※「探求心」:最も得意な分野のパネルが伸びやすくなり、さらにその分野のパネルを取得中にボーナスが発生します(雲川の場合は狙撃分野パネル)。毎週末10%の確率で探求心を失います。
※「リラックス状態」:『夢幻』ルートの限定の特殊状態です。狙撃能力が上昇します。また、戦闘中、条件が満たされると、特殊な狙撃攻撃を行えます。『うに!うに!いくら!』は現在、リラックス状態でのみ発動します。
★寿司アンケート
いつものやつです。
今回の雲川チームの獲得ZPは
雲川 18000ZP
鷲島 194000ZP+20000ZP(撃破点)
金崎 8000ZP
です。合計24万ZPとなり、四等分(3人+チーム予算)に分けるので、一人6万ZPとなります。
現在のチーム予算はマイナス状態で鷲島が一部立て替えています。来月の初め(第三試合終了~第四試合開始の間)に、雲川チームにBランク定期報酬100万ZP(四等分予定)と、五月試練の分け前として梶田チームから50万ZP(全額チーム予算に計上予定)が振り込まれます。
(梶田チームとは良好な関係なのでさらに借金することも可能です)
お寿司いきますか?
①お寿司を食べさせてあげる:負けちゃったけど皆頑張っていたので寿司屋に行きます。雲川も遠慮するので、10万ZPほどチーム予算を消費します。雲川の今週の探求心喪失率が0%になります(翌週も確定で探求心継続です)。さらに来週のみ(第三試合開始まで)、探求心の効果が二倍になります。また雲川の成長ルートがさらに『夢幻』に寄ります。『うにへの期待』が『4』上昇します(『7』になります!)。70%の確率で、次の雲川が出場する試合でも『リラックス状態』になります。40%の確率でコンディション値が1上昇します(現在:8)。
②今回はお寿司はなし:今回はZP入手も少ないですし、敗戦なのでお祝いはなしです。チーム予算を消費しません。『リラックス状態』を失います(うにパネルを一時的に喪失します)。僅かに夢幻状態から現実方向に引き寄せられます。『うにへの期待』が『1』低下します。コンディション値が1低下します。さらに50%の確率でコンディション値が1低下します。
③かっぱまきを沢山食べさせる!:意地悪します。『リラックス状態』を失います(うにパネルを一時的に喪失します)。『うにへの期待』が『2』低下します。90%の確率でコンディション値を4低下させ、『探求心』を失いますが、10%の確率で夢幻状態から現実状態に移行します。
※『うにへの期待』:雲川がどれほど、寿司への報酬を期待しているかを示す値です。この値が高いほど、『うにを貰うこと』を当然だと考えるようになります。この値が高いと、寿司屋に行くことで得られる雲川のボーナスが減り、また寿司屋に行かなかった場合のデメリットが増えます。現在の『うにへの期待』は『3』です。
※雲川は二つの成長ルート『夢幻』と『現実』があります。『夢幻』に偏るほど、寿司と神秘に触れ合い特殊な効果が頻発します。一方でコントロールが難しくなり、予測不可能なことが起きる可能性があります。『現実』では現実世界でちゃんとやる方法を学びます。ついでに寿司も食べます。安定した狙撃手になり、とくに偵察役としての能力が格段に伸びます。また普段おっちょこちょいなことをしにくくなります。一方で爆発力や狙撃力などは不足し、上位選手相手には有効な攻撃は難しくなります。
※現在の雲川の成長ルートは『夢幻』です。雲川を甘やかすと夢幻に寄り、厳しくすると『現実』に寄ります。
※『うに!うに!いくら!』は現在、リラックス状態でのみ発動します。
★おまけのおまけ
今、作者のXで謎のアンケートを取っています。よければご参加ください。
https://x.com/Honobono_horror
お寿司どうですか?
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お寿司を食べさせてあげる
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今回はお寿司はなし
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かっぱまきを沢山食べさせる!