学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す 作:集団戦大好きマン
そうして、鷹一・雲川・金崎の三人は訓練室へとやってきた。
訓練室を非公開設定にした後、すぐに鷹一は金崎とデータ共有を行った。この時、少しばかり時間を余計に浪費した。
鷹一は金崎の概ねの力量を見抜いており、データを得ても、『だいたい予想通り』であったが、一方で金崎は違った。鷹一のデータが尋常でなかったからだ。戦闘適性順位一位を始め、数々のデータが金崎とは比較にならない程、高い値を示していたからだ。金崎は驚愕し、それを鎮めるのに少し時間を浪費してしまったのだ。
鷹一は金崎の驚きを鎮め、それから、二人の技能確認に入った。
初めての訓練室で恐る恐る武器を扱う雲川と金崎を見て、鷹一は『最初の試合は、捨てることも視野に入れる必要があるな』と思わず考えてしまった。
三十分程度の時間が経過し、一通り、二人の射撃技術・シールド技術を観察した鷹一が口を開いた。
「そうだな。まず金崎は魔力があまり高くない。大型の銃器は使えないだろう。一応、一般的なアサルトライフルタイプなら使えると思うが、それでも撃ち続ければ早いうちに魔力切れを起こすだろう」
鷹一の言葉に金崎が気まずそうに視線を下に向けた。それを視界に収めつつも、鷹一はさらに言葉を発する。
「とりあえずは、アサルトライフルを安定して撃てるようになろう。最初の目標は、止まっている人型に弾を確実に当てられるようになろう。防御面だと、小出力のシールドを使おう。シールドは魔力消費が大きい。ここは小出力のもので節約しよう。この小出力シールドの展開と維持の練習をまずやってもらう。攻撃も防御も数をこなそう。ある程度までは単純な反復練習でも地力はつくはずだ」
鷹一の指示を聞き、金崎は強く頷いた。それを見てから、鷹一は今度は雲川の視線を向けた。
「紫苑は……小型のアサルトライフルを使おう。普通のサイズよりは消費魔力が少なく取り回しが良いはずだ。シールドは……武器をある程度使えるようになってから考えよう」
雲川は気まずそうな顔をした。
「練習、しないと、ダメだよね……?」
そして、鷹一に問いかけた。
「練習はした方が絶対に良い。他の生徒も魔力での戦闘は初めての場合が多い。銃器の扱いもシールドの扱いも慣れてないはずだ。練習した分だけ差がつくだろう。そして、そういった積み重ねが撃破点や任務点の獲得機会を生むことになる」
喋りながらも、鷹一は内心で『ある程度の生徒であれば練習はしているから差はつかないし、仮につくとしても引き離される側だろうな』と思った。
「げ、撃破点……」
呟く雲川を見て、鷹一の目に力が入った。
「一応、おさらいしよう。試合中は他の生徒にダメージを与えていき、倒せば撃破点を1点得る。どの生徒を倒しても1点だ。あと複数の生徒がダメージを与えた場合は、トドメを刺した生徒が撃破点を得る。試合が開始してから、一定時間経過後に各生徒は通過任務を与えられる。指定されたエリアまで到着すれば1点だ。チームの全生徒の撃破点と任務点の合計点が獲得チームポイントになる」
そこで一度言葉を切り、鷹一は二人を見た。なんとか理解しているような二人の顔を確認してから、鷹一は言葉を続けた。
「チームポイントを四回の試合――第一試合を出場しなかった俺たちの場合は三回の試合で積み重ねていき、その累計点数の高い順で11位から20位のチームがBランクであり、俺たちの目指す目標だ。ちなみにDランクは31位から40位だ。ランクは隔月で更新されるので、基本的にチーム戦ではチームポイントを稼ぎ続ける必要がある」
「ああ、うん、それは、たぶん覚えてる。いや、ちょっと忘れてるところもあるから、助かった。鷲島」
金崎が少し悩みながらも正直な言葉を口にした。雲川は口を噤んだ。
※
雲川チームは、第二試合の開始日まで訓練の日々だった。
午後の授業が終わるまでの間、金崎・雲川の両名は鷹一が指定したメニューの訓練をこなし、午後になると鷹一が合流し、二人の訓練の出来を確認し、新たな訓練メニューを指示したり、時には合同練習を行うこともあった。
金崎は本人の意欲もあってか、少しずつだが射撃技術とシールド技術が上昇していった。
一方で、雲川は伸び悩んだ。射撃の腕が殆ど上昇しなかったのだ。鷹一は途中から雲川の射撃練習を半分にして、代わりに通信システムとレーダーの使い方を教え、同時に戦闘エリアのマップを覚えさせることにした。
合同練習では、鷹一が射撃戦に関する指導を理論・実践の両方で行った。また、同時に、マップの勉強や、戦闘中の通信システムの使い方・レーダーの使い方、レーダーと隠蔽の関係など、試合の重要な要素を教えていった。
週の後半になると、各チームの試合日時が判明した。雲川チームは日曜日午後だったことは、鷹一を僅かに安心させた。土曜日まで訓練ができるからだ。
また訓練期間を通して、人間関係も少しだけ変化した。雲川は新メンバーの金崎が穏やかな心を持つことを理解し、少しずつ話せるようになっていった。また金崎の方も、雲川を『臆病だが優しい面もある少女』と認識したため、『厳しい人じゃなくて良かった』と安心感を得た。なお、鷹一は相変わらず無表情だったり殺人鬼のような目つきをしているばかりだった。
それに伴い、一時寮の様子も少し変化した。毎日、夜遅くになってから同時に一時寮に戻ってくる鷹一と金崎を見て、秀川は自然と察した。時々馬鹿にしたように二人を揶揄するが、鷹一は相変わらずの表情でそれに応じ、訓練と雲川チームの存在から少しずつ自信がついていた金崎も落ち込みにくくなっていた。
そんな金崎を見て、渡辺は気掛かりが少し減り、寝つきが良くなった。雲川も表情が少しだけ良くなり、それを見た同室の麻倉は大きな安堵感を得た。水無月も口には出さなかったが僅かばかりの気掛かりが晴れ、青井は一人内心で舌打ちした。
そうして、時間は過ぎていき、日曜日の午後――第二試合の雲川チームの初陣が目前に近づいてきた。