学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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第一章 4月:『チーム結成試練』編
最初の試練


 

 平和歴237年。

 第四次世界大戦終了後、人類は二つの大きな変化を得た。

 一つは国家制度の崩壊だ。国家制度は崩壊し、その代わりとして企業群が台頭。企業による人類の統治が行われた。

 そしてもう一つは、魔力の発見だ。一部の人間は魔力と言われる特殊なエネルギーを使えるようになった。このエネルギーは利用が難しく、現在研究中の学問ではあったが、同時に様々な可能性を与えた。企業群の中には、それをエンターテインメントとして活用しようという動きがあった。

 その動きの一環によって生み出された特殊な学園。そこでは日々、生徒たちが魔力を使った『傷付かない戦い』に興じ、人々を楽しませていた。

 そして、今期の高等部新規入学生240名の中には、天賦の魔力使いである『鷲島鷹一(わしじまたかいち)』が含まれていた。

 

 

 

―――親愛なる新入生諸君へ

 

 入学おめでとう。

 長々と祝いの言葉を述べたいが、それ以上に重要なことをこれから君たちに伝える。

 

 まず、この学園に入学した君たちは、魔力使いであり、生徒であり、そして何よりエンターテイナーだ。

 知っての通り、この学園では最低限の衣食住と教育の機会が提供される。一方で、君たちは、その恩恵に対して、魔力を使用したエンターテインメントに参加する権利と義務を持つ。

 優れたエンターテイナーにはそれ相応の報酬が約束される。

 劣等なエンターテイナーに価値はない。そのようなものは学園から追放される。

 高等部新規入学生である君たちもそれは同じだ。この学園では、君たちには複数の試練が課される。試練は学園からの君たちエンターテイナーへの要求であり、課される義務だ。

 君たちは、これからチームを組んでもらう。そしてチーム同士で定期的に戦い、パトロンたちを楽しませる。それがこの学園において最も重要な義務だ。

 そして最初の試練だ。君たち240人は、それぞれ60人のリーダーと180人の選手に分けられる。4月の終わりまでに、リーダーはチームを結成し、1名以上の選手をチームに入れなくてはいけない。4月の終わりまでに、選手を獲得できなかったリーダーおよび、チームに所属していない全ての生徒は学園を追放とする。

 

 この試練に関して以下のような注意点がある。全ての生徒は熟読すること。

 

注意事項1:チームの人数はリーダーを含めて、下限二名、上限五名とする。ただし、構成メンバーは全て高等部一年の新入生に限る。

 

注意事項2:リーダーのみがチームを結成できる。選手はリーダーになれず、またリーダーは他のリーダーのチームに入ることはできない。

 

注意事項3:チームのリーダーは選手を1名以上獲得後、魔力を使った戦闘演武である、チーム戦に参加可能になる。

 

注意事項4:チーム戦闘は毎週の土曜日と日曜日に行われ、どちらか一日に参加する。チーム戦闘のルールは別途資料を参照されたし。

 

注意事項5:五月以降、各チームはAからFのランクを割り振られる。この学園での待遇はランクにより大きく変わる。各ランクの待遇は別途資料を参照されたし。

 

注意事項6:ランクは毎週のチーム戦闘によって発生するスコアの合計により決定する。奇数月の始めにランク更新があり、ランクの維持・昇格・降格が発生する。

 

注意事項7:学園内ではZPという特殊な通貨を使用する。入学時に各生徒には6万ZPの支度金を付与する。

 

注意事項8:ZPはチーム戦でのファイトマネーおよび各月にランクに応じて各チームリーダーに支給される。

 

注意事項9:ZPを各生徒間では送金可能である。リーダーは都度必要に応じてZPを選手に配分せよ。

 

注意事項10:全てのリーダーは、全ての選手の入学時の試験順位(筆記試験順位・戦闘適性順位)を知ることができる。さらに各リーダーは四名までの選手の詳細成績を知ることができる。これにより試験での詳細な結果や当時の試験官のコメントなどを見れる。ここで得た情報を5月1日まで他の生徒と共有してはいけない。ここで得た情報は5月1日に削除される。ここで得た情報を別の記録媒体に記録してはいけない。

 

注意事項11:全ての生徒は、自身の試験順位および詳細な成績を知ることができる。この情報は自身と同じチームメイト以外には共有してはいけない。

 

注意事項12:リーダーは他のリーダーと同盟を組むことができる。同盟相手は一つのみ。同盟相手とはチーム戦闘ではマッチングしない。上記の情報共有も同盟のリーダー同士ならば可能とする。同盟は一年生の終わりまで解散できない。

 

注意事項13:一度チームに入ったら5月1日までは脱退できない。5月1日以降一定の条件を満たした場合チームから脱退が可能。脱退した生徒は一か月以内にどこかのチームに加入しなければ学園を追放される。選手の脱退によってチームの生徒人数が下限を下回った場合は、リーダーはすぐに補充しなくてはいけない。下限人数を下回ったまま一か月を過ぎた場合、リーダーは学園を追放され、チームは解体となる。

 

以上。君たちの勝利と栄光を期待する。

 

 

 

 

 

 

 小型端末の表示されている、学園からの入学祝いと兼ねた指令書を読み、鷲島鷹一は僅かに眉をひそめた。端末に表示されている自身の試験順位を確認し、それから別途資料にあるチーム戦のルールやランクによる待遇表を確認した。そして、もう一度自身の試験順位を確認した。

 数秒ほど考えてから結論を出した。

 

(よほどのことが無ければ、学園追放は無いだろう。選手であるため、どうしてもリーダーの誘いを待つ形になってしまうが……しかし、このチーム戦闘のルールはどう考えても数が多い方が有利だ。チームの上限が5人であり、60チーム存在し、一方で生徒は全員で240名しかいない。選手はほぼ必ず売り切れる。むしろリーダーの方が危険だ。極端なケースになるが、45チームが5人構成になれば、残りのリーダーは選手を確保できず追放になる……この試練はリーダーにとって不利だ。一方で、選手はそのことと自身の成績順位を武器にすることで、より良いリーダーを選べる。チーム内の待遇を向上させることもできるだろう。選手としての俺の最適戦術は、より良いチームのリーダーを選ぶことだが……)

 

 そこまで考えて、鷹一は自嘲するように笑った。

 

「いや、何考えてるんだ。元々の目的からズレてるな」

 

 鷹一は無償の教育に惹かれてこの学園に入学したのだ。収容区画出身である鷹一にとって、教育の機会を得られるこの学園に入ることは大変に魅力的だった。エンターテイナーとしての義務は最低限果たすのみでいいのだ。鷹一は学びと最低限の衣食住を求めてこの学園に来たのだから。

 鷹一は端末の画面を切ると、一時寮と呼ばれる新入生が四月の終わりまで生活することになる寮へと歩き出した。

 

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