学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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第二試合④ 歩法殺法

 

『鷹一くん、屋上についたよ。あと東側の人も見えたよ…………えっと、誰だっけ。確か杉山くん……? なんか銃を撃ってるみたい? あと、結構怪我してるみたい。誰かと戦ってる……?』

 

 南側の敵へと向かう鷹一に通信システムを通して、雲川が現状を報告した。

 

(やはり南東のユニットは杉山だったか。撃ち合いで負傷か。東側の戦場に早くいかないと、杉山の点が天野に取られるな……)

 

『紫苑、よくやった。そのまま偵察を続けてくれ。あと場合によっては発砲を指示するかもしれない。心の準備をしておいてくれ』

 

『う、うん、分かった……が、頑張るけど、当たらないかも……?』

 

『大丈夫だ。当たらないことを踏まえた上で作戦を考える』

 

 通信をしている間も鷹一は走り続け南側へと逃げるユニットを詰める。逃げ手は巧妙に建物を利用して逃げ続けるが、機動力の差からすぐに追いつかれた。鷹一は相手の背後を捉えた。それは予想通り天野チームの浜口だった。浜口は射線を切るようにジグザグに走りながら逃げるが、曲がる瞬間を狙った鷹一の射撃により、脳天を打ち抜かれダウンした。

 浜口のダウンを確認した鷹一はすぐに東に向かって駆けだした。

 

『浜口を撃破した東側へ向かう』

 

 尋常でない速度で東へ進み、鷹一は天野の後ろ姿を捉えた。鷹一が天野に向かってハンドガンを発砲したのと、天野が振り向いたのは同時だった。

 

 そして初めて、鷹一の必殺の攻撃が防がれた。天野は振り向きながら、シールドを展開し、胴体と頭部を守った。吉川とは違い広さも厚さも十分のシールドは、鷹一の放った二発の魔力弾を見事に防いだ。しかし、一発が天野の足に命中しダメージを発生させた。同時に天野のアサルトライフルが火を噴いた。バースト射撃により放たれた弾が鷹一がいた場所へと打ち込まれる。天野の射撃精度は高く、常人が相手であれば、十分にダメージを与えられる攻撃だった。

 

 ただし、それは常人が相手ならばの話だ。怪物、鷲島鷹一は高速で飛来する魔力弾を特殊な歩法――走りながらも体を傾け、左右に少しずつステップを刻みながら高速で接近する方法で回避した。

 天野は鷹一の人間離れした回避方法に驚愕するが、すぐに再度のバースト射撃を行った。しかし、それも鷹一の巧みな歩法により回避された。鷹一はステップを刻みつつも天野に近寄っていき、ついには天野の横を走り抜けた。側面から発射された魔力弾が天野の心臓を貫いた。今度はシールドが間に合わなかった。

 

『天野を撃破した。紫苑、杉山に向かって発砲するんだ』

 

 尋常でない攻防を経た後も、鷹一は変わらず淡々とした声で雲川へ指示を飛ばした。数発の射撃音の後、南側から何か喚くような声が鷹一の耳に入った。鷹一は素早く路地を飛び出した。斜めに進み杉山が隠れている建物の影へと突貫する。鷹一が通った道の後には遅れたように魔力弾が撃ち込まれた。鷹一を標的にした射撃であった。警察署から発砲されたそれらは一発も命中することはなかった。

 建物の影へと入った鷹一はそのまま流れるように発砲して杉山をダウンさせた。杉山は既に大ダメージを負っていたが、鷹一の一撃がトドメとなった。

 そうして、走り続けていた鷹一はようやく止まった。

 

『杉山を撃破した。金崎、紫苑、あとは警察署に立てこもるユニットだけだ。状況から考えて成田か坂場のどちらかだ。金崎、逆認識はまだ発動してないか?』

 

『あ、ああ……ま、まだだ』

 

『そうか……よし紫苑、上ってもらったところ悪いが階段を降りてくれ。念のため座標を送っておく。そこに向かって移動するんだ』

 

『え……わ、分かった』

 

『金崎、俺が囮となって警察署の敵の注意を引き付ける。金崎は背後から警察署の敵を奇襲で倒せ』

 

『お、俺が……? あ、いや、分かった! やってみる!』

 

『逆認識の反応が無ければ大丈夫だ。反応したらすぐに退避して教えてくれ。その時は俺が倒す』

 

『了解!』

 

 鷹一はレーダーを見ながらタイミングを計った。金崎と警察署の敵、自分の位置を考え、最善の瞬間、建物の影から飛び出した。待ち構えていたように警察署から射撃が飛んでくる。鷹一はそれを淡々とした表情で回避した。回避しながらも少しずつ警察署へと近づいていく。そしてそれに応じて警察署からの射撃も激しくなる。しかし、どの攻撃も鷹一を捉えることができない。

 

『金崎、生き残りは成田だった。警察署から発砲してくる。装備は通常のアサルトライフルだ。ただ、射撃に集中していて、シールドを出している感じはしない。完全に意識が俺を攻撃することに向いている。東から二番目の部屋にいる。窓から銃身を露出させてるな。音を立てないように警察署の階段を上り、ドアを開け背後から撃ち込めば倒せるだろう』

 

『分かった! 鷲島、そっちは大丈夫か?』

 

『大丈夫だ。問題ない。射撃精度は天野の方が上だな』

 

『そ、そうか……』

 

 金崎は、淡々とした鷹一の答えに何とも言えない気分になりつつも、北側から警察署へと迫った。そして金崎が距離を詰めるまでの二分間、不毛な射撃戦が続いた。成田は警察署から一方的に発砲するが、その全てを鷹一は回避した。成田はなぜか自身の魔力弾が当たらないことへ疑問と怒りを感じつつも、射撃を続けた。

 そして、成田は『おかしい。こんなに当たらないのは何かおかしい、銃の精度が悪いんじゃないか』とそう考えたあたりで、9発の魔力弾が背後から成田に撃ち込まれた。突然の衝撃に茫然としている間に成田はダウンした。金崎は、想像よりも遥かにあっけなく攻撃が終わったことに、不思議に思いながらも、初得点の喜びを嚙み締めた。

 

『金崎、やったか?』

 

『あ! ごめん! えっと、成田を撃破した! こっちはダメージは無い。一撃……ああ、いや、バースト射撃を三回撃ち込んで倒した。何発目で致命傷だったのかは分からない……ごめん、ちょっと興奮して無駄に撃ったかも』

 

『初実戦だから、そこはしょうがない。むしろ、よくやった。1点、取れたな』

 

『ああ、うん。ありがとう。てか、鷲島にだいぶお膳立てされた1点だから、誇っていいのか……』

 

 鷹一の賞賛のような言葉を聞き、金崎は少し戸惑った。

 

『俺も手伝ったが、取ったのはお前だ。誇っていいだろう』

 

『そっか……ありがとう。鷲島』

 

『そうだな……そろそろ任務発行だ。全員無傷で発行かつ、敵は全て倒した。任務点の3点は確実だ。合計10点。運が良い試合だった』

 

 

 

 

 

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