学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

23 / 134
第二試合⑤ 観戦会場視点、試合を振り返って

 

『はい、試合終了です! 本来はまだ、制限時間まであるんですが、生き残っているチームが一つしかなく、それでいて、全ての残存生徒の任務が達成された場合は早期に終了になります。成田選手のダウンで雲川チーム以外は全滅していたので、ちょうど雲川チームがすべての任務点を回収したんだと思います』

 

『凄い試合でしたね。完全にダークホースでした』

 

『雲川チーム……というより、鷲島選手の一人無双でした。今回の試合の撃破点のほとんどは鷲島選手の得点です』

 

 実況役の試合終了の言葉を耳にして、解説役の二年生たちが驚きの言葉を漏らした。雲川チーム、そのエースである鷲島鷹一という怪物ははっきりと刻まれた証であった。

 

『撃破点は鷲島選手6点、金崎選手1点、天野リーダー1点ですね! いや、これは酷い!』

 

『初期投入位置的には雲川チームは有利ではあるものの、10点取れそうな感じはしないんですね』

 

『そうですね。その辺りもちょっと振り返ってみましょうか。というか、今回の試合は、鷲島選手が迅速に暴れすぎていて、試合展開が速すぎました。説明が全然追いつかなかったので最初から振り返っていきたいです』

 

『分かりました! では、まずは初期配置から!』

 

 実況役の言葉とともに、観戦会場にマップと各生徒の初期配置が表示された。

 

 

【挿絵表示】

 

 

『これは、この後の展開を考えず、単純に投入運だけ見ると、雲川チーム・吉川チームが纏まっていて有利ですね。杉山チームもそこまで悪くないかな?』

 

『逆に天野チームは不利ですね。皆、バラバラです』

 

『実際、進藤選手が速攻で鷲島選手に倒されてしまうので天野チームが不利でしたね。まあ、ここは進藤選手の移動力でカバーできそうでしたが……』

 

『運が悪いことに突撃先が鷲島選手でした。この突撃は浜口選手との合流目当てだったんでしょうか? それとも鷲島選手を撃破しようという動きだったのでしょうか?』

 

『どちらも考えられます。まあ、普通に撃破狙いで、駄目でも浜口選手の方へ逃げるつもりだったんじゃないですかね』

 

「進藤さんの突撃は相手が悪すぎましたね……」

 

 二年生の解説を聞きながら、天野が残念そうに呟いた。

 

「確かに、今回の試合は鷲島君だけ突出してる感じがします。鷲島君が相手でなければ進藤さんが1点獲得してからの合流を十分に狙えたはずです」

 

 浜口が落ち着いた声でそれに応じた。

 

 撃破された生徒は、仮想戦闘空間から帰還室へと強制移動させられる。そして帰還室と観戦会場は繋がっている。天野と浜口は、帰還後、進藤と少し話した後に観戦会場に来て、試合展開を見守っていたのだ。

 なお、最初に撃破された進藤は一人帰還室で、撃破されてきた生徒一人一人に挨拶をしていた。また吉川チームの三人は成田が撃破された後は、自分たちが負けた試合を見てもしょうがないとばかりに観戦会場をあとにしていた。杉山チームも同様であった。

 

「進藤さんの開幕落ち……うーん、進藤さんを北側に逃がす形にする方が良かったでしょうか?」

 

 天野が少し後悔するような声を上げた。

 

「雲川さんと金崎君がレーダーから消えてましたからね。北側ルートだと金崎君とぶつかりそうですが……進藤さんが金崎君を倒して、そこに鷲島君が駆けつけて進藤さんが倒されるという流れになりそうです。まあ、それでも1点は取れたと思いますし、鷲島君の主戦場への介入が遅れるので……結果論的にはその方が良かったですね。でも、あの状況だと進藤さんが突撃するという判断は自然だと思います。私たちの視点だと、進藤さんの突撃で1点取った上で西側を抑えられます。悪い判断ではなかったはずです」

 

 天野の問いかけに対して、浜口が真っすぐに応じた。浜口自身、天野チームの行動は悪くなかったと考えていたし、何より、リーダーである天野だけに負担を押し付けたくないと思ったからだ。

 そして、そんな二人の下に、天野チームの最後の一人、突撃頭の進藤がある人物を引き連れてやってきた。

 

「おお!! 私の話ですか!」

 

 現れるや否や進藤は二人の会話に割り込む。

 

「あ、進藤さん。お疲れ様です……あれ? 鷲島君もですか?」

 

 天野が進藤と、その後ろにいた鷹一へと声をかけた。

 

「ああ。進藤に来るように言われてな」

 

「はい!! 鷲島さんに来ていただきました! 何と言っても今日の主役ですから! 天野さんも話したいんじゃないですか!」

 

「あはは……鷲島君、対戦ありがとうございます」

 

「ああ。こちらこそありがとう。初戦で射撃技能とシールド技能の両方が高い相手と当たれたのは俺としても良かった」

 

 鷹一は淡々と事実を告げるように言った。実際、鷹一は天野の射撃技能とシールド技能を高く評価していた。『今回の試合に参加した生徒の中では上位の人物であり、状況が違えば、天野チームはもっと得点を取れただろう』とまで思っていた。

 

「あんなに一方的にやられちゃったので、ちょっと射撃もシールドも自信無くしちゃいそうです……でも鷲島君と最初の試合で戦えたのは良かったです。自分たちの現状の課題が見えた気がします」

 

 少しの後悔や反省はあれど、しかし、それ以上に天野の心は次の試合を見据えていた。

 

「そうか。これは余計な言葉かもしれないが、もし、天野と進藤の位置が逆ならば、結果は違っただろう。俺は天野を奇襲できなかったし、天野ももっと俺と距離をとって戦えただろう。その間に進藤が東の駒を次々打ち取る展開になったはずだ。状況によっては金崎が打ち取られる展開も有り得ただろう。投入運も大きい試合だった」

 

「そう言って貰えると、少し励まされます。ただ……それでも大局は変わらない気がします。私は鷲島君に打ち取られると思いますし、進藤さんも東側全部で勝つのは難しいです。たぶん3点か4点が限界で、その時点で残った人は皆、鷲島君に打ち取られて、雲川さんのチームが勝ったと思います」

 

「そうかもしれないな。ところで、進藤、俺に来るように言ったのは、天野と話させたかったのか?」

 

「そうです!! 天野さんが悩んでるんじゃないかと思ったので、これはもうぶつかるしかないと思い、鷲島さんを呼びました! 結果は上々ですね!」

 

「そうか」

 

「そうです!!」

 

 淡々とした鷹一に対して進藤は明朗とした声で返した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。