学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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第二試合終了後、一時寮にて

 

 夕方を過ぎたあたりで鷹一と金崎は一時寮へ戻った。そしてすぐに、二人は室内の歪な空気を感じ取った。

 

「渡辺! お前、アレはないだろう……! 初戦で何もしないで吹っ飛ぶとか! おい、どうするんだよ? 撃ち合いすらできてねーじゃねーかよ。おい、お前、この前、蜂の巣がどうとか言ってたけど! 曲射砲直撃で即死とか! お前どーすんだよ! 劉も草葉の陰で泣いているぞ!」

 

 普段であれば、秀川が騒ぎ、それを渡辺が注意するという流れであったが、今はひたすら秀川が喋り続けていたのだ。渡辺は黙ったまま、ベッドで横になっていた。

 鷹一は少し考えた後、口を挟むことにした。

 

「もしかして、今日の試合の話をしているのか?」

 

「何だ、戻ったのか、アホ野郎。ザコ相手に大活躍だったな。お前の考え無しの突撃は見てて笑えたぜ。アホなりに格好つけたつもりだったみたいだが、お前の動きは弱点まみれだ。ザコ相手には無双できても、中位・上位相手じゃ瞬殺だ。気を付けた方がいい」

 

 秀川はそこまで言うと、一度言葉を切り、ベッドに横たわる渡辺の方へ視線を向けた。

 

「いや、今はそんなことはどうでもいいか。それよりも渡辺だ。このイキり野郎、チームに所属した時はイキイキしてたが、見たか! コイツの試合! 試合中は常時ビクビクしながら劉のあとを金魚のフンみたいにくっついて! しかも戦闘じゃ佐々木の直射をくらって一発ダウンだ! 有り得るか!? 銃を一発も撃つ事も無くダウンだぞ! コイツ歴代間抜け選手ランキング一位だろ!」

 

 秀川の嘲笑が寮室内に響いた。

 

「劉・麻倉・鈴木・高光の試合なら目を通した。佐々木の危険性と異常性がはっきりと分かる試合だった。あの男は曲射砲の天才だ。支援能力が高すぎるだけではなく、攻撃の威力・精度も異常に高い。その上、実戦で直射までできる。渡辺、あれは相手が悪すぎた。麻倉チームは撃破点を6点獲得しているが、あれは全て佐々木が直接取った点か佐々木の砲撃支援を受けた麻倉チームの面々によって確保した点だ。実質佐々木は一試合で6点を取る天賦の才の持ち主だ。佐々木に敗れたことは気にするべきではない。むしろ大事なのは、その経験をどういかすか、だ。劉チームはこれまでの実績を考えると、麻倉チームに再度当たる可能性は十分にある。次、佐々木と戦う時にどう戦うかが、大切だ」

 

「鷲島……気を遣ってくれて嬉しいが、だが悪いな。正直、今は声をかけないでくれると嬉しい」

 

「そうか。……すまない」

 

「おいおいおい、鷲島、もっと申し訳なさそうな顔しろよ。それだとお前、『一試合で6点を取る天賦の才』って言葉を言いたかっただけのヤツに聞こえるぞ? 要は、雑魚を6人倒した自分が凄いって話にもっていきたいんだろ?」

 

「俺と佐々木の話はまったく別だ。佐々木が優れた人物であることが、俺が優れていることの証明にはならない」

 

「だろうな。お前のは、ただの雑魚狩りだ。しかも初見殺しを積んだだけだ。種が分かれば簡単に倒せる。機動力に自信があるみたいだが、ある程度の射撃技能……そうだな、お勉強大好きなお前に分かりやすく言うならば、舞島程度の射撃技能の持ち主と対面したら、お前は即敗北だ」

 

 秀川の言葉を聞き、鷹一は『やはり、秀川はよく見ている。それでいて対戦相手の研究に余念がない』と感じた。

 

「舞島の試合まで見ていたか。流石だな。確かに、舞島の射撃技能は脅威だ。あの淡路のブレード突撃を見事に打ち破った。アクセルの性質をよく知っていること……いや、違うか、恐らく、対戦相手の淡路の対策を考えていたことも含めて、舞島は優れた人物だろう」

 

「話をすり替えるな。舞島が優れてるんじゃない。お前がカスなんだ」

 

「そうか」

 

「そうだ。その澄ました顔も次の試合の終わりには、渡辺みたいになってるぜ」

 

「そうか……ところで、参考までに聞きたいが、秀川の射撃精度はどのくらいだ? 舞島程度はあるのか? 仮に無い場合は、俺をどうやって倒すんだ? 参考までに聞きたい」

 

「――っ! このアホ野郎。俺の売りは射撃精度じゃない。威力と連射の射撃圧、つまりは弾幕だ。お前の回避移動も、淡路のブレード突撃も、迫ってくる前に文字通り蜂の巣だ。相手にならない」

 

 鷹一の問いかけに、一瞬、秀川は顔を赤くするが、すぐに冷静さを取り戻し返す言葉で鷹一に切りかかった。

 

「ありがとう。答えてくれるとは思わなかった。もし秀川と戦うことになったら、弾幕には気を付けるようにしよう」

 

 しかし、言葉の刃は鷹一をすり抜けた。手応えのなさに秀川は苛立った。

 

「ッチ! アホ野郎。俺もお前を潰すのは興味があるが、まあ、無理だろうな。俺のチームは首位争い中、お前のカスチームはせいぜい中位が精一杯だ。戦う機会は無いだろう。まあ、万が一、当たることになった、その時は、お前も、あと、隣のゴミカスの金崎と一緒に潰してやるよ」

 

 そこで初めて、秀川は金崎を視界に捉えた。金崎は秀川の圧に僅かにたじろいだ。鷹一はそれを横目で捉えて、一拍置いてから、口を開いた。

 

「そういえば、昨日の試合は大活躍だったな、秀川。マスタング相手にあそこまで上手く立ち回れたのは流石だな。零や五条との連携は見事だった。根崎という支柱が倒れた後のリカバリーが非常に良かった。チーム全員が強者である零チームの強みが生きた形ではあるが……そうだとしても、根崎を打ち破ったマスタングを相手にするとき、あそこまで精神的に安定していられるのは、かなりのメンタルの強さだ。残念ながら、俺のチームは俺も他のメンバーもメンタルが弱い。正直見習いたいと思った」

 

 淡々とした視線――人を数人殺してそうな殺人鬼の視線が秀川に注がれた。

 秀川は、鷹一の相手をするのが嫌になって、大きく舌打ちをしてから寮室を出た。

 

 

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