学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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第三試合① 投入直前

 

 各チームが準備を進め、それと共に日は過ぎていき、ついには第三試合当日となった。土曜日の試合が終わり、試合に参加したそれぞれのチームが結果に一喜一憂する中で、日曜日の午前が――星川・雲川・近藤・淡路チームの試合がやってきた。

 

 雲川チームの面々は二回目の戦いということもあり、一回目よりも少しだけ慣れた様子で待合室を出た。既に作戦は決まっている。基本的には前回と同じく雲川・金崎は隠れることに集中し、できるだけ任務点確保のために生き残ることだ。

 ただし、今回のマップの仕組みや戦うチームから二人が生き残れる可能性は低い。ただ、それでも作戦や訓練といった準備は疎かにはしなかった。少なくとも鷹一はそう考えていた。一方で、ダウンする可能性が十分に高いことから、今回は雲川だけではなく金崎にも通信母機を持たせていた。これで雲川が先にダウンしても鷹一・金崎間の通信は維持される。念のための備えであった。

 

 雲川チームが投入室に着くと、既に他の三チーム全てが揃っていた。

 沈黙に支配されていた投入室の中に雲川チームの面々が入ると、ぱっと顔を明るくさせた女子生徒――星川がいそいそ雲川チームに近づいてきた。柔和な笑みを浮かべる星川を見て、雲川と金崎は警戒しつつもどこか受け入れるような空気を出した。なお鷹一は相変わらず冷たい空気を纏ったまま近づく星川の歩法を見て、内心で感心していた。

 

「どうもっ! こんにちは。星川チームのリーダーをやってます星川里菜ですっ! 雲川チームの皆さんっ! 今日はよろしくお願いしますっ!」

 

 星川は、愛想よく雲川・金崎・鷹一にそれぞれ同じように頭を下げていった。

 

「よ、よろしくお願いします……」

 

 雲川は少し驚きつつも『良い人かも』と思い警戒心を下げた。

 

「え、あ、よろしく」

 

 金崎は純粋に『可愛くて感じが良い子だなー』と思った。

 

「お手柔らかに頼む」

 

 そして、鷹一は、星川の研ぎ澄まされた魔力と歩法から、アーカイブで見た時よりも優れた戦士だと評価を改めた。

 三者三様の返事を聞き、星川はにこりと笑みを浮かべた。それに対して、雲川は表情を僅かに和らげ、鷹一は淡々と見返した。一方で、金崎は違和感を覚えた。しかし、それは星川に対するものではなかった。金崎はなんとなく周囲を見回し違和感の元を探った。星川チームの西山がじっと艶めかしい視線を金崎に送っていた。ねっとりと粘性が強いそれを受けて金崎は恐怖に震えた。目が合った西山はニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。金崎は、『西山は可愛い子だけどなんか怖い。前会った飛山より怖い感じがする』と思った。

 

 西山は一通り金崎を恐怖させた後、雲川にも同じような視線を送った。雲川も金崎と同様に恐怖した。そしてようやく、二人の異変に星川は気付いた。

 星川は「ちょ、ちょっと失礼しますっ!」と気まずそうにその場を立ち去ると、素早い速さで西山の方へと向かい、彼女の両目を自身の両手で覆った。そして、西山の耳元で「こらっ!」と囁いた。

 

 雲川チームと星川チームのやり取りを近藤チームは少し緊張した面持ちで、淡路チームは『全チームに挨拶周りするんだ』と思いながら見守っていた。

 星川チームは四チームで最も早く投入室に集まったチームであり、そしてリーダーの星川は全てのチームに挨拶周りをしていたのだ。ただ、どのチームもお互い敵チームであり、暫定Bランクを争うチーム同士、妙な緊張感と警戒心があり、本心から打ち解けることはなかった。さらに言うと、既に過去二回の試合で星川・西山の戦闘能力は強く警戒されていた。そして何より、星川が愛想良くする中、西山が挑戦的な視線を浴びせて来るため、星川の親し気な態度は白々しく映ってしまったのだ。

 それ故、投入室内は妙な緊張感があり、全体的に会話が少なかった。

 

 各チーム、何とも言えない時間が過ぎ、そして、試合開始の合図とともに、集まった16人の生徒は一斉に試合会場に投入された。

 

 

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