学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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第三試合③ 金崎VS淡路

 

 時間は少し遡る。

 岡野を鷹一と共同で撃破した後、金崎は指示通り、北側の偵察を行うために建造物の中へと入った。

 金崎は、視界に長山と田中を捉えた。

 

(長山と田中が撃ち合ってる。長山は負傷してる……? それに拡張弾倉を使ってない……? あ、いや、今、使ったか……? なんで今、起動したんだ? それに淡路の位置がおかしくないか? さっき鷲島に貰った座標より北側にいる? なんで北側にいるんだ……? それに宮田はどこだ? いない……? 撃破された? いや、俺から見えないだけか……? だ、駄目だ。分からない。いや、落ち着け。とにかく、偵察しないと。これ以上、鷲島の足は引っ張れない。もう雲川さんも落ちたんだ。俺まで落ちるわけにはいかない……!)

 

 金崎は真剣にマップ北側の戦場の様子を探り、必死に分析をする。その分析はまだまだ拙い部分はあったが、それでも懸命であった。

 

 金崎は少しでも、雲川チームに、より正しく言うと、鷹一に対して貢献したかったのだ。恩を返したかったとも言えるかもしれない――成績下位陣である金崎にとって雲川チームに誘ってくれた鷹一に大きな恩があった。

 また、一時寮でも鷹一は金崎を気遣ってくれた。金崎が試合で戦えるように、鷹一は訓練メニューを考えてくれた。そしてそれだけではなく、訓練の相手をして、情報収集し、雲川チームの戦術と指揮を担った。恩を返すよりもさらに恩が積み重なっていく。金崎は少しでも恩を返したかった。あの怖いようで、不思議な優しさを持つ鷲島鷹一という男に。

 

 そして、憧れもあった。金崎にとって持たない物を鷹一は全て持っていた。広い知識にそれを活用する知性、戦術眼に戦略眼、尋常じゃない戦闘力、あの威圧的な怖さも一種の憧れだ。そして、何より、優しさと誠実さに強く憧れていた。

 金崎飛燕は鷲島鷹一を強く尊敬していた。彼のようにはなれないけれど、少しでも彼に近づきたかった。

 受けた恩を返したい、尊敬している人のようになりたい。二つの心が金崎の訓練のモチベーションを上げていたのだ。そうして、今、その訓練の成果が試される時がきた。

 

『星川を撃破した。それと南側は戦闘がもう終わっているみたいだ。残党は中央に向かったようだから俺もそっちを追う。金崎、北側はどうなってる?』

 

『あ、ああ、なんか長山が負傷してる。その長山が田中と銃撃戦をしてる。宮田はいない。淡路はなんか長山の方に寄って……』

 

 そこで金崎は異変に気付いた。淡路が急に金崎の隠れている建造物の三階を見たのだ。射線も視線も通っている。しかし、金崎は窓から少し離れていたし、何よりも建物の中は暗く、外は明るかった。本来ならば察知することは叶わない。しかし、淡路は気付いたのだ。

 

『あれ? 今、こっち見た……? あ、あ、淡路が撃ってきた、こっちに近寄ってくる……!』

 

 気付いてからは早かった。淡路は走りながら、アサルトライフルを金崎に向けて連射した。安定しない走り撃ちかつ距離もあったことから、金崎には魔力弾は命中しなかった。

 

『宮田がいないんだな、分かった。俺も中央へ向かう。金崎………、淡路はアクセル持ちだ。逃げ切るのは難しい。戦うんだ。俺も中央を片づけたら向かう。大丈夫だ。訓練を思い出せばできる』

 

 そう言って鷹一は通信を切った。金崎を戦闘に集中させるためだ。実際、通信母機を担当している金崎が戦闘に集中するには通信を切る必要があった。

 

 金崎は迫りくる淡路を確認する。鷹一ほどではないが淡路も足が早い。金崎はアサルトライフルとアサルトシールドを展開した。

 アサルトシールドは盾の形をしたシールドだ。シールドは本来形は自由に作れるが、アサルトシールドは完全に大きさが固定されている。また防御力に対して重量がやや重いという欠点があった。一方で、『形が固定されている』が故に、魔力的な形成がしやすい。そのため魔力操作が苦手な生徒でも展開がしやすく、また防御力に対して必要魔力量が少ないので、魔力が少ない金崎にとっては適したシールドであった。これもまた鷹一の考えであった。

 

 金崎はアサルトライフルを発砲しながらも、鷹一の淡路対策を思い出した。

 

――淡路は機動力があり、アサルトライフルの射撃能力・シールドによる防御能力も平均程度に持っている。そしてブレード突撃が淡路の最大の長所であり短所だ。

 

――ブレード突撃はアクセルを使い距離を詰めて、強引に接近戦に持ち込む技だ。要素としては、アクセルの瞬時加速能力とブレードのシールド貫通能力の合わせ技だ。そして概ねアクセルの構造上の欠点がそのままブレード突撃の欠点になっている。

 

――アクセルは効果時間が短い。また、再使用までクールタイムがある。アクセルを起動すると、莫大な加速力を得るが、一方で、旋回性が大きく低下する。効果時間の終了間際は大きく失速し、制御も難しいので、隙が大きい。特に淡路は硬直しやすく、第一試合では根崎、第二試合では舞島にそこを突かれてダウンした。

 

――金崎が狙うとすれば、直線的な突撃に合わせてアサルトライフルの連射で倒すか、もしくは、突撃を避けて、アクセルの効果時間終了の硬直を狙うかだ。

 

(俺にはアクセルの終了時を狙う技量はないっ! というか、たぶんアクセルを躱せないっ! 旋回性の無さを狙う! まずはアクセル起動までは撃ち合うっ! アクセル可能距離になったら兎に角集中。淡路がアクセルを起動したらアサルトライフルをフルオート発射して横に全力で飛ぶっ! 相打ち狙い。ダメでも、少しでも淡路にダメージを与える……!)

 

 金崎は作戦を決めた。これは金崎が現状できる最大の作戦であった。

 迫りくる淡路にアサルトライフルの魔力弾を打ち込む。淡路からも反撃はあるが、それは走り撃ちのため精度が甘く、殆どが金崎に当たらず、仮に直撃するコースであっても、金崎の必死のアサルトシールドによって防がれる。

 

 そして、その時がきた。

 

 淡路がアクセルを起動したのだ。

 瞬間的な加速力を得た淡路が大きく金崎と距離を詰めた。金崎は、淡路のあまりの加速力に一瞬だけ出遅れるが、それでも確かにアサルトライフルをフルオートで発射した。発射しながらも、『横に飛ぶ!』と脳が体に指示を出し、そして同時に金崎の体が上下に真っ二つになった。

 

 崩れ落ちる上半身――それに付いている金崎の頭部が、金崎の目が淡路の全身を捉えた。胸部に無数の穴が開いている淡路もまた致命傷であった。

 金崎は最後の力を振り絞って、通信母機を起動した。

 

『淡路撃破』

 

 そうして、金崎と淡路は同時にダウンした。

 

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