学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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第三試合④ 強者VS超人

 

 金崎から最後の通信を受け取った鷹一には大きな衝撃が走っていた。鷹一のレーダーには確かに淡路・金崎両名の反応が消えていたからだ。

 

(淡路と相打ちか。その技量があったなら……いや、違うな。むしろ俺の動きの方が問題か。よくやった金崎……! 俺も最低限、役目を果たさないとな)

 

 鷹一は、金崎が淡路に勝てるとは思っていなかったのだ。相打ちも難しいと思っていた。鷹一としては、淡路を北西側に引き付けるだけでも金崎の役割としては十分と考えていた。それ故に、金崎の大戦果には心底驚いたのだ。そして、自身の不明を恥じた。しかし、すぐに、今やるべきことは、雲川チームの生き残りとして役目を果たす事だと強く念じた。

 

 生き残りとしての役目。

 

――それは残りの盤上の駒を平らげ、任務点を確保することだ。

 

 既に、盤上の駒の多くは斃れた。されど、まだ西山という大駒が残っていた。鷹一はそれを理解していた。鷹一は、マップ中央部の建物群から北側を確認し、西山を捕捉した。そして、同時に西山も鷹一に気付いた。鷹一は淡々と西山に向かってハンドガンによる射撃を行う。西山は当然とばかりに球形シールドを展開して攻撃を防いだ。

 

(当然だな。だが、ここから俺が撃ち続けたら、遠距離攻撃手段に乏しい西山はアクセルを使わざるを得ないだろう。近藤か網倉のどちらかが生き残っていれば、こちらの戦場に介入してくる可能性もある。隠蔽戦でも十分捕捉できると思うが……生き残っているなら仕掛けてほしいところだ)

 

 鷹一は思考を巡らせつつも、次々と一方的にマップ中央部から北部にいる西山を狙い撃ちにする。西山は球形シールドでそれを耐え続けた。鷹一は西山にダメージを与えられないが、一方で西山は釘付けになり動けないでいた。

 防御に専念しながら、西山もまた星川チームで唯一生き残った者として思考を巡らせていた。

 

(鷲島くんの装備はハンドガンですから、このまま消耗戦になったら、たぶんこっちが先に魔力切れになる感じですよね……淡路くんが金崎くん倒したっぽいし、引き返して来てくれるといいんですけど)

 

 そこまで考えて西山は、ふと少し前まで生存していた仲間たちとの通信を思い出した。

 

(……というか、今残ってるのって淡路くんと近藤さんと岡野さんと鷲島くんと私の五人であってる……? うーん、戦闘音ぜんぜんしないし、もっと減ってそうですよね。というか、淡路くん遅い……もしかして相打ち?)

 

 この西山のひらめきは当たっていた。しかし、当の西山はすぐにその考えを捨てた。金崎の力量では淡路に勝つのは不可能だと考えたからだ。

 

(まあ金崎くんだと無理ですよね……それなら、岡野さんあたりと見合ってる感じなのかなー? それならさっさと鷲島くん片づけて、淡路くんとか倒した方がいいかな? 撃破点は稼ぎたいですし……皆死んじゃってますから、相談できないのは不安ですね。責任を押し付けられないですっ。…………うん、いいや、悩むのは私らしくないですし、アクセル使っちゃいますか!)

 

 そうして、鷹一の期待通り、西山はアクセルを起動した。

 

 急接近――金崎に突撃した淡路のスピードよりも遥かに速いそれが、鷹一を襲った。

 

 もし金崎であれば、思考する暇もなく刺され、熟練の星川であっても回避するには体勢を大きく崩さなければならないほどの急加速。それを鷹一は淡々と攻撃を回避した。

 すらりと躱されたことに驚く西山に対して、鷹一は無慈悲にブレードを投擲した。アクセルの終了地点を狙った一撃であった。回避困難であり、貫通力のあるブレード投擲ゆえに防御も困難。絶体絶命の西山であったが、しかし、彼女もまた奥の手があった。

 

 西山はもう一つのアクセルを起動した。

 

 ダブルアクセル。アクセルを二つ装備することで、片方がクールタイム中にもう片方を使用する方法だ。しかも西山は、これを応用し、アクセルの終了時に隙の最中に起動することで、無理やり隙をキャンセルするといった荒業をやってのけた。しかし、ダブルアクセルは非常に制御が難しい。西山にとってもまだ未完成の技であった。

 西山は大きく体勢を崩しながら、本来想定していない方向へ加速力を受け大きく吹き飛んだ。吹き飛びつつも西山はハンドガンによる追撃を恐れ無理やり球形シールドを展開し、体勢を立て直す。

 

 そして、西山が体勢を立て直した時には既に鷹一はブレードを片手に目前まで迫っていた。

 

 西山はウルミ――鞭のように曲がる特殊なブレードを使い鷹一の足元を狙った。しかし、鷹一はそれを躱し、さらに接近した。既にブレード戦の距離であった。斬りかかる鷹一に対して、西山はウルミから普通のブレードに切り替え、鷹一のブレードを防いだ。ブレードとブレードがぶつかり合う音が試合会場に響き渡る。そして、同時に西山は険し気な表情を浮かべた。

 一合、鷹一のブレードをブレードで受け止めただけで、西山はブレード戦の技量に確かな違いを感じたのだ。

 

(鷲島くん、想像以上に強いですね……!)

 

 鷹一が再度ブレードで斬りかかった。西山は距離を取るために、鷹一のブレードをブレードで受けながらも、その力の反動を利用して後ろへ飛んだ――単純なブレード技量では勝てないことを悟り、ウルミとブレードの変幻自在の攻撃で鷹一を崩そうと考えたが故の行動であった。

 

 しかし、鷹一は、まるで西山が後ろに下がるのを予想していたかのように、持っているブレードを西山に投げつけた。西山はそれを回避した。しかし、それが西山の限界であった。

 

――数発の魔力弾が西山に襲い掛かった。西山は咄嗟に球形シールドを展開するが、それは僅かに遅かった。一発の魔力弾が西山の足を撃ち抜いたからだ。

 

(うわっ! やっちゃったっ! 足撃たれたっ! これはハンドガンで嵌め殺しの流れっ……! とりあえず、シールドを維持しつつ投擲に警戒――)

 

 次の瞬間、西山の頭部がぼとりと床に落ちた。

 西山は訳も分からずダウンした。

 

 鷹一は顕現しているブレードを納めた。ブレードを投擲した後にハンドガンを撃った後、鷹一はブレードを再顕現し、瞬時にアクセルを起動、西山が反応できない速さで彼女の横を通りすぎ首を刎ねたのだ。いや、西山ではなく、これは今年の新入生の誰であっても反応できない速さであった。

 淡路や西山、そして(かずなし)でさえ再現できない程の、尋常でない速さの『ブレード突撃』であった。

 

(西山撃破。近藤・網倉の介入はなかったか……潜伏しているか? それとも既に撃破されていたか……? どちらにしろあとは生き残っているとしても一人。魔力残量も問題ない。大出力レーダーで炙りながら、任務をこなそう)

 

 それから、任務が発行された。任務を受け取った鷹一は油断なくレーダーを展開し、生き残っている可能性がある駒に注意しつつ、任務点を確保した。そして同時に試合は終了した。

 既に鷹一以外の全ての生徒がダウンしていたため早期決着になったのだ。

 

 星川・雲川・近藤・淡路チームによる第三試合は、参加生徒16人中15人が任務発行前に撃破されるという非常に展開の速い試合であった。

 

 

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