学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す 作:集団戦大好きマン
『さて、それでは試合開始です。各選手、一斉にマップに投入されます! っと、初期配置は……!』
『結構バラバラに配置されてますが……ええっと見た感じ、淡路チームが北側に纏まっています! また、注目の星川チームが南側の戦場を囲うように配置されています! っと、言ってる傍から戦闘開始です! 開戦の初撃は近藤チームの岡野選手の射撃からです! 金崎選手はこれをシールドでガード! 金崎選手の援護に向かった鷲島選手を田中選手が中央のビルから射撃しますが、これはハズレ! 位置が割れた田中選手に北側の淡路チームの三人が攻撃を開始! って! ここで木村選手がダウン! 何があった?』
試合開始と同時に各生徒が一斉に動き、そして、真っ先に倒れたのは淡路チームの木村であった。
『星川リーダーの射撃でダウンです。南側の戦場、木村選手は病院で潜伏していました。星川リーダーは木村選手に気付かずに移動していた風だったんですが、まさかのノールックで拡張弾倉を起動させ、木村選手を病院の壁ごと蜂の巣にしました。器用ですね』
「今のはレーダーに映っていない木村君を星川さんが打ち取った感じですね。根崎さんなら、どうですか?打ち取れそうですか?」
「え? え? ど、どうでしょう?」
突然、匂坂に話しかけられた根崎は困惑する。
「ちょっと、根崎が困ってるでしょ」
見かねた零が匂坂を睨んだ。
『星川リーダーの見事な一撃っ! と、さらにここで星川チームの姫乃選手の狙撃が入りました。マップ南側にいた雲川リーダーが即死です! 星川チーム2点の先制点です! だが、しかし、狙撃で場所が割れた姫乃選手を網倉選手が狙撃返し! 姫乃選手ダウンです! 射線を通しやすい場所は逆に言うと射線が通りやすい場所です! とっとっと、喋っている間に次々ダウン! 北西の戦場で岡野選手が鷲島選手に落とされました。そしてほぼ同時に、南側では西山選手が伊藤選手を撃破しました。さっそくブレード突撃使いましたね!』
「おや? 私が根崎さんと仲良くしてはいけませんか?」
「いけないに決まってるでしょ。敵チームなんだから」
観戦しながらも、零と匂坂の言葉の応酬は続く。
「フフッ……敵ですか。それは一位争いをする相手という意味ですか? それともAランク帯を奪い合う相手という意味ですか」
「――っ、どっちもよ」
『やっぱりブレード突撃は強いですね。特に西山選手はかなりのブレード突撃の名手です。これは二年生でも対応できる生徒は多くないと思います。ちょっと一年生らしからぬ技術ですね』
『そうですねっ! そして、北側でも動きが! 田中選手と対面している長山選手を近藤リーダーが狙撃しました! 命中しましたが致命傷には至らず、そして狙撃を見た淡路リーダーが急接近! ブレード突撃で近藤リーダーを打ち取りました! またもブレード突撃です! そして南側で生き残った選手たちが中央へ向かいます! まずは網倉選手が中央へ向かい、それを追うように西山選手、星川リーダー、黒井選手が続きます。一方で中央を抑える田中選手に対して横撃を加えようと宮田選手もマップ北側から中央入りを狙います。また一方でマップ北西で岡野選手を打ち取った鷲島選手はマップの南側へと向かいました! これはタイミング的に星川リーダーと対面しそうです!』
『対面しましたね。そして対面と同時に奇襲的な感じで星川リーダーは拡張弾倉起動です。瞬間的な面制圧は見事ですね。これで木村選手、鷲島選手を討ち取り……え?』
解説の二年生が驚愕の表情で画面を見た。死んだはずの鷲島が生きていたからだ。
『討ち取ってなかったですね。ええっと鷲島選手、なんと脅威の回避力で弾幕を回避。建物の陰に身を隠しました。いや、本当、どんな動きだ……ええっと、すみません、ちょっと解説できないですね。なんだあの動き……? アクセルを瞬間的に使った感じでしょうか……?』
『おおっと! ここで解説できない動きがでてきたようです! 鷲島選手、もうホラーですね! というか、今年の新入生はホラーっぽい生徒が多いです! いやー、一年早く生まれて来てよかったな~』
「どちらも私たちは互いに敵足りえないでしょう。Aランク帯は10位までのチームが該当します。私のチームもあなたのチームも10位以内は確実でしょうから。それに1位争いというのは……昨日決着がついたのではありませんか?」
「――っ!」
優しく微笑むかのような匂坂の笑み――それを挑発のように受け取った零は顔を赤くした。しかし、すぐに、匂坂の術中だと気付き、口を閉じた。
「それより、試合、面白くなってきましたね。鷲島君と星川さんですか。強者同士の対決ですが、皆さんはどちらが勝つと思いますか?」
匂坂は零チームの面々に問いかけるが、答えは返ってこなかった。
少しの間七人の間で無言の空気が漂うが、それを嫌った山見が手を挙げた。
「ええっと、その、匂坂さん、私は、たぶんだけど、星川さんが勝つと思うよ……? 鷲島君も強い選手だと思うけど……星川さんと正面から戦うのは厳しいと思う……私も正面からだと星川さんには敵わないと思うし……」
「フフッ、前の試合で星川さんを打ち取った貴女が言うのは少し面白いですね。根崎さんはどう思いますか?」
「ええっ!? ええーっと、私は~、その~」
声をかけられた根崎は慌てた声を出し、それから周囲の自分のチームメイトを見回した。ここで答えたら後で怒られてしまうのではないかと思ったからだ。零と秀川が根崎を鋭く睨んでいた。根崎は口を閉ざした。そして、それを見た匂坂がにっこりと威圧的な笑みを根崎に向けた。根崎は冷や汗でいっぱいになった。根崎は板挟みであった。しかし、そんな根崎に助けを差し出す者がいた。
「鷲島君は優秀な生徒だと思いますけど、さすがに星川さんが勝つんじゃないですか? 鷲島君の装備では、この弾幕を近づくのは無理があると思いますよ。というか、匂坂さんは違う意見なんですか?」
上村であった。上村は匂坂に向けて、自然な営業スマイルを向けながら根崎を庇うように言葉を発したのだ。
「私は鷲島君が無傷で勝つと思います」
「っは、世迷言だな。匂坂、お前は魔力は絶大だが、頭の方は空みたいだな」
秀川が吐き捨てるように嘲笑った。
「結果が楽しみですね」
匂坂の言葉とほぼ同時に、試合会場で鷹一が遮蔽物から飛び出した。