学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す 作:集団戦大好きマン
『おっと! 鷲島選手がホラーみたいな動きで建造物から飛び出しました! 怖すぎる回避力で弾幕を避けて……っ!!! って、えぇ~! すげぇ加速!! アクセルです! 尋常じゃない速度で鷲島選手が急接近! 星川リーダーは拡張弾倉射撃で応戦しますが、鷲島選手避けまくって、急接近! ハンドガン射撃! 拡張弾倉解除! シールドガード! あっ! ショットガン!? って、えぇ!! 星川リーダーダウン! って、なんだこれ、なんか今一瞬で凄い攻防があったぞ! 兎に角、死因は、ブレードによる刺殺です。ブレード突撃でしょうか……?』
鷹一・星川両名の尋常でない技量による高速戦闘。それを見て、実況・解説は戸惑い、そして匂坂は嬉しそうに微笑んだ。
『今のは……すみません、手元の端末でちょっとスロー再生したんですが、どうもブレード投擲で撃破したみたいです。全然見えなかったんですが、鷲島選手がアクセルで接近しながらハンドガンで射撃したのを、星川リーダーがシールドで防いで、逆にショットガンで反撃。しかしそれを避けた鷲島選手がさらに接近。ショットガンとハンドガンの戦いになり、最終的に鷲島選手が一瞬でブレード投擲を行い星川リーダーを撃破しました』
解説役は鷹一の超人的な動きに驚愕しつつも、言葉を続ける。
『……ちょっとこれ、人間の動きじゃないですね。鷲島選手が人外すぎますし、なんなら途中まで対応した星川リーダーも十分凄いです。てか、これ機動力が高いとか、そういうレベルの話じゃないような気がします。これだけ速すぎると、魔力とか関係なくトップ10位入りの選手じゃないですか?』
『凄い戦闘でした。鷲島選手は二年生実況解説組の予想だと戦闘適性順位30位から40位前後だと思われる生徒ですが……おっと、すみません! 鷲島選手と星川リーダーに集中していましたが、どうも試合がかなり動いていたようです!』
実況担当は、鷹一・星川の話題に集中しすぎていたことに気づき、慌てて試合全体に話を向ける。
『……ええっと、星川リーダーが撃破される少し前、マップ中央部の要所で戦闘が発生していました。田中選手への横撃のため回り込んだ宮田選手を網倉選手が撃破。そして直後に、網倉選手を西山選手が打ち取りました。さらに黒井選手も中央入りです。そして、西山選手は田中選手を狙いビル内に入り階段を上昇中、一方で黒井選手は西山選手とは合流せずに中央部で待機しています。
そして、そこへ鷲島選手が向かっています。マップ北部では相変わらず長山選手が中央部にいる田中選手と撃ち合いを繰り広げており、淡路リーダーが……おっと! 淡路リーダーが一気に西へ向かいました。移動方向的に金崎選手を捕捉したようです! そして同時に鷲島選手へ黒井選手が奇襲攻撃! しかしこれは回避される!』
『鷲島選手も反撃しましたが、黒井選手はシールドで防ぎました。球形の薄いシールドですね。あの薄さだとアサルトライフルに耐えられないと思いますが……いや、まあ鷲島選手相手なので正解ですし、先程の星川リーダーが同じシールドを展開していたことを考えると、これは鷲島選手への対抗策なのかもしれません』
この予想は正しかった。星川は鷹一へのハンドガン対策として、この薄い球形シールドをチームメイトに練習させたのだ。『球形』という形はイメージしやすく、形成もしやすい形のため、訓練期間が短く、それでいて確実に鷹一のハンドガン攻撃を防ぐことができる。星川の考えた最善の手段であった。
『なるほど! 星川チームはかなり考えているようです! しかし、再び鷲島選手の投擲ブレード! って弾いた! え!? あっ、でも黒井選手ダウンです。ハンドガンで脳天を貫かれました!』
『さりげなく心臓にもダメージ入ってますね。恐ろしいほどの精密射撃です。鷲島選手はハンドガンの射程内の相手なら確実に仕留めていきますね』
『恐ろしいユニットです! 北部の戦闘も決着しました。田中選手と長山選手の撃ち合いは長山選手の勝利です。地形的には田中選手有利っぽかったですが、淡路チーム側が火力の質でも量でも優勢でしたので納得です。そしてその長山選手をビルから飛び降りた西山選手がブレード突撃で仕留めました。もうちょっとで田中選手も食えそうだったのですが、西山選手は惜しかったですね。そして淡路リーダーと金崎選手が相打ちです』
西山は鷹一から逃げるように撃破点を稼ぎ続け、ついには3点目の撃破点となった。
『だいたい納得の結果ですが、金崎選手の射撃が上手かったです。ブレード突撃相手にも上手く引き込んで撃ちました。ただ、やはりブレード突撃は脅威です。結局射撃側の金崎選手も撃破しましたからね』
『これで残っているのは駒はなんと鷲島選手と西山選手のみです! 短期間で落ちすぎです! ちょっと好戦的な一年生たちですね!』
『いや、どうも、今年の新入生はみんなこんな感じらしいですよ』
『今年の新入生は殺意マシマシですね! そして言ってるそばから、鷲島選手から西山選手への殺意の射撃です!』
試合会場では生き残った二人――鷹一と西山の戦いが始まっていた。ハンドガンという射程が短い武器を使う鷹一が、一方的に西山に遠距離攻撃をするという珍しい図であった。
『鷲島選手は淡々とした顔でハンドガン連射するので、なんか凄腕の殺し屋感ありますね』
『殺し屋の攻撃に対して、西山選手は球形シールドでガードします! 手慣れた感じです! これは先程話題に挙がったように鷲島選手対策でしょうか?』
『星川リーダーも黒井選手も球形シールドやってましたからね。今回の参加選手でこの薄いシールドを突破できないのは鷲島選手の暗殺ハンドガンだけですので、完全に対策してきてますね。星川チームは見事、と言いたいんですが、その対策を鷲島選手も前回の試合では使わなかったブレード投擲で突破しているので、鷲島選手の方が一枚上手感ありますね』
西山と鷹一の一騎討ち。試合開始前であれば、実況役・解説役ともに西山の勝利を疑わなかっただろう。しかし、これまで何度も試合中に見せた鷹一の超人芸が、試合前の評価を大きく崩していた。
『一枚上手の鷲島選手に西山選手はどう攻めるのでしょうか? 今までの西山選手は銃器を使っていないので、このままだと一方的に撃たれることに――おおっと! ここで西山選手攻めました! アクセル起動です! 凄い加速力ですが、鷲島選手は淡々と回避し反撃のブレード投擲! が、西山選手もこれを回避っ! って今の動き!!! うぉあ! 鷲島選手迫る!! 西山選手が受けに回って、ここで弾いて後方に逃れた! が! 鷲島選手が再び投擲、西山選手が回避してっ、からのっ! 鷲島選手の射撃が入りました! だが致命傷では――ああぁあ! 西山選手ダウンです! 首を切り落とされました! てか、最後のなんだ! 一瞬過ぎてよく分からなかったぞ!』
膠着していた西山と鷹一の戦いであったが、西山がアクセルを起動した瞬間大きく動いた。僅かな間で二人の間で幾重にも攻防が繰り広げられ、最後には西山が討ち取られた。
『今の攻防は凄すぎるので、あとでスロー再生してから解説しましょう。とりあえず、試合の方は、鷲島選手以外が全滅です。そして、なんと鷲島選手はこの激しい攻防で無傷です。確実に任務点は取れるので早期決着は決まりですね』
『もう試合実況するとこ無いですから、スロー再生始めませんか?』
『一応、試合が終わるまで待ちましょう』
そうして、しばらくの間、鷹一がただただ任務点を回収するだけの映像が流れるのであった。