学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

42 / 134
第三試合⑫ 山見の受難

 

『なるほど! 確かに生存性があるユニットというのは大変魅力ですね! 鷲島選手に関して、他には何かありますか?』

 

『何か、と言うほどではないですが……そうですね、ちょっと鷲島選手関係のまとめということで……ええっと、今回の試合で鷲島選手が手の内を三つも明かしました。アクセル技能、ブレード戦技能、投擲技能……ブレード突撃も合わせれば四つですね。これにより鷲島選手の存在の意味がかなり変わりました。

 これまでの彼は機動力が高くハンドガンによる精確な射撃を得意とする生徒でした。気を抜いていれば暗殺されますが、一方で、薄いシールド1枚で防げてしまう相手ですので、今回の星川チームのような対策でなんとかなったんですよね。つまり強力な面を持ちつつも本質はおもしろユニットでした。

 しかし、今回判明した手の内から考えると彼の本質は極めて強力な接近戦ユニットです。アクセルによる突撃能力と非常に高いブレード戦技量、そしてそれらを組み合わせた超高速ブレード突撃、またブレードを精確に投擲できる技量も脅威です。防御面は不明な点がありますが、少なくとも攻撃面においては新入生の中で最強クラスの近接アタッカーです。

 そして、その上で、機動力が高くハンドガンによる精密射撃ができるユニットです。高機動高精度ハンドガンユニットなのではなく、最強クラスの近接ユニットがハンドガンという射程攻撃ができると考えた方がいいでしょう。これは非常に脅威です。近接特化ユニットの欠点は射程で、それをアクセルによる突撃力で補うことが常です。実際、西山選手はそれに近い運用をしています。しかし、鷲島選手にはそれに加えて非常に精度が高いハンドガンがあります。繰り返しますがこれは脅威です。鷲島選手の技量の高さからして、恐らく彼は今年の一年生の戦闘適性順位トップ10位、たぶんですが、5位には入る選手かと思われます』

 

 鷹一の脅威をこれでもかと喧伝した解説役、最後に戦闘適性順位に触れた。5位という数字は彼なりに鷹一を高く評価した言葉ではあった。驚愕、驚嘆、賞賛、期待、様々な感情を交えた上での『5位』という言葉であったが、しかし、それでも、まだ鷲島鷹一という超人の正当なる評価からは遠い順位であった。

 

『5位ですか!? 凄いですね! ただ、そこまでの技量があると、何で前の試合でハンドガンしか使わなかったのか不明ですね!? 舐めプでしょうか!?』

 

『そう言った面もゼロではありませんが……恐らく、使わなくても勝てるから使わなかったのでしょう。実際、一つ目の試合では、雲川チームのほぼほぼ完全試合状態ですし、仮に鷲島選手が持っている力全てを使ったとしても結果は変わらなかったでしょう。鷲島選手は技を見せたいタイプなのではなく、必要性で行動する選手なのでしょう。あと情報の重要性も理解していると思われます。

 実際、星川チームはハンドガン対策はかなりできていましたが、ブレード投擲に対しては対応が遅れましたし、ブレード戦・ブレード突撃に対して対応はできませんでした。まあ、ブレード戦はまだしも、鷲島選手のブレード突撃は対策がかなり難しい部類ですが……それでもブレード投擲に関しては今後は他のチーム、特に今後当たるであろうA・Bランク帯の生徒たちは研究熱心でしょうから、対策はされるかと思われます。この辺りは、今後の雲川チームの試合に期待ですね』

 

「零さん。次の試合。鷲島君は……雲川さんのチームはどうなると思いますか?」

 

 五条との会話は過去のものとした匂坂が再び零に話しかけた。お口直しのつもりであった。

 

「知らないわよ。どのチームと当たるか次第じゃないの?」

 

「第三試合の結果と順位から考えると……フフッ、もしかしたら、私のチームや零さんのチームと当たることもあり得るかもしれません。もしそうなったら、どのように対策しますか?」

 

「は? 何でそんなこと教えなきゃいけないの?」

 

「零さんがどのような対応をするのか気になります。私は鷲島君対策を考えていますよ? 教えてあげましょうか?」

 

「必要ないわよ。皆、解説も一通り聞いたし、帰るわよ」

 

 零は匂坂との会話を打ち切り、チームメンバーとともに観戦会場から去っていった。

 あとに残された匂坂は少しだけ残念そうにしながらも、ふと思い出したように隣に座る山見を見た。山見はびくりと体を震わせた。

 

「山見さん、ところで……」

 

 それから数十分間、山見は匂坂の会話に付き合うことになった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。