学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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第三試合が終わって

 

 

 試合終了後、帰還室に戻った鷹一は、出迎えてくれた雲川・金崎と少し話をし、第二試合の時と同じようにファイトマネーである12万ZPを分配した後、二人とともに観戦会場へと顔を出した。しかし、すぐに観戦会場で零チームと匂坂を視界に捉えた鷹一は、雲川と金崎を連れて、会場から抜け出した。試合直後の状況では、零と秀川は金崎との相性が良くないということと、何より匂坂キッカという怪物と話したくないという気持ちが鷹一を動かしたのだ。

 その代わりというわけではないが、鷹一は、二人に対して次のような提案をした。

 

「二人とも、今日の試合はよく頑張ったな。色々あったが、二人の頑張りは表に現れていたと思う。俺はほとぼりが冷めてから午後の試合の観戦をするつもりだが、二人はどうする?」

 

「えっと……その、今日はもう休もうかなって……」

 

「俺は、できれば鷲島と一緒に試合を見たいと思ってるけど、いいか?」

 

「分かった。紫苑は、今日はもう休もう。今日の試合の反省会や第四試合については明日しよう。正直、午後の試合結果によっては考え方も変わるしな。よし、金崎、少し時間を潰して、観戦会場が安全になったら戻って午後の試合を一緒に見よう。特に梶田・劉・有坂チームの試合は第四試合でも当たる可能性がある面々だ。しっかり見ていこう」

 

「わかった……そっか、劉チームの試合ってことは渡辺も出るよな? 応援しないとな……」

 

 金崎は劉の名前を聞き、同じ一時寮で比較的仲が良かった渡辺を思い出したのだ。

 

「……そうだな」

 

 それから、宣言通り、雲川は一人で彼女の一時寮へと戻り体と心を休めた。一方で、鷹一と金崎は観戦会場で三つの試合を順々に見ていった。なお、観戦会場に戻る際は、鷹一は非常に用心深く立ち回り、零チームや匂坂といった危険人物から非常に遠い安全な席を二つ確保したのであった。

 

 日曜日午後の部に行われた三つの試合に関して、鷹一は警戒するチームや選手、また実戦で参考になる立ち回りなどを次々と吸収していった。一方で、金崎は鷹一ほどには、学ぶことはできなかったが、それでも彼なりに一生懸命、試合観戦から何かを学ぼうとした。

 また、余談になるが、梶田・劉・有坂チーム試合は11-2ー2で梶田チームの圧勝であった。渡辺が所属している劉チームの敗北に、金崎は少し残念そうにしていた。なお、この時、鷹一は梶田チームの長所と弱点について考察していた。もちろん、鷹一も頭の片隅では渡辺のことも考えていた。しかし、それは残念という気持ちではなかった。むしろ賞賛の気持ちがあった。

 

(渡辺、今回は一本取ったな……投入運は完全に梶田チームと有坂チームに分があった。そこから一本取ったのは見事だ……)

 

 試合展開は梶田チームが中央を確保して優位な射撃戦を展開し、そのまま勝利するというものだった。そんな中で、渡辺は単身で中央に介入、中央から仲間を支援し、劉チームのエースである荒川の撃破点獲得を援護することができたのだ。最終的には渡辺も荒川も撃破されるが、それでも劉チームの貴重な1点確保に務めることができたのだ。

 

 三試合を無事観戦した鷹一と金崎は一時寮へと戻った。既に戻っていた渡辺は、試合に惨敗したとは思えないほどのしっかりとした顔つきで二人を出迎えた。一方で、もう一人の住人、秀川はいなかった。

 

「戻ったか。二人とも、今日は大活躍だったな。特に鷲島、凄かったな。第二試合でも大活躍だったが、今回は、岡野・星川・西山と強い生徒ばかり相手だったのが凄かった。正直、お前がここまで強い生徒だとは思わなかった」

 

「ありがとう、渡辺。渡辺も見事な観測だった。試合結果自体は望まれた結果ではなかったかもしれないが、それでも、あの荒川の1点を取れたのは渡辺の観測があったからだろう」

 

「ああ。俺のチームの試合も見ててくれたのか。けど、よく俺が観測してたってわかったな……二年生の解説が言ってたのか?」

 

「いや、言ってはいない。ただ、渡辺の性格や劉の判断、荒川の能力、倉上の隠蔽性能などを考えたら、あの時の撃破点は渡辺が支援したからというのは分かった」

 

 鷹一の言葉を聞いて、渡辺は呆れたように息を吐いた。

 

「もう、何と言うかだな……鷲島、お前は本当に……。初めて会った時は、変だけど悪く無い奴だと思っていたが……今のお前は変なくせに、何でもできる凄いやつだな。秀川には少し同情しそうだ」

 

「凄い? そう見えるか。ありがとう。ただ、何で秀川なんだ? 昨日の試合のことか?」

 

「それもないこともないが、それ以上、鷲島にあんなに噛みついてた秀川が、少し哀れだと思ったんだ。まあ、因果応報という面もあると思ってるがな」

 

「俺は、秀川が優秀な選手だとは思っている。戦闘技能も判断力もある。そして意外とチームに対して献身的な人物であることが過去の三試合を通して分かった。少し付き合いにくい人間かもしれないが、恐らくチームメイトとして見れば、良い人間なのかもしれないな」

 

「秀川が良い人間か……俺にはできない見方だな。当たり前だが、俺は鷲島みたいにはなれないな」

 

「俺はおそらくまともな人間ではないと思うから、その方がいいだろう。というより渡辺はかなりまともな人間だと思うから、今のままでいいと俺は思う」

 

「……何とも言えない誉め言葉だが、お前のことだから悪気はないんだろうな……話は変わるが、金崎も良かったな。淡路は普通に優れた生徒だと俺も思ってる。そいつと相打ちに持ち込めたのは普通に凄いと思う。もう秀川もお前を馬鹿にはできないだろう」

 

「あ、ああ、……えっと、正直、俺の力でもなくて、鷲島のおかげだけど――」

「――いや、それは違う。金崎。淡路を倒せたのは間違いなくお前の才能と努力の結果だ。俺の力ではない」

 

 少し自信が無かった金崎の言葉を、鷹一が即座に否定した。

 

「え、あ、ああ、ありがとう、鷲島。ああ、いや、渡辺もありがとう。正直、淡路と相打ちになったのは結構嬉しかったんだ。ただ、俺一人の力ではできなかったと思うから、自慢しにくくて……でも、二人にそう言われるのは、凄く嬉しいよ」

 

「金崎、相変わらずお前は普通に良い奴だな。鷲島とも良いチームが組めたみたいで良かったよ。順位は抜かされたけど、お前たちみたいなチームに抜かれるのはそこまで悪くもないな」

 

 第三試合の結果により雲川チームは暫定16位から12位に上昇し、一方で劉チームは暫定10位から17位に順位を落としていた。

 

「同じBランク帯だ。雲川チームと劉チームは総合的な面でも、恐らく大きな差は無いだろう。というより、次の第四試合では当たることになるかもしれないな。もし、そうなったらよろしく頼む」

 

「正直、鷲島や強くなった金崎相手に上手く立ち回れるかは分からないが……そうだな、その時は、正々堂々と戦いたいな」

 

 渡辺は、鷹一と金崎を、しっかりと強い意志を持った目で見たのであった。

 

 





★おまけ

第三試合終了後のチーム戦の暫定順位
1位  匂坂 34点
2位  飛山 34点
3位  零  25点
4位  舞島 25点
5位  梶田 23点
6位  中  22点
7位  蓮  22点
8位  麻倉 20点
9位  高光 20点
10位 滝本 19点
11位 水渕 17点
12位 雲川 16点
13位 柚木 16点
14位 安重 15点
15位 星川 15点
16位 清沢 13点
17位 劉  13点
18位 有坂 13点
19位 木下 12点
20位 氷橋 12点

※四月は四回試合がある。現在は第三試合まで終了済み。
※五月一日の順位によりランクが決まる。1位~10位がAランク、11位~20位がBランク。21位以下はそれぞれ10チームごとに、C・D・E・Fランクとなる。
※主人公である鷲島が所属している『雲川チーム』の目標はBランクである。現在は暫定12位。
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