学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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第四試合② 砲撃の脅威

 

 試合会場に投入されると同時に、鷹一は自身の位置と周囲の様子を確認した。真っ先に零チームの五条の姿を捕捉しながらも、『大出力レーダー』を起動し、表示された光点を確認する。そして同時に通信が入った。

 

『鷲島! 七宮を見つけた! レーダーにも映ってる! 俺の北側にいるアンノウンで近い方が七宮だ! あとは……零だ! 西側に零がいる! レーダーには映ってない……! こっちは気付かれてないはずだ。零が北側に向かってる!』

 

『え? あっ!? た、鷹一くん! ぎゃ、逆認識……!? 発動してる! 見られてる……!?』

 

 雲川・金崎がそれぞれ装備しているパッシブ装備【逆認識】は、自身が敵チームのレーダー上に表示されていると発動し装備者に警戒を促す装備だ。つまり、雲川は現在、誰かに捕捉されていた。

 

(金崎が南、紫苑が中央か。初期配置が読めないな……状況的に北側に重量級が集まってそうだが……)

 

 

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 思考を巡らせながらも鷹一は、北側の戦況を把握するために、素早く高所に登っていく。

 

『紫苑の北側にいるのは五条だ。恐らく、紫苑を捕捉しているのも五条だ。紫苑、レーダーを起動したまま東側へ逃げてくれ。金崎、気付かれないように、そのまま七宮と零を見張っていてくれ。気付かれないことを重視で頼む』

 

 味方に指示を出しつつも、鷹一は自身の大出力レーダーを一時的に解除し、それによって消える光点を確認する。そしてすぐに再び大出力レーダーを起動し、現れる光点を確認した。

 

(北東の二枚が消えなかった。確実に重装備。西のユニットは分からないな……どちらにしろ、北東に秀川か根崎のどちらかはいる可能性が高いな。五条と連携されると厄介だが、どちらかに近づけば十字砲火の的になる……)

 

 鷹一は、自身のレーダーと雲川のレーダーの出力差を利用し、北東の二つのアンノウンが重装備であることを見抜いた。

 

『う、うん……!』

 

『ああ! 零が凄い速さで北東に向かってる! たぶん中央……! 雲川さんを狙ってるのかも! あと、七宮は南東に移動してる。あ! こっち側のもう一人が分かった! 上村だ! 上村が七宮を狙って南に移動してる! あ、上村が撃った! 七宮も撃ち返した!』

 

(紫苑狙いなら、やはり紫苑を捕捉したのは五条のレーダーだ。南に上村か……ということは俺の西にいるユニットも重装備組の誰かか……? 北側が全体的に重いな……)

 

 

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『紫苑、零と五条がそっちに向かってる。俺も北側の戦場を偵察したら、そっちに向か――』

 

 そこまで鷹一が口にしたところで、凄まじい爆撃音が試合会場に響いた。次々と雨あられのように降り注ぐ爆撃の音。鷹一は内心で驚愕しつつも、高所を登りきり、そして、マップ北戦場の惨状を目にした。

 

(なんだこれは……!? 北側の一部が廃墟になっている……!? 佐々木の砲撃か……! 凄まじい数の砲撃が根崎に集中してる……! 手前に秀川……! 再度砲撃音……! 弾道からして、西にいたのは佐々木だったか!? いや! それより何だ、この砲弾!? 子弾をばら撒いて……!? クラスター弾っ……! 佐々木、そんなモノまで扱えるのか!?)

 

『さ、さっきから凄い音……こ、これ何……?』

 

 雲川の怯えた声が通信機を通して鷹一の耳に入った。

 鷹一は、北戦場の惨状――降り注ぐ榴弾の雨を必死に迎撃する根崎と秀川、そして流れ弾によって廃墟と化していく建造物たちを見ながらも、鷹一は作戦を決めた。

 

『佐々木の砲撃だ。狙われているのは根崎、俺から一番遠いアンノウンだ。俺と根崎の間に秀川。あと視認はしていないが、西のアンノウンが佐々木だ。異常な爆撃だが、威力はさほど高くない。根崎と秀川が対応している間に、俺がそっちに――』

 

 だが、そこで、またしても鷹一を驚愕させる出来事が起きた。次々と根崎に殺到する榴弾の中に紛れて高速で飛来する砲弾があったのだ。そして、その砲弾は根崎のシールドごと彼女の体を一撃で破壊した。

 信じられない光景を見て、鷹一は確認のためにレーダーを見た。根崎の光点が消えていた。つまりそれは、超人根崎が一瞬で撃破されたことを意味していた。

 

 

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 驚愕で、鷹一は僅かな時間の間、動けなくなった。

 しかし、すぐに駆けだした。

 

(佐々木っ! 化物め! あんな方法で根崎をっ! 作戦変更だっ! 佐々木が生きていたら試合にならないっ! まずは可能な限り早く佐々木を始末する!)

 

『紫苑、悪いが、俺は佐々木を倒しに行く。頑張って東に逃げてくれ』

 

『う、うん……』

 

『あ! 鷲島! 零もそっちに行った! 途中で曲がって、雲川さんの方じゃなくて、佐々木の方に行った!』

 

(砲撃の軌道で位置を読まれたか。いや、距離的に五条のレーダーに佐々木も映っているか……このまま零に倒させる手もあるが……いや、俺が行った方が早い。それに、これ以上一分一秒でも佐々木を生かしてはおけない)

 

『あっ!わ、鷲島……! なんか凄いことになってる……! 北西の方から凄い数の砲撃が上村に降ってきてる。爆発で七宮と上村が良く見えない……!』

 

 鷹一が思考している間にも南側の戦場が動いた。佐々木の砲撃の魔の手が南側にも伸びたのだ。

 

(俺が接近している間に南側を砲撃したか。やはり佐々木は危険だ)

 

『分かった。金崎、そのまま観測を頼む。紫苑、頑張るんだ』

 

 通信を続けながらも鷹一は凄まじい速さで、南西の方角へ向かい、そして西にいたアンノウン――佐々木を視界に収めた。すぐに鷹一は佐々木に急接近した。佐々木はそんな鷹一を見ると驚愕した。

 

(え、何で、鷲島君こっち来るの……? ここは共闘の流れでは……? 俺が根崎さん倒したんだから、鷲島君が五条さんか秀川君を倒す流れじゃないの……? え……? これ雲川チームは勝ちを捨ててるパターンなの……? 取りやすい駒取る感じ……?)

 

 鷹一と佐々木。超人である両者であったが、互いに互いの心は分からなかった。佐々木は『鷲島は佐々木を取りやすい駒だと認識している』と考えていた。一方で、鷹一は『佐々木は最も危険な駒ゆえに最優先で排除しなければならない』と考えていた。

 困惑しつつも佐々木は曲射砲を発射した。その砲撃は途中で分散し大量の子弾となり鷹一へと襲い掛かった。恐ろしいまでの面制圧砲撃であった。鷹一は、砲撃されると同時に大きく回避運動を取った。佐々木を中心に時計回りのように大きく回ったのだ。

 全ての弾を避ける鷹一には目もくれず、佐々木は見当違いの方向に一発の砲弾を放った。

 

(今のは南戦場に向けて撃ったのか……?)

 

 鷹一は佐々木の見当違いの砲撃に疑問を感じつつも足を止めることなく佐々木に急接近した。佐々木は慌てたように、鷹一に向けて再度砲撃を放った。鷹一は再び大きく回避行動を取るが、今度の砲撃は途中で分裂することはなかった。それどころか鷹一から大きく外してしまっていた。

 

(なんだ……?)

 

 鷹一はさらに疑問を感じつつも距離を詰めるが、すぐに異変に気付き回避行動を取った。そして同時に通信が入った。

 

『鷲島……! 七宮がダウンした! 上村が勝った! 最後、佐々木の砲撃がまた来たけど、全部回避してた……! 上村は雲川さんの方に向かってる……! あと零が、だいぶそっちに行ってる! もうすぐ鷲島の方に着く!』

 

 通信には応じず鷹一は回避行動に専念した。佐々木が拡張弾倉を起動させたためだ。異常な程に速い砲弾が鷹一の近くをすり抜けた。

 

(これが狙いか……! 恐らく今の高速砲弾が根崎を倒した技だ。さっきの低速の砲弾はブラフ……! いや、だが、なぜ子弾を飛ばさなかった? 設定を間違えたのか? 佐々木ほどの猛者が?)

 

 疑問を感じつつも鷹一はさらに接近した。既に佐々木との距離は殆ど無かった。

 鷹一はブレードで近接攻撃することを選んだ。ハンドガン射撃では佐々木相手にガードされることは確実であり、そして、金崎の情報から零がすぐ近くにいることを知ったからだ。佐々木を襲う自身にブレード戦を仕掛けるようならば、ブレードで迎撃した方が良く、またアサルトライフルで射撃してくるならば、佐々木を盾にできる。佐々木に肉薄しブレードで倒すことは理に適っていた。

 

 鷹一が佐々木の首を刎ねると同時に佐々木が最後の砲撃を発射した。鷹一は即座にシールドを展開し佐々木から素早く離れた。佐々木の『自爆』を警戒したためだ。

 しかし、爆風が鷹一を襲うことはなかった。佐々木の砲弾は高弾道を描き、あらぬ方向へと飛んでいったからだ。

 

(何だ……? 佐々木はいったい何を……?)

 

 鷹一は疑問を覚えたが、すぐに仲間との情報共有を行った。

 

『佐々木を撃破した。このまま零を――』

『――雲川さん! 上っ!!』

 

 鷹一の報告に割り込むように、金崎の悲痛な叫びが覆いかぶさった。そして、すぐに鷹一も状況を理解した。

 

『紫苑! すぐに建物の中に退避しろ!! 佐々木の砲撃が来るぞ!』

 

 その言葉と同時に、佐々木の最後の砲撃――クラスター弾の子弾の雨が、マップ中央部に降り注いだ。

 

 

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