学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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第四試合⑨ 二年Aランク

 

 

 そうして、五人で話が一段落ついたところで、観戦会場に本日の実況担当の二年生の声が響き渡った。

 

『あー、あー。よし、よし。それでは、そろそろ第四試合日曜日の部【零・麻倉・雲川のチーム戦】が始まりますので、試合前おなじみの説明や解説などを始めたいと思います。本日は実況は二年Cランクの中村がお送りしたいと思います。そして、解説役ですが、なんと! 二年生Aランクの四宮選手に来て頂きました……! 四宮選手、今日はよろしくお願いします!』

 

 今日の試合はAランク帯、それも一年生の中でも超人染みた生徒が多いことから、実況に選ばれた中村は、『これは呼ぶしかない!』と思い、自分の交友関係から呼べる中で最も強い生徒である、四宮を呼んだのだ。

 呼ばれた四宮は、特に緊張することもなく、気軽な様子で、声を上げた。

 

『おーす、よろしく。今日は呼んでくれてありがとう。正直、前々から、一年の試合は気になってたんだ。二年連中から聞いた話だと、今年の一年はめっちゃ強いってことだったから。ただ、あんまり、驚きリアクションで一年坊に二年全体が舐められるのは、フツーに嫌なんで、今日は厳しく解説するから、よろしくな』

 

 そこまで言って、四宮は一度言葉を切ると、観戦会場の席の一つを凝視した。

 

『あー、あと、そこ、観客席から魔力飛ばしてきてる銀髪の女子。そういうの、やめよーな。強さをアピールしたい気持ちは分かるけど、逆に弱く見えるぞ』

 

 四宮は、ほんのわずかな間だけ大量の魔力を形成した。そして、それを緻密な制御を持って、観戦会場にいた一人の女子生徒――匂坂キッカだけに向けて鋭く放った。匂坂は咄嗟に、大量の魔力を自身の周囲へ展開し、自身への干渉を防いだ。四宮は慌ただしい匂坂の動きを小さく鼻で笑った。

 一連の流れを見ていた種村は内心で苦笑した。

 

匂坂(ゴリラ)が二年生相手にウホウホしてたら、逆にとっちめられた……ちょっと面白い。でも、やっぱり二年生って魔力制御上手いね。Aランクだからかな? 隣の実況役は私でも倒せそうだけど……あの四宮って解説役は逆立ちしても勝てないな)

 

 じっとりと湿った暗い視線が匂坂から四宮へ注がれたが、四宮はそれに気に掛けることもなく、解説を始めた。

 

『それじゃあ、まずはマップから。といっても、第三試合と同じだな。ザ・クソマップこと【農業エリア】だ。馬鹿みたいに射線が通るから射撃有利っていうか、運が無茶苦茶重要なマップだ。どのマップも運が重要だけど、このマップは投入直後に狙撃で倒されるとかフツーにあるから、クソ度合が高いな。

 んで、今回の参加チームだけど、零チーム、麻倉チーム、雲川チームだな。リーダー皆、女子とか偏ってるな。魔力量的に、女子優位なとこあるけど、それにしても今年の一年は上位チームの女子率高いな、これ何か傾向とかあるんかな?』

 

『え、? どうでしょうか? 魔力量は一般に女性の方が大きくなる傾向がありますが、高魔力の男子生徒や、低魔力の女子生徒もいますし……戦闘センスに関しては男女差はあまり無さそうではありますが……』

 

『んー、たまたまかな。まあいいや。で、まあ、各チームの解説や、試合の予想とかだけど……結論から言うけど、普通にやったら零チームが勝つだろ。投入運とかに左右はされるだろうけど、それでも零チームが強すぎる。

 まず、エースの根崎は純粋に強い。あんまり一年坊をマンセーしたくないけど、コイツは流石に格が違うな。二年生のBランクで戦っても普通に勝てそうだし、何なら二年生Aランクでもギリギリ成立しそうな強さだ。リーダーの零も近接と射撃を上手く両立してる。アクセルやブレード突撃も上手いし、攻撃役としては一級品だな。五条は魔力だけなら学園でも最高クラスだし、秀川と上村も普通に強い。一年の四月ってことを考えると中々のチームだな。まあ、俺が戦えば一人でもだいたい落とせるし、チーム単位で戦えば余裕でシメれるけどな』

 

『二年生Aランクの中でも上位の四宮選手が言うとなると、根崎選手はよほどの強さですね。他に注目の選手はいますか?』

 

『雲川チームの鷲島が頭一つ抜けてるな。雲川チームでこいつだけ突出して強い。ブレード戦の技術なら二年生でも通用しそう。あと機動力がかなり高い上に、噂のブレード突撃は特級品だな。あのレベルの速度のブレード突撃は…………今の二年にはいないな。

 ただ、結構弱点が多い技だし、アレに頼るような選手なら正直怖くはない。珍しい技だし、唯一無二と言えるかもしれないが、それだけでやれるほどAランクっていうのは甘くはない。どっちかっていうとブレード戦技量の方と機動力の方が安定して強そうだな。そっち主体で戦える選手なら、悪くないな。まあ、鷲島の選手としての器は、この試合次第だな。あ、ちなみに弾幕避けについてはノーコメントな。てか、これ二年視点で説明するのはよくない気がするから』

 

『確かに、鷲島選手のブレード戦技量や機動力は雲川チームの強みですね。他にはどうでしょうか? 麻倉チームの佐々木選手は撃破点が多い選手ではありますが……』

 

『佐々木は別に大したことないだろ。というか、曲射砲使いは別にそんなに凄い駒じゃない。アレは、マグレや攪乱狙いであって、安定して勝利を狙うチームが使う武器じゃないな。やぶれかぶれの技がたまたま当たってるって感じだ。

 正直、麻倉チームに関しては、今回の試合で一番パッとしないな。七宮がギリギリAランクスペックあるかないかって感じで、あとは佐々木の強運でたまたまAランクにいるってチームだ。いつBランクに落ちてもおかしくはない』

 

 解説の四宮は、根崎・零・鷹一に対する評価とは打って変わって、佐々木と麻倉チームへは厳しい評価をした。実況役の中村は内心で、『話題を間違えたかも』と後悔した。

 数か月前の試合で、四宮は、下位チームのやぶれかぶれの曲射砲乱射に巻き込まれて、運悪くダウンしたのだ。技量などない、稚拙な攻撃でダウンしたことは、Aランクとしての四宮のプライドを深く傷つけていたのだ。既に、その傷は癒えたものだと思っていた中村であったが、ここに来てまだ気にしていたことに気付いてしまったのだ。

 

『な、なるほど……! となると、今回の試合は、零チームに対して、鷲島選手がどこまで抵抗できるか、というのが着目点になりそうでしょうか?』

 

『まあ、そうなるな。駒質的には、根崎・零・鷲島が飛び抜けてる。ただ、射程が完全に根崎、零、鷲島って順で、恐らく魔力量もその並びだから、エース対決でも鷲島が不利だな。零チームの他の三人を鷲島が各個撃破できるみたいな投入になれば、ある程度は拮抗するかもしれないし、麻倉チームの出方によっては点数も変わって来るけど、普通に考えると、やっぱり零チームが勝つな。鷲島がどのくらい強運かっていうのが重要なポイントだ』

 

『鷲島選手には、あの瞬殺のブレード突撃がありますが、あれを使えば不利をひっくり返すこともできそうですが……』

 

『あー、無理無理。アレは結構、欠陥技。旋回性が死んでる。アレ使ったら普通に的になるだけだから。俺なら確実に射貫けるし、根崎・零クラスなら撃ち落とせるだろう。第三試合は初見技だったってことと、西山に遠距離攻撃手段が無かったってことで、決められただけで、Aランクレベルならそう何度も通用する技じゃねーよ。ていうか、さっきも言ったけど、アレ連打するようなら、鷲島は一発屋だな。エースではない』

 

 四宮は僅かに言い回しを工夫しつつ、鷹一の必殺技の一つである【超高速ブレード突撃】をこき下ろした。しかし、内心は違っていた。

 

(まあ、俺も横からなら射貫けるってだけで、正面から鷲島のブレード突撃の射程内って状況なら、せいぜい相打ちが精一杯だな。あの技はブレード突撃の究極形だ。確実に1対1交換ができる。もし、今年も交流戦があるなら、要注意な一年だな)

 

 二年生と一年生の合同試練である交流戦――昨年実施されたそれを思い出した四宮は、鷹一に対する警戒を強めた。

 

 

 

 

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