学園チームバトルもの。才能と努力と計画と乱数で勝利を目指す   作:集団戦大好きマン

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勧誘連打と初日の終わり

 

 

 (かずなし)と飛山の勧誘を終えた後、鷹一はさらに追加で、四人のリーダーとそれぞれ話し合った。この四人は午後の授業の合間に鷹一にコンタクトを取り、そして飛山との約束通り、後に回された四人であった。四人のリーダーは当然のように鷹一を勧誘し、そして、零たちと同じように鷹一からの洗礼――チームのコンセプトと達成率を説明する羽目になった。

 ようやくリーダーたちの面談が終わったと、一息ついた鷹一は寮へと戻ろうとして、その過程でさらに二人の別のリーダーから勧誘を受け、そして当然の権利と言わんばかりに洗礼を浴びせた。結果、鷹一による詰問の犠牲者は八人となった。

 これで本当にようやく寮の狭い部屋を拝めると思った鷹一に対して、さらに四人のリーダーが襲い掛かった。流石に、もう今日はもういいかと思った鷹一は四人に対して比較的丁寧に明日個別に話したいと告げ、ようやく狭い四人部屋の中へと戻れた。そして、部屋に入るや否や室内にいた渡辺が鷹一に声をかけた。

 

「鷲島、さっき清水と源内っていう男子がお前のことを探してて、この部屋まで来た。『鷲島はまだ帰ってない』って言って追い返した」

 

「そうか、この部屋まで来てたか、悪かったな渡辺」

 

「いや、別にいい。それより、探さないのか、二人が来たのは少し前だったぞ。あ、ちなみ、二人は別々に来た。先に来た清水は三十分くらい前で、源内の方は十分くらい前だった」

 

「大丈夫だ。二人ともさっきここに来る途中で話をした」

 

「ああ、そうだったか。それならいい…………もしかして、勧誘だったりするのか?」

 

 問いかける渡辺を見て、金崎は固唾を飲んだ。渡辺の複雑な雰囲気を読み取ったからだ。一方で当の鷹一は平然としていた。

 

「一応そうなる」

 

 答える鷹一に対して、渡辺は感心するような目を向けた。

 

「それは凄いな。初日から二人から勧誘を受けるなんて――」

「――なんだ、結局、お前も勧誘されたのか鷲島」

 

 新たに部屋に入って来た男――秀川が、渡辺の言葉を遮った。

 

「一応、な」

 

「初日に勧誘……二人から勧誘されたってことは、やっぱりお前は筆記試験上位者か。そっちを意識するリーダーが少しはいてもおかしくはないからな。まあ、俺には理解できない感覚だが」

 

 秀川は、嘲笑するように口元を歪めると、さらに渡辺と金崎を視界に捉えた。

 

「それでお前ら二人はゼロか」

 

 投げつけられる言葉を聞き、金崎は視線を落とした。一方で、渡辺は秀川を強く睨んだ。

 

「勝手に決めるな」

 

「この状況で数を言わないってことはゼロだって認めてるってことだろ。言っとくけど、お前ら二人――いや、鷲島もだな。三人とも危機感持っといた方がいいぞ」

 

「危機感……?」

 

 渡辺が言葉を漏らした。その反応に満足したのか、秀川は鼻を鳴らして、言葉を続けた。

 

「同じ寮室のよしみで教えてやるが……少しは自分から動けってことだ。お前らみたいな取り柄がない三人組は、もっと自分から動かないと駄目だ。乗り遅れて死ぬぞ」

 

 得意げに語る秀川を、三者三様の態度が出迎えた――渡辺は秀川を睨みつつも彼の言葉を考えるように、金崎は落ち込みながら俯き、そして鷹一は無表情で秀川を見た。

 

「鷲島、自分だけ違うみたいな顔してるが、この学園のルールを見れば分かる通り、大事なのはチーム戦で、戦闘での順位だ。筆記順位じゃない。お前の得意なお勉強はここじゃ大して役に立たない。二人から勧誘を受けて浮かれてるようだが、その二人はお前と同類のアホだ。そのチームは止めた方がいい」

 

 秀川は多くの侮蔑とそして僅かながらの親切心を言葉に込めた。

 

「俺は別に勉強を得意だと思っていない」

 

「なら、その澄ました顔をひっこめろ」

 

「生まれつきだ」

 

「そうか。お前は俺の想像以上のアホのようだ。まあいい、それならお勉強リーダーの下でお勉強チームでもよろしくやってな」

 

「俺を勧誘したリーダーの筆記試験の順位は分からないが、筆記試験で一番成績が良かったリーダーのチームに入るとは限らない」

 

 馬鹿にするような秀川の言葉にも、鷹一は無表情を崩すことはなかった。

 

「たった二人から勧誘されたぐらいでイキるな。一応言っておくが、俺は今日のうちに六人のリーダーから勧誘を受けた。当然戦闘重視のリーダーだ。まあ三人はすぐに断ったがな」

 

「なぜ断ったんだ?」

 

「格下のチームに入るつもりはない。それに狙っているチームがあるからな」

 

「狙ってるチーム? 参考に聞きたい、良ければ教えてくれ」

 

「まあ、お前らなら教えてもいいか。俺の本命は、零っていう赤毛の女のチームだ」

 

 秀川は一瞬だけ悩むが、すぐに、同室の三人はライバル足りえないと気付き、鷹一の質問に答えた。

 

「女がリーダーっていうのは正直気に食わなかったが……戦闘センスが一流だ。遠目だったが……俺が見たリーダーの中ではあいつが一番強い。それに、零が勧誘してる選手は、どいつも戦闘が得意そうなやつらばかりだ。戦略もよく分かってる」

 

 零を思い出してから秀川は少しだけ満足気な顔を鷹一に見せた。秀川のそれは、彼自身と同じ考えに至ることができた赤毛のリーダーへの僅かな敬意と、納得感――そして安心感が混ざったものだった。鷹一は秀川の表情を深く読み取り、興味深いと心の中で思った。なお、表情は相変わらず無表情であった。

 

「飛山はどうだった?」

 

 そして無表情のまま、さらなる問いを秀川へと投げかけた。

 

「飛山? 誰だ? お前を誘ったリーダーか? 言っとくが、お前程度を誘うレベルのリーダーはこっちから願い下げだぜ」

 

「そうか」

 

 一通り確認したい事を聞き終えて満足した鷹一は、秀川との会話を打ち切った。

 それから、四人の会話はほぼなかった。秀川が三人と相性が悪く、そして残りの三人も秀川がいる中で仲良く話をする気分にはなれなかったからだ。

 

 無言の中で四人は心の中はそれぞれだった。

 鷹一は、今日のリーダーたちとの交流から得た情報を纏めながらも試練での自身の立ち回りを考えた。

 秀川は、早く五月を迎えて、アホどものいる一時寮から解放されたいと望んだ。

 渡辺は、単純に秀川は嫌いだと感じた。

 そして金崎は、もっと空気が良くならないかなと思った。

 

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